― 特集 ―

ATIとNVIDIAが語る2005&2006年 NVIDIA編

 DirectXの歴史が始まって以来の長期戦となった,DirectX 9世代におけるATI Technologies(以下ATI)対NVIDIAのグラフィックスチップ戦争。序盤にあったRadeon 9000シリーズのリードに対し,中盤に登場したGeForce 6シリーズで盛り返し,GeForce 7で引き離しにかかったたNVIDIAの優勢で2005年は終わりそうだが,そんなデッドヒートを,両社はどう捉えているだろう? また,DirectX 10という形で,大規模なグラフィックスサブシステムの変革が行われるWindows Vistaに向け,両社は2006年をどう戦うつもりなのだろうか。
 日本という戦場で「赤vs.緑戦争」を続ける,両社の日本人スタッフに,この年末のタイミングで話を聞いてみようというこの企画。まずは2005年12月19日に席を設けてもらったNVIDIAから始めてみたい。

SM3.0の熟成に向けて投入された
GeForce 7800

 もうだいぶ前の話になるが,NVIDIAは2004年4月にGeForce 6800 Ultraを投入し,プログラマブルシェーダ3.0(Shader Model 3.0,以下SM3.0)世代へと移行した。そして,SM3.0の第2世代プロダクトとして2005年6月21日に発表され,同時に発売されたのがGeForce 7800 GTXである。ATIがSM3.0への対応を果たしたのは,記憶にも新しい2005年秋なので,SM3.0対応グラフィックスチップという意味で,NVIDIAは18か月もの間,敵なしの状態にあった。

飯田慶太氏は,日本ではなくNVIDIA本社の部長である

 2005年末というのは,NVIDIAにとって,ライバルがようやくSM3.0世代に移行したタイミングとなるわけだが,NVIDIA本社のマーケティング本部 日本・韓国部長 飯田慶太氏は,次のように振り返る。
 「2004年に発表されたGeForce 6800 Ultraで始まり,同年中にGeForce 6600でメインストリーム市場,GeForce 6200でバリュー市場へ広がったSM3.0は,3Dグラフィックスの進化を促進しました。SM3.0は,3Dグラフィックスのスタンダードになったのです。
 そして2005年に登場したGeForce 7800 GTXは,SM3.0世代における弊社のパフォーマンスリーダーとしての地位を固めるとともに,SM3.0の熟成をさらに進める役割を担うものになってくれました。2005年で,多くのユーザーに『時代はSM3.0なんだ』と知ってもらえたと自負しています」

 対するATIは,最新世代となるグラフィックスチップ,Radeon X1000シリーズでSM3.0に対応してきた。
 だが,この点については意外にも,あまり危機感を持っていないようだ。飯田氏は「ATIがやっとSM3.0にやってきた」と述べており,SM3.0世代グラフィックスチップのマーケットが拡大することを素直に歓迎している節がある。「NVIDIAには,SM3.0においてATIよりも,18か月分先行しただけのノウハウの蓄積があります」とのことで,ここにちょっとした余裕があるのかもしれない。

 とはいえ,2005年末という時点において,ATIは「最新の」SM3.0対応グラフィックスチップを,ハイエンドからバリューまでのフルレンジで投入してきたという現実がある。メインストリームとバリュー市場に「最新の」GeForce 7シリーズがないという現状で,マーケティング戦略的に,ATIと互角に戦えるのだろうかという疑問は,当然わいてくる。もちろんこの疑問は「GeForce 7のメインストリームやバリュー市場向けモデルはいつ出るのか?」という疑問と等価なわけだが。

2005年12月末時点では,搭載グラフィックスカードを2万円台中盤で購入できるGeForce 6800 GS

 飯田氏は次のように答える。
 「SM3.0対応グラフィックスチップとして比較したときに,GeForce 6シリーズが,Radeon X1000シリーズに劣っている点はありません。
 確かに,GeForce 6シリーズが1年以上前の製品なのは事実です。そこで我々は,価格と性能のバランスを考えて,製品の再構成を行いました。例えば,ATIがメインストリーム向けに投入しているRadeon X1600 XTと同等の価格で,GeForce 6800シリーズを投入しています。それがGeForce 6800 GSです。GeForce 6800シリーズは,これまでハイエンドとしてラインナップされていた製品ですから,グラフィックスメモリバスが256bit。Radeon X1600 XTのそれが128bitであることを考えれば,コストパフォーマンスの高さは明白です」

