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印刷2009/01/30 12:47

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奥谷海人のAccess Accepted / 第204回:SourceエンジンMODが熱い!

奥谷海人のAccess Accepted

 アメリカでは活発な動きが目立つMODコミュニティだが,最近は「面白いMODが減った」などという話を耳にすることが増えた。だが,SourceエンジンをベースにするMODは,クオリティの高いものが多く,盛り上がっている。今回は,そんなMOD文化を支えるメーカーの一つであるValveの功績と,単体での発売が予定されている,三つのSourceエンジンMOD作品を紹介しよう。

第204回:SourceエンジンMODが熱い!

 

数々の成功を遂げてきたSourceエンジンのMOD
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ゲイリー・ニューマン氏が制作した「Garry's MOD」は,Half-Life 2のキャラクターやオブジェクト,物理効果などを使って,好きな静止画や動画を撮って楽しめるというソフトだ。利用するにはHalf-Life 2などSourceエンジンを使用したゲームが必要なうえに,オンライン販売しか行われていないが,30万本も売り上げた

 2008年11月,「Half-Life 2」のサンドボックス型MOD「Garry's MOD」が2周年を迎えた。制作者代表であるGarry Newman(ゲイリー・ニューマン)氏によると,Garry's MODは2年間で31万2541本売れたという。
 Valveが運営するオンライン配信サービス「Steam」でのダウンロード販売のみだが,9.99ドル(約900円)で売られているので,2年間で3億円近い売り上げを記録したのだ。全額がニューマン氏の手元に入るわけではないが,決まった収入のなかった26歳の若者にすれば,かなりのものだろう。

 Valveが独立系ゲーム会社として一流になったのは,Half-Lifeシリーズという看板タイトルを生み出し,Steamによってデジタル配信ビジネスを切り開いたからだけではなく,ニューマン氏のようなMOD制作者をサポートし,ゲーム業界にデビューさせるといった活動を行ってきたことも重要だ。Valveの処女作である「Half-Life」がQuake IIエンジン(id Tech 2エンジン)で開発された――もちろん,MODというわけではないが――ものだけに,そういう意味で,“後輩思い”なのかもしれない。

 Valveは,以前からMOD制作者と手を組み「Counter-Strike」「Day of Defeat」,そして「Team Fortress」などのタイトルを生み出すことで,自社のライブラリーを増やしてきた。資金や開発ノウハウがない“ゲーム開発志望者”に手を差し伸べ,彼らが成功するための“源泉”(Source)となってバックアップしてきたのである。本来ならゲーム業界が,全体で取り組むべきことを行っているのだ。
 最近でもValveは,専門学校で「Narbacular Drop」という実験プロジェクトを発表した学生達を自社に迎え入れ,「Portal」というアクション/パズルゲームを開発した。Steamでリリースされるソフトの販売本数は詳しく公表されてはいないが,Portalが同梱された「The Orange Box」を含めると,推定300万本を売り上げるという,モンスタータイトルになったのである。

 Valveは,同社が運営するThe Valve Developer Communityのアップデートなども行っており,開発者とその卵をサポートし続けている。2008年9月には,「Insurgency」や「Zombie Panic」など,Sourceエンジンを使ったMODがSteamで公式に無料公開された。大きな人気を得たものは,やがてリメイクなり続編なりが単体のゲームとして発売されるかもしれない。
 さて今回は,そんな勢いにのるSourceエンジンを使ったゲームをベースにしたMOD作品の中から,2009年に単体でリリースが予定されている3本を紹介しよう。

 

Hollywood Murder Party: The Ship 2

開発元: Outerlight

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(注: 画像は前作「The Ship」のもの)

 2006年に発売された「The Ship」は,豪華客船の中で招待客がお互いに殺し合うという,マルチプレイ専用ゲームとして話題になった。単純な戦いによる殺し合いというわけではなく,プレイ開始時に指定されたプレイヤーキャラクターのみを狙う。さらに,殺人の現場をほかのキャラクターに見られてはいけない,というルールもあり,独得な緊張感を生み出していた。
 その続編は,2006年に開発が発表されたものの,ゲーム内容はまったく明かされていない。2006年以降,公式サイトもフォーラム以外は更新されていないという状況だ。しかし,開発元Outerlightの社員らしきプレイヤーが,Steamで「Hollywood Murder Party」という一般には知られていないゲームを130時間も遊び,そのアチーブメント(実績)を多数保有していることが発見された。Outerlightは,The Shipの続編以外にゲームを開発していないので,Hollywood Murder PartyがThe Ship 2に相当するものだとウワサされているわけだ。これが本当なら,タイトルから察して豪華客船からハリウッドに場所を変えた殺人パーティになりそうである。

 

They Hunger: Lost Souls

開発元: Black Widow Games

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 前作にあたる「They Hunger」は,「Half-Life」のMODとして三つのエピソードがリリースされたホラーアドベンチャーゲームだ。その新作は,2005年に「They Hunger: Source」として発表されており,当初,グラフィックスをSourceエンジンに対応させただけと思われていたが,最近の情報によれば,まったく新しいゲームとして生まれ変わるらしい。タイトルも「They Hunger: Lost Souls」に変更されている。
 本作にはゾンビが登場するのだが,「Left 4 Dead」で暴れ回っていたゾンビよりも,より正統的(?)なものになるらしい。なんでも,死後どれだけ経過したかによって腐乱状態に差があり,行動パターンが異なるそうだ。古いゾンビほど動きがゆっくりになるのだろうか……。
 接近戦がメインとなり,ライフルやモロトフカクテル(火炎瓶)だけでなく,シャベルなどを使ってゾンビを撃退することになるようだ。

 

Zeno Clash

開発元: Ace Team

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 Zeno Clashは,サイバーパンクとファンタジーをミックスさせたような世界観が特徴的なFPSだ。素手の戦いに重点をおいたアクションがウリで,武器は旅の途中で見つけていかなければならず,最初はゲンコツやハンマーなどを使って戦う。ゲームが進むと,頭蓋骨で爆弾を作ったり,ジャンク品からライフルを作り出したりするなど,一風変わったこともできるようだ。
 Zeno Clashは,Independent Games Festivalで,ビジュアルアート部門にノミネートされており,2009年3月のGame Developers Conferenceでの結果が待たれている。ちなみに,開発を手掛けるAce Teamは,南米のチリをベースにしたデベロッパだ。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。8歳になる息子がいる奥谷氏。最近,その息子さんは「コマコンファン」を自称し,家族の誰よりも早く起きて「Command & Conquer: Red Alert 3」を奥谷氏のPCで遊び,その音で家族を起こすのが日課になっているという。ただ,いつもアメリカ軍のラストミッションばかり遊んでいる息子を見て,奥谷氏は「セクシーなジェマ・アトキンソンが出てくる,ラストムービーが見たいに違いない」と,我が子を疑っているらしい……。
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