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印刷2009/4/28 12:00

特集

Text by Jo_Kubota

■更新履歴

 4Gamerでは,独自の基準を設けて,ハードウェアのベンチマークテストを行っている。2006年6月までは,スペースの都合上,各レビュー記事中で簡単な説明を行うに留めていたが,ここで改めてレギュレーション(=規定)を示しておきたい。ベンチマークテストのスコアを理解する一助になれば幸いだ。


「Gamers’ Benchmark」を謳う3DMarkシリーズ(画面は「3DMark03」より)

 ベンチマークテストというものをざっくりと説明するなら,それは「テスト対象の性能を見るもの」ということになる。だが,そもそもの話として,ベンチマークテストで得られる「スコア」は,ある側面のみを見るものであって,テスト対象となる製品の性能すべてを示すものではない。
 Futuremarkの3DMarkシリーズを例にとって考えてみよう。 これは,PCの3D性能というものに興味を持った人のすべてが一度は試すアプリケーションと言ってもいい。しかし,いくら多くの人が利用するベンチマークアプリケーションだからといって,「3DMarkの総合スコアが○○以上であれば,あらゆるゲームが快適に動作する」とは言えないのだ。

 これはなぜかというと,「3DMark06」や「3DMark Vantage」などといったベンチマークアプリケーションと,実際のゲームアプリケーションでは,使われているAPI,あるいはその活用度合いが異なるからである。
 APIとは「Application Program Interface」の略。あるソフトウェアを開発するときに利用可能な命令や関数を集めたもののことだ。
 現在流通しているPCゲームのほとんどが,要求スペックにDirectXのバージョンを挙げているのは,ゲームの製品パッケージや公式Webサイトで見たことがあると思うが,DirectXは,ゲーム(やマルチメディア)用のAPIである。ゲームでDirectX 9.0c以上が要求されている場合,そのゲームはDirectX 9.0cの命令や関数を利用しているということになる。

 


HDRレンダリングを多用した3DMark06

 だが,DirectX 9.0cの何をどれくらいの頻度で利用しているかは,ゲームによって異なる。DirectX 9.0c対応といっても,実質的には下位互換性のあるDirectX 8.1世代のAPIしか利用していないゲームがある一方で,DirectX 9で本格化したHDR(High Dynamic Range)レンダリングなどを積極的に採用したタイトルもあるのだ。これは当然,3DMark05/06と100%同じではない。
 つまり,評価対象となるグラフィックスカードやCPUの性能を見るためには,実際のゲームタイトルを複数用意して,設定を変えたりしながらテストを行うことで,「ゲームタイトルによって生じるパフォーマンス傾向の違い」をまとめ,そこから全体を鳥瞰できるような指標を用意するほかないのである。

 以上を踏まえて,4Gamerのハードウェアレビュー方法について,順に説明していくことにしたい。
 ゲームタイトルについては,適宜見直しを行っているので,追加されたり削除されたりすることがある。そういったアップデートについては基本的にこのページでコメントしていくので,ハードウェアレビュー記事を読むときには,このページも同時にチェックしてもらえれば幸いだ。

「標準設定」と「高負荷設定」


ATI Catalyst Control Center(上)とNVIDIAコントロールパネル(下)

 4Gamerでは,「標準設定」と呼ぶ状態と,グラフィックスカード(≒GPU)に負荷をかけた「高負荷設定」という状態の2パターンでテストを行っている。
 標準設定は,海外のレビューサイトで「Pure Performance」と呼ばれることの多い設定。要するに,垂直同期を無効化するのを除いて,ドライバのデフォルト設定そのままである。一方の高負荷設定は,4x AA(4x Anti-Aliasing)と8x AF(8x Anisotropic Filtering)という,ゲームプレイにおいて現実的なレベルのアンチエイリアシングと異方性フィルタリングを行うことで,ミドルクラス以上のグラフィックスカードを用いて実際にゲームをプレイするうえでの描画設定に近いものとしている。

 高負荷設定におけるアンチエイリアシングと異方性フィルタリングは,基本的にドライバ側――ATI Radeonファミリーなら「ATI Catalyst Control Center」,GeForceファミリーなら「GeForce Driver」(旧称:ForceWare)――で設定する。ただし,最新世代のGPUをテストする場合,β版ドライバを使うことが多く,設定が反映されないこともあるので,基本的には「ドライバ側の設定を優先しつつも,ゲームアプリケーション側の設定も行う」スタンスを取る。
 また,ATI Catalyst Control Center,GeForce Driverとも,アンチエイリアシングや異方性フィルタリング以外の設定が多く用意されているが,両者でその項目,効果はまったく異なるため,あえて変更したりはしない。

 というわけで,ATI Catalyst Control CenterとGeForce Driverそれぞれの詳細な設定は以下のとおり。本稿では以下,手動で設定したものを赤字,テストの項目によって変更する必要のある項目を緑字で表記する。
 ATI Catalyst Control Centerの場合,標準インストールだと英語表記(追加で日本語版ATI Catalyst Control Centerをインストールする必要がある)ため,基本的に日本語表記を採用しつつ,[ ]内に英語表記も併記した。

