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印刷2008/05/30 12:00

業界動向

奥谷海人のAccess Accepted / 第174回:10代向けWebサービスの勃興

奥谷海人のAccess Accepted

 これまで,20代を中心に発展してきたアメリカのオンラインゲーム/サービスだが,ここしばらくは新たな市場開拓を狙う動きが見られる。今回は,その中の有望株「Gaia Online」を中心に,アメリカの10代向けWebサービスを紹介しよう。

10代向けWebサービスの勃興
プレティーンを夢中にさせるGaia Online

 それなりに齢を重ねている筆者は,ティーンエイジャーの嗜好を理解するのがかなり難しくなってきている。世代のギャップというものはどうしようもないが,せめて自分がメシの種にしているゲーム関連だけでも何とかフォローしておきたいと思い,ベンチマークとして利用しているのが自分の子供だ。

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ティーンエイジャーや,それより下のプレティーンと呼ばれる女の子達に人気の「Gaia Online」。フォーラム,ゲーム,ワールド(仮想世界)などのサービス集合体だ

 小学校5年生の娘は,まだティーンエイジャーには達していない“プレティーン”に含まれる世代だが,以前の連載でも書いたように,オンラインゲームに関してそれなりに場数を踏んでいる。筆者が彼女に初めて遊ばせたのが「Toontown Online」で,その後は「NeoPets」「Barbie Girls」「Club Penguin」といった順番で,主に基本料金が無料の青少年向けサービスを楽しんでいる。

 そんな筆者の娘が,最近暇さえあればアクセスしているのが「Gaia Online」というSNSだ。これは,2003年頃にカリフォルニア州に住むネットワークエンジニア達が余暇に始めた,アニメの情報交換サイト「Go-Gaia」に端を発する。14歳から25歳あたりをターゲットに,当初はフォーラムや他サイトへのリンク集を中心にしていたが,2007年までにFlashゲームや動画を含めた総合的なSNSサイトGaia Onlineへと進化した。自分で書いた漫画やイラストなどをアップすることも可能で,Web 2.0世代のウェブコミュニティの一つだ。

 当初は10万人ほどの会員しかいなかったが,今では400万人の会員が,毎日100万の投稿/返信を行い,1億9000万ガイアゴールド(ゲーム内通貨)が取引されているという。

 アクセス全体の85%はアメリカ国内からだそうで,それ以外の地域ではまだプロモーションさえ行われていない。それでも,今では「ティーンエイジャーがたむろするWebコミュニティで最も成長が早いサイト」と評されており,2007年にはCNETが選定する「WEBWARE 100」に,「Facebook」や「LiveJournal」などと並んで選ばれた。

 Gaia Onlineは,ゲーム内通貨の販売以上に広告収入で成り立っており,映画のトレーラーを見るとアイテムがもらえる,といったさまざまな“クエスト”が用意されている。

 ゲームや自動車の広告もあるが,Sony Pictures EntertainmentやWarner Bros. Entertainmentとタイアップして,無料で楽しめる長編映画をストリーミングするなど,映画産業とのつながりの深さが持ち味となっている。

 このほかにも,毎月2.5ドル(約250円)を“献金”することで特殊アイテムがもらえるという,「強制ではない月額制」ともいえる“ドネーション・システム”という変化球的な料金方式もあるのだ。

 

Runescapeに続くカジュアル系MMORPG

 筆者の娘がGaia Onlineを始めたのは,自分が操るキャラクターが,Club Penguinのように動物ではなく,実際に着飾れるアニメ風キャラクターだからだそうだ。Flashゲームをプレイしてはガイアゴールドを稼ぎ,それを衣服や部屋の家具といったアイテムの購入に充て,無料ゲームを目一杯楽しんでいる。チャットやフォーラムへの投稿内容は,卑語や差別表現を使う利用者を取り締まるシステムがあり,これには10歳以上であれば参加できる。

 娘は,このゲームを紹介してくれたクラスメートのローラとゲーム内で落ち合って遊んでいることが多く,ほかにも数名の友達が集まることもあるという。ローラは娘の学校での“Gaiaブーム”の火付け役的な存在だが,そもそも彼女も高校生の姉から教えてもらったという。現実の生活に即した口コミが,人気形成における重要なポイントになっているのが分かるだろう。

 この成功を受けてGaia Onlineはベンチャー・キャピタルから大口の出資を受け,「Gaia Battle」という無料のMMORPGの開発も始めている。無料で楽しめてクライアントソフトのインストールも不要というから,JAVAベースの「Runescape」のようなゲームになるようだ。ただ,Runescapeは,プレイヤーの多くが男の子であるのに対し,Gaia Battleは女の子にも十分にアピールできる要素を含んでいるという。これまでのアメリカ産MMORPGとは,かなり異なったものになりそうだ。

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夏の終わりくらいにβテストが始まるとされている「Gaia Battle」は,モンスター狩りなどのクエストを楽しむカジュアルMMORPGだ。“ゼン・ガーデン”と呼ばれる日本風の地域もあり,着物を着た小さなこけしのようなキャラクターが闊歩している姿を見られる

 ただし,カジュアルMMORPGというジャンルは,アメリカでもライバルが多い。とくに最近は日本や韓国で流行ったものが輸入されており,Nexon Americaの「MapleStory」(邦題 メイプルストーリー)は,2005年5月のローンチ以降,北米で350万人の登録者を集め,一歩抜きんでた存在になっている。韓国でのサービスを含めると,5年以上も運営されているため経験が豊富で,クエストやイベントなどでプレイヤーをうまく盛り上げているようだ。2007年11月には,カードゲームで有名なWizards of the Coastと組んでトレーディングカードの販売にも乗り出した。ここに,Gaia Battleはどう切り込んでいくのだろうか。

 このほか,北米市場の開拓に本格的に乗り出しているのがK2 Networkだ。同社はカリフォルニアで起業し,既に「Global MU Online」(邦題 ミュー 奇蹟の大地)や「Sword of the New World」(邦題 グラナド・エスパダ),「War Rock」(邦題 ウォーロック)といった韓国産のタイトルを北米でローンチしている。さらに,2008年になってGamersFirst(G1)というオンラインゲームポータルサイトの運営も開始した。G1は,さまざまなアップグレードが行われる予定で,その目玉として最近発表されたのが,日本で開発された「SplashFighters」(邦題 ゲットアンプドR)だ。

 北米は人口が多くPCを所有する家庭も増加傾向にあり,ティーンエイジャーはビジネスターゲットとして,旨味が残されている。そこに日本や韓国で流行ったオンラインゲームや,それらに影響を受けたものがどのように受け入れられるのかにも注目したいところだ。果たして,学校に通う子供達の間で,次に話題になるのはどんなゲーム/サービスなのだろうか。

 

■■奥谷海人(ライター)■■
本誌海外特派員。自分の家族まで記事のネタにしてしまう奥谷氏。娘さんは,あと数週間で小学校(アメリカの小学校は5年制)を卒業し,秋からは中学生になるという。奥谷氏は「30代(ギリギリ)で中学校に通う子供を持つ」という事実に相当なショックを受けているようで,「若い時分に考えていた人生計画とはまったく違う」とこぼしている。まあ,編集部には「こんな歳になっても,まだ独身とは思わなかった」とこぼしている人が多いですが。

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