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ゲーマー向けメモリ「HyperX」でゲーム環境をアップデート

 「HyperX」(ハイパーエックス)というメモリモジュールをご存じだろうか。これは,Kingston Technologyの製品で,ゲーマー向けに特別なチューニングを施してあるのが特徴だ。

 Kingston Technologyといえば,押しも押されもせぬ,名実ともに世界ナンバーワンのメモリモジュールメーカーである。米国に本社を構える同社製モジュールは,非常に高い品質で世界的に定評があるものの,残念ながら日本国内での知名度は今一つ。そこで今回は,3回の連載で,Kingston Technology,そしてHyperXというメモリモジュールの正体を明らかにしてみようと考えている。
 第1回は,メモリモジュールがPCに与える影響と,Kingston Technologyがメモリ業界内で果たしている役割について,解説していきたい。

 

ゲームプレイに大きく関わるメインメモリ

 ゲームの動作環境で,必要,あるいは推奨容量が記載されているメインメモリ。読者の中には「メインメモリとは,容量が多ければ多いほどいいもの」と,漠然とした理解をしている人も少なくないと思う。そこでまずは,メインメモリの役割について,簡単に説明してみよう。

 ゲームを購入,もしくはダウンロードすると,セットアップ(インストール)作業が必要になるのは言うまでもないが,このときゲームのデータはHDDに置かれる,というのは体験的に知っていると思う。ゲームを起動するときは,HDDがカリカリと音を立てて,ゲームを読み出しているから,やっぱりHDDが使われる。“メイン”の割に,メインメモリはどこにも使われていない――ように見えるのだ。
 しかし,HDDの動作音をよく聞いてみると,ゲームプレイ時には起動時ほど音がしない。タイトル画面から実際にゲーム世界を読み出すときや,いわゆるゾーニングのとき,しばらくの間HDDは音を立てるものの,FPSで撃ち合っている最中や,MMORPGでモンスターを狩っているとき,HDDは静かなものだ。

 では,あのとき長々とHDDから読み出されたデータは,どこへ行ったのだろう? 実は,メインメモリこそが,まさにそういったデータの“メイン”の行き先なのである。

 

図1

CPUとメインメモリ,HDDの関係を簡略化してみた。通常,マップやキャラクターなど,絶対的に必要なデータは起動時にまとめてHDDからメインメモリに読み出されるため,あとは高速に処理できる。ゲームの起動時にHDDがしばらくカリカリと音を立てるのは,データがHDDから盛んに読み出されているからだ

 

 せっかくHDDに置いたデータを,わざわざメインメモリに置き直す理由は,HDDが遅いからだ。よくよく考えてみると,FPSで視点を動かしたり武器を切り替えたり,あるいはMMORPGで装備を替えたり呪文を詠唱したりするたびに,ゲーム起動時のようにHDDがカリカリと音を立て,数秒から数十秒待たされていては,とてもゲームにならない。
 この点,2005年12月現在で流通しているPCが搭載するメインメモリは,一般的なSerial ATA HDDと比べて少なくとも18倍以上高速。製品の組み合わせによっては,70倍以上高速な場合もある(図2)。これはあくまでスペックレベルの比較だが,それでも,圧倒的な速度差があるのは分かるはずだ。

 

図2 メインメモリとHDDの転送速度

 

 WindowsというOSはよくできていて,あるアプリケーションが実際に搭載するメインメモリの容量が足りない場合,HDDの一部をメインメモリに見せかけて,「仮想メモリ」として用いる。しかも,現在主流のWindows XPでは管理もしっかり行われているため,Windows XPの動作に必要なメインメモリ容量がきちんと確保されていれば,「メモリが足りなくてアプリケーションが動作しない」といった事態は,まず起こらない。

 

図3 仮想メモリのイメージ

 

 だが,Windowsからメモリが足りているように見えているといっても,仮想メモリはあくまでHDDの一部。前述したように,メインメモリと比べると圧倒的に遅い。だから,仮想メモリのおかげでゲームが動作することと,快適に動作することはまた別の話になる。「動きますが,呪文を詠唱するごとに仮想メモリという名のHDDからデータを読み出すので,ゲームは逐一停止します」では,ゲームを気持ちよく楽しむことなどできるはずもないのだ。

