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印刷2013/12/04 17:44

イベント

「Autodesk 3December 2013」レポート:6年分の処理を半年で達成したセガ「龍が如く 維新!」によるClothエンジンの取り組み

セガ チームリーダー工藤裕一氏
 2013年12月3日,Autodeskの日本法人であるオートデスクは,都内でコミュニケーションイベント「Autodesk 3December 2013」を開催した。イベント中の客演セッションとして,セガの工藤裕一氏による「龍が如く 維新! メイキング」と題された講演が行われたので概要を紹介してみよう。

 「龍が如く」は極道の世界を描いた人気シリーズだが,「龍が如く維新!」は歴史モノとしてのスピンオフ作品ということで,これまでの作品とは違った要素を含んでいる。戦闘方式が違うなど,システム的な違いもあるが,根本的なところでの違いは,着物,つまり和服でのCloth(布)処理が多発するということである。

ミドルウェア/開発ツール

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 とくに問題となるのは,イベントシーンで使われるリアルタイムCGによるムービー,いわゆるカットシーンだ。これはプリレンダームービーの代わりに使われるものなので,ゲーム内と同様の簡易的なClothエンジンに任せてというわけにはいかないらしい。きちんとシミュレーションしつつ,デザイナーの手でシーンを仕上げていくわけだが,工藤氏が担当したのは,そのうちの「揺れもの」処理の部分だ。これまでのイベントシーンのワークフローに新たに加わった部門だが,その作業量は膨大で,「一人でやると6年かかる」という結論になったと工藤氏は語っていた。

ミドルウェア/開発ツール

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 維新の開発期間は半年とのことで,どうやって半年で6年分の処理を行ったのかについて,工藤氏の取り組みが紹介された。

 まずは,人数だ。セガでは揺れもの用に3人のチームが作られた。3人で行うことで,作業時間は単純計算で6年から2年になる。ならもっと人数を増やせばよいかというとそうでもなく,前工程からのタスクの供給量を考えると,3人程度がベストということのようだ。少人数で行うことで,クオリティのバラつきも抑えることができたという。

 次に,ハード的な分散処理である。PC8台を使うことで効率化を図ったという。これもPCを増やせばそれだけ効率が上がるかというと,そう単純な話でもなく,長めなシーンは処理を分割することができないので並列度は大きくしにくいのだという。また,タスクの細分化と統合処理のオーバーヘッドもかかってくるので理屈どおりにはいかないとのこと。だいたい,2台でシミュレーションをしつつ,1台でデザイン作業といった使い方だそうだ。

ミドルウェア/開発ツール

 これらの処理によって,3×8倍で6年が3か月に短縮できるか……というと,そうもいかないという。なぜなら,短縮できたのはシミュレーションの部分などがほとんどで,デザイナーが手作業で行うタスクが依然として大きな時間を占めていたからだ。

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 それがどのようなものかという例で示されたのが次のムービーだ。これは既存のモーションを維新用のモデリングデータに適用してみたところとのことなのだが,最初はよいものの,だんだんと揺れものの動きが怪しくなっていることが分かる。

 
 こういったことが起きないように手作業で修正していくわけだが,そもそもClothシミュレーションというのは非常に扱いが難しい。柔らかい物体をバネの集合体として表現しているようなものだから,パラメータを間違えるととんでもないことになりそうだというのは容易に想像がつくだろう。
 シミュレーション処理自体も重く,デザイン時に十分なフレームレートが出ないこともある。工藤氏は,最低15fpsくらいはないとデザイン作業ができないと語っていた。また,アニメーション処理の途中で巻き戻したり進めたりといった,スクラブ処理に向いていないというのも難点だ。先頭から順次シミュレーション結果を累積しているので,逆方向にシミュレーションしても元の形になるとは限らない。
 さらに演出の都合で,動きの途中からシーンを始めたいといった場合の制御も難しい。通常は,基底状態からシミュレーションを開始するので,希望の動きになるまで時間がかかるものだ。デザインの都合で,「裾がこうなびいているカットから始めたい」といった要望が出ても,うまくそれに応えることは難しい。

