業界動向
ゲームと同じような雰囲気の場所を訪れるのは,なんともいえない嬉しさがある。ただ,中世ヨーロッパをモチーフにしたファンタジー世界を背景にしているものや,戦場を舞台にしているものが多く,なかなかそういった機会には恵まれない。今回はいつもとは趣を変えて,ゲームの雰囲気を感じられそうな場所やイベントなどを紹介するので,機会があれば実際に味わってもらいたい。
テキサスの暑い夏を乗り切るWoW風リゾートパーク
ゲームと中世ヨーロッパ風ファンタジー世界の相性はよく,さまざまなゲームの背景世界として利用されている。日本人のゲーマーにも身近な存在だろう。
「タブラ ラサ」のRichard Garriott(リチャード・ギャリオット)氏の自宅は,中世ヨーロッパの甲冑や刀剣がところ狭しと並べられており,博物館のようになっていることで有名だ。「Hellgate: London」のBill Roper(ビル・ローパー)氏は,毎年サンフランシスコで開催されるルネッサンスフェアに,中世風のコスチュームを着込んで参加することで知られている。こういった私生活での行動や趣味というものが,ゲーム開発のアイデアに生かされ,ゲーマーも恩恵を受けているかもしれない。
さすがにここまでの中世ヨーロッパファンというのは,日本では少ないだろう。だが,ヨーロッパを旅行したことがある人ならば,その街並みや景色を見つつ,昔遊んだゲームのことを思い出したことがあるはず。ヨーロッパでは,お城などの有名な建築物以外にも古い建物が多く残っており,中世を感じやすいのだ。
だが,ファンタジーとはいえ,「World of Warcraft」の雰囲気を味わえる場所があると聞いて,すんなり想像できる人はほとんどいないだろう。実は,そんな経験ができそうなウィンターリゾートの建設が進められているのだ。
アメリカ テキサス州ダラス近郊のBearfire Mountainsという場所に建設されている,総工費が6億9600万ドル(700億円)という「Bearfire Resort」は,7平方キロメートルにもおよぶ広大な敷地を誇り,スノーボードやスキーを夏でも楽しめる巨大アウトドア施設だ。テキサス州に雪は降らないが,イギリスやフランスで10年ほど前から実用化されている「スノーフレックス」という人工雪を利用している。とはいえ,これほどまでに広大なエリアをカバーするのは初めてらしい。
Bearfire Resortは,スロープのほかにも120メートルほどの氷河の壁や滝などがあり,まるでアゼロス大陸のWinterspringのようなのだ。そこには,600室という大型ホテルやカンファレンスセンター,ゴンドラがあるだけではなく,氷山の浮かぶ湖があり,その脇には中世ヨーロッパのようなショッピング街が用意されるという。
2009年秋にオープン予定だが,北方大陸を舞台とし,絶壁や雪原が多いとされる「World of Warcraft: Wrath of the Lich King」のファンミーティングはBearfire Resortで決まり,ではないだろうか。
中世風ホテルやイベントから
希少価値の高い甲冑まで
さて,World of Warcraftファンに限らず,実際に「中世ヨーロッパ気分」を満喫できるイベントや場所なども紹介しよう。とはいっても,ここで取り上げるものは,甲冑や刀剣などのレプリカ展示や,当時の衣装を着られるといったお手軽なものではなく,かなり本格的なものばかり。マニアの人にも納得してもらえるのではないだろうか。
ナイツ・トーナメントとは,日本では「馬上槍試合」と呼ばれるランサーを使った1対1の勝負のことだ。ヨーロッパでは「プロ騎士」もいるほどで,最近ポピュラーになりつつある。その中でも最大といえるのがKaltenberg Knights Tournamentだろう。ドイツのミュンヘン郊外にあるカルテンベルグ城で,7月の週末ごとに1000人もの騎士が対戦する。
このイベントは,バイエルンを治めていた王家の子孫であるルイートポルド公が,地域の活性化のために1980年代に始めたものだ。当初は内輪だけの集まりだったのだが,,現在では12万人もの観光客を集める大イベントになり,ルネッサンスフェアの巨大版に成長した。このトーナメントは危険なためか,飛び入り参加はできない。地元の白ビールでも飲みながら観戦するのがよさそうだ。
「甲冑や刀剣のレプリカ」は紹介しないと書いたが,この甲冑はどこにでもあるようなものではない。なんと,アーティストの手作りという貴重な「ネコ専用フルプレート・アーマー」なのだ。カナダ在住の板金工芸者Jeff de Boer(ジェフ・デ・ボア)氏が50〜200時間もかけて製作しており,ものによって500ドルから2000ドル(約5〜20万円)ほどの値段が付いているという。
デ・ボア氏の公式サイトを見ていただければ分かるが,どれも非常に精巧に作られており,馬冑をネコ用に小型化したようなものになっている。ネコのほかにネズミ用があるだけでなく,日本風のものなども含まれている。量産はしていないということなので,自分のペットのために入手するのはちょっと困難かもしれない。
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