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印刷2009/02/13 17:01

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奥谷海人のAccess Accepted / 第206回:レースゲーム最前線 2009

奥谷海人のAccess Accepted

 最近発売された,もしくは発売予定であるレースゲームの多くが,広大なマップ内を自由に走り回れるというオープンワールドタイプのシステムを採用していることに,お気づきだろうか。グランド・セフト・オートシリーズや「The Elder Scrolls IV: Oblivion」「Fallout 3」などで開拓されたオープンワールドのゲームシステムが,レースゲームジャンルにも影響を与えているのだ。というわけで,今回は,最近のレースゲームのトレンドを紹介しよう。

第206回:レースゲーム最前線 2009

 

レースゲームにも浸透したオープンワールドシステム
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“自動車泥棒”がテーマのゲームなだけに,ドライビング要素が非常に重要だったのが,2001年に発売された「Grand Theft Auto III」だ。現在のレースゲームにかなり影響を与えた作品ともいえるだろう。PCゲーマーにとっては,2月27日に発売されるシリーズ最新作の完全日本語版「グランド・セフト・オートIV」が楽しみだ

 2008年に欧米で発売されたゲームを振り返ると,広大なマップ内で自由に行動できる,オープンワールドなシステムを採用したものが多かった。もちろん,「Call of Duty: World at War」や「Gears of War 2」「Prince of Persia」といったリニアなゲームも登場したし,今後もそうした一本道タイプのゲームは作られていくだろう。だが,これから発売が予定されているゲームの多くがオープンワールドシステムを採用しており,リニアタイプのゲームは主流から外れつつあるようだ。

 アクションゲームやRPGで定着したオープンワールドシステムだが,その流れはレースゲームにも現われており,いつの間にかスタンダードになりつつある。2006年にリリースされた「Test Drive Unlimited」や「Need for Speed: Carbon」などはその先駆けといえるだろう。2008年には「Midnight Club: Los Angeles」や「Burnout Paradise」が発売され,好きなところを自由に走れるレースゲームが増えているのだ。
 さらに,オープンワールドのアクションゲームで本格的なレースを楽しめるタイトルも増えており,2009年には「WHEELMAN」「Mafia II」,さらにはGrand Theft AutoリードデザイナーDavid Jones氏が手掛けるオンラインゲーム「APB」が発売される予定だ。

 もちろん,マップ上を比較的自由に動き回れるRPGやアドベンチャーゲームは少なくなかったし,フライトシミュレーションでは,「Microsoft Flight Simulator 5.0」(1993年)あたりから,かなり自由に飛び回れたので,これらのタイトルもある意味オープンワールドだったのかもしれない。しかし,自由に動き回れるだけで,あちこちに出かけて具体的に何かができるというゲームはそれほど多くはなかった。
 そんななか,「Grand Theft Auto III」の大ヒットにより,オープンワールドなゲームが一気に増え始めたのである。本作にはドライビング要素もあったので,オープンワールド型のレースゲームも本作から枝分かれしていったといえる。

 

 

オープンワールドになったレースゲームはMMOに
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2009年3月に香港と台湾でテクニカルテストが実施される「Need for Speed World Online」。基本料金は無料で,車のパーツなどが販売されることになるようだ。マップの広さはシリーズ最大で,警察と泥棒に別れてのカーチェイスといった人気要素もフィーチャーされる見込みである

 レースゲームジャンルでグラフィックスの新時代を切り開いたといえるのは,2004年にPlayStation 2で発売された「グランツーリスモ 4」ではないだろうか。グラフィックス面ではほかの欧米産レースゲームを凌駕しており,ジャンルの進化のスピードを速めた作品だ。日本では125万本を売り上げ,アメリカでは293万本,ヨーロッパにおいては,なんと585万本も売れるという,大ヒット作となった。

 グラフィックスのレベルで,一歩抜きんでた存在だったグランツーリスモ 4だったが,すぐにほかの開発会社もそれに追いつき,泥跳ねの描写,車体の破損といった表現は,どのレースゲームでも見られるようになった。また,自動車会社もレースゲームをプロモーションに利用するようになり,今日では,発表されたばかりの新車がゲームに登場することもめずらしくない。
 だが,やがてどのレースゲームにも車がふんだんに用意され,登場車種やパーツの豊富さだけでは,ファンへのアピール材料として十分ではなくなってきた。筆者も,某デベロッパをゲームショウで取材した際,「ただ車種やコースを増やすだけでは,誰も見向きしてくれなくなっている」と話してくれたのを憶えている。そうした,やや閉塞気味だった状況を打破する方向性として,レースゲームのオープンワールド化は必然だったのだ。

 さて,先日Electronic Artsから発表されたニード・フォー・スピードシリーズ最新作,「Need for Speed World Online」は,タイトル名からも分かるように,オンラインのレースゲームで,しかもオープンワールドがウリなのだという。詳細はほとんど発表されていないが,プレイヤーは自由にカスタマイズしたマシンで,ほかのプレイヤーと一緒に広大なマップを走り回れるというものになるようだ。

 Electronic Artsは,Need for Speed World Onlineをシンガポールで開発しており,夏までに香港や台湾でローンチする予定だ。日本でのサービスは未定だが,アメリカでも年内にサービスインする計画がある。
 Electronic Artsは2001年に「Motor City Online」というMMOGをローンチしたが,2年ほどでサービスを終了した。Motor City Onlineは,成功したとはいいづらいゲームだったのだが,その苦い経験をどのように生かしてくるのかも見どころである。

 また,カプコンはMonumental Studiosというイギリスのデベロッパが開発しているオンラインゲームを,2009年内にローンチする計画がある。ゲームの詳細はまったく明かされていないが,Monumental Studiosの中心メンバーは,Climax Racing Studiosに所属していた人達だ。Climax Racing Studiosは,「MotoGP」や「ATV Offroad」といったレースゲームを開発していた会社だけに,この新作がオープンワールドなオンラインレースゲームだとしても,おかしくないだろう。
 ちなみにMonumental Studiosは,すでに「Soccer Superstar」というサッカーのMMOGを手掛けており,オンラインゲームを開発した実績がある。

 レースゲームは,新プラットフォームのローンチ時には欠かせないジャンルで,グラフィックスの進化などをアピールしやすい。昔は架空の車しかなかったが,いまでは車だけではなくパーツまで,実在するメーカーの製品がゲームに登場するようになった。さらに,決められたコースをグルグルと走るだけでなく,広大なマップ内を自由に走り回れるオープンワールドタイプのゲームが続々とリリースされている。
 レースゲームはゲーマー以外の注目も集めやすく,ゲーム人口増加にも重要なジャンルでもある。今後,どのような方向へ進化していくかしっかりと見守っていきたい。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。アメリカの歴代大統領の名前をすべて憶えたという奥谷氏。なんでも子供達の前で暗唱してみせて,勉強意欲を促進させるのが目的なんだとか。だが,実際に44人分の名前を聞かされるほうはたまったものではない。案の定,子供達は聞きたがらず,むしろ逆効果気味。奥谷氏は,「次は日本の内閣総理大臣を務めた59人の名前を暗記してアッといわせてやる」と息巻いているが,どうも目的と手段が混乱しているようだ。
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