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疾走、ヤンキー魂。公式サイトへ
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印刷2010/03/13 11:00

インタビュー

「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた

疾走、ヤンキー魂。
 先日もお伝えしたとおり,「疾走、ヤンキー魂。」(以下,ヤン魂。)のサービスが4月28日(水)に終了する。
 2003年〜2004年までサービスされていた,“第一期”ヤン魂。のコンセプトを継承しつつ,新たなゲームとして生まれ変わるはずだった“第二期”ヤン魂。だが,志半ばにしてその道が閉ざされることとなった。

 本作のライセンス契約をスクウェア・エニックスとゲームポットが締結したのが,2007年6月。その年の冬には正式サービスがスタートするはずだったものの延期を重ね,どうにか正式サービスにこぎ着けたのが,2008年12月のこと。
 その時点でも,開発を担当していたシンクアーツが解散するなど,先行きは不安視されていたのだが,本作のプロデューサーであるスクウェア・エニックスの安藤武博氏と運営を担当していたゲームポットの伊勢友光氏は,当時のインタビューで前向きに意気込みを語ってくれていた。

 だが,正式サービスが始まってからも,満足なアップデートが行われず,プレイヤーにとってフラストレーションばかりが溜まる状況になっていた。そこにきて,今回のサービス終了発表である。
 多くのプレイヤーは,サービス終了を惜しみつつも「いつか終わると思っていた」「もっと早く終わると思っていた」といった感想を抱いているようだ。

 今回4Gamerでは,安藤氏から,「ヤン魂。がこんなことになってしまった理由と,責任の所在を明確にしたい」との申し出を受け,インタビュー取材を行った。

疾走、ヤンキー魂。 疾走、ヤンキー魂。

「疾走、ヤンキー魂。」公式祭斗


開発元の倒産により,「ヤン魂。」を終了せざるを得なくなった


安藤武博氏(左)と伊勢友光氏(右)
4Gamer:
 お久しぶりです。安藤さんとは,2009年9月の東京ゲームショウ以来ですね。
 今回は,「疾走,ヤンキー魂。」のサービス終了が発表されたということで,その裏側で何が起きていたのかをお聞きしたくてやってきました。

安藤氏:
 はい,きちんとお話させていただきます。

4Gamer:
 まず,なぜサービスを終了することになったのかを教えてください。

安藤氏:
 直接のきっかけは,開発を担当していたエレファント・エンタテインメントが,1月中旬に倒産してしまったことなんです。

4Gamer:
 えっ。その前に開発を担当していたシンクアーツも解散してしまいましたよね?

安藤氏:
 そうなんです……。
 シンクアーツでヤン魂。を手がけていたスタッフが,エレファント・エンタテインメントでも引き続き開発をしてくれていたんですが,昨年末頃から会社の状況が思わしくない状態になってしまっていたんです。
 とはいえ,そこで「はい,そうですか」と言うわけにもいかないんで,新しい開発会社を探し始めていたんです。

4Gamer:
 つまり,その段階ではヤン魂。のサービスを終了させようという話にはなっていなかったと。

安藤氏:
 ええ,最後の最後まで継続するつもりで動いていました。
 エレファント・エンタテインメントに所属していたヤン魂。のスタッフで,新しく会社を立ち上げる準備も勧めていたんです。2月の中頃……,サービス終了を発表する直前まで動いていたんですが。

伊勢氏:
 ええ,やってました。

安藤氏:
 ですが万策尽きてしまったため,こういうことになってしまったんです。
 実はヤン魂。って“第一期”から数えると,開発元がなくなってしまったのは3度めなんですよ。これまでは,たとえ会社がなくなっても皆さんの努力とご協力で奇跡的に乗り切ってきたんです。それが今回は,できませんでした。

4Gamer:
 なるほど……。
 今年の頭の段階で,アップデートの予定なんかは公開していたのは,当然何とかなるだろうと読んでいたからなんですよね?

