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印刷2008/11/14 12:01

連載

奥谷海人のAccess Accepted / 第195回:経済不況の波がゲーム産業にも襲いかかる?

奥谷海人のAccess Accepted

 このところの世界経済の先行き不安感と重なるように,Midway Games,THQ,そしてElectronic Artsなど,北米を拠点とするメーカーによるリストラや経営の引き締めが続いている。これまで不況に対して強いといわれていたゲーム産業だが,今回の不況の規模の大きさ,それに伴う市場の変化などを考慮すると,まだしばらくは各社ともに,この荒波を乗り越えていく努力を続けることになりそうだ。

経済不況の波がゲーム産業にも襲いかかる?
リストラで不況を乗り切る北米のメーカー

 アメリカのサブプライムローン問題に端を発した世界的な経済不況が,ゲーム業界にも影を落としている。日本のPCゲーマーにとって「Unreal Tournament 3」や「Stranglehold」のパブリッシャとして有名なMidway Gamesは,9月末までの四半期で,7590万ドル(約75億円)の赤字になったことを最新の決算報告で発表した。赤字幅は前の四半期に比べて2倍に増えている。

 開発の遅延などによって,夏頃から苦しい経営を余儀なくされてきたMidway Gamesだが,7月にはロサンゼルスのサテライトスタジオを,また8月にはオースティン支部を閉鎖するといったリストラを断行しており,すでにCEOや会長を含めて10%の人材整理が行われたとのこと。年末を乗り切るための4000万ドルを9月に借り入れたばかりであり,すでにリリースされた「Britz: The League II」や「Mortal Kombat vs. DC Universe」といったゲームのセールス結果に同社の進路がかかっているという気配である。

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今年(2008年)8月にドイツで行われていたGames Conventionで,ドイツ人コメディアンや女子プロレスラーを招いて新作を紹介していたMidway。すでに5月の段階で旧CEOのDavid Zucker(デイビッド・ザッカー)氏が辞職しており,現在はエンジニア出身のMatt Booty(マット・ブーティ)氏が暫定CEOとしてリーダーシップを取っている

 また,しばらくヒットに恵まれていないTHQでも,経営改善に向けた努力が行われている。最新の決算報告はまだ出ていないものの,THQはすでに16あるスタジオのうち五つのスタジオを閉鎖しており,全体の17%にあたる250人の人員を整理したと報道された。閉鎖されたスタジオの中には,「Stuntman: Ignition」などで知られるParadigm Entertainmentが含まれているようだ。

 「de Blob」や「Saints Row 2」など,メディアからの評価も高いゲームを発表しているTHQだが,2010年度向けの開発見積り(2009年4月以降のぶん)も25%ほど削減されており,そのためか「Darksiders: Wrath of War」や「Red Faction: Guerilla」といった新作の発売予定時期が延期されている。

 こうした経済の先行き不安に対し,経営の引き締めを行っているのは中規模メーカーばかりではない。Electronic Artsでは,2007年2月にCEOに就任したJohn Riccitiello(ジョン・リチティエロ)氏が,就任直後に社内ブランドをEA Games,EA Sports,EA Sims,そしてEA Casualの4ブランドにまとめるという新戦略を打ち出したが,今月(11月)に入って「EA CasualをEA Sims部門に統合する」と発表しており,長期的な戦略の変更を余儀なくされているようだ。

 さらに,Microsoft Game Studiosも,エイジ オブ エンパイアシリーズのEnsemble Studiosをはじめ,この1年ほどの間にかなりの内部スタジオを閉鎖した。

 それ以外の各社でも,MMORPGなどの,開発期間や人員が必要になるジャンルほど,キャンセルされる例が目立っている。

 

経験したことのない現状を打開できるか?

 もちろん,経済不安を尻目に順調に成長を続けているメーカーも少なくはない。Activision BlizzardやBethesda Softworks(ZeniMax Media)などは,そんなメーカーの筆頭株といえるだろう。Electronic Arts向けに「Rock Band」というリズムゲームを提供したHarmonixの二人の創業者に対して,Rock Bandの業績が予想以上だったという理由で一人につき1億5000ドル(約140億円)もの巨額のボーナスが支払われるなど,ちょっとしたバブルも続いているのである。

 「不況に強い」といわれてきたゲーム産業は,日本のバブルやアメリカのITバブルが弾けたときにも成長を続けてきた。経済専門家ではない筆者に詳しい分析はできないが,「旅行などで消費する分を我慢して,ゲームソフトなど安上がりな“幸せ”で満足する」というのは,消費者マインドとして十分に納得できるものだ。

 ただ,ゲーム業界は,まだまだ若い産業であり,今回のように「100年に一度の不況」と呼ばれ,投資が凍りつくほどの状況は体験したことがない。未経験であるため,過剰に引き締めに転じるメーカーが出ているといえるかもしれない。

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2009年2月にリリースされる予定のElectronic Artsの看板タイトル「The Sims 3」。シリーズ第1作が2000年2月にリリースされて以来,本体や追加パックが常にトップ10に複数並ぶというとんでもないヒット作になった。このような息の長い一本の大ヒット作を生み出すことが,現在の多くのソフトメーカーが目指すところだろう

 ゲームに対する消費者の嗜好も,10年前とは大きく異なっている。例えば,現在コアゲーマーに支持される上で不可欠な要素になっているのが,「一つのゲームでどれだけ遊べるか」ということだ。ランダムマップなどのリプレイバリューだけに留まらず,MOD,対戦モード,アチーブメント,さらには矢継ぎ早な追加パックのリリースなど,さまざまな積み重ねがゲームを評価する上での一つのポイントになっている。

 開発者は,自分のゲームを少しでも長くプレイしてもらいたいと創意工夫を凝らし,ゲーマーもまた,他のゲームに投資するよりは好きなゲームを違った角度から何度も遊び尽くすことを好む。そんなトレンドはPCばかりでなく,Xbox 360やPLAYSTATION 3などにも波及しており,その傾向が進むことで,少数のゲームに人気が集中するという現象は今後さらに加速していくはずだ。

 また,コアゲームの対極に位置しているカジュアルゲームだが,こちらは本連載の第177回「カジュアルゲームマーケットの幻想」にも詳しく書いたように,開発者達が安易に似たような内容のゲームを氾濫させてしまったことで,プレイヤーが関心を示さなくなりつつある。開発コストは低いが,その分のリターンも低くなり,大企業であるほど割に合わなくなるのだ。

 Electronic Artsがカジュアルゲームの部門を1年半余りで統合したのも,そんな状況へのすばやい対応だと見るべきかもしれない。

 今後しばらくは,リストラや予算削減などで,経済不況を乗り切ろうとするメーカーの対応が続くのだろう。だがゲームがエンターテイメントである以上,新しいものを次々に送り出さなければならない宿命にあるのは間違いない。ゲーム産業には前進する道しか残されていないのだ。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。娘さんのサッカーチームのアシスタントコーチを務める奥谷氏。これまでの8戦で7勝1引き分けと圧倒的な強さを見せてきたが,準決勝でまさかの敗北を味わうこととなった。プレイヤー達もさぞかし残念だっただろうが,それ以上にショックを受けている様子なのが奥谷氏で,「たった一試合,しかも一点差で娘達の努力が報われないのは青少年への教育に適切ではない」とかなんとか,トーナメントを放棄するかのような口ぶり。そんなことでは,娘さん達にスポーツマンシップのなんたるかを教えられませんよ。

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