― レビュー ―
世界初のGDDR4対応GPUは,ゲーマーに何をもたらすのか
Radeon X1950 XTXリファレンスカード
Text by 宮崎真一
2006年8月29日

 

 2006年8月23日の記事でお伝えしたように,ATI TechnologiesはRadeon X1000シリーズに最上位モデル「Radeon X1950 XTX」を追加した。

 

Radeon X1950 XTX GPU。刻印は「R580」となっている

 Radeon X1950 XTXは,民生用デバイス史上初めてGDDR4グラフィックスメモリに対応したGPU(グラフィックスチップ)だ。詳細なスペックについては先ほど挙げたニュース記事を参照してほしいが,簡単に説明すると,「従来の最上位モデル『Radeon X1900 XTX』をベースに,メモリクロックを引き上げ,さらに冷却機構を見直した製品」ということになる。

 実際,650MHzという動作クロックや,搭載するシェーダユニット数はRadeon X1900 XTXとまったく同じ。Radeon X1950 XTXの開発コードネームは「R580+」とされているものの,リファレンスカードの刻印はRadeon X1900 XTXの開発コードネームである「R580」のままで,GPUコア自体はほとんど変わっていない可能性が高い。性能を左右するスペックに関しては,メモリクロックがRadeon X1900 XTXの1.55GHz相当から2GHz相当へ上がっただけ,という理解をしておいたほうがよさそうだ。

 

Radeon X1950 XTXリファレンスカードの表と裏。チップクーラーのデザインが変わったため,Radeon X1900 XTXリファレンスカードからはずいぶんと形状が変わった印象を受ける

 

 とはいえ,グラフィックスドライバ「Catalyst」のアップデート履歴を見ると,以前4GamerでRadeon X1900 XTXのレビューを行った2006年1月下旬と比べて,問題解決や最適化はかなり進んでいるように見える。そこで今回は,2006年8月下旬時点における,ハイエンドGPUのパフォーマンスを,シングルグラフィックスカード構成と,CrossFire,あるいやNVIDIA SLI(以下SLI)といったデュアルグラフィックスカード構成で,整理してみることにしよう。

 

 

Core 2 Duo&Intel 975X Express環境で
シングルカード&CrossFireスコアを計測

 

 これまで4Gamerでは,読者のゲーム用PCの構成を考え,ゲームに向いたCPUとしてAthlon 64 4000+/2.4GHzを利用してきた。ただ,デュアルコアCPUの一般化,そして4Gamerのテストで非常に高いスコアを叩き出したCore 2 Duoの存在を踏まえて,今後しばらくはCore 2 Duo E6700/2.66GHzを,ベンチマークテストの基本CPUとして据えることにしたい。

 さて,Core 2 Duo E6700を用いるに当たって,今回はマザーボードに,Intel 975X Express搭載のASUSTeK Computer(以下ASUSTeK)製「P5W DH Deluxe WiFi-AP」を用いることにした。Core 2 Duoを利用でき,CrossFire構成が可能なチップセットは,現時点ではIntel 975X Expressしか存在しないためだ。同チップセットの仕様上,CrossFire構成時,2本のPCI Express x16スロットはいずれも8レーン動作することになる。
 また,Intel 975X ExpressマザーボードではSLI構成のテストを行えないため,同じくASUSTeK製のnForce4 X16 Intel Editionマザーボード「P5N32-SLI SE Deluxe」を用意。データの整合性を取るため,両マザーボードでGeForce 7900 GTXのシングルカード構成テストを行い,そのうえでSLIのテストを実施する。
 2006年8月29日現在,市場には8レーン×2のSLIを実現するnForce 570 SLI搭載マザーボードが存在しているが,テスト実施時には販売されていなかった。このため,16レーン×2のSLIを実現するnForce4 X16 Intel Editionを利用してのテストになることをお断りしておく。スコアは若干,SLI有利に出るはずだ。

 

P5W DH Deluxe WiFi-AP
無線LANアクセスポイント機能を持つ,ハイエンドユーザー向け製品
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ コーポレーション(販売代理店)
news@unitycorp.co.jp
P5N32-SLI SE Deluxe
Core 2 Duo対応のnForce4 X16 Intel Edition搭載マザーボード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ コーポレーション(販売代理店)
news@unitycorp.co.jp

