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RWC2007 日本代表ギルドはUrdrワールドの「punch」。決勝リーグ全勝で頂点に立つ
2007/06/29 23:45
優勝ギルド発表後の「RWC2007」日本特設ワールド。ギルドごとに集まって記念撮影(?)が行われた
 Ragnarok World Championship 2007(RWC2007)の本戦まで1か月を切り,日本以外の出場国でも代表ギルドが決まったというニュースが,ちらほら聞こえてきている。一方日本代表ギルド決定戦は,6月23日,24日に決勝リーグが実施され,Urdr(ウルド)ワールド所属の「punch」が,リーグ全勝という輝かしい戦績で,見事代表ギルドの座を勝ち取った。
 4Gamerでは,決勝リーグ後半戦に当たる6月24日の試合を観戦してきた。リーグの進捗につれて,優勝まであと何勝……という具体的な数字が固まっていくこともあり,「RWC」日本特設ワールド「RWC2007」は緊張と活気に満ちていた。会場には,予選トーナメントで敗退したギルドのメンバーもちらほら現れ,「今のはどっちが勝った?」「どこが優勝しそうなの?」と決勝リーグの行方を気にしたり,プレイヤー同士が戦術やステータスの割り振りについて,あれこれチャットを交わしたりする姿も見られた。
 所属ワールドが異なれば,ゲーム内で出会うことはないわけで,ワールドの枠を超えてトッププレイヤー同士が交流できるこの場を,存分に楽しんでいる様子がうかがえた。

 予選ブロックはトーナメント方式で行われたが,日本代表ギルド決定戦についてはA〜Fのブロックの優勝ギルドによる総当たりリーグ戦が行われる。予選トーナメント同様Zeny(ゲーム内通貨)判定は行えないため,勝利数が並んだ場合は,決勝リーグ全体を通して戦闘不能になったメンバーの少ないほうが勝ちとなる。
 RWC2007日本代表ギルド決定戦でポイントとなったのは,ジプシーの「マリオネットコントロール」だ。これはパーティメンバーの1名に,ジプシーのステータス値から2分の1を分け与えるというスキル。RWC2007のメンバー構成では,ハイウィザードに対してこのスキルを発動することで,DEX/INT値を極限まで上げられる。
 その結果,大魔法「ストームガスト」の詠唱時間をほぼゼロにしたうえで,与ダメージも引き上げられるとあり,予選トーナメントも中盤あたりからマリオネットコントロールを使用するギルドが目立ち始めたのだ。
 ただし,スキル発動中のジプシーは通常攻撃以外の行動ができないため,この戦術は実質6名で戦うことを意味する。これまでどおりの堅実な戦術で試合に臨むか,使い慣れないマリオネットコントロールを急きょ採用してでも,新戦術の有効性に賭けるか,悩んだギルドは多かったようだ。
 なお,RWC2007 世界チャンピオン決定戦のレギュレーションでは,マリオネットコントロールの使用は可能だが,使用したときの効果が非常に高く,ギルドの戦術を大きく変えてしまうため,バランスに問題がないか,そして引き続きマリオネットコントロールを使用できるのかを,ガンホー・オンライン・エンターテイメントから大会主催者であるGravityに問い合わせ中である(2007年6月29日現在)。日本代表ギルドとなったpunchのメンバーにはぜひとも,今後マリオネットコントロールが使用禁止になる可能性も考慮に入れつつ,本番に備えてほしい。

 24日に行われた全7試合のうち,いくつかの試合をピックアップしてお伝えしよう。予選のときと異なり,各ギルドへのインタビューは必ずしも個々の試合に関する話題ではないので,その点に注意しつつお読みいただきたい。



■第1試合 punch vs. Team DT

 前日を全勝で終えたpunchと,予選トーナメントで圧倒的な強さを見せたTeam DTによる注目のカードから,決勝リーグ2日目は幕を開けた。
 どちらも相手の実力を知っているだけに,試合はランドプロテクターを挟んだストームガストの撃ち合いという,慎重な始まり方。punchのハイウィザードの真後ろにはチャンピオンが控え,ランドプロテクターに穴を開けるガンバンテインの効果で,敵が凍るチャンスをじっと待っている。凍結したパラディンに攻撃をしかけ,狙いどおりに脱落させたものの,カウンターを喰らって相討ちとなってしまった。

しかし,punchは一人欠けたハンデをまったく気にする様子もなく,凍結したままのTeam DT側プロフェッサーを「ユピテルサンダー」でしっかりと戦闘不能に。ランドプロテクターの保護を失ったTeam DTはたちまち全員が凍結状態に陥り,punchはプロフェッサーまでもが前面に出てきて「スパイダーウェブ」を放つという,余裕の戦いぶりでTeam DTに勝利した。