 ゲームの動作環境に「必須」と「推奨」があるのは,そうした理由からである。メインメモリに関していえば,ゲームが動作する最小容量が必須環境,これだけあれば,ゲームデベロッパやパブリッシャが想定する設定なら快適にプレイできますよ,という基準が推奨環境である。

 

メインメモリは大容量ならOK……ではない

 なら,とにかくたくさんメインメモリを搭載すればゲームは快適になるのかといえば,その回答は「メインメモリ容量が多いのはゲームを快適にプレイする必要条件だが,十分条件ではない」ということになる。

 まず,先ほどグラフの形で簡単に示したが,メインメモリには速度の違いがあり,基本的には高速なほうがプレイは快適になる。  また,品質も重要だ。ゲームプレイ時において,即時性の求められるデータのやりとりに用いられるのは基本的にメインメモリで,とにかく高速に次から次へとデータを読み出したり,書き込んだりしなければならない。メインメモリの品質がよくないと,データの読み書きに伴ってエラーが発生し,ゲームの動作が不安定になったり,止まってしまったりする。快適なゲームプレイどころではなくなってしまうのだ。
 大容量と高速性,そして高い品質。この3要素を十全に満たしたメインメモリこそが,ゲームを快適にプレイできるメインメモリなのである。

 

グラフィックスデータだけはこの限りでない。3Dグラフィックスを構成するテクスチャなどのデータは,グラフィックスカードが搭載しているグラフィックスメモリへ展開される。

 


メモリモジュール(上)と,搭載するメモリチップの例(下)。下の画像はBGA(Ball Grid Array)と呼ばれるパッケージの表と裏である

 PCでメインメモリとして用いられるのは,メモリチップがモジュール(特定の規格にのっとって製造された組み立て用ユニット)化された「メモリモジュール」と呼ばれる製品である。メモリモジュールは文字どおり規格化されているので,どのメーカーのものを利用しても大差はない“ことになっている”。
 メモリモジュールには4/8/16個のメモリチップを搭載するのが一般的だが,このメモリチップは,実際にデータを読み出したり書き込んだりするための「セル」(Cell)から成り立っている。セルは住所を示す番地のようなもので,データはこのセル単位でCPUから管理される。誤解を恐れずに大ざっぱな例を挙げると,「1枚めのメモリモジュールにある2番めのメモリチップの,1〜10番めのセルに,サブマシンガン発射の効果音を置いておく」といったような感じだ。

 

メモリ容量とメモリセルの関係を示したスライド(出典:Kingston)

 メモリ容量に対して,セルの数がどれくらいあるのかを示したのが,右のスライドである。最近のゲーマー向けPCでは,メインメモリ容量1GBというのは珍しくないが,1GBだと,セルの数は85億個を越える。
 もし,この85億個のセルのうち,一つが不良だとどうなるか。85億分の1なら,どうってことないと思うかもしれない。
 そこで,先ほどの例において,1〜10番めのセルのうち,3番めが不良としよう。すると,当然のことながらサブマシンガンの音は正しく読み出せない。それどころか,最悪の場合,読み取れない3番めのセルに対してCPUがえんえんと読み出しを試み続け,ゲームやOSが停止してしまうといった事態が訪れる。

 

図4

メモリモジュールの問題が「相性」として片付けられてしまう可能性がある理由

 

 メモリモジュールというのは,液晶ディスプレイのように「非常に高い技術で製造されているが,それでも何セルか不良かもしれないのでご了承を」といったようにはいかないデバイスなのである。数十億分の1の不良は即,PCの停止や誤動作に直結するからだ。
 この問題の根が深いのは,「実際にそのセルをヒットしなければ,不良かどうか分からない」点にある。ユーザーの自宅でトラブルが発生しても,トラブルを持ち込んだサポートで,その不良セルをヒットして,“無事”エラーが出るかどうかは,基本的に神のみぞ知るところ。すべてのセルをきちんとチェックせず,Windowsが起動するかどうか,などで検査すれば,実際にはセルの不良があっても,購入したショップのサポートからは「相性」の一言で片付けられてしまうかもしれない。これが,メモリの品質問題を複雑にしている。

 

品質の高さで世界No.1となったKingston

 では,メモリモジュールの品質は,どうやったら確認できるのだろうか?