 GeForce 7シリーズは,はっきり言ってしまえばGeForce 6シリーズの改良版に過ぎない。なら,これまでハイエンドをターゲットにしていたGeForce 6800シリーズを,下位マーケットにスライドさせれば,それだけで買い得感を演出できる。しかも,同じ価格帯のRadeon X1000シリーズに対してもコストパフォーマンスの高さをアピールできるというわけだ。4Gamerで行ったGeForce 6800 GSとRadeon X1600 XTの比較結果を見るに,NVIDIAの戦略は間違っていないのかもしれない。

「VTFは死なない」

 SM3.0で足並みを揃えたATIとNVIDIAだが,いずれも,新機能のすべてをサポートしているわけではない。
 まず,Radeon X1000シリーズにあって,GeForce 6/7シリーズにないのは,浮動小数点(Floating-Point)バッファに対するアンチエイリアシングだ。
 逆に,GeForce 6/7では,頂点シェーダ(Vertex Shader)からテクスチャへのアクセスを可能にした頂点テクスチャリング(Vertex Texture Fetch,以下VTF)をサポートしているが,Radeon X1000シリーズでは見送られている。
 SM3.0におけるVTFは,鳴り物入りで紹介された魅惑の機能だったはずなのだが,ATIの不採用により,今後の扱いが不透明になってきたようにも見える。いったいどうなってしまうのだろうか。

NVIDIA Japanのスタッフであるブライアン・デゥダーシュ氏。まだ来日して1年ほどのはずだが,日本語が非常に上手だったりする

 この件について,NVIDIA Japanのディベロッパーテクノロジーエンジニア ブライアン・デゥダーシュ氏は「VTFについては『こんなことができるよ』という形で,開発者にレクチャーはしています。ATIと差別化を図るために,我々が技術協力しているゲームスタジオに強要したりはしてませんよ(笑)」と述べる。
 「3Dゲームの場合,すべてのプラットフォームで動作させる必要がありますから,GeForceでしか動かないVTFを,積極的に利用しようとするゲームスタジオが少数派なのは確かですね。
 ただ,VTFをゲームエンジン側に組み入れた作品も存在します。それが『Pacific Fighters』です。Pacific Fightersでは,海上の大きな波を,VTFを活用したディスプレースメントマッピングにて表現しています」(同氏)

簡単に言えば「VTFの重要性はATIも訴えていたのに,Radeon X1000シリーズでは対応していないんですよ」というNVIDIAのスライド。下に挙げられている2枚は,Game Developers Conference 2005でATIが実際に用いた資料の引用だ 同じくNVIDIAの資料から。フライトシム「Pacific Fighters」では,大きな波の起伏をVTFで再現しているため,対応ハードウェア(右)と非対応ハードウェア(左)では,最終的なゲーム画面がかなり異なる

 Xbox 360のグラフィックスチップ,通称「Xbox 360 GPU」を開発したのがATIだというのは,本誌読者には言うまでもないことだろうが,このXbox 360 GPUはSM3.0世代の製品だ。統合型シェーダアーキテクチャ(Unified Shader Architecture)を採用し,次世代Windows「Windows Vista」世代に片足を突っ込んだような構造になっている。

 突然何を言い出すのかと思うかもしれないが,実は,このXbox 360 GPUは,VTFに対応しているのである。そう考えると,VTFが“盲腸”と化してしまうことは,たぶんない。次世代のPC用グラフィックスチップではATIも対応してくる(可能性が高い)フィーチャーなのだ。
 例えばの話だが,VTFを活用したXbox 360用タイトルが,ATIの次世代グラフィックスチップが登場するまでの間にPCへ移植されるようなことがあったりすると,この場合はGeForce 6/7シリーズのほうが再現品質は高くなるかもしれない。

