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印刷2008/03/18 17:26

特集

Text by Jo_Kubota

 4Gamerでは,独自の基準を設けて,ハードウェアのベンチマークテストを行っている。2006年6月までは,スペースの都合上,各レビュー記事中で簡単な説明を行うに留めていたが,ここで改めてレギュレーション(=規定)を示しておきたい。ベンチマークテストのスコアを理解する一助になれば幸いだ。


「Gamers’ Benchmark」を謳う3DMarkシリーズ(画面は「3DMark03」より)

 ベンチマークテストというものをざっくりと説明するなら,それは「テスト対象の性能を見るもの」ということになる。だが,そもそもの話として,ベンチマークテストで得られる「スコア」は,ある側面のみを見るものであって,テスト対象となる製品の性能すべてを示すものではない。
 Futuremarkの3DMarkシリーズは,PCの3D性能というものに興味を持った人のすべてが一度は試すアプリケーションと言ってもいいだろう。しかし,いくら多くの人が利用するベンチマークアプリケーションだからといって,「3DMarkの総合スコアが○○以上なら,すべてのゲームが快適に動作する」とは言えないのだ。

 これはなぜかというと,「3DMark05」や「3DMark06」などといったベンチマークアプリケーションと,実際のゲームアプリケーションでは,使われているAPI,あるいはその活用度合いが異なるからである。
 APIとは「Application Program Interface」の略。あるソフトウェアを開発するときに利用可能な命令や関数を集めたもののことだ。
 現在流通しているPCゲームのほとんどが,要求スペックにDirectXを挙げているのは,ゲームの製品パッケージや公式Webサイトで見たことがあると思うが,DirectXは,ゲーム(やマルチメディア)用のAPIである。ゲームでDirectX 9.0c以上が要求されている場合,そのゲームはDirectX 9.0cの命令や関数を利用しているということになる。

 


HDRレンダリングを多用した3DMark06

 だが,DirectX 9.0cの何をどれくらいの頻度で利用しているかは,ゲームによって異なる。DirectX 9.0c対応といっても,実質的には下位互換性のあるDirectX 8.1世代のAPIしか利用していないゲームがある一方で,DirectX 9で本格化したHDR(High Dynamic Range)レンダリングなどを積極的に採用したタイトルもあるのだ。これは当然,3DMark05/06と100%同じではない。
 つまり,評価対象となるグラフィックスカードやCPUの性能を見るためには,実際のゲームタイトルを複数用意して,設定を変えたりしながらテストを行い,ゲームごとの指標を作っていくしかないのである。

 以上を踏まえて,4Gamerのハードウェアレビュー方法について,順に説明していくことにしたい。
 ゲームタイトルについては,適宜見直しを行っているので,追加されたり削除されたりすることがある。そういったアップデートについては基本的にこのページでコメントしていくので,ハードウェアレビュー記事を読むときには,このページも同時にチェックしてもらえれば幸いだ。



ATI Catalyst Control Center(上)とNVIDIAコントロールパネル(下)

 4Gamerでは,「標準設定」と呼ぶ状態と,グラフィックスカード(≒GPU)に負荷をかけた状態の2パターンでテストを行っている。
 前者は,海外のレビューサイトで「Pure Performance」と呼ばれることの多い設定で,垂直同期をオフにする以外,基本的にはドライバのデフォルト設定そのままにしてある。一方後者は,比較的現実的なレベルでアンチエイリアシング&異方性フィルタリング設定を行うことで,ミドルレンジ以上のグラフィックスカード(など)を用いて実際にゲームをプレイするに当たっての描画設定に近いものとした。
 ただし,詳細な設定に関しては「ATI Catalyst」のUI(ユーザーインタフェース)「ATI Catalyst Control Center」と,「ForceWare」のUI「NVIDIAコントロールパネル」で項目がまったく異なるため,ATI Technologies(以下ATI)とNVIDIA,あるいはほかのメーカーのGPU(グラフィックスチップ)を比較するに当たっては,最も基本的なフィルタリングレベルの変更のみに留める。

 ところでこれまで後者に関しては,レビューごとに設定を変更してきたが,2006年7月以降は,とくに断りのない限り,4x AA(4xアンチエイリアシング)と8x AF(8x異方性フィルタリング)を中心に,設定を決め打ちし,これを「高負荷設定」と呼ぶ。それぞれの詳細な設定は以下のとおりで,本稿では以下,手動で設定したものを赤字,テストの項目によって変更する必要のある項目を緑字で表記する。
 ATI Catalyst Control Centerの場合,標準インストールだと英語表記(追加で日本語版ATI Catalyst Control Centerをインストールする必要がある)ため,基本的に日本語表記を採用しつつ,[ ]内に英語表記も併記した。