■第2試合 Hunters vs. Penrir

 PenrirはRJC予選トーナメントに3年連続で出場している,いわば常連ギルド。RJC2005では準優勝,RJC2006で決勝トーナメント出場,RJC2007は予選トーナメント2勝という堂々の記録を持つ実力派だ。
 これを迎え撃つHuntersは,そのギルド名にふさわしくスナイパーをメンバーに採用。ストームガストのダメージと凍結を恐れてランドプロテクター上に固まる相手に対し,スナイパーが「アローシャワー」や「シャープシューティング」を連発していた。

このままPenrirが押されると思いきや,Penrirのロードナイトとチャンピオンの素晴らしい連携がHuntersの動きを乱し,まずは守りの要パラディンを戦闘不能にした。Huntersはこの試合のダメージディーラーであるスナイパーが必死に応戦するも,ロードナイトをはねのけることがでないまま,ジプシーとスナイパーを失い,一気に試合はPenrir優勢へ。最後はHuntersのクラウンを阿修羅覇凰拳で落として,Penrirの勝利となった。



■Penrir ミニインタビュー

Q:まずはブロック優勝を果たして,決勝リーグまで勝ち上ってきた感想をお願いします。

A:予選トーナメントですでに話題になっていた,マリオネットコントロールを使ったハイウィザードの超威力は不安でしたね。

Q:練習期間と予選リーグを通して,新戦術への対策は練っていますか?

A:Penrirとしてはこれを採用せず,残りの試合もやっていくつもりですが,試合前から情報戦が始まっているので油断はしません。それにしても,(編注:この時点まで全勝の)punch負けてくれないかなぁ……。

Q:やはり強敵でしたか。実際に当たってみて。

A:punchさんが最も積極的に新戦術を使っていますが,そうでなかったらいい勝負ができたんじゃないかな,とは思います。

Q:残り2試合(編注:インタビュー時点で)ですが,現時点で上位ギルドに食い込む自信を聞かせてください。

A:残り2試合は勝ちます。絶対勝ちます。

■Hunters ミニインタビュー

Q:ブロック優勝ギルド同士の戦いはいかがですか? 決勝リーグ後半の今日は,どこのギルドもHuntersの試合の行方を気にしていたようですが。

A:初戦でTeam DTに負けたところで,精神的に崩れてしまったかなと思います。一応Team DTメンバーを一人倒したし,勝てると思ったんですが負けてしまって,勢いがなくなってしまいました。

Q:日本代表ギルド決定戦全体で,一番印象深かったギルドや試合を挙げてもらえますか。

A:マリオネットコントロールを使ってくるギルドはやっぱり脅威で,とくにpunchはずっとジプシー&ハイウィザード構成で練習していましたから,この戦い方がすごくうまかったと思います。

Q:ふだんもHuntersというギルド名で活動しているんでしょうか。RJC出場経験などがあったら教えて下さい。

A:SaraでもHuntersで活動していますし,今年のRJC2007に「PreciousLove」というギルドで予選に出ています。一回戦敗退でしたけれど。構成を変えられないRJCではなかなか勝てませんでしたが,このRWC2007では臨機応変に対応できたと思います。

Q:ではRWC2007へ参加した感想をお願いします。

A:練習用マップがあるおかげで,どこのギルドもすごくうまくなりましたね。メンバー構成も変えられるルールのおかげで,いろいろ練習できたのもよかったです。うちのギルドはSaraワールドとIrisワールド出身の混合で新規も古参も,みんな一緒にやってきたから,結束力はあります。次のイベントにも出場したら,もっともっとうまくなって,勝てると思ってます。

Q:こういった特殊なGvG練習用マップがふだんから欲しいですか?

A:練習用マップは常に開放してほしいですね。Saraワールドを捨てかねないくらい嬉しいです。


■第3試合 Stella cadente vs. Penrir

 連戦となったPenrirだが,結果から言えばこの試合も7人全員生存のまま,Stella cadenteに勝利した。しかし試合を見守る側からも,思わず感嘆の声が漏れるほど面白い展開を,Stella cadenteは見せてくれた。
 互いのランドプロテクターが重なり合うほどの接近戦がしばらく続いたが,やがてStella cadenteの3名が凍結。Penrirはこのチャンスを逃さず,阿修羅覇凰拳で最初の犠牲者ハイウィザードを落とし,続いてチャンピオンも戦闘不能に。
 勝利を確信したのか,Penrirは猛攻を開始すると同時に,クラウンが「運命のタロットカード」を連発する余裕すら見せ始めた。このスキル,敵キャラ1体にスタンや呪い,防具を一つ破壊といった効果を付与するというものだが,14種類の効果のうちどれが出るかは完全にランダムだ。追い詰められたStella cadenteは次々メンバーを失い,あとは最も防御の固いパラディンが落ちれば全滅というところで,実に意外な展開が。