デュアルグラフィックスカード
ソリューションの行方

少なくとも,2005年の秋口までは主役の座を守り続けたGeForce 6600 GT

 GeForce 7シリーズの登場はあったが,日本国内において,2005年のNVIDIAを代表するグラフィックスチップが,GeForce 6600 GTであることに疑問の余地はないだろう。飯田氏も「欧米,日本などでよく売れたのはGeForce 6600シリーズですね。日本ではとくに,GeForce 6600 GTが売れました。その高いコストパフォーマンスが評価されたことはもちろん,NVIDIA SLI(以下SLI)人気が後押ししてくれた結果とも思います」と振り返る。
 本当にSLI人気がGeForce 6600 GTを後押ししたかについては,やや疑問も残る。もっと単純に,1万円台後半から2万円台前半という,価格的なメリットが人気を生んだと見るべきかもしれない。とはいえ,SLIの安定性が増したり,nForce4 SLIマザーボードの価格が下がったりといった,SLIに対するプラス材料が増えたのは確かだろう。

 ただ,そうこうしているうちに,ATIもCrossFireでデュアルグラフィックスカードソリューションをサポートした。その仕組みについては,筆者の連載で「CrossFireの秘密に迫る」として解説したうえ,パフォーマンスについてはRadeon X850,あるいはRadeon X1800で二度にわたってチェックしているから,これらを参照してほしいが,ウリの一つとしては,バリュー向けグラフィックスチップである,Radeon X1300シリーズでも対応している点が挙げられる。NVIDIAが,バリュー市場で対抗措置を取る予定はないのだろうか。

 「技術的には可能だと思いますが,現時点で,バリュークラスのSLIにメリットは小さいと考えています。コストと実効パフォーマンスを考えると,あまりお得とは思えない。今後,ユーザーやカードメーカーからの強い要求があったり,コストパフォーマンス的にメリットが見出せるようになったりすれば,可能性がないわけではないですが,今のところは対応予定はありません」(飯田氏)
 つまり,GeForce 6200カードを2枚買うよりも,GeForce 6600を1枚買うほうがずっとマシ,ということだ。まぁ,これはそのとおりだと思う。筆者の意見を付け加えるとするなら,GeForce 6200を購入するようなユーザーが,SLIでパフォーマンスの向上を狙うかどうかにも疑問はある。
 「ただ,価格帯という視点に立てば,バリュークラスでもSLIに対応しているといっていいかもしれません。Radeon X1300 Proと同じ価格帯に,SLI対応のGeForce 6600はありますからね」(同氏)

1枚のカードに2個のGeForce 6600 GTを搭載する,Leadtek Research製「WinFast Duo PX6600 GT TDH Extreme Version」。実際に店頭へ並んだ,数少ないデュアルグラフィックスチップ搭載カードの一つである

 また,1枚のカードに2枚のグラフィックスチップを搭載し,1枚でSLIを実現するようなソリューションについて飯田氏は「あれは,カードメーカー側が独自に設計したもので,NVIDIAとして提供していく予定はありません」という。
 「まず,価格の問題があります。設計にコストがかかるので,カードの価格は当然高くなりますね。また,1回でこういう高価なカードを買うよりは,まず1枚のGeForceを使って,しばらくして金銭的な余裕ができたときや,カードの価格が下がってきたときにもう1枚買っていただくほうが,エンドユーザーにとって分かりやすいし,親切であるとも思うのです」

 このほかに飯田氏は,2個のグラフィックスチップを搭載するカードを用意すると,製品ラインナップが増えすぎてしまう点をマイナスポイントとして挙げていたが,それはそのとおりだろう。

今年,全世界的に最もよく売れたのはGeForce FX 5200のAGP版カードという現実もあったと飯田氏。新興市場では,やはり価格がモノをいったようだ

 ハイエンドのデュアルグラフィックスチップ搭載カードは,「代わるものがない」という点で確かに存在価値は高い。また,うまく小型化できれば,ケース内のスペースを確保できるという利点もある。しかし,それ以上に,熱やコストの問題が大きいと考えているNVIDIAが,自ら手を出す予定は当面ないようだ。