安藤氏:
 ええ,何とかするつもりでした。
 内側がこういう状況になってしまったため,満足なアップデートができなくなってしまっていたんですよ。それを問題だと認識していたからこそ,一日も早く解消すべく,新体制に向けて動いていたましたし,ある程度のいけそうだという感触があったので,ああいった発表をしたんですが……。

4Gamer:
 新体制は,ある程度固まっていたんですか?

安藤氏:
 新体制に移行した暁には,こういう形でアップデートしていきますという,かなり具体的なアイデアも開発側からは出ていたんです。
 ただ我々の場合って,ただゲームを開発すればそれでいいかというと,そういうわけではありません。いやらしい言い方をしてしまうと,お金がきちんと回るビジネス的な枠組みが必要なんです。

4Gamer:
 もちろんです。

安藤氏:
 僕がゴーサインを出すか出さないかというところまで状況は進んでいたんですけど,無理矢理進めたところで,ビジネス的に回りそうにない。言ってみれば,刺し違えるような要素のほうが多いということになってしまったんです。


正式サービスの開始は,完璧な見切り発車だった


4Gamer:
 これまでもずっと開発がうまくいっていなかったのは分かるんですが,具体的にどれぐらいの時期から「これはヤバイ」と感じはじめましたか?

安藤氏:
 2008年末のインタビューでもお話ししましたが,ヤバイと思い始めたのは,けっこう早い段階です。
 復活宣言をした半年後ぐらいには,ものが動き始めていたんですが,その時点でおかしい部分はあったんですね。で,内部的に人を変えたりとか,いろいろ対処してきたんですが……。

伊勢氏:
 2007年に契約して,2007年末にはオープンできる予定だったんですよね。それがずるずる延期せざるをえなかったわけで,違和感は常に感じていました。今後,どうなっちゃうんだろう? と。

安藤氏:
 もしかしたらオープンできないんじゃないかという懸念は,初期からありました。
 でも,ゲームポットさんや,開発メンバーがいろいろ協力してくれて,どうにかサービス開始までこぎ着けたんです。

4Gamer:
 あのときのインタビューでは,シンクアーツが解散してしまうという話がありながらも,「新体制作ってるから大丈夫!」ということでしたよね。
 ただ正直,そういった背景を理解しつつも,正式サービスの開始自体が相当な見切り発車だったんじゃないかという気がします。

安藤氏:
 完璧な見切り発車でしたね。
 あの時点でかなりの綱渡り状態で,これ以上,延期はできないというところまで引っ張ってしまっていたんです。だから,見切り発車をするか,中止をするかの二択だったんですよ。

4Gamer:
 見切り発車でも,その後になんとかなるという見通しがあったんですよね。

安藤氏:
 それはもちろん,ありました。
 僕自身としても,ああいう形で正式サービスを開始すること自体が不本意でしたし,プレイヤーの皆さんに甘えすぎだと,当時も思っていました。今も思っています。でも,帳尻を合わせれば,きっと納得してもらえると信じていたんです。

4Gamer:
 ところが,そうはならなかった。

安藤氏:
 本当に申し訳ないとしか言いようがないです。
 先ほど,僕の見立てが甘かったと言いましたが,どこかでこうなることを食い止められるタイミングはあったはずなんですよね。

4Gamer:
 例えば,どのタイミングでしたか?

安藤氏:
 たらればの話になってしまいますが,「第一期の素材は捨てて,全部作り直そう」という提案を受けたときですね。これは食い止めるべきだったと思います。
 僕の中では,第一期をベースに,そこに喧嘩ストロングモードを載せるというイメージだったんですが,「第一期のグラフィックスは2Dだから,メモリを圧迫してしまう。キャラクターは3Dにしないとアップデートに耐えられない。3Dにすべきだ。マップの背景はレンダリングで出すから,雰囲気や見た目はヤン魂。らしさを残せるし」という提案があったんです。

4Gamer:
 確かになんとなく納得できる話ですね。

安藤氏:
 ところがふたを開けてみると,3Dだから軽くなるなんてことは全然なくて,「リネージュII」を凌駕するぐらいのボリュームのクライアントになってしまって。あれにはびっくりしました。

