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「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた
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印刷2010/03/13 11:00

インタビュー

「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた

第三期を諦めたわけではない。が……


4Gamer:
 安藤さんとしては,これからもずっと,今回の罪を背負っていくしかない,と考えているんですか?

公式祭斗のメッセージ
画像集#014のサムネイル/「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた
安藤氏:
 ええ。公式祭斗のメッセージにも書きましたが,僕は新しいものを作ること自体を諦めたわけではありません。でも,失敗したものをポイッと捨てて,気を取り直して新しいものを作ろうという感じではないです。
 教訓なんていうと軽々しいですけど,今回の失敗で学んだこと,傷つけてしまった人々の思いを背負って,これからもゲームを作っていきたいんです。
 だから,次に作るものって,テーマとしては重たい感じになるかもしれません。脳天気なものは作れないですよね。

4Gamer:
 では,ヤン魂。の第三期という可能性は?

安藤氏:
 それは,やりたいですよ。アイデアはたくさんあるし,作れるのであれば作りたいです。
 でもヤン魂。ってもう僕だけのものではなくて,みんなのものだと思っているんで,僕以外の人間がプロデュースしてうまくいくんであれば,それでいいと思います。
 実際,「喧嘩番長」シリーズって,ヤン魂。のコンセプトを継承して成長していると思うんですよね。でもあれって,プロデュースする人間によって,仕掛けが違ったからこそうまくいったケースで。
 だから,ヤン魂。が復活するにしろしないにしろ,僕がいるかいないかっていうのは,もう関係ないんです。

4Gamer:
 でも本音では,ご自分でやりたいと思っているんじゃないですか?

安藤氏:
 そうですね。最後まで応援してくれた人達との絆には応えたいですから。
 でも今回,前のブランドを継承して新しく発展させていくことの難しさを思い知ったので,次にやれるんであれば,もっと検討していろいろなことを整理できてからにしたいですし,整理できなかったら,僕の手で復活させることは永久にないでしょう。
 それが問題なくできるような人間にはなりたいと思いますけどね。

4Gamer:
 じゃあ第三期というものも,100%諦めたわけではないんですね?

安藤氏:
 諦めたら終わっちゃいますからね。
 第一期の終了のときに諦めなかったから,第二期ができたわけです。結果,こんなことにはなっちゃいましたけど,諦めないということは,ずっと考えていきます。

4Gamer:
 第三期ヤン魂。が,iPhoneアプリになるようなことは?

安藤氏:
 いやー,どうでしょうね……。
 ただ,ヤン魂。がやばくなっている時点で,ほかのiPhoneアプリの開発も並行していたんですが,ヤン魂。でしくじったと思った部分が,iPhoneアプリでは生きていると思うんですよね。こういう決断はやめておこうとか,そういう次元で。
 だから,第二期ヤン魂。で起きたことって,僕の作るものの中ですでに継承している部分もあるんです。これを繋げていった先に,第三期みたいな形ができるんであれば,やりたいとは思っています。

4Gamer:
 今からまた,一つ一つ積み上げていった先に,第三期があるかもしれない,ということですね。

安藤氏:
 ひょっとしたらそのときは,僕が直接手を出す形だとヤン魂。のことを粗末にしてしまうかもしれないということで,ほかの人に任せて立ち上げる形にするかもしれませんけどね。
 ヤン魂。が,本当にポテンシャルのあるテーマだということは,これだけカラフルに失敗した今でも思っていますから。

4Gamer:
 これでもか,とばかりに失敗を。

安藤氏:
 ええ。だけど,みんなが望んでいるものを,そのとおりに作れれば,きっとみんなが望むものができあがると思うんですよね。当たり前のことなんですけど。
 でもそれは,僕にはできないかもしれない。それなら,できるようになるまで頑張っていかないといけないし,できる人とやるというのも一つの手だとは考えています。

画像集#012のサムネイル/「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた
伊勢氏:
 ゲームポットとしても,一緒にやっていくところをうまく選ぶしかないとしか言いようがないですね。今回の反省点を生かすとするならば。
 日本の会社が作って,日本の会社で運営しているオンラインゲームを,こういう形で閉じることになるなんて思ってもみませんでしたし。

4Gamer:
 やっぱり,海外ですでに動いているコンテンツを買ってくるのとは,だいぶ違いますよね。

伊勢氏:
 違いますね。本当に,何が起きるか分からなくて。
 電話やメールだけじゃなく,直接顔を合わせて話し合ってやってきて,毎回そこで盛り上がって,じゃあがんばろう! となっていたものが,どうしてここまでダメになるんだろう……というのは,理解できない世界でした。
 僕らですらこうなんですから,プレイヤーさんはなおさら理解できないと思います。ご迷惑もたくさんかけてきたと思いますし……。


大きく失敗したからには,それを背負っていくしかない


4Gamer:
 安藤さんご自身として,今後もオンラインゲームを作ろうという気持ちはありますか?

画像集#009のサムネイル/「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた
安藤氏:
 ええ,あります。
 もちろん,ヤン魂。の評価は因果応報で自分のところに返ってくるはずなので,「安藤が作るオンラインゲームはちょっと……」みたいな形になれば,それはそれで受け止めなければいけないですが,現時点で「二度とやるな」と言われているわけではないので,チャンスがあるならチャレンジはしたいですよ。

4Gamer:
 そのときは,どんなことを心がけますか?

