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[GC 2007#005]WoW&Guild Warsの開発者が秘密を伝授。成功するMMORPGの作り方とは?
2007/08/22 15:24
 GCDC 2007二日めとなる2007年8月21日,オンラインRPG「Guild Wars」の開発者,Jeff Strain氏によるセッションが予定されていた。その名も「The Future of the MMO industry」(MMO業界の将来)。

 だが当日,のこのこと会場へやって来た筆者を待っていたのは,そのセッションが突然「How to Create a Successful MMO」(成功するMMOの作り方)に変更されたというアナウンスだった。こりゃまたどうしたことかと思ったのだが,Strain氏は「ここ数年,MMOG事情はかなりの勢いで変化してきており,その将来について語ろうとしても,漠然としたことしかいえない。しかし現在自分が考えていることであれば語ることができる。なのでこのタイトルに変更した」という。

現在は「Guild Wars」を手がけているJeff Strain氏。“Blizzard時代”にはWarcraftシリーズ関連作品のほか,「StarCraft」や「Diablo」の開発にも携わっていた
 ところでStrain氏は,かつてBlizzard Entertainmentで「Warcraft III」や「World of Warcraft」などの開発に携わり,その後ArenaNetの設立に参加。ArenaNetの「GuildWars」開発では中心的な役割を果たしてきた人物だ。そんな氏のセッションは,具体的な20以上のトピックを挙げつつ説明していくという形で進められたのだが,本稿では,その中からとくに印象的だったいくつかをピックアップしてお伝えしよう。最先端のMMOG開発者は,いまこんなことを考えているのである。

●MOST MMOS FAIL(ほとんどのMMOゲームは失敗している)
 実際に“成功している”といえるゲームはかなり少なく,ほとんどは失敗をしているのだ。それだけMMOG市場というのはシビアである。トラディッショナルなノウハウだけでは,なかなか成功にたどり着くことができない。確かに大きな成功例の話も聞こえてくるが,すべてがそうではないということは正しく認識しないといけない。

●ADDRESS THE CAUSE, NOT THE SYMPTOM(「やらせる」のではなく,自分から「やりたくなる」内容を)
 10年前にMMOGが出始めた頃にはかなりハードな内容のものが多かった。プレイするには相当な忍耐力が求められたりもした。しかし選択肢が大幅に増えている現状においてはそれではだめだ。意味のない繰り返しや,苦行のようなプレイが求められるゲームは支持されないだろう。

●DON'T UNDERESTIMATE THE IMPORTANCE OF SOLO PLAY!(ソロプレイの需要は決して低くない)
 どんなに他人とのコミュニケーションが好きなプレイヤーでも,ときにはソロプレイをしたいと思うものだ。ゲーム内にはソロプレイ用とマルチプレイ用,両方のコンテンツを用意しておきたい。たとえば「Guild Wars」ではコンピュータ操作のヘンチマン達をグループに入れることで,ソロでも冒険を楽しめるようにしている。

●BUILD YOUR OWN GAME UNIVERSE(“原作モノ”は成功しない)
 まだ検討を要する部分はあるが,おそらく映画やテレビ,小説をベースとしたゲームは,よいMMO世界を作るのには適さない。オリジナルのゲーム世界を構築するべきだ。

●QA CAN'T TEST YOUR GAME(古い品質管理基準はMMOGには使えない)
 ゲームを評価する上で古いやり方/基準はもう使えない。現状取り得る最も良い方法は,自分達のゲームを自分達でやりこんで,本当に面白いかどうか確認することだ。具体的にはリリースまでの“数年間”,“毎日”“チーム全員”がプレイすべきなのだ。

●GREAT IDEAS AREN'T ENOUGH(アイデアだけでゲームは作れない)
 ゲーム制作には“予算”が必要だ。WoWの四分の一の予算で,“WoW 2.0”,つまりWoWと同じくらい,あるいはそれ以上に面白いタイトルは作れない。それは事実である。



 現在第一線で開発に携わっている人物から,具体的な「ゲームの作り方のコツ」が聞ける機会はなかなかない。理由はもちろん,そういうものはたいてい“秘密”だからである。
 これ以外に紹介されたさまざまなトピックも含めて,参加した開発者にとってはかなり得るところの多い講演だったのではないだろうか。
 ただ,中には「それは分かっているんだけどできないんだ」ということもあると思う。まだまだ変化が激しいというMMOG業界。今回の聴衆の中から,この講演内容を糧としてヒット作を作るクリエイターが現れてくれたら,一人のプレイヤーとして嬉しいかぎりだ。(ライター:星原昭典)


ギルド ウォーズ
■開発元:ArenaNet
■発売元:エヌ・シー・ジャパン
■発売日:2006/01/27
■価格:オープンプライス(パッケージ版) / 月額課金料金980円
→公式サイトは「こちら」
Guild Wars 2
■開発元:N/A
■発売元:NCsoft
■発売日:未定
■価格:N/A

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http://www.4gamer.net/news/history/2007.08/20070822152425detail.html