ATI Catalyst Control Center「3D−すべての設定[All Settings]」

  • アンチエイリアシング[Anti-Aliasing]:アプリケーションによって決定[Let the application decide]
  • 異方性フィルタリング[Anisotropic Filtering]:アプリケーションによって決定[Let the application decide]
  • Catalyst A.I.:標準[Standard]
  • ミップマップ詳細レベル[Mipmap Detail Level]:高画質[High Quality]
  • 垂直リフレッシュを待機[Wait for vertical refresh]:常にオフ[Always Off]
  • 適応アンチエイリアシング[Adaptive Anti-Aliasing]:適応アンチエイリアシングを有効にする,のチェックを外す
  • Catalyst Control Center「ディスプレイオプション[Display Options]」
  • 3D refresh Rate Override:Disable(※垂直同期無効)

NVIDIAコントロールパネル(3D設定−グローバル設定)

  • OpenGLのスレッド:自動
  • OpenGLエラーレポートを無視します:オフ
  • mipmapを強制する:なし
  • アンチエイリアシング設定:なし
  • イメージの設定:クォリティ
  • トリプルバッファリング:オフ
  • トリリニア最適化:オフ
  • ネガティブLODバイアス:オフ
  • ハードウェアアクセラレーション:シングルディスプレイパフォーマンスモード
  • 垂直同期:強制オフ
  • 対応テクスチャクランプ:オン
  • 拡張制限:オフ
  • 異方性サンプル最適化:オフ
  • 異方性フィルタリング:オフ
  • 異方性最適化:オン

ATI Catalyst Control Center

  • アンチエイリアシング[Anti-Aliasing]:4x
  • 異方性フィルタリング[Anisotropic Filtering]:8x

NVIDIAコントロールパネル

  • アンチエイリアシング設定:4x
  • 異方性フィルタリング:8x

ATI Tray Toolsは,文字どおりタスクトレイから利用できるツール。「Wait for Vertical Sync」から垂直同期の設定を行える


ATI Catalyst 8.3で,「垂直リフレッシュを待機」の項目が利用できるようになった

 なお過去しばらくの間,ATI Catalyst Control Centerには垂直同期を明示的かつ強制的にオフにする項目がなく,一部のゲームアプリケーションで「ディスプレイのリフレッシュレートの値でフレームレートが頭打ちになる」問題が生じていたが,この問題は「ATI Catalyst 8.3」で「選択項目の復活」という形で解決を見た。4Gamerでは,正しく動作することを確認済みだ。
 ただし,ゲームタイトルや,今後のATI Catalystによっては同種の問題が起こらないとも限らないので,その場合は断りを入れたうえで,Ray Adams氏作のフリーソフトウェア「ATI Tray Tools」を使って垂直同期を切ることにする。ATI Tray Toolsの英語版公式ページは「The Guru of 3D」に用意されているから,4Gamerのベンチマークレギュレーション準拠でテストを行う場合は,必要に応じて入手してほしい。

 ちなみに垂直同期に絡んだ問題はGeForce Driverでもまれに確認されるが,こちらはNVIDIAコントロールパネルにある「垂直同期」の項目をいったん「アプリケーションによるコントロール」に変更して[適用]ボタンを押し,あらためて「強制オフ」→[適用]。その後システムを再起動すれば解決するはずだ。

 OS側の設定にも言及しておこう。OSは基本的に,Windows XP Professional日本語版,もしくは32/64bit版Windows Vista Ultimateから,テストごとに最適なものを選択して利用。テストの前には,サービスパックも含め,Microsoftから提供されるアップデートをすべて適用した状態にする。もちろん,DirectX Runtimeも最新版を適用した状態にするが,それ以外は,下記の項目を手動背で設定するのみで,基本姿勢として,必要以上にOSの設定を変更することはしない。

  • スクリーンセーバー:無効
  • モニタの電源を切る:無効
  • デスクトップ解像度:1024×768ドット(32bitカラー)

 最後にマザーボード側の設定だが,まずメモリタイミングは,レビューによって異なる。完全に統一するのが理想ではあるものの,テスト用機材のなかには「構成の変更不可」という条件で貸し出されるものが一部存在するため,これについては毎回,レビュー記事中で言及したい。
 Cool’n’QuietやEnhanced Intel SpeedStep Technology(EIST),データ実行防止(DEP)などといったCPUの省電力機能や拡張機能は基本無効とし,有効時はレビュー記事中で言及する。また,マザーボードが自動オーバークロック機能を持つ場合,それも無効化する。

電力&温度測定

 4Gamerのハードウェア検証では,個別にシステム全体の消費電力,およびGPUやCPUの温度計測を行ってきた。今後もその方針に変更はないが,レギュレーション6以降では,そのテスト方法に,一定の基準を設けることにしている。