伊勢氏:
 当社はスクウェア・エニックスさんの「ファンタジーアース ゼロ」も運営していますが,クライアントの容量はヤン魂。のほうが15倍ぐらいあったんですよ。これはいくらなんでも……。

安藤氏:
 僕のコンセプトでは,どんな低スペックのPCでも動くヤン魂。になるはずだったんです。第一期の頃からPCを買い換えていない人でも遊べるような。
 だから,「3Dだと軽いし,アップデートもしやすいし,いいことずくめですよ」と言いわれたとき,それに乗ってしまったんですよね。僕の見立てが甘かっただけなんですが。
 ただ……,やっぱりあの当時,あの段階では突っぱねるという選択肢はなかっただろうな……。


昔の仲間との信頼関係が,実は凄く足を引っ張っていた


4Gamer:
 結局,思うように開発が進まない,しかも開発体制が不安定という状況が,最後の最後まで続いていたわけですよね。

安藤氏:
 何から何まで僕の見立てが悪かったってことなんですよね。
 実は2009年末の段階で,ディレクターを変更するなどしたところ,いい感じで動き始めたんです。これならヤン魂。を立て直せるな,と。
 2009年末のアップデートも,細かい内容ではあったんですが,数字的に見るとおおむね好評でしたし。

伊勢氏:
 その矢先に,エレファント・エンタテインメントが倒産してしまったんです。

安藤氏:
 それで,新会社を……という話になってはいたんですが,実現できませんでした。

4Gamer:
 最終的にゴーサインを出さなかった理由は,どこにあったんですか?

安藤氏:
 ヤン魂。って,見切り発車だったことからも分かると思うんですが,いろいろなところに不備,積み残した課題がたくさんあったんですよ。重いとか,動きがちゃんとしていないとか,カスタマイズ性が低いとか,そもそもヤン魂。たらしめる要素がないとか。
 それを解消していくと同時に,すでに遊んでいただいている方達に向けて,例えば多人数で遊べるPvP要素だとか,そういうものを入れていかなければいけない。
 でも,その両方を同時に開発していけるかとなると,どれだけの投資が必要になるかという話になるんです。

4Gamer:
 ああ,先ほどの「ビジネス的に回らない」というのは,そういうことだったんですね。

伊勢氏:
 基本的な部分を改修しようとなると,一から作り直したほうが早いんじゃないかという世界でしたからね。

安藤氏:
 ドラッグ&ドロップすらできないでいたという。

伊勢氏:
 毎日のように言っていたんですけどね。でも,開発からは「できない」と言われて。
 ところが,新会社に体制を移行しようかとなった段階で,「やっぱ,できます」みたいな話にもなり。

安藤氏:
 え? っていう話ですよね。このあたりが,ヤン魂。最大のミステリーです。
 なんで今まで,できることをできないと言われ続けていたんだろうって。エレファント・エンタテインメントがなくなった今となっては,もう分からないんですけど,ひょっとしたら途中で凄く変なノイズが入っていたのかなって。

4Gamer:
 人的リソースの問題とか,会社としてコスト的に見合わないとか,何かしら理由はあったんでしょうけど。

安藤氏:
 たとえそういった事情があったにしても,あれだけ「できない」というところと組んでいちゃダメだったんですよね。
 第一期で信頼関係を築いていただけに,つらい部分ではあるんですけど……。結局,昔の仲間との信頼関係が,実は凄く足を引っ張っていたのかもしれないです。

4Gamer:
 それは凄く悲しい話ですね。

安藤氏:
 悲しいし,残念ですよね。一度凄く分かち合えたからこそ,第二期を始められたわけですから。何でずれてしまったんだろう。

伊勢氏:
 心がつながらなかったんですかね。

安藤氏:
 けっこうつないだつもりだったんですけどね。そこも甘かったんでしょう。
 僕らからも見えない部分で何かが起きていたのかもしれませんけどね。きっと彼らは彼らなりに,僕には言えない事情がたくさんあったんだと思いますし。


