昨年は「Battlefield 2」や「Call of Duty 2」など,タクティカル系アクションの定番シリーズ続編を満喫できた1年だったが,今年も層の厚さでは相当なもの。Xbox 360への進出を見越した作品が増えているとはいえ,知名度の高いシリーズやメーカーが目白押しといった雰囲気である。
Commandos Strike Force
開発元:Pyro Studios
発売元(米):Eidos Interactive
リリース時期:春
少数ユニット制のストラテジーゲームとして,ヨーロッパで大人気となったCommandosシリーズの最新作が,なんと一人称視点で二人のキャラクターを同時に操作していくというタクティカルアクション「Commandos Strike Force」として生まれ変わった。プレイヤーは,グレーンベレー,スパイ,スナイパーの3人のキャラクターの中から,ミッションごとに二人を選び,複数のオブジェクティブが用意された任務を遂行していく。
本作の舞台は1942年のヨーロッパ戦線で,ストライクフォースはフランスの田舎からノルウェーの森林,そしてスターリングラードまでに侵入していく。もちろん,どのように攻略するかは,プレイヤーの選んだコンビのスキル次第で変化していく。厳重に警護された鉄橋にグリーンベレーを突撃させながら,一方でスパイを使って背後に回り込むというような多角的な遊びができるのだ。
本作には最大16人での対戦モードもあり,NPCを尋問して秘密コードを聞き出し,基地の奥深くに到達するのを競い合う「Sabotage」モードなどが用意されているようだ。
Gears of War
開発元:Epic Games
発売元(米):Microsoft Game Studios
リリース時期:7月
「Gears of War」は,人類が殖民して平和な文明を築き上げていた惑星で,ローカストと呼ばれる魔の大軍が地中から突如出現し,「デルタカンパニー」という4人の精鋭隊が立ち向かうというストーリー。廃墟となった町で奇妙な生物が突然襲い掛かってくるという,ホラーな要素も盛り込まれた期待のアクションゲームである。Microsoftからのリリースながら,開発を手掛けるのはUnrealシリーズでおなじみのEpic Games。当初はXbox 360エクスクルーシブと伝えられていたものの,どうやらPCでもリリースされる模様だ。
本作には,これまでUnreal Engine 3.0のテクニカルデモとして利用されてきた,シーンやキャラクターが登場する。戦火と血に塗れた廃墟のリアルな様子は,すでに多くのゲーマーがご存じのことだろう。Epic Gamesならではのゴシック調と近未来を掛け合わせたような世界観で,コンシューマ機市場への浸透を狙ったためか,基本は主人公マーカスの背後にカメラを設置した三人称視点となり,銃撃時にはカメラがすばやくキャラクターの肩越しまでに接近する。マップ上のオブジェクトを利用してカバーしながら進行していくのがキーポイントとなり,敵AIもその状況を理解して攻撃してくるという。
SWAT 4: The Stetchkov Syndicate
開発元:Irrational Games
発売元(米):Vivendi Universal Games
リリース時期:2月28日
日本でもリリースされ,コアゲーマーの間で手堅い人気を持つ「SWAT 4」の拡張パック「SWAT 4: The Stetchkov Syndicate」も,今年早々にはリリースされそうだ。もちろん本作でも,アメリカの特殊警察として有名なSWATの4人で構成される小部隊を率いて,凶悪犯罪やテロの取り締まりを行うことになる。犯人さえもできる限りは殺害せずに拘束するという点で,タクティカルアクションの中でも異色な作風である。
本作では七つのミッションが加えられ,遊園地や地下鉄駅,そしてテロの首謀者ステチコフのアジトである倉庫の捜査に乗り込む。システム面でもいくつかの変更が加えられ,部隊員への行動の命令および実行では,Ctrlキーをホールドすることによって,プレイヤーがタイミングを計れるようになった。すでに捜査した部屋に目印を付けておける「Light stick」というアイテムが第3作から復活したほか,ナイトビジョン・ゴーグルやグレネードランチャーも新たに採用されている。オリジナルはインターネットを介した協力プレイの楽しさでも知られるが,今回は10人までの部隊を結成することも可能になっている。
The Regiment
開発元:Kuju Entertainment
発売元(欧):Konami of Europe
リリース時期:2006年内
