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「ローズオンライン」のソース/全権利移譲の裏側と今後を聞いてみた
2007/05/30 20:57
 4月11日,公式サイトで発表された「ローズオンライン エボリューション」韓国でのサービス終了の一報に,プレイヤーは驚き,そして戸惑いを隠せなかったのではないだろうか。直後,日本での運営元であるフェイスは,韓国Gravity社より,日本における販売権と,開発元の韓国Triggersoft社から同作のソースを含む一切の権利を買い取り,開発を引き継ぐことを明らかにし,この騒動を収めることになった。
 このとき水面下では,どのようなやりとりが行われていたのだろうか? また,今後どのように開発/運営が行われていくのだろうか。今回,フェイスのローズオンライン プロデューサーに,それぞれについて質問を投げかけてみた。



■突然の発表。その裏側で何が?

 2007年4月11日,まさに青天の霹靂といった感じの,Gravity社による韓国でのローズオンライン運営中止のニュースに,プレイヤー達は大騒ぎになっていた。プレイヤーにとって幸いなことに,その発表の翌日に,フェイスは本作のソースおよび全権利の取得を発表することになる。これは,4Gamerでも伝えた(関連記事)のでご存知の人も多いだろう。このとき,フェイスではどのような状況になっていたのだろうか? その裏側をフェイスに尋ねてみた。

 フェイスによると,この発表以前から,Gravityが韓国での運営を終了するかもしれないという話は聞いていたという。
 一方フェイスでは,日本での要望→韓国での開発→日本での実装というプロセスに多くの時間が必要だったことや,要望が通らず思うようにアップデートできないことを改善するために,契約の更新を機に,ソース/全権利を買い取る交渉を行っており,発表の準備を進めていたという。
 そんな中で突然,韓国での運営中止の発表が行われたのだ。フェイスからすれば,本来であれば買い取りの事実を先に公開し,その後に韓国での運営中止が公開されることが適切な順番だろう。しかし,中止の可能性を想定し,日本でのサービス継続を最優先と考え,買い取りの交渉を進めてきたフェイスにとって,今回の発表のタイミングは,まさに寝耳に水であった。このため情報を公開するなどの対応が遅れてしまい,公式サイトとリンクするプレイヤーのブログでも,一騒動となってしまったわけだ。

 とはいえ,日本のプレイヤーにとって幸運だったのは,上記のように韓国運営の中止とは別の流れで,すでに本作の買い取りが進められており,予定通りに着地したことだ。これにより,一時的であっても日本での運営が中断されるような事態は,回避できたのである。



■今後,ローズオンラインの開発はどのように行われていくのか?

 ローズオンラインのソースを受け取ったフェイスだが,今後,その開発はどこで行うことになるのか。それを聞いてみたところ,「念願だった,プレイヤーの声を反映したオリジナルローズの開発をフェイス自身で行っていく」と,力強い答えが返ってきた。

 今回,ソース/全権利が移譲されたとはいえ,ソースの解析,把握には多少なりとも時間が掛かるだろう。しばらくGravityの技術サポートがあるとのことで必要な部分では助力を得られるので,いきなり開発が止まるようなことはなさそうだ。またこれからは,開発/運営を自社で完結させることで,徐々にフットワークが軽くなるはずで,今後のアップデートやイベントに期待したいところだ。

 なお6月中には公開テストサーバーを設置し,権利を買い取ってから初となる,バランス部分を調整したアップデートをテストする予定とのこと。日本独自での開発が本格的に始まるための,大切なテストになりそうだ。



■日本独自に開発される今後のコンテンツ/システムとは

 最後に,多くのプレイヤーが気になっているだろう,今後実装されるコンテンツ,システムにはどのようなものを予定しているのかを質問してみた。

 最初に出てきた言葉は,やはり本作のコンセプトである七つの惑星についてだ。現在は三つしか存在せず,早く四つめを,そしてすべての星を実装していきたいとのこと。その四つめの星は,黄金をテーマにしているという。黄金色に輝くこの星の大地では,どのようなものが見られるのか,興味深いところだ。
 また,現在は,職業間格差の是正,モンスターの強化,アイテムのバランス調整などを行っているとのことだ。

※イメージは開発中のもので,変更になる可能性がある


 「クラシック ローズ」についても触れておこう。5月24日にお知らせした,「クラシック ローズ」(関連記事)は体験しただろうか? これは,フェイスが独自で開発できるようになったことで実現したイベントの一つだ。
 本作が,エボリューションへと姿,名前を変えたとき,進化した要素もあれば,取り払われた要素もあった。クラシック ローズでは,この取り払われた部分を体験してもらうことで,現在のローズオンライン エボリューションをさらに良きものにすべく,プレイヤーの意見を吸い上げたいという考えだ。

 その取り払われた要素の一つとして,50vs.50で対人戦を行えるユニオン戦が例として挙げられた。これについてフェイスでは,まったく同じ形ではないかもしれないが,日本独自の開発で,エボリューションにPvPコンテンツ(以前,リリースにあったオリジナルコンセプトの「惑星戦」だろうか)を追加する用意があるという。このコンテンツについては,エボリューションになる以前から,実装の要求を行っていたが,他国での運営とのバランスを取るために,OKが出なかったという。しかし,今回の権利獲得によって独自に実装できるようになり,まずはクラシック ローズで体験したプレイヤーからの声を聞き,実装に向けて調整していきたいとのこと。
 なおフェイスは,現在のエボリューションを旧ローズに戻すことはないと明言していた。しかし,旧ローズの良い点は,どんどんエボリューションに追加したい考えだという。



 ちなみに,このクラシック ローズだが,準備期間は1週間にも満たなかったとのこと。サーバーを用意するだけでも,大変な作業であるはずで,そのスピードはまさに自社開発/運営だからこそ実現できたものだろう。

 また,クラシック ローズの反響を聞いてみたところ,なかなか好評だとのこと。では,エボリューションと並行して運営する予定は? と聞いてみたが,さすがにそこまでは考えていないようだ。
 あくまでメインストリームはエボリューションである。いま現在,プレイヤーが望むものが旧ローズオンラインにだけ存在していたとしても,今後,エボリューションにも,それらのコンテンツが実装されることになるだろう。温故知新の例えではないが,クラシック ローズを取り込み,さらに進化(エボリューション)していく可能性も,十分秘めているのだ。(Nobu)


ローズオンライン エボリューション(旧 ローズオンライン)
■開発元:フェイス
■発売元:フェイス
■発売日:2005/07/07
■価格:基本無料(プレミアム:480円/月ほか)
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.05/20070530205713detail.html