 残念ながら,メモリモジュールの品質は,目で見て分かるものではない。ある程度の経験を積めば,状況証拠の積み重ねから推測はできるようになるが,それでも見た目だけで断定できるものではないのだ。
 そこで重要になってくるのが,製造メーカーの信頼度である。メモリの不良が少なければ,必然的に信頼度は上がるはずだからだ。そして,信頼度という意味で,Kingstonを超えるモジュールメーカーは存在しない。

 

Kingstonのメモリ製造ライン(写真はKingston Technology Far Eastのもの)

 この記事は広告企画なので,話半分に受け取る人が多いかもしれないが,これは提灯持ちでも何でもなく,歴とした事実。Dellに納入されるメモリモジュールは,多くがKingston製であるし,日本国内で人気が高いエルピーダメモリの“純正”モジュールも,一定量がKingstonの工場で製造されていたりする。また,Kingstonの国内代理店であり,メモリモジュールメーカーでもあるサンマックス・テクノロジーズ(以下サンマックス)の製品など,工場を持たないメモリモジュールメーカーのアセンブリ(モジュールの組み立て)などでも,豊富な実績を持っている。
 KingstonがPCメーカーやチップメーカーなどから高い信頼を集める理由は,ある意味きわめて明快だ。それは,非常に高いモジュール開発能力と最先端の製造工程,厳密なチェック工程のすべてを持っていることを,PCメーカーやチップメーカーが知っているからである。

 実際の製造ラインについては,第2回で詳しく説明していきたいと思うので,今回は概要に留めるが,Kingstonの信頼性の高さを物語る,最も分かりやすい例は,完成したメモリモジュールが全数検査されている点にある。筆者は別のメーカーの製造工程を何度か見たことがあるが,自作市場に安価なメモリを供給するのが主なビジネスとなっているようなメモリモジュールメーカーにおいて,完成したメモリの全数チェックは行われない。「1時間のうちに製造したモジュールの中から,無作為に数枚取り出してチェックする」といった感じだ。
 これはなぜかといえば,全数チェックしようとすると,ある程度の規模のテストルームとテスト機材が必要になり,ひいては製造コストが高くなるから。他社より1円でも安価に市場へ供給することでシェアを獲得し,利益を上げるスタンスのメーカーにとって,全数検査はまったくもって非現実的なのである。
 ただ,このやり方では,テストしていないメモリモジュールに不具合があっても分からない。チップのスペックはDDR2-667で,いくつかチェックした限りは動いたから,PC2-5300メモリとして出荷する――これが実態だ。

 

Kingston本社工場の製品チェック工程フロア

 翻って,Kingstonはどうか。まず,米国本社工場のテスト工程だけがあるフロアを上から写真に収めてみた右のカットを見てほしい。カメラのフレームに入らないほどの広大なスペース,このすべてがテストのためだけに利用され,ここでモジュールは全数チェックされている。
 Kingstonに全数チェックが可能なのは,PCメーカーやチップメーカーの要望に応えるためだ。そのラインで,同時に自作市場向けのメモリモジュールも検査するから,ほかのメモリモジュールメーカーとは一段も二段も異なる,高い信頼性を維持できるのである。

 

詳細は連載第2回で述べるが,テスト工程には,温度をコントロールして,高負荷環境下でメモリが正常するかどうかを自動的にチェックする装置(なんとKingstonオリジナル!)もズラリと並んでいる

 世界市場におけるKingstonのマーケットシェアは,20%を超える。メモリモジュールのほとんどは,PCやサーバーのメーカーが購入することを考えると,いかに業界内でKingstonというメーカーが信頼を勝ち得ているか,想像がつくと思う。

 ちなみに,工場は世界各地に五つ。メモリモジュールを実際に製造する「SMT」(Surface Mount Technology:表面実装,ここではモジュール製造のこと)ラインは合計33あり,月に900万モジュールを製造可能だ。

 

世界基準のメモリチェックラボが傘下

 そして,Kingstonという会社の信頼性を語るうえで外せないのは,メモリモジュールのバリデーション(互換性検証)にKingstonが深く関わっている,という点である。

 