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 などなど,Clothシミュレーションを自在に制御するためには多くの問題点があるわけだが,これらをクリアすれば問題はすべて解決すると工藤氏は語る。いや,そこが難しいのだろうが……。
 工藤氏の取ったアプローチは,おかしな挙動を修正する部分など,デザイナーにとって本質的でない作業はすべてコンピュータ処理で解決しようというものだった。さまざまな問題を解決すべく,新たに独自のClothシミュレータのエンジンを作成している。

ミドルウェア/開発ツール

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 今回揺れものとして処理するのは,裾,羽織,袴の3点だけだ。あらゆる材質やあらゆる状況に対応する必要はないとして,シミュレーション部分の大幅な合理化が行われている。
 曰く,逐次微分方程式は解かない,グローバル運動方程式は使わないなど,計算を重くする要素や可逆性に影響しそうなものは使わないことで,非常に扱いやすいエンジンに仕上げていったようだ。
 
ミドルウェア/開発ツール
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 なにやら凄いエンジンのようなのだが,エンジン自体よりも重要だったのは,Cloth処理をするにあたって,どういった手順でどう調整を行っていくかというノウハウだったようである。
 工藤氏は試行錯誤の結果,まずとにかく揺らしてみる,そして身体やオブジェクトにぶつかっている部分の処理を行う。そのうえで,バネ間の距離によるコンストレイン(制約)をつけ,必要に応じて重力を加味するといった工程に落ち着いたとのこと。とくに距離によるコンストレインでは,自然な布の動作に必要な多くの知見を得ることができたという。

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 実際にどのような挙動になるのかをムービーで紹介しておこう。いずれもデザイナーによる調整前の,Clothエンジンそのままの出力によるモーションが使われている。


 ざっと見る限り,そんなにおかしな挙動のないエンジンにも見えるのだが,やはり細かい部分は調整が必要になるそうで,どういった問題が起きて,どう対応したのかなどが紹介された。
 
 例えば,衣服が身体にめり込んだりという現象は,発生するものの原因は「よく分からない」とのことで,現実的な対応が取られている。「ピピっとコマンド」というのは,ポチっと押すとパラメータを少し揺らして再シミュレーションしてくれるような機能とのこと。おそらく演算誤差が悪く出ているだけだろうから,誤差がうまく出るようなデータを使えばいいだけの話なのだ。
 演出側からの,羽織の決め形状からシーンを始めたいといった要望には,それを初期形状としてシミュレーションが可能なようにして対応したとのこと。シミュレーション部分を単純化しているからできることなのであろう。
 また,袖がまくれるといった処理は,摩擦によってどうしても非線形の動きとなってしまうとのことで,逆再生時などに一致せず,シミュレーション時の障害になっていたようだが,よく似た処理に置き換えることで,さほど不自然さもなく解決できたとのことだ。

ミドルウェア/開発ツール ミドルウェア/開発ツール
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 どんな局面でも使えるClothエンジンというわけではないようだが,このエンジンを作ったことと運用のノウハウは今後の作品でもきっと生かされていくことだろう。
 工藤氏は,このような独自エンジンを作ったことのメリットとして,デザイナーの作業から無益な作業を自動化したことで,デザイナーのモチベーションが上がって効率がよくなったことを第一に挙げていた。手間のかかる部分をエンジン側で吸収することで労力を減らすというのは,ツールにとって最も重要なことだろう。ゲーム開発をよりクリエイティブなものとするような工夫は,作品のクオリティとなって表れてくるはずだ。「龍が如く 維新!」では,着物の挙動に目を凝らしてプレイしてみるのもいいかもしれない。


「龍が如く 維新!」公式サイト

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    ミドルウェア/開発ツール

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    龍が如く 維新!

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    龍が如く 維新!

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    Autodesk

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