ATI Tray Toolsは,文字どおりタスクトレイから利用できるツール。「Wait for Vertical Sync」から垂直同期の設定を行える


ATI Catalyst 8.3で,「垂直リフレッシュを待機」の項目が利用できるようになった

 なお過去しばらくの間,ATI Catalyst Control Centerには垂直同期を明示的かつ強制的にオフにする項目がなく,一部のゲームアプリケーションで「ディスプレイのリフレッシュレートの値でフレームレートが頭打ちになる」問題が生じていたが,この問題は「ATI Catalyst 8.3」で「選択項目の復活」という形で解決を見た。4Gamerでは,正しく動作することを確認済みだ。
 ただし,ゲームタイトルや,今後のATI Catalystによっては同種の問題が起こらないとも限らないので,その場合は断りを入れたうえで,Ray Adams氏作のフリーソフトウェア「ATI Tray Tools」を使って垂直同期を切ることにする。ATI Tray Toolsの英語版公式ページは「The Guru of 3D」に用意されているから,4Gamerのベンチマークレギュレーション準拠でテストを行う場合は,必要に応じて入手してほしい。

 ちなみに垂直同期に絡んだ問題はForceWareでもまれに確認されるが,こちらはNVIDIAコントロールパネルにある「垂直同期」の項目をいったん「アプリケーションによるコントロール」に変更して[適用]ボタンを押し,あらためて「強制オフ」→[適用]。その後システムを再起動すれば問題ないはずだ。

ATI Catalyst Control Center「3D−すべての設定[All Settings]」

  • アンチエイリアシング[Anti-Aliasing]:アプリケーションによって決定[Let the application decide]
  • 異方性フィルタリング[Anisotropic Filtering]:アプリケーションによって決定[Let the application decide]
  • Catalyst A.I.:標準[Standard]
  • ミップマップ詳細レベル[Mipmap Detail Level]:高画質[High Quality]
  • 垂直リフレッシュを待機[Wait for vertical refresh]:常にオフ[Always Off]
  • 適応アンチエイリアシング[Adaptive Anti-Aliasing]:適応アンチエイリアシングを有効にする,のチェックを外す
  • Catalyst Control Center「ディスプレイオプション[Display Options]」
  • 3D refresh Rate Override:Disable(※垂直同期無効)

NVIDIAコントロールパネル(3D設定−グローバル設定)

  • OpenGLのスレッド:自動
  • OpenGLエラーレポートを無視します:オフ
  • mipmapを強制する:なし
  • アンチエイリアシング設定:なし
  • イメージの設定:クォリティ
  • トリプルバッファリング:オフ
  • トリリニア最適化:オフ
  • ネガティブLODバイアス:オフ
  • ハードウェアアクセラレーション:シングルディスプレイパフォーマンスモード
  • 垂直同期:強制オフ
  • 対応テクスチャクランプ:オン
  • 拡張制限:オフ
  • 異方性サンプル最適化:オフ
  • 異方性フィルタリング:オフ
  • 異方性最適化:オン

ATI Catalyst Control Center

  • アンチエイリアシング[Anti-Aliasing]:4x
  • 異方性フィルタリング[Anisotropic Filterring]:8x

NVIDIAコントロールパネル

  • アンチエイリアシング設定:4x
  • 異方性フィルタリング:8x

 OS側の設定にも言及しておこう。OSはWindows XP日本語版を採用し,サービスパックも含め,レビュー時の最新状態にアップデートする。また,DirectXはMicrosoftの英文Webサイトからダウンロードできる最新版を利用。この状態で,以下の項目のみ手動で設定し,ほかはOSセットアップ時のまま用いる。

  • スクリーンセーバー:無効
  • モニタの電源を切る:無効
  • デスクトップ解像度:1024×768ドット(32bitカラー)

 最後にマザーボード側の設定だが,まずメモリタイミングは,レビューによって異なる。完全に統一するのが理想ではあるものの,テスト用機材のなかには「構成の変更不可」という条件で貸し出されるものが一部存在するため,これについては毎回,レビュー記事中で言及したい。
 Cool’n’QuietやEnhanced Intel SpeedStep Technology(EIST),データ実行防止(DEP)などといったCPUの省電力機能や拡張機能は基本無効とし,有効時はレビュー記事中で言及する。また,マザーボードが自動オーバークロック機能を持つ場合,それも無効化する。