 

 Radeon X1950 XTXおよびCrossFire Editionは,今回リファレンスカードを用意。比較対照用としては,ASUSTeK製のRadeon X1900 XTX/同CrossFire Edition搭載製品,そして前出のGeForce 7900 GTX搭載カードを用意している。

 

Radeon X1900 CrossFire Edition(左)とRadeon X1900 XTX(右)の両リファレンスカードを並べてみた。外部インタフェースの形状以外,ぱっと見ただけでは違いはない EAX1900CROSSFIRE/2DH/512MB,EAX1900XTX/2DHTV/512MB
Radeon X1900 CrossFireを実現できる貴重な選択肢
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ コーポレーション(販売代理店)
news@unitycorp.co.jp

 

EN7900GTX/2DHT/512M
Splendidなど特殊機能搭載のハイエンドグラフィックスカード
メーカー:ASUSTeK Computer
問い合わせ先:ユニティ コーポレーション(販売代理店)
news@unitycorp.co.jp
ELSA GLADIAC 979 GTX Silent 512MB
2年のメーカー保証付きGeForce 7900 GTX搭載製品
メーカー:エルザジャパン
問い合わせ先:エルザジャパン
TEL:03-5765-7391

 

 このほかテスト環境はのとおり。注意してほしいのは,Radeonのドライバである。

 

6.8_8.282.1版ドライバをインストールした状態で,Catalyst Control Centerからバージョンを確認。Catalyst 6.7として認識されている

 Radeon X1950 XTX/CrossFire Editionリファレンスカードには,「6.8_8.282.1」というバージョンのドライバが付属しており,基本的にこれを利用してテストを行っている。これは,ファイル名からするとCatalyst 6.8スイートのRadeon X1950シリーズ対応版といった雰囲気なのだが,Catalyst上で確認すると,なぜかCatalyst 6.7扱いなのだ。
 そして,同ドライバを用いると,「F.E.A.R.」や「TrackMania Nation ESWC」(以下TMN),そして「Lineage II」において,いくつか不具合が見られた。とくに,TMNとLineage IIにおいては,Radeon X1900 CrossFire構成でゲームが起動しないという,かなり大きな問題に遭遇。このため――詳細は後述するが――一部でCatalyst 6.8を利用しているので,この点はご注意を。

 

 

 ベンチマークテストは4GamerのハードウェアベンチマークレギュレーションVersion 1.0に準拠しているが,CrossFire/SLIのパフォーマンスをよりはっきりと見るため,8xアンチエイリアシングと16x異方性フィルタリングを適用した状態(以下8x AA&16x AF)でもテストを行った。また,以下グラフ中では,スペースの都合で「Radeon」「GeForce」は省略し,「CrossFire」は「CF」,nForce4 X16 Intel Editionは「nF4」と表記する。

 

 

メモリ負荷が高くなると
Radeon X1950 XTXが有利な傾向に

 

Radeon X1950 XTXのスペック。コア650MHz,メモリ2GHz相当(1GHz DDR)と確認できる

 というわけで,まずは傾向を把握してみることにしよう。グラフ1は,シングルカード構成における「3DMark05 Build 1.2.0」(以下3DMark05)の結果である。
 3DMark05だと,低解像度においてRadeon X1950 XTXとRadeon X1900 XTXの差は付き難い傾向にあるようだ。しかし,解像度が高くなるにつれて,その差は広がっていく。これは,高解像度で必然的にデータが増えるため,2GHz相当で動作するGDDR4メモリが効いたと考えていいだろう。また,GeForce 7900 GTXのスコアが,Intel 975X ExpressとnForce4 X16 Intel Editionで,大きくは変わらないのも見て取れる。

 

 

 次に,CrossFire/SLI構成のスコアをグラフ2にまとめた。ここで注目したいのは,8x AA&16x AF時に,GeForce 7900 GTX SLIのスコアが低解像度で非常に高い点だ。これだけでは理由を判断できないため,あくまで推測になるが,低解像度では16レーン×2の“フルスペック”が有利に,高解像度ではグラフィックスメモリ周りが,スコアを左右している可能性はある。

