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[GC 2007#006]「Age of Empires」誕生に携わった3名が語る,その成功の理由
2007/08/22 16:04
 全世界で1800万本以上を売り上げた歴史RTS「Age of Empires」シリーズは,2007年で誕生から10年めを迎える。Games Convention Developers Conference(GCDC)が開催されているドイツでは,RTSの人気が非常に高く,中でもRTSというジャンルを一般ゲーマーにまで浸透させる偉業を成し遂げたAoEは,まさに別格,伝説的なシリーズとなっている。その生みの親ともいうべき3人,Bruce Shelley氏,Brian Sullivan氏,Tony Goodman氏が一堂に会し,この10年を振り返るというセッションが開催されたので,人気シリーズ誕生の秘密をお伝えしよう。

 最初に,司会者に促される形で自己紹介が行われた。Brian Sullivan氏は,Age of Empiresシリーズの最初の2作に携わり,1998年にはComputer Game Developers Association(於GDC)のAchievement in Game Designを受賞した経験がある。現在はIron Lore Entertainmentに籍を置いており,RPG「Titan Quest」の開発に携わった。
 Bruce Shelley氏は,Ensemble Studiosに加わる前にはMicroProseでSid Meier氏と共に「Railroad Tycoon」や「Civilization」に携わった経験を持っているという。
 Tony Goodman氏は,Ensemble Studiosの社長であり,直接ゲームの開発に携わっているわけではないが,Ensemble Studiosのまとめ役として活躍しているという。

Ensemble StudiosのBruce Shelley氏。PCゲームを作る前にはボードゲームなどをデザインしていたそうだ
 その後は,司会者の質問に3人が答えていくという形で進んでいき,主にシリーズの歴史について語られた。
 3人によると,シリーズ1作目となる「Age of Empires」が発売された1997年は,「Command & Conquer」や「WarCraft」などの成功によって,RTSというジャンルが認められはじめた頃だったが,RTSのほとんどがファンタジーやSF世界をベースにしており,似通ったものばかりが発売予定のリストに並んでいたという。
 すでにCivilizationという歴史ストラテジーを扱ったことがあったBruce Shelley氏は,うまく歴史の要素をRTSに組み込めないかと考え,Age of Empiresの基本コンセプトを考えたという。

Ensemble Studiosで社長を務めるTony Goodman氏。ゲームの開発には携わっていないが,非常にストラテジーゲームが好きだという
 結局これが当たり,発売後は大ヒットを記録するわけだが,その要因として第一に挙げられていたのが,同作の懐の広さだ。すでにRTSをどっぷりと遊びつくしているコアなゲーマーから,同作をきっかけにRTSを始めたビギナーまで,誰でも楽しめるようにデザインを心がけたのだという。そして,そのデザインコンセプトがコンセプトで終わらず,きちんと具現化できたことが多くのゲーマーに受け入れられた要因だと3人は考えていた。
 ちなみに,Ageシリーズとして考えると,「Age of Mythology」もその歴史に含まれるわけだが,彼らの中でこの作品は成功したとは考えていないようだ。なぜゲームのベースに神話を選んだのかという質問に対して,答えは煮えきらず,「会議が長くて疲れていたから選んでしまったのではないか」(Goodman氏)と,冗談で逃げるなど,あまりいい思い出はなさそうな様子だった。積極的に作りたかったわけではないが,スポンサーには逆らえないという事情があったようだ。

Iron Lore EntertainmentでRPG「Titan Quest」を開発したBrian Sullivan氏
 現在,Ensemble StudiosではXbox 360用タイトルである「Halo Wars」を開発している。これはマイクロソフトのFPS「Halo」の世界をベースにしたSF RTSだ。ストラテジーゲームを同時に2タイトル以上開発するのは難しいため,しばらくはこちらの開発に集中するということ。だが,それは決してAge of Empiresシリーズが終わってしまうということではなく,時機を見て新作も開発していくという。
 10年という節目を迎えたAge of Empiresシリーズではあるが,今後もまだまだ続いていき,RTSファンを楽しませてくれることになりそうだ。(noguchi)



マイクロソフトゲームベストセレクションズ マイクロソフト エイジ オブ エンパイア ゴールド エディション
■開発元:Ensemble Studios
■発売元:エレクトロニック・アーツ
■発売日:2003/06/19
■価格:2980円(税別)
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2007.08/20070822160447detail.html