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印刷2009/01/09 18:42

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奥谷海人のAccess Accepted / 第201回:どうなる2009年の欧米ゲーム業界

奥谷海人のAccess Accepted

 金融危機に端を発する不況の影響が,少しずつ現われ始めた欧米のゲーム業界。2009年1回目となる今回は,2008年を回顧したうえで筆者が打ち立てた,五つの予想を紹介する。2009年の欧米ゲーム業界にはどんなことが起きるのだろうか。とはいえ,あくまでも筆者の個人的な予想だということを念頭に置き,軽い気持ちで読んでほしい。

第201回:どうなる2009年の欧米ゲーム業界

 

予想その1 EAも心変わり。完全ダウンロード方式の時代が到来
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「Fallout 3」にも,なにかと話題のSecuROMが採用されていたが,あまり“口撃”を受けなかった。SecuROMの存在自体が否定されているわけではなく,どんな制限がほどこされているかが重要だ

 第199回で紹介したように,DRM(デジタル・ライト・マネージメント)ツール,つまり不正コピー防止用のプロテクションに対する,一部ゲーマー達からの風当たりは強い。そこで,これまでSecuROMを利用してきたElectronic Artsや2K Gamesなどは,2009年中にDRMを使わず,新たな手法を模索するだろう。
 現実的なところでは,やはりオンライン配信への移行である。これにより,違法にコピーされる可能性が減るだけでなく,ミドルマン(仲介業)を省けたり,在庫の心配をしなくてよくなったりと,パブリッシャーの利点は多い。またプレイヤーは,好きなときにゲームを購入でき,CD/DVDのチェックもないので,あの鬱陶しいノイズからも解放されるのだ。
 さらに,コンシューマ機向けのゲームで大きな成果を上げているDLC(ダウンローダブルコンテンツ)が,ますます増えていくだろう。一つのゲームをより長い間プレイできるようになり,ストーリーや世界観を,従来の「拡張パック」以上に広げやすくなるはずだ。そうなると,これまでのパッケージソフトビジネスは一気に終焉を迎える可能性が高い。2009年は,デジタル流通時代の真の幕開けとなるかもしれない。

 

予想その2 企業買収やリストラの波がさらに加速
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Midwayの新作は,「This is Vegas」(4月発売予定)と「The Wheelman」(2月)の2作しかない。This is Vegasは,リゾート地を建設しようとする大企業に反対した若者が戦うというGTA風のゲームだ。筆者も気になっているのだが,無事に発売されるのだろうか

 今は,100年に一度といわれる大不況の真っ只中だ。ベンチャーキャピタルからの投資が減ることで,自らスタジオを設立する開発者の数は大幅に減るだろう。そうなると,素晴らしい技術や斬新なアイデアを持った開発者達が独立してゲームを作り,業界に新たな風を吹き込むという流れが滞る可能性もある。
 また,第198回で扱った記事の続きにもなるが,アメリカのパブリッシャMidway Entertainmentは,2009年春までにいくつか期待作を発売する予定である。ところが,残念ながらこれらの新作では,あまり芳しくない現在の経営状態を,一気に改善できるまでの目玉にはなりえそうにないように思える。創業50年を誇る老舗が業界再編の波に巻き込まれてしまうかもしれないほど,現在のゲーム業界は揺れている。大きな買収や合併といったニュースが2008年以上に増えそうだ。

 

予想その3 不思議なゲームが続々登場。独得な画風の作品が増える予感
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これは,PCやMac,Wiiウェアで発売されて人気を博している,カジュアルパズルゲーム「World of Goo」のスクリーンショットだ。今後は,このようにインパクトのあるグラフィックスのゲームが,今まで以上に多く登場するだろう

 欧米のゲーム開発者達の間で,「Visual Identity」という言葉が頻繁に使われるようになってきた。これは,「デザイナーやアーティスト達の才能を存分に生かして,画像を1枚見ただけで,なんのゲームか分かるようにする」といったことを表した言葉だ。ここ数年は,同じゲームエンジンを使ってゲームを開発することが増えてきたため,パッと見では区別がつかないゲームが多くなってきたことに危機感を抱いているのである。
 例えば,「Prince of Persia」や「Battlefield Heroes」のような作品は,確実にVisual Identityを意識して作られたものだろう。2009年は,アッと驚くような画風のゲームが,各社からこぞって発表されることになるかもしれない。

 

予想その4 ついにミッキーも!? 〜アメリカ産キャラゲーの逆襲〜
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トゥーンタウン・オンラインは,2003年にサービスが始まった子供向けMMOで,一時期は120万人ほどの会員を集めていた。Disney InteractiveやLucasArtsは,ここ数年の間に外注したゲームが次々とヒットしているのだ

 これまでマリオやソニックといった日本生まれのキャラクターに主役の座を奪われていたゲーム市場に,ついにあのミッキーマウスが本格的に登場しそうだ。その陣頭指揮を執るのは,2年ほど前にDisney Interactiveに移籍して話題になったWarren Spector(ウォーレン・スペクター)氏で,ディズニーキャラクターを使ったプラットフォーム型のアクションゲームを開発しているという。
 Disney Interactiveは,スクウェア(現スクウェア・エニックス)と共同開発した「キングダムハーツ」が好評だったことから,ゲーム業界への本格的な参入を目指すようになり,その後「トゥーンタウン・オンライン」をヒットさせた実績がある。

 また,LucasArtsとBioWareがタッグを組んで製作中のMMORPG「Star Wars: The Old Republic」も発表されたばかり。スター・トレックやスターゲートのMMORPGも発売が予定されており,アメリカの版権ものゲームが,旋風を巻き起こすかもしれない。

 

予想その5 2009年一番のヒット作は「The Sims 3」で決まり!?
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The Sims 3は,前作と比べるとグラフィックスが格段に進化する。だが必要スペックは,CPUが「Pentium 4/2GHz」以上,メインメモリは1GB以上(※Windows Vistaは1.5GB以上),そしてグラフィックスチップは「GeForce FX 5900」以上と,それほど高くない。これもヒットの追い風になるだろう

 2009年も数多くのゲームが発売される予定だが,PCゲームの最大のヒット作になりそうなのは,「The Sims 3」だろう。

 前作「ザ・シムズ 2」は,2004年9月のリリースから4年以上経った現在でも,月間売り上げのトップ10に本編と拡張パック2〜3本の名があがっている。その原点である,2000年2月に発売された「シムピープル」から数え,拡張パックやスピンオフ作品も含めると,総計1億本を越えるというモンスターヒットシリーズなのだ。その最新作である「The Sims 3」は2月20日に発売される。驚異的な売り上げを記録し続けている前作には及ばないかもしれないが,大ヒットするのは間違いないだろう。
 Electronic Artsは,2008年9月に発売した「SPORE」で,内容以外の部分でケチをつけられた苦い過去がある。その経験を生かしてくるという予想が多いが,果たして同社はどんなコピープロテクトを用意してくるのだろうか。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。1月2日から会社や学校が始まるアメリカ在住の奥谷氏。ここ10年,日本で新年を迎えていないという奥谷氏だが,1月2日にゴミを出し忘れ,家の中にはクリスマス以来のゴミが山のように溜まっているのだとか。10年もアメリカで新年を迎えているのに,いまだに日本の習慣が抜けきっていないようだ。まあ,2010年も同じことを繰り返すと予想しておきます。
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