 状況は7対1。防御に回る必要もなくなり,Penrirの攻撃キャラクター3名が一斉攻撃をかけ始めたというのに,このパラディンが一向に落ちない。逆にスキル「プレッシャー」「リフレクトシールド」で反撃を試みるなど,しぶといことこの上ない。通常の試合では直接攻撃に回ることのないクラウンまでもが,「ミュージカルストライク」で戦闘に参加したにもかかわらず,Stella cadenteのパラディンはなんと残り2分を耐え抜き,結局試合時間終了まで生き残った。
 このあと,生存者だけが転送される待合室ではPenrir側も,さすがに「なんで倒れないの!?」と驚きつつ質問。それに対しては「そっちのメンバー構成を見て装備を考えた」「プレッシャーで相手を抑えて,欠員勝ちを狙った」との答えが。さすがに回復アイテムの残りは80個とぎりぎりだったそうだが,事前情報で対策を練れば,ここまで善戦が可能という例を見せてくれたパラディンプレイヤーには,拍手を送りたい。



■第4試合 Stella cadente vs. Imperial Knights

 ここまで全敗のImperial Knightsと,優勝にはすでに手が届かないものの,第3試合で意外な粘りを見せたStella cadenteの試合は,Stella cadente優位と予想されていた。
 開始早々に隅へ追い詰められてクラウンを失ったImperial Knights。プロフェッサーがメンバーに含まれているのにもかかわらず,なぜかランドプロテクターが展開されず,当然の結果として凍結を繰り返す。ディボーション(献身)を受け持つパラディンも落ち,Stella cadenteが一人も欠けることなく勝つように見えた。
 だが状況が圧倒的に不利ななか,Imperial Knightsは残るチャンピオン,ハイプリースト,ハイウィザード,チェイサーが素早く後退してStella cadenteの猛攻をしのぎ,逆にハイプリーストを戦闘不能にするという,予想外の奮戦を見せた。ハイドとクローキングを巧みに操り,ハイプリーストの素早い支援で散り散りになりつつも,時間切れまで粘ったImperial Knights。試合終了のアナウンスが流れた時点で,なんとStella cadenteも生存者が4名まで減っており,予選トーナメント決勝リーグで初の再試合が組まれる結果となった。

 前回の予選レポート記事でお伝えしたとおり,再試合はハイプリーストを抜いた6対6で行い,最初に戦闘不能キャラクターを出したギルドが負けとなる。その一瞬だけ最大火力を発揮して,誰か一人を狙えばよい再試合は,メンバー構成やステータス値のバランスを練りに練る通常の試合と大きく異なるわけだ。
 再試合を告げるメッセージがRWC2007ワールドに流れると,次の試合をのんびりと待っていたプレイヤー達も少なからず驚いたようで,イズルード中央にプレイヤーキャラクターが集まり始めた。「クリエイターのアシッドデモンストレーションで瞬殺でしょ」「ハイプリーストがいない以上,寒いジョークで凍結を狙うべき」「心臓に悪い試合だなぁ」などなど,PvP好き達のチャットが盛んに飛び交い,イズルードはにわかに活気づいた。
 6対6の再試合では,お互いの職業構成に大きな変化は見られなかった。Stella cadenteが,ランドプロテクターからはみだしたImperial Knightsのクラウンを凍結させてから戦闘不能にし,1分少々と短い試合時間で決着をつけた。




■Imperial Knights ミニインタビュー

Q:この2日間,ふだんは出会うこともないギルドと戦ってみて,どうでしたか? 印象に残った試合やギルドがあったら教えて下さい。

A:決勝リーグはやはりどこも強いですね。5試合行ったなかでは,Team DTがとても強かった印象があります。

Q:自分達のギルドとここが違う……と強さを実感したのはどんなところでしょう?

A:やはり状況に合わせた対応の早さでしょうか。

Q:Imperial Knightsとしては事前の練習どおりに動けましたか。

A:緊張は毎回しますね。そのせいもあってか,なかなか練習どおりに動けず,負けが続いてしまいました。

Q:ちなみに過去のRJCなどには出場していますか?