第一期の要素も入れるはずだった。帳尻が合わせられなかった


4Gamer:
 開発体制に問題があったのは分かりました。
 では,第二期のゲームコンセプト自体は,今でも正しかったと思いますか? 例えば,喧嘩ストロングモードについて。

安藤氏:
 ええ。先ほども言いましたが,僕の絵図では,第一期の要素もありつつ,喧嘩ストロングモードも乗っかってる形だったんです。それが実現できていれば……という思いがあるんで,間違っていたとは思いません。

4Gamer:
 ただ,ある時期のアップデートから,喧嘩ストロングモードも凄く普通のMMORPGっぽくなっていったという印象があるんです。
 なので,どこかで「やば,間違ってた!」という判断がはたらいたのかと思っていたんですが。

安藤氏:
 まあ,それについてはどこかしら諦めた部分があったのは否めません。
 第一期のヤン魂。って,友達を引っ張って走った距離に応じて経験値を稼げたりとか,乗り物とレベルデザインが相関していたりとか,非常にユニークなシステムだったんですね。ただそれだと,今回,狙っていたビジネスの仕組みと相反する部分があって,今時のMMORPGのコアゲームプレイの流れを模倣して,原資を稼ごうとしていたんです。
 その原資の余剰で,ヤン魂。らしいヘンなことをやっていこうとしていたんですよ。

4Gamer:
 ベースの部分でなんとか回せるようになったら,ヤン魂。らしさを取り戻そうという考え方だったんですね。

安藤氏:
 でも結果としては,原資がそれほど戻ってこないようなコアゲームプレイしか作れなくて,典型的なMMORPGを模倣していく部分ばかりが目立ってしまった。そして余剰もないから,ヘンなこともできない。そんな悪循環に陥っちゃったんです。
 それでも意地で,ヘルヤンクダケを作ったりとかはしたんですけどね。本当はもっとああいうことをたくさんやりたかった……。

4Gamer:
 やり残したことばかり,ですね。

安藤氏:
 部屋の模様替えができないとか,刺繍が背負えないとか,なんでサービスインの段階でそこを切り捨てなければいけなかったのかって,僕自身も驚いていました。
 プロデューサーがハンドリングを間違うと,ここまでおかしなことになるのかって。

4Gamer:
 第一期からのプレイヤーは,ずっとフォーメーションバトル待望論を叫んでいましたよね。そうした声については,どう思っていますか?

第一期のフォーメーションバトル
疾走、ヤンキー魂。
安藤氏:
 我々としては,喧嘩ストロングモードを充実させてフォーメーションバトルよりも面白いものを目指しつつ,早い段階でフォーメーションバトルも追加しようと考えていたんですよ。それによって,第一期の要素プラス喧嘩ストロングモードという形が実現するだろう,と。
 ところが,超えられないどころか追いついてもいない中途半端な結果になってしまって……。前にお話ししたように,第一期は構造上の欠陥を抱えていたはずなのに,第一期のほうが面白いという事態に陥ってしまいました。

4Gamer:
 たぶん,第一期からのプレイヤーは,「そんなに喧嘩ストロングモードをやりたいんだったら,先にフォーメーションバトルを入れてからにすれば良かったのに」と突っ込むと思うんですが。

安藤氏:
 でしょうね。その声が真実なんだろうなと思います。帳尻を合わせるつもりだったのが,合わせられなかったわけで……。これもまた,今となっては,ですけど。


プレイヤーにいやな思いをさせたくなくて,舞露愚を閉じた


4Gamer:
 かつては頻繁に更新されていた舞露愚の更新が滞っていたのは,やはり舞台裏がごたついていたからですか?