RealPowerPro 1250W
安定感の高い1250W電源ユニット
メーカー&問い合わせ先:Cooler Master

 レギュレーション6〜7世代で採用するのは,PCI Express用8ピンコネクタを持ち,3-way NVIDIA SLIにも対応可能な,Cooler Master製の定格1250W電源ユニット「RealPowerPro 1250W」。同社の協力により,2台を利用することができているので,基本的には本製品を用いてテストを行っていく。ノートタイプなど,専用電源を採用したPCのテスト時や,PCケースの検証時で,RealPowerPro 1250Wが物理的に入らない(※1000W超級ということで,同製品は大型だ)場合はその限りでないが,その場合には適宜お断りしていきたい。

レギュレーションで用いる電源ユニットの履歴
  • レギュレーション7.0:Cooler Master RealPowerPro 1250W
  • レギュレーション6.0:Cooler Master RealPowerPro 1250W
  • レギュレーション5以前:非統一

編集部で独自に用意したWatts up? PRO。USBでPCと接続し,ログを取得できる

 また,システム全体の消費電力測定には,4Gamerで独自に用意したElectronic Educational Devices製ワットチェッカーで,消費電力の変化を30分以上にわたってロギングできる「Watts up? PRO」を用いる。そして,OS起動後30分放置した時点を「アイドル時」,各アプリケーションベンチマークテストを通じて,最も高い消費電力値を記録した時点を「(各アプリケーションの)実行時」として,それぞれのスコアを記録する。
 なお,アイドル時の消費電力測定において,各種省電力機能の有効化を行う場合には,テスト時に明示したい。


USB経由でデータを転送し,「Watts Up USB Data Logger」からデータをチェックできるのが,Watts Up? PRO最大の特徴だ。左はデータ転送中の様子。取得したデータは右のように表示され,グラフ化したりもできるが,4GamerではMicrosoft Excel互換のテキスト形式で保存している


HWMonitor Pro。最新製品への対応が早く,温度のほか動作電圧やファン回転数もモニタリング可能だ

 GPUやCPUの温度測定には,CPUID製のハードウェアモニタリングソフトウェア「HWMonitor Pro」の最新版を優先的に用いる。HWMonitor Proは,PCを構成する各デバイスの動作電圧や温度,ファン回転数をロギング可能。これを用いて,アイドル時と「高負荷時」のスコアを取得するわけだ。ただし,HWMonitor Proで対応できない場合は,その旨を断ったうえで別のツールを用いることがある。

 テストに用いるアプリケーションと設定は下記のとおり。

  • GPU温度測定:3DMark06のデフォルト設定(※1280×1024ドット,標準設定)を30分間連続実行
  • CPU温度測定:CPUとメインメモリに高い負荷をかけ続け,システム全体の安定性を調べるためのGIMPS製ソフトウェア「Prime95」を,30分間連続実行

 いずれの場合でも,最も高い温度値をスコアとする。

 ……と,ここまでが基礎的な設定項目となる。当然ながら,ドライバ内の表記は,アップデートに伴って変化する可能性を排除できないが,それは適宜対処するとして,注目してほしいのは下のプルダウンメニューだ。2006年7月以降,グラフィックスカードやCPUのテストでは,基本的にこのプルダウンメニューで選択できるレギュレーションのバージョンを指定して,テスト方法説明の代わりとする。このため,レビュー記事からのリンクでこのページにたどり着いた人は,レビュー記事で言及されているバージョンを選択してほしい。

 先に示したプルダウンメニューから参照できる具体的なテスト方法については,読者の環境で同じことをすれば,比較可能な結果が出るよう配慮して記述したつもりだ。しかし実際には,4Gamerのレビュー記事とまったく同じ型番のハードウェアを用意しても,読者のシステムで同じスコアは出ないかもしれない。

 


テスト用システムのデスクトップ

 これはなぜかというと,4Gamerではハードウェアレビューに当たって,必ずOSをクリーンインストールし,しかもベンチマークテストに必要なアプリケーションだけをインストールしているからだ。一般に,使い込んだOSよりも,“まっさらな”OSのほうが,3Dパフォーマンスは高く出やすい。
 また,PCのハードウェアには個体差があり,同じメーカーで,同じ型番のハードウェアでも,厳密には別の個体なので,パフォーマンスには微妙な差が現れる可能性がある。

 だが,冒頭で述べたように,ベンチマークは“傾向”を知るための手段だ。4Gamerのスコアと読者の環境で,若干の違いが出ることは,言ってしまえば大きな問題ではない。むしろ重要なのは,どんな傾向をそこから読み取るか,である。グラフ一つ一つで判断するのではなく,レビューは総合的に見てもらえれば幸いだ。

 なお,冒頭でテスト対象ゲームタイトルの更新について言及したが,タイトルごとの具体的なテスト方法も,何か問題が発生したり,より正確な計測手段が見つかったりした場合にはアップデートしていく。アップデートの詳細は本文の冒頭に履歴として掲載するので参考にしてほしい。また,ベンチマーク方法についての質問や疑問は,知らせてもらえれば適宜対応したいと思う。
 その意味で,このページは将来的にどこまでも未完成である。4Gamerのハードウェアレビューに興味のある人は,まめにチェックしてみてほしい。

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