IntelのPC2-5300(DDR2 667)メモリモジュールバリデーションページから

 メモリの規格を決定する団体としては,JEDEC(Joint Electron Device Engineering Council)がよく知られている。しかし,実際に「A」というメモリモジュールがあったとして,それがPCできちんと動作するかは,JEDECの規格に準拠しているかどうかと同じくらい,Intelのバリデーションプログラムを通過したかどうかで判断される傾向にある。
 現実として,Intel製チップセットを搭載するマザーボードのシェアは,PC業界では圧倒的に高い。だから,Intelのバリデーションを通れば,それは「きちんと動作する」というわけだ。Intelは同社のサイトでメモリのバリデーションを通過したメモリチップ,あるいはメモリモジュールを公開しているので,ここにリストアップされれば,「Intel製チップセット搭載マザーボードで動作する」というレベルにおいて,メモリモジュールの品質はある意味“お墨付き”が与えられる。

 

Kingston本社工場と同じ,米国カリフォルニア州Newhope Streetという通りにあるAVL

 このバリデーションを行っている企業は「Advanced Validation Labs」(通称AVL)という。PCの自作に興味があるなら,Intelのバリデーションリストのページに名前が挙がっているから,見たことがあるという人もいるのではなかろうか。
 実は,このAVLは,Kingstonの100%子会社だ。要するに,Intelのバリデーションを通過するためには,SamsungやMicronといった大手メモリチップメーカー純正モジュールだろうと,各国のメモリモジュールメーカー製品だろうと,Kingston(の子会社)を通す必要がある。AVLのチェック機構がもし仮に甘かったりすれば,Intelは大変な損害を被るわけで,この辺りからも,いかにKingstonが信頼されているかは判断できるだろう。

 

AVL内部のテストは多くが機密保持契約に基づいて行われているため,詳細は明らかにできない。ここでは,いくつかOKが出たものを中心にお知らせしていこう。まず左はPentium Mの評価ボードを使って,ノートPC用のSO-DIMMをチェックしているところ。ちょうどエルピーダメモリ製品のチェック中だった。中央は一部の拡大だが,スコープを用いて,モジュール上の信号状態を細かくチェックしている。右は,チップ内部を目で見てチェックできるマイクロスコープ

AVLの中は「チャンバー」と呼ばれる,大型の箱のような装置だらけ。チャンバーでは,温度や湿度を制御できるようになっており,その中で実際のマザーボードを使ったメモリモジュールのテストが行われている

あるチャンバーの中を,特別に撮影させてもらった,サーバー用マザーボードで,メモリをテストしているようだ。テストに使っていたソフトは,メモリテスト用として著名な「RST Pro」(と,写真は掲載していないが「Memtest86+」)で,案外普通……と思いきや,チャンバー内の温度は0℃だったりする

各種センサーの接続に対応したIntelの評価用ボード(左)。もちろんそれだけではなく,各社のさまざまなチップセットを搭載したマザーボードも評価用に用意されていた(右)

 

HyperXは信頼性の高いオーバークロックメモリ

 ここまでで,メモリモジュールというものがいったい何者で,Kingstonというメモリモジュールメーカーがどういう会社なのかは分かってもらえたと思う。
 だが,よくよく考えてみると,本連載のメインテーマは「HyperX」というゲーマー向けのメモリモジュールである。HyperXの話をすると言っておきながら,ここまで名前が出てこなかったことで,「それで,結局HyperXって何なのさ?」という,もっともな疑問を持った人も少なくないだろう。

 

 HyperXを一言でいえば,少しでも高いフレームレートでゲームをしたいゲーマーのための,オーバークロックメモリモジュールである。ただ,強調したいのは,ただのオーバークロックメモリモジュールではないということで,それはここまで読んでくれた読者には想像がつくはずだ。そう,HyperXは,信頼性の高いオーバークロックメモリモジュールなのである。

 次回は,HyperXのどこが「信頼性が高い」のかについて,実際の開発や製造工程を紹介しながら,明らかにしていきたい。

 

 HyperXについてもっと知りたい人は,Kingstonの日本語Webサイト,もしくは正規販売代理店であるサンマックス・テクノロジーズのWebサイトを訪れてみよう。また,「どこで売っているのか」という具体的な販売店情報を知りたい人は,サンマックス・テクノロジーズ(電話:03-5652-1262)に問い合わせてみるといい。