 

 

 続いてグラフ3は「3DMark06 Build 1.0.2」(以下3DMark06)の,1280×1024ドット/標準設定のスコアをまとめたものである。3DMark05以上に負荷の高い3DMark06では,グラフィックスメモリの高い性能が,あまり高い解像度ではない1280×1024ドットでも,意味を持っているのが分かるだろう。

 

 

 

CrossFireのスケーリングはいま一つだが
シングルカードならGeForceと戦えるレベルに

 

 傾向,とくにGDDR4メモリの傾向が見えたところで,ゲームを利用した“本番”のベンチマークへ入っていこう。
 まずグラフ4は,シングルカード構成における「Quake 4」の結果である。4Gamerでは何度となく指摘しているように,Quake 4ではGeForce有利のスコアになりがち。実際,標準設定ではそのような傾向になっているわけだが,注目したいのは4xアンチエイリアシングと8x異方性フィルタリングを適用している高負荷設定のスコアだ。1024×768ドットではさすがにGeForce 7900 GTXが有利なものの,高解像度になるとそれが逆転している点は,非常に興味深い。

 

 

 同じくQuake 4を用いて,CrossFire/SLI構成時におけるスコアをまとめたのがグラフ5である。こちらはグラフ4における全体的な傾向をより顕著化させたといってよく,一言でまとめるなら,標準設定ではGeForce 7900 GTXSLIが有利,高負荷設定以上ではRadeon X1950 CrossFireが有利である。この結果をもとに「標準設定における,SLIの優秀さ」を評価するか,はたまた「高負荷設定/8x AA&16x AFにおけるRadeon X1950 CrossFireが持つメモリ性能の優秀さ」を評価するかは意見の分かれるところだろうが,全体として,Radeon X1950 CrossFireが,GeForce 7900 GTX SLIと“いい勝負”をしているのは事実だ。

 

 

 次に,同じFPSからF.E.A.R.のスコアである。グラフ6はシングルカード構成のものだが,まず,Radeon X1950 XTXとRadeon X1900 XTXの間には,わずかだが確実な差があること,そして,高解像度になるとRadeon X1900 XTXとGeForce 7900 GTXの間も差が開いてくることが見て取れよう。
 Radeon X1900 XTXの高負荷設定時に,1024×768ドットで突出した値が出ているが,こうなっているのは,前述したドライバの不具合でAAやAFが有効になっていないためである。

 

 

 グラフ7で,Radeonのスコアはさらに混迷の度を深める。
 CrossFire構成において,1024×768ドット設定時に,Radeon X1950 CrossFireは77fps前後,Radeon X1900 CrossFireは68fpsで,何度計測し直してもなぜかスコアが固定されてしまった。Catalyst 6.7以降では,「強制的にAFR(Alternate Frame Rendering)を指定する」ことが可能になったので試してみたが,効果はなかったことも付記しておきたい。

 それ以外を見てみると,8x AA&16x AFで,リングバスを採用するRadeon X1950/X1900シリーズのメリットが現れているものの,基本的にはGeForce 7900 GTX SLIの完勝。8レーン/16レーンの違いを持ち出すまでもなく,ドライバが原因で勝負になっていない印象だ。標準設定の1280×960ドットでは,GeForce 7900 GTXに迫るなど,注目すべきスコアも出ているだけに,早急な問題解決を期待したい。

 

 

 続いて,シングルカード構成におけるTMNのスコアだ(グラフ8)。前述したドライバの不具合は,シングルカード構成だと出ていないので,ここでのスコアは信頼がおけるはずである。
 もっとも,ハイエンドグラフィックスカードにとって,TMNは負荷が軽すぎるためか,差はほとんどない。Radeon X1950 XTXとRadeon X1900 XTXの間にも差はなく,言えるのは「高負荷設定ではGeForce 7900 GTX有利」という点くらいであろう。まあ,TMNでは平均60fpsも出れば合格なので,「高負荷設定で1920×1200ドットにしない限り,Radeon X1950 XTXでもGeForce 7900 GTXでも性能的には問題ない」とも言えるわけだが。