A:RJC2005とRJC2007の予選に出場しました。RJC2005には「Holy Pollution」というギルド名で出場し,ブロック決勝でPenrirに敗れました。毎回こういったGvGイベントには参加していますから,初出場のギルドよりは勝手が分かりますし,そこでの経験は少しずつ生かされてると思います。

Q:最後に,RWC2007というイベントの感想を一言お願いします。

A:イベントは毎回楽しませてもらっています。今回は初めて決勝リーグまで来ましたので,1勝は目指したいです。

■優勝ギルドはpunch:「マリオネットコントロールが禁止されても…」

 決勝リーグ全勝という申し分のない結果で,RWC2007日本代表ギルドの名を手に入れた「punch」。マリオネットコントロールを早くから取り入れ,練習を重ねたことによる強さを指摘するプレイヤーも多く,これを先駆けて使いこなしたのが,勝利の要因といえよう。とはいえ,いまだGravityからRWC2007 世界チャンピオン決定戦でのマリオネットコントロール使用に関するコメントが出ていない以上,肝心の本戦で使えない可能性もある。残りの練習期間で,広く磨きをかけてほしいところだ。
 日本特設ワールド「RWC2007」は7月3日から再オープンされ,日本代表ギルド決定戦に参加した全ギルドが,出入り可能となっているはずだ。日本代表ギルド決定戦に出場したギルドは,日本代表が世界最強の栄冠を手に凱旋できるよう,ぜひとも積極的に練習相手となってほしい。
 最後にpunchへの優勝インタビューを掲載しよう。なお,8名全員が特設ワールドに残ってインタビューに答えてくれたので,punchの回答は複数メンバーによるものであることを,先にお断りしておく。(ライター:麻生ちはや)

Q:punchのみなさん,おめでとうございます。さっそくですがRWC2007日本代表ギルドになった,喜びのコメントをお願いします。

A:ありがとうございます。余裕でしたね!

Q:決勝リーグ全勝という結果は素晴らしいですね。

A:うちのギルドの計画は,最初から6−0(人)で勝つというものなので,大体うまくいったのかな。

Q:マリオネットコントロールを使っていましたが,事実上一人欠けても余裕ということですか。

A:ええ。あるクラスのキャラクターのステータスやスキルを調整して,最初から相手も一人確実に落とす作戦ですから,実質6名という戦いはなんの問題もありません。

Q:その作戦どおりにすべてがうまく進んだと。

A:そうですね,想定通りでした。

Q:RWC2007 世界チャンピオン決定戦におけるマリオネットコントロール使用の可否については未定となっていますけれども,もし使用禁止になっても勝てますか?

A:別の職業構成,つまりジプシー&ハイウィザードでマリオネットコントロールを使うのとは違う構成も,実はこっそり用意していました。世界チャンピオン決定戦で使えなくなっても大丈夫ですよ。

Q:では,予選から決勝リーグまでを通して,試合には勝ったが苦戦したギルドなどはいますか?

A:決勝リーグの初日2回戦で戦ったPenrirですね。いざ試合が始まってみたら事前の情報と違うメンバー構成で,こちらのパラディンが割と早いうちに,アシッドデモンストレーションで倒されてしまい,あせりました。

A:一応,相手の動きが崩れたのを確認してから,こちらも前に出たので何とか持ち直しましたが,まさかパラディンが落ちるとは思っていなかったので,ひやりとはしましたね。

Q:予想外の展開に対しても素早く対応できたと。

A:Penrirのほうが3人凍結で,2人が睡眠というステータス異常の状態でしたから,結果的には余裕でした。

Q:海外のROプレイヤーがどんな戦い方をしてくるのか,言葉の問題もあって情報収集が難しいですが,どこがどう攻めて来ても勝つ自信はありますか?

A:ええ。結果は同じだと思います。

A:無事韓国に行ければ優勝できると思います。

Q:ところでpunchはフィールド上でのPK行為が可能な唯一のワールド,Urdr出身ですよね。Urdrでプレイする魅力を,この機会にぜひ。

A:通常マップでもPvPができることと,Urdrだけのボーナスのおかげで,レベル上げが楽なことですね。そのぶん対人戦に集中できます。PvPで相手をしてくれるプレイヤーが,ほかのワールドに比べると多いので,練習量と経験も結果的に増えます。

Q:では最後にみなさんから,RWC2007 世界チャンピオン決定戦に向けた抱負をお願いします。

A:僕たちの絆の強さで優勝したいと思います!
A:優勝して日本に経験値2倍イベントを持ち帰りますので,ぜひUrdrワールドに来てください。
A:優勝しますよー。
A:他国のROプレイヤーとお友達になりたいです。

Q:本日はありがとうございました。あらためておめでとうございます。


ラグナロクオンライン
■開発元:Gravity
■発売元:ガンホー・オンライン・エンターテイメント
■発売日:2002/12/01
■価格:プレイ料金:1500円/月(税込)
→公式サイトは「こちら」

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