安藤氏:
 そうですね。
 そういう内側の状況って,さすがに言えないんですよ。分かってほしいという気持ちはありますけど,アップデートができないとか,できるかもしれないからちょっと待ってね,みたいな感じでプレイヤーの皆さんを振り回すわけにはいかないですから。
 あれだけマメに更新していた舞露愚なので,いつも更新したいとは思っていたんですけど,何かが決まるまでうかつなことは言わないでおくのが,一番なのかなと。本当はもっといい方法もあったのかもしれないですけど。

4Gamer:
 ただ,頻繁に更新していた時期も,今後のアップデート予定などが現実にはうまくいかなかったりして,余計にプレイヤーのヒートを買っていましたよね。

安藤氏:
 ええ,ありました。というか,ほとんど実現できませんでした。第二期は。

4Gamer:
 それに対する批判のコメントも,舞露愚には多数寄せられていました。

安藤氏:
 それはもう,当たり前の話ですよね。
 サービス業といわれる業種で,今後はこういう風にしますよと発表されたら,誰もがそれを期待するわけです。それができないとなったら,期待していた分の裏返しで,悲しみや怒りに変わるものですよね。
 決して悲しませたり,怒らせたりしたかったわけではありませんし,アップデートに関しては話し合いの段階では,常に「できる」という決定がなされていたんです。

4Gamer:
 ところが現実には……。

安藤氏:
 話し合いの結果,このぐらいであれば,ちゃんとできるだろうとなったものだけを報告していたにもかかわらず,実現できなかったことが多すぎました。
 誰と組むかを含めて,多人数でものを作る難しさを痛感させられましたね。ただ,それを選んできたのは僕なんです。だからすべての責任は,僕にあります。

4Gamer:
 では,サービス終了の発表と同時に,舞露愚を閉鎖してしまったのはなぜですか?
 たぶん,多くのコメントが寄せられて,炎上状態になるだろうとは思うんですが,これまで一貫して,どんな厳しい意見が寄せられようともコメント欄を開放してきたのが,ヤン魂。の潔さだと思っていただけに,けっこう意外でした。「安藤氏ね!」って言う場所さえも閉じちゃうんだ……って。

安藤氏:
 うーん。そうですね。それは分かります。
 ただ,あの舞露愚を読み返してみると,自分でも腹が立つんですよ,昔の自分に対して。だって,「こうやりますよ」という積み重ねが,約3年続いているんですね。それが結果的に,全部嘘になってしまった。
 そういうのをあらためて見たら,きっとプレイヤーの皆さんも腹が立って当然だと思うんですよ。終了が決まってしまった今,過去の希望を見れば見るほど,その反動で絶望的になるんですよね。
 そういう要素を残しておいて,意味があるのかなって。

4Gamer:
 でも,少なくとも怒りをぶつける対象がはっきりと存在していれば,ある程度のガス抜きはできるんじゃないかと思うんですが。

疾走、ヤンキー魂。
安藤氏:
 それも一理ありますね。
 ですが,プレイヤーさん同士が罵り合うような状況になりかねないと思うんですよ。僕にぶつけてくれる分には構わないんですけど,プレイヤーさん同士がぶつかり合って,いやな気分になったら悲しいじゃないですか。
 ゲームがなくなる以上,建設的な議論にはならないでしょうし,そこで僕らが仲裁に入るわけにもいかないですし。

4Gamer:
 まあ,お前が言うな! ということにはなるでしょうね。
 じゃあ,そういうことを考えた結果,舞露愚を閉じるのはベストではないかもしれないが,ベターな判断だと。

安藤氏:
 はい。これ以上,プレイヤーの皆さんにいやな思いをさせたくないですから。


今回は加害者です。すべて僕が殺めていった


疾走、ヤンキー魂。
4Gamer:
 とはいえ,サービス終了まであと2か月近くあります。それに向けて,何か予定していることはありますか?

安藤氏:
 フィナーレイベントみたいなものはやろうと思っています。
 ただ,第一期のときは,サービス終了に向けてたたみかけるようなアップデートができたんですが,今回は全然ニュアンスが違うものなんで,リソースのない状態での撤退戦,玉砕戦みたいなところがあるんですが,それでも精一杯……100%ではなく120%ぐらいやれることはやろうと思っています。

4Gamer:
 以前の構想では,卒業式イベントでは花火アイテムを販売して……みたいな話もありましたよね。

安藤氏:
 やりたかったなぁ……。

伊勢氏:
 今,かつての企画書を見ると泣けてきますね。
 今年の年賀状も,安藤さんに「まだ諦めないからね」って書いて送ったんですよ。安藤さんも安藤さんで「諦めてねえよ」という熱い心を持っていたんですけど……。