イギリスの特殊部隊SASの対テロ軍事戦略をベースにした,本格的なタクティカルアクションが「The Regiment」だ。ヨーロッパに広く展開するコナミと,イギリスの雄Kuju Entertainmentのコラボレーションによる作品で,1980年にイランのアメリカ大使館占拠で活躍した元メンバーの,実体験と監修をもとに描かれている。
「Unreal Engine」を利用した美しいグラフィックスもさることながら,SASの突撃部隊が実際に使用するというコマンドシステムをゲーム化しており,4人の小隊を率いて人質救出などの本格的なミッションを遂行することになる。その半面,ミッションプランなどの面倒な部分は省略されており,すぐにアクションに飛び込めるような手軽さにも注意が払われている模様だ。
マルチプレイでは「Team Training」というモードが用意されていて,SASの通称「キリングハウス」と呼ばれる訓練所で,クランや友人同士で練習を積むことも可能だ。2004年に発表されて以来あまり情報のない本作だが,Rainbow Sixシリーズを遊びやすくしたようなゲームとして期待できるかもしれない。
Tom Clancy's Ghost Recon: Advanced Fighter
開発元:Ubisoft Entertainment
発売元(米):Ubisoft Entertainment
リリース時期:3月
ここ数年の,Tom Clancyシリーズの展開には目覚ましいものがあるが,「Rainbow Six」のスピンオフとして数年前に誕生したGhost Reconシリーズも,もうすぐ復活する。ほかのプラットフォームでもリリースされるものの,PC版はさらにタクティカルに遊べるような独自仕様となっていて,コアゲーマーには嬉しい限りである。
今回は,最新技術を駆使して再生された精鋭部隊「The Ghost」が,コロンビア反乱軍に武器密輸を企むメキシコ官僚を追跡するために,首都メキシコシティへと潜入することになる。時代設定は2013年で,プレイヤーは本シリーズの醍醐味でもある,次世代の戦争がいかにして行われるかを仮想体験できる。
その新技術の一つである,人工衛星を利用したコミュニケーションもゲーム内では考慮されており,高解像度のテクスチャをうまく転用した,緻密なタクティカルマップを自在に引き出せるようになっている。また,Droneという無人飛行のスパイカメラを利用して別アングルから情報を引き出すなどといったこともできる。アサルトライフルやロケットランチャーなど銃器も強力で,E3 2005ではムービーデモが会場を沸かせていただけに,楽しみな作品の一つである。
Tom Clancy's Splinter Cell: Double Agent
開発元:Ubisoft Montreal
発売元(米):Ubisoft Entertainment
リリース時期:Q2 2006
シリーズ4作め「Tom Clancy's Splinter Cell: Double Agent」は,これまでとは違った新たな展開を迎える。主人公のスペシャルエージェント,サム・フィッシャーが,テロを未然に防ぐために地下グループへと潜入し,内側から組織を崩壊させる任務を負うことになるのである。そのため,テロリストからの信用を勝ち取るために不法行為にも手を染めなければならず,それを知らない警察からは当然のごとく追っ手がかかる。もちろん,一方でテロリストも機会があれば一人一人抹殺していかなければならず,プレイヤーは善と悪の狭間で暗躍することになるのである。
本作は2005年12月に発表されたばかりで,詳細は明らかになっていないものの,今度のサム・フィッシャーはアメリカはもとよりアジアやアフリカまで幅広く行動するらしい。どこまでテロリストを助けるか,そしてどんなときに彼らを排除していくかで,後の展開も異なったものになるようだ。ステルスが基本の同シリーズとはいえ,水中での格闘やスカイダイビングなど変わったシチュエーションも用意されているのに加え,新たなマルチプレイモードも考案されているとのことで興味は尽きない。これまであまり触れられてこなかった,主人公の過去なども解き明かされていくようだ。
定点観測基地より
現在トレンドのジャンルだけに,「Battlefield 2」のDigital Illusion,「Call of Duty 2」のInfinity Wardともに,新たな作品が始動している模様。Illusion Softworksからは「Enemy in Sight」という新規プロジェクトが発表されているものの,その詳細はまったく不明な状態である。少数の人気作品に牛耳られている感もあるが,実際に今年は未知のエントリーにはあまり期待できそうにないようだ。
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