ニュース
U2のボーカルが,「Mercenaries 2」開発中止の助太刀か
2007/03/23 21:09
 Pandemic Studiosが開発する「Mercenaries 2: World in Flames」は,ベネズエラの街や名所が忠実に再現された世界を自由に散策し,反政府運動に加担して大暴れする,という内容の三人称視点のアクションゲームだ。

 本作が発表された2006年5月頃から,ベネズエラのウゴ・チャベス大統領は,本作の開発中止を米国議会に働きかけるなどの活動を展開しているが,ここに来て急展開を迎えそうだ。なんと人気ロックバンド「U2」のボーカリストであるボノさんが,その助太刀として加わる可能性がでてきたのである。
 Mercenaries 2の内容に難色を示すベネズエラの宗教グループ Venezuela Solidarity Networkが,「アメリカとベネズエラに,今以上の軋轢を加え平和を乱すような内容のゲームは許されるべきではありません。開発を止めさせる嘆願書の期限は4月1日までですので,どうかサインをお願いします」という内容の