 ……と,ここまでが基礎的な設定項目となる。当然ながら,ドライバ内の表記は,アップデートに伴って変化する可能性を排除できないが,それは適宜対処するとして,注目してほしいのは下のプルダウンメニューだ。2006年7月以降,グラフィックスカードやCPUのテストでは,基本的にこのプルダウンメニューで選択できるレギュレーションのバージョンを指定して,テスト方法説明の代わりとする。このため,レビュー記事からのリンクでこのページにたどり着いた人は,レビュー記事で言及されているバージョンを選択してほしい。

Windows Vistaをどうするか?〜2008年3月編

 ところで,4Gamerは「ゲーマー」のためのWebサイトであり,ハードウェアレビューやテストレポートにおいても同様のスタンスを取っている。これは,オフィス系やエンコード系のベンチマークテストを基本的に行わないあたりからも察してもらえると思うが,そのスタンスを取る以上,OSに関しても「テスト時点における主流のゲーム環境」を勘案して選択することになる。そして,読者アンケートの結果を踏まえるに,2007年末時点においてそれは間違いなくWindows XPだ。Windows Vista Service Pack 1が一般ユーザーにリリースされた2008年3月以降も,4Gamerのベンチマークレギュレーションでは引き続きWindows XP――正確にはWindows XP+Service Pack 2――を採用する。

 


 ……と,力強く断言したいのはやまやまなのだが,いま述べたService Pack 1のリリースをもって生じる“PC業界全体がWindows Vista環境へ移行する流れ”に,抗(あらが)えなくなってきているのも,認めざるを得ない。
 より高性能のハードウェアを求めつつ,ソフトウェア周りは枯れて安定した環境を求めるPCゲーマーの特性は,もちろん最大限尊重されるべきだ。4Gamerとしても,読者がWindows XPを使い続ける限り,テスト環境として同OSを使い続けたい。しかし,新製品を検証するという観点からは,そうも言っていられなくなってきているのである。

 例えばAMDがドライバスイート「ATI Catalyst 8.3」で導入した新機能の多くは(少なくとも当面の間)Windows Vista環境でしかサポートされない。NVIDIAも「3-way NVIDIA SLI」のサポート対象をWindows Vista環境に絞っているほか,最近は各社の技術ドキュメントもWindows Vista環境が前提となってきたりといった現実もある。「Windows XP環境ではテストすらできない」「テスト環境としてWindows XPが想定されていない」状況が,少しずつ,確実に増えてきており,2008年3月以降の新製品検証記事では,Windows Vistaを利用しなければならないケースがますます増えるだろう。

 もちろん,軸足はWindows XPに置いたうえで,Windows Vistaを利用する場合は明示する。また,テストに当たってゲームの設定がレギュレーションと異なることがあれば,記事中でお断りをするので,大きな混乱を生むことはないと思われるが,今後,4Gamerのハードウェアレビューやテストレポートを読み進めるうえでは,しばらくの間,OSがWindows XPなのかWindows Vistaなのかを注意してもらえれば幸いだ。

 先に示したプルダウンメニューから参照できる具体的なテスト方法については,読者の環境で同じことをすれば,比較可能な結果が出るよう配慮して記述したつもりだ。しかし実際には,4Gamerのレビュー記事とまったく同じ型番のハードウェアを用意しても,読者のシステムで同じスコアは出ないかもしれない。

 


テスト用システムのデスクトップ

 これはなぜかというと,4Gamerではハードウェアレビューに当たって,必ずOSをクリーンインストールし,しかもベンチマークテストに必要なアプリケーションだけをインストールしているからだ。一般に,使い込んだOSよりも,“まっさらな”OSのほうが,3Dパフォーマンスは高く出やすい。
 また,PCのハードウェアには個体差があり,同じメーカーで,同じ型番のハードウェアでも,厳密には別の個体なので,パフォーマンスには微妙な差が現れる可能性がある。

 だが,冒頭で述べたように,ベンチマークは“傾向”を知るための手段だ。4Gamerのスコアと読者の環境で,若干の違いが出ることは,言ってしまえば大きな問題ではない。むしろ重要なのは,どんな傾向をそこから読み取るか,である。グラフ一つ一つで判断するのではなく,レビューは総合的に見てもらえれば幸いだ。

 なお,冒頭でテスト対象ゲームタイトルの更新について言及したが,タイトルごとの具体的なテスト方法も,何か問題が発生したり,より正確な計測手段が見つかったりした場合にはアップデートしていく。アップデートの詳細は本文の冒頭に履歴として掲載するので参考にしてほしい。また,ベンチマーク方法についての質問や疑問は,知らせてもらえれば適宜対応したいと思う。
 その意味で,このページは将来的にどこまでも未完成である。4Gamerのハードウェアレビューに興味のある人は,まめにチェックしてみてほしい。

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