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モバイル向けゲーム「MaXplosion」に剽窃疑惑か? インディーズゲーム開発者のTwitterが波紋を呼ぶ
北米でモバイル向けのゲーム開発/販売を展開するCapcom Mobileが,2011年1月にiPad/iPhone向けにリリースした「MaXplosion」。このタイトルが,2009年にリリースされた「'Splosion Man」を盗用したものではないかというニュースが,欧米のいくつかのゲームメディアに取り上げられている。'Splosion Manは,新進のインディーズゲーム開発会社であるTwisted PixelがXbox LIVE向けのダウンロード専用タイトルとしてリリースしたゲームだ。
ことの起こりは,北米時間の1月12日,'Splosion Manを開発したプログラマー,Mike Henry氏が,自身のTwitterで「公開されたMaXplosionのムービーを見て,非常に悲しく思った。盗作(Outright steal)するくらいなら,ゲームのどこが面白いのかを理解したうえで作り直せば良いのに……」と語ったことに始まる。
YouTubeで'Splosion ManとMaXplosion双方のプレイムービーを見ると,3Dグラフィックスの'Splosion Manに対し,単純化された2DグラフィックスのMaXplosionという明確な違いがあるが,主人公が自身の爆破能力を使って高い場所に飛び上がったり,長時間ジャンプできるという仕掛けはどちらにもあり,また,研究施設から脱出するというストーリーは――ディテールの違いはあるが――共通だ。
また,Twisted PixelはCapcom Mobileに'Splosion Manの売り込みを行ったが契約には至らなかった事実があるらしく,このこともHenry氏の怒り強めているようだ。
Capcom Mobile公式サイト
Twisted Pixel公式サイト
Twisted PixelのCEOであるMichael Wilford氏は,北米のモバイルゲーム情報サイトTouch Arcadeのメールインタビューに答えて,「これから,モバイルゲーム市場には敏感にならざるを得ない。まだ,具体的なことは言えないが,今回の件について何らかのアクションを起こそうと考えている」とコメントしている。
もっとも,同じくアメリカの情報サイトJoystiqでは,Wilford氏は「我々Twisted Pixelは会社としては小さすぎるし,ロックマンシリーズを生み出してくれたCapcomには感謝しているので,訴訟などは考えていない」という。
Twisted Pixelは,ゲーム開発のメッカともいえるテキサス州オースティンで2006年に設立され,Xbox Live Arcade向けの「The Maw」で2009年1月にデビュー。続く'Splosion ManではMetacriticsのメタスコアが84ポイントになるなど,インディーズゲーム市場の一角に地歩を築きつつあるメーカー。最近,Harmonix Music Systemsで「Rock Band」のシニアデザイナーを務めたDan Teasdale氏を迎え,「Ms.'Splosion Man」の制作を発表するなど,ゲーム市場に次々と新作タイトルを送り込んでいる。
今回の疑惑に関連してCapcom Mobileはメディアに対してメールを出し,そこで「Twisted Pixelが同社のコンシューマー機部門と話し合いを持っていたのは事実ですが,Capcom Mobileはオフィスも異なる独立した部署であり,Twisted Pixelとは無関係にMaXplosionを開発しました。今回の事態には我々も驚いています」と説明している。
モバイルゲーム市場では,人気作に対する後追い型のゲームが頻繁にリリースされる風潮があり,ゲーム業界内外では常に批判の対象になっている。ただ,今回は気鋭のインディチームTwisted Pixelと,世界に名をとどろかせる古豪Capcomという話題性のあるメーカーが絡んでいるということもあり,悪い意味でメディアやファンの注目を集めている形だ。事実関係はどうあれ,ゲーム開発におけるアイデアの“後追い”が問題になりつつあることを象徴する出来事だといえるだろう。
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