 さて,SLI動作させるためには,PCI Express x16版グラフィックスカードが必須となる。最近は,AGP版の選択肢がいよいよ少なくなっている印象も受けるが,世界全体としてはどんな状況なのか。この点について聞いてみると,全世界的にはまだ,若干ながらAGP版のほうが多く出荷される状況だったという。しかし,最新チップセットがことごとくPCI Expressへの移行を完了したため,2006年にはPCI Express x16版のほうが多くなると予想しているとのことだった。まだAGPシステムを利用している人にとっては,そろそろ年貢の納めどきかもしれない。

ULiの買収が与える影響

 最近発表された“事件”としては,NVIDIAが台湾のチップセットメーカー,ULi Electronics(以下ULi)を買収したことが挙げられる。ULiの製品は,ATI製チップセットであるRadeon Xpressのサウスブリッジとして使われていることもあって,どうしてもさまざまな憶測を生んでしまうが,NVIDIAの真意はどこにあるのか。ズバリ聞いてみたところ,飯田氏からは次のような答えが返ってきた。

ULi製サウスブリッジ,M1573

 「具体的な買収の効果として,まず挙げられるのは,チップセット関連の設計者や技術者をULiから多数獲得したことですね。また,巨大なマーケットとして世界が注目する中国に近い,ULiの地理的な優位性も大きな要素といえます。また,有力なマザーボードメーカーが軒を連ねる台湾にチップセット関連のデザインチームが設けられることになるわけですから,マザーボードメーカーとの関係もより深くなるでしょう」

 ある意味最も気になるULiの今後についても聞いてみた。ULiは今後もULiとして活動していくのか,そして,ATIへのチップセット供給などはどうなるのだろうか。
 「ULiの買収については,台湾政府の許諾がまだ完全には得られていません。買収手続きそのものが,まさに現在進行中なのです。ですから,細かいことについて,多くを話せる段階ではありません。
 ただ,一つ言えるのは,買収が許可されれば,ULiの設計チームは,NVIDIAのMCP(≒サウスブリッジ)設計チームと,組織上,完全に一つになります。
 ULiブランドを継続するのかどうかは決まっていませんが,ULiが持っていた顧客との関係はそのまま継承される予定です。つまり,ULiという名前を継続するかは別として,ビジネス自体はULiのそれを継続することになりますね」(飯田氏)
 ULiは,台湾の大手ファウンダリであるUMCと,Acer系企業ALiの合弁だったが,今回の買収で,NVIDIAとUMCの間に,何かしらの影響が生じることもないようだ。

 いずれにせよ,残念ながら100%の信頼を与えられるわけではないnForce4のLANとUSB 2.0のコントローラが,今回の買収を契機として信頼性を上げてくれれば,エンドユーザーとしては大歓迎なのだが。

HDTVとWindows Vistaに
挑む2006年

2005年末の時点において,カード1枚で9万円を超えるGeForce 7800 GTX 512

 限界までクロックアップし,ウルトラハイエンド仕様のGDDR3メモリを組み合わせたGeForce 7800 GTX 512が登場したことにより,世界最速グラフィックスチップのプロバイダとして1年を終えることになるNVIDIA。だが,GeForce 7800 GTX 512がRadeon X1800 XT対策なのは誰の目にも明らかで,ベンチマークテストでも証明したように,そのポテンシャルを生かし切れる場面はかなり限られる。そもそも,市販されているとはいえ,価格はベラボーに高く,どうひいき目に見ても,ゲーマーに心から勧められるような製品ではない。

 また,いくらGeForce 6800 GSのコストパフォーマンスがよくても,これで長期戦を持ちこたえられるかといえば,やはり疑問符が付く。海外では,Radeon X1000シリーズのブラッシュアップ版の噂もささやかれ始めており,前述したメインストリーム,あるいはバリュー市場向けGeForce 7の投入は不可欠と思われる。
 この点については「発表されていない製品については何もいえません(笑)」と,定型句が返ってきただけだが,「このまま手をこまねいているつもりもありません」とも飯田氏は言ってくれているので,近い将来(?)の発表に期待しよう。