 

 

 しかし,CrossFire/SLI構成時のグラフは一変する(グラフ9)。前述したドライバの問題により,Radeon X1900 CrossFireのスコアはCatalyst 6.8を利用して取得したものなので,参考程度になるが,それはそれとして,Radeon X1950 CrossFireは,シングルカード構成と比べてスコアが確実に伸びており,この点は評価に値する。……するのだが,残念なことに(?)GeForce 7900 GTX SLIのスケーリングは,それよりはるかに優秀。標準設定の1024×768ドットで100fps近い差を付けられてしまっては,GDDR4や,メモリ性能の優秀さで知られるリングバスアーキテクチャの出番などないのだった。

 

 

 最後にLineage IIのスコアである。グラフ10はシングルカード構成,グラフ11はCrossFire/SLI構成のものだが,グラフを見る前に,いくつかお断りを。
 まず,これはいつものことだが,Lineage IIのテストではHDRレンダリングが有効になっているため,GeForce 7シリーズだと高負荷設定のスコアを取得できない。次に,デュアルグラフィックスカード構成において,リファレンスカード付属のドライバで無事にスコアを取れたのがRadeon X1950 CrossFireだけだったため,高負荷設定および8x AA&16x AFのスコアは取得していない。

 以上を踏まえて改めて見ていくことにするが――もともとLineage IIはRadeon有利とはいえ――シングルカード構成におけるRadeon X1950のスコアは優秀だ。また,高負荷設定を行っても,スコアがほとんど落ちない点は特筆に値する。あまりにも落ちないので,アンチエイリアシングが効いていないのではないかと不安になったほどである(※効いているのを目視で確認している)。
 ただ,CrossFire構成では,話が変わってくる。高負荷設定以上でマトモにスコアが取れないうえに,スコアが取れている標準設定でも,シングルカード以下のスコアになってしまっているのだ。F.E.A.R.のときと同様,Catalyst A.I.から手動でAFR設定を行っても効果なし。結論として,Lineage IIにおけるCrossFireは,現時点は無用と言わざるを得ない。

 

 

 

 

GDDR4効果で消費電力は確実に低減
チップクーラーも静かに

 

Radeon X1900 XTXリファレンスカードは,Samsung Electronics製の「K4U52324QE-BC09」を8枚搭載し,容量512MBを実現していた。0.9ns品なので,チップスペック上は,2.2GHz相当でも動作可能

 8月23日の記事8月23日の記事でも説明したように,駆動電圧の低いGDDR4を利用したRadeon X1950 XTXは,理論上,消費電力の面で有利になる。そこで,OS起動後30分間放置した状態を「アイドル時」,30分間3DMark05をリピート実行した状態を「高負荷時」とし,それぞれの状態におけるシステム全体の消費電力をワットチェッカーで測定した。その結果をまとめたのがグラフ12だ。

 まず,グラフのアイドル時における上から3本めと4本めを見てほしい。これはいずれもGeForce 7900 GTXのシングルカード構成なのだが,機材調達スケジュールの都合上,Intel 975X ExpressシステムはSkyHawk「GM-600WP-R」(定格600W),nForce4 X16 Intel EditionシステムはEnermax製の「EG851AX-VH 660W」(定格660W)と,マザーボードだけでなく,電源ユニットも異なるのだ。このため,nForce4 X16 Intel Editionシステムはかなり不利になっているので,GeForce 7900 GTXのスコアは参考程度に捉えてほしい。

 Intel 975X Expressシステム上で比較すると,GDDR4搭載の効果は,とくに高負荷時で出ているようだが,それでもGeForce 7900 GTXよりも消費電力がかなり高いという問題そのものの解決は見ていない。Radeon X1950 XTXを利用するには,容量の大きな電源ユニットが必須となるだろう。

 

 

 グラフ13は,グラフ12と同条件でGPU温度を,Catalyst Control CenterもしくはNVIDIAコントロールパネルからチェックした結果だ。アイドル時は最低温度を,高負荷時は最高温度をスコアとした。また,CrossFireとSLIのスコアは,「GPU 1」のスコアを代表して掲載している。
 グラフを見る限り,Radeon X1950 XTXリファレンスカードの新型クーラーの威力はいま一つといった印象を受けるかもしれない。現に,GeForce 7900 GTXカードが搭載するクーラーは優秀なので,よけいにそう感じる人もいるだろう。