安藤氏:
 思っていたより早く,開発会社がなくなっちゃったんですよね。
 それでも最後まで開発を続けてくれる人達はいるんです。彼らは彼らで心意気で立ち上がってくれたんですよ。もう見返りは何もない状態なのに……。彼らに対しても,申し訳ない気持ちでいっぱいです。

伊勢氏:
 最後まで諦めていなかった証拠というわけじゃないんですけど,プロモのために仕込んでいたものが,まだあるんですよ。だから,サービス終了後に何かしらリリースが出るようなこともあると思います。その時点で,本体はもうないんですけどね。魂だけは残っているという……。

4Gamer:
 なんか,それはそれで凄く悲しいものですね……。

伊勢氏:
 ええ……。
 そうそう,ログインしてコンビニの前にいるプレイヤーさんが「卒業って何?」って聞いているのを見たときにも泣きそうになりました。説明するのもつらいですし。公式サイトや4Gamerさんを見ないような方は,解散だと卒業だと言われても,イベントの一種だと思うかもしれませんね。その状況自体,凄く悲しいんですけど。

4Gamer:
 SNSでの反応などはご覧になりましたか?
 「いつか終わると思っていた」とか「もっと早く終わると思っていた」みたいな声が目立ちますが。

安藤氏:
 僕がプレイヤーでも,そう思っていたでしょうね。
 でも熱狂的なファンの方達のおかげで,なんとかここまで粘れたというのが実際のところです。そういう方達がいたからこそ,万策尽きるまで続けられたということで。

4Gamer:
 同時に,「寂しい」という声が多いのも印象的です。

伊勢氏:
 第一期から数えると,コミュニティがなくなるのが2回めですからね。我々の罪ではあるんですけど,我々としても寂しいです。正直。

安藤氏:
 なんかね,ヤン魂。を愛してくださった方達って,ゲームに足りない部分も自分達で補って,なんとか盛り上げようとしてくれていたんですよ。楽しむ力が異常に発達しているんです。それは第一期も第二期も変わりません。
 そんな彼らにとっての大事なコミュニティを,こちらの都合で取り上げてしまうことの罪って,ずっと背負っていかないといけないですよね。

伊勢氏:
 ヤン魂。って,ほかのオンラインゲームと比べて,熱狂的な方達の年齢層が高いんですよ。だから,こちらの事情もある程度察してくれていると思うんです。

安藤氏:
 だからこそ,そういう方達の大事な場所を維持するために,ビジネス的に成功させなければいけなかったんですが,それができなかった。

4Gamer:
 ヤン魂。の終了を悲しんでいる人達の中には,「もう二度とゲームポットが運営するゲームはやらない」と言っている方もいます。それについては,どう思いますか?

伊勢氏:
 返す言葉もありませんし,真摯に受け止めるしかありません。私も同じ立場だったら,間違いなく同じ気持ちになったでしょうから。

安藤氏:
 僕は第一期を終了しなければいけないときって,どこかで被害者意識があったんですよ。周りの状況に振り回されたこともあって。でも今回は,完璧に加害者だと思っています。
 第一期のときは,なんて周囲は邪悪なんだろうって思っていたんですけど,今回に限っては,なんて僕は邪悪なんだろうって思っています。ずいぶんなことをやらかしてしまったなぁって。

伊勢氏:
 私も,けっこうやられたなぁって思ってますよ。

安藤氏:
 そうですよね。ゲームポットさんに対しても,僕が加害者です。すべて僕が殺めていった感じがあって。しかも,我が子を殺めているようなものですから。
 殺めるという表現は凄く乱暴ですけど,実際そうなってしまいましたからね。そこから目を背けるわけにはいかないんですよ。
 だから今回は,絶対に復活を求める署名なんて来ないと思いますもん。第二期みたいなものが復活しても……ねえ?

4Gamer:
 楽しかった思い出をもう一度! っていう感じにはならないでしょうね……。

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