 では,具体的な製品名はともかく,NVIDIAとして,グラフィックスチップを取り巻く世界は,2006年にどうなると見ているのかを聞いてみた。すると,「2006年はHD DVDとBlu-rayが出てきますし,HDTV(高解像度テレビ,ハイビジョンともいう)の映像ソースが身近になってきます。となればH.264コーデックを利用した動画を取り扱う頻度が上がるでしょう」(飯田氏)と,4Gamer的には意外な答えが返ってきた。

Windows Media Player 10のデモムービーより。このムービーは「WMV 高精細コンテンツ ショーケース」にある「Striker Windows Media Player 10」というものだが,解像度は1920×1080ドットあり,再生してみると,相当に負荷が高いのが分かる

 DVD-Videoに収録されている720×480ドット程度の解像度のMPEG-2動画だと,最近の高速なCPUであれば,ソフトウェア処理で再生可能だ。ただ,HDTVで用いられる高圧縮のMPEG-4(≒H.264)動画だと,CPUだけで再生するのはかなり難しくなる。そのため,今後はグラフィックスチップ側の動画再生支援機能が注目されるという見通しを,NVIDIAは持っているわけだ。
 幸いにしてGeForce 6/7シリーズでは,3Dグラフィックスを処理するコアとは別に,プログラム可能なビデオプロセッサ(Programmable Video Processor,PVP)を搭載しているから,2006年も大丈夫――飯田氏はこう言っているわけである。

 また,2006年には,次世代WindowsであるWindows Vistaが控えている。Windows Vistaでは,グラフィックスサブシステムがDirectX 10になり,リアルタイム3Dグラフィックスの歴史上初めて“頂点を増大させる仕組み”である,ジオメトリシェーダ(Geometry Shader),あるいは――オプション扱いになる見込みだが――テッセレータ(Tessellator)などが実装され,プログラマブルシェーダ4.0(SM4.0)世代になるとされているのだ。さらに前出の統合型シェーダアーキテクチャの採用という大変革も,同時に起こるといわれている。
 統合型シェーダとは,多数の汎用シェーダユニットを,負荷に応じて臨機応変に頂点シェーダもしくはピクセルシェーダ(Pixel Shader)として利用するアーキテクチャのこと。内部のレンダリングパイプラインそのものを動的に再編成できる仕組みといっていいかもしれない。

 ただ,ここまでのスペックを実現するには,65nmプロセスが必要と言われる。グラフィックスチップの世界では,ようやくRadeon X1000シリーズが90nmに移行したばかりで,NVIDIAはまだ110nm世代。2006年中には間に合わないと予測されているが,この点を聞いてみると「Windows VistaのDirectX 10,SM4.0を快適に使えるグラフィックスチップを,弊社では提供できると考えています」という答えをデゥダーシュ氏から得られた。もっとも「時期についてはまったく分かりませんし,話せません(笑)」とのこと。

 冒頭で述べたように,GeForce 7シリーズは,GeForce 6の延長線上にある製品だ。これは,開発コードネームをかつての「NV〜」から「G〜」に変えても変わらない。ただ,GeForce 7800 GTX/GTの開発コードネームが「G70」である以上,NVIDIAの伝統にのっとれば,「G75」のようなコアを投入して,GeForce 7(もっといえばGeForce 6)世代の,さらなる延命を図ってくる可能性はある。
 Windows Vistaが予定どおり,2006年末に出てしまう(?)と,OSはDirectX 10/SM4.0に対応していても,フルにハードウェアで対応したグラフィックスチップは不在という事態が生じ得るのだ。

 Microsoftは,とにかく2006年内にWindows Vistaをリリースするという約束を守ったうえで,改めて「Longhorn+1」「同+2」といった,規模の大きなバージョンアップを予定しているという情報がある。もしかすると,2006年中はDirectX 9でしのいで,グラフィックスチップの用意ができた段階で,Windows Vista側がDirectX 10とSM4.0に対応してくるのかもしれない。だとすれば,向こう1年持つという意味で,いまグラフィックスカードを購入するというのは,悪くない選択になるが,果たしてどうなるだろう。このあたりは,ATIの意見も聞いてから判断してみたい。
(トライゼット 西川善司)

 



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