 

 

 ただ,Radeon同士で比較すると,Radeon X1950 XTXのクーラーは,静かな印象を受ける。これは厳密に測定したわけではなく,多分に筆者の主観によるものなので,読者が同じように感じると保証はできないが,高負荷時の風切り音が,かなり静かになったように感じた点は,評価していいのではなかろうか。

 

Radeon X1950 CrossFire Editionのチップクーラーを取り外してみた。チップクーラーは,メモリヒートシンク部と,ヒートパイプ付きフィン,そしてトンネル状のカバー付きファン部に分かれていた。GPUの熱はヒートパイプでフィンに送られ,ファンの風で一気にケース外へ排出される仕様だ。メモリチップへの冷却はケース内の対流に任されているので,横から風を送ってあげたほうがいいかもしれない

 

 

CrossFireは相変わらず微妙だが
ようやくGeForce 7900 GTXのライバルに

 

 ここまで見てきて,最初に指摘すべきは,CrossFireの完成度には相変わらず疑問が残ることだ。今回はリファレンスカードに付属のドライバを使っているということで「安定版のCatalystスイートではない」という割引材料はあるが,それでも,この不安定な結果を持って,ハイエンドのグラフィックスカード2枚分のコストをかける価値があるかといえば,ことゲームにおいては「ない」と言うほかない。

 ……と,遺憾ながらいつものCrossFire評を繰り返すことになったが,気を取り直してシングルグラフィックスカード構成についてまとめてみよう。
 最近,Radeonシリーズは,3DMark05などのベンチマークテストでは高いスコアを出す一方,ゲームではそれほどでもないという状況が続いていた。また,“内外価格差”が激しく,カナダ本社の示す搭載カードの予想売価のまま店頭に登場することはほとんどない状態。正直,かなりの割高感があった。

 

Radeon X1900 XTX搭載カード(右)と比較。カード長は同じだが,より静かになったチップクーラーは写真奥まで伸びているので,スペースには気を配りたい

 だが,今回のRadeon X1950 XTXは,まず性能面で,ようやくGeForceの最上位モデルと伍して行けるようになったといえる。とくにLineage IIにおけるスコアは優秀であり,「エフェクトやフィルタリングを多用したほうがより楽しめる」タイプのゲームにおいては,Radeon X1950 XTXには十分なメリットがあると言っていいだろう。細かな点だが,チップクーラーが変更になって,静かに感じられるようになった点もポイントが高い。

 また,価格面でも,449ドルという搭載カードの予想売価に対し,CFD販売の玄人志向ブランドが6万円前後での販売を予告しており,海外と比べて圧倒的に高価という事態は回避できそうな気配。8月23日の記事で紹介している「GeForce 7900 GTX搭載カードの想定売価は515ドルなので,Radeon X1950 XTXのほうが安価」というATI Technologiesの主張は,「GeForce 7900 GTXカードは発売から時間が経って安価になり,2006年8月下旬時点では5万円台後半で販売されているものもある」という事実を前にするとインパクトに欠けるが,最上位モデルの初値としては,十分に安価だ。少なくとも,Radeon X1900 XTXの「店頭価格8〜9万円が当たり前」という状況からは,かなりの改善を見るものと思われる。

 性能だけでなく,価格面でも,ようやくGeForce 7900 GTXのライバルが登場してきたといえよう。市場的には手遅れかもしれないが,Radeon X1800 XTやRadeon X1900 XTXはさまざまな理由でさすがに手が出なかったという“ATI派”には,魅力的な製品ではないだろうか。

 

タイトル ATI Radeon X1900
開発元 AMD(旧ATI Technologies) 発売元 AMD(旧ATI Technologies)
発売日 2006/01/24 価格 製品による
 
動作環境 N/A

(C)2006 Advanced Micro Devices Inc.

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/review/radeon_x1950_xtx/radeon_x1950_xtx.shtml