安藤氏:
 具体的な例は,すみません,まだ整理しきれていないんで……。
 ただ言えるのは,オンラインゲームに限った話じゃないんですけど,僕自身,何かを作るときには常に新しいもの,何かしら衝撃があるものを作っていきたいんですよ。だから,どういう角度から,皆さんを驚かせられるかというのは,ずっと考え続けると思います。
 周囲からすると,僕はヤン魂。を含めユニークな物作りをすると思われているようなんですが,そのほとんどって20代のときにコンセプトを立案したものなんですよ。当時は,何でもいいから人を驚かせられればいいみたいな考えだったんですけど,もうそれだけじゃダメなんですよね。

4Gamer:
 年齢を重ねた分,ということですか?

安藤氏:
 もちろんそれもあるんですけど,そもそもゲームって面白くなきゃいけないんですよ。びっくりするだけじゃダメなんです。
 面白くて,それでいてビジネスとして一緒に組む人も,プレイヤーさんも納得して幸せになってもらえるようなものじゃないといけない。そこまで到達しないと,サプライズ自体にエネルギーが生まれないんです。独りよがりになってしまって。

4Gamer:
 確かに。

安藤氏:
 ビジネスのカラクリみたいな部分は,なるべく遊んでくれる方には伝わらないようにしたいですけどね。でも,びびらせるだけじゃどこにもつながっていかないし。
 以前のインタビューでもお話ししましたけど,「でかいことやって儲けようぜ!」みたいな,凄く簡単なカラクリで動いていて,プレイヤーさんはただ驚くことを享受しつつ,楽しんでくれればいい,みたいなものを実現できないかなっていう願望はあります。
 また変なことやってるわーっていうのに,実は儲かってるみたいな。

4Gamer:
 それは理想ではありますよね。

安藤氏:
 理想でしかないんですけどね。
 本当のところを言うと,やりたいことをやろうとして,結果的にヤン魂。みたいに悲しんだり怒ったりした人を生み出してしまったわけです。そんなはずじゃなかったのに。
 でも,そういう風にさせてしまったということを受け止めながら,僕は今後作り続けていくしかないんですよね。

4Gamer:
 作ることをやめないなら,そうするしかないですよね。

画像集#011のサムネイル/「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた
安藤氏:
 若いときって,悲しみとか怒りとか,そういうものに触れた経験自体が少ないんで,もっと脳天気でいられたと思うんです。
 繰り返しになっちゃうんですけど,大きく失敗したからには,それを背負ってやっていかなければいけないと,強く思っています。20代のときにはできなかったことを,30代,40代でできるように。

4Gamer:
 何にせよ,今回のヤン魂。のことをなかったことにしたいということではないんですよね。

安藤氏:
 それはないですね。なかったことにして作っていくことなんて,できないです。いろいろな人と分かち合ったもの,絶望感や悲しみ,怒りなんかは自分自身のベースになっていきますから。
 ただ,それをどうすれば楽しさや希望に変えていけるかというのは,ずっと考えていくと思います。

4Gamer:
 分かりました。
 安藤さんの今後に期待しています! みたいなことはヤン魂。のプレイヤーの気持ちを考えると言いにくいんですが,それでもいつか,何かしらの答えを見せてください。
 では,最後にヤン魂。に期待していた人達に向けて,一言お願いします。

伊勢氏:
 本当にありがとうございます。その気持ちが伝わるならば,ありがたいです。

安藤氏:
 悲しんだり,怒ってくれたりしたことを含めて,本当にありがとうございました。
 そして,ごめんなさい。


画像集#021のサムネイル/「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた
 昨今,サービスを終了するオンラインゲームは,決して珍しいものではない。ただ,サービス終了を決めた理由や,その背景で何が起きていたのかを,ここまで明らかにするケースは極めてまれではないだろうか。

 前述したとおり,このインタビューは安藤氏からの依頼を受けて行ったものである。安藤氏は事前に,「何が起きていたのかをきちんと明らかにして,その上で僕が悪かったのだということを,ヤン魂。を愛してくれた人達,応援してくれた人達に,自分の言葉で伝えたいんです」と語っていた。
 これまで,自らパーソナリティを務めるWebラジオを配信するなど,オンラインゲームのプロデューサーとしては異例な形で人前に立ち,ヤン魂。への期待感を煽っていた安藤氏だけに,最後まで責任をとりたいということなのだろう。
 もちろん,安藤氏や伊勢氏がどんなに言葉を尽くしたところで,多大な時間やお金をヤン魂。に費やしてきたプレイヤーが,納得することは難しい。
 だが,安藤氏が今回の失敗によって背負ったものの重さや,その上で今後もゲームを作り続けようと覚悟を決めていることは,話を聞いている間も伝わってきた。そのことだけは,ヤン魂に失望したプレイヤーにも知っておいていただけると幸いだ。

 さて,ヤン魂。のサービスは4月28日(水)22:00までは続く。ヤン魂。らしい最後の悪あがきで何を見せてくれるのか,少しだけ期待しておきたい。

画像集#018のサムネイル/「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた 画像集#019のサムネイル/「今回は僕が加害者です」サービス終了が発表された「疾走、ヤンキー魂。」プロデューサー,安藤武博氏が口を開いた

「疾走、ヤンキー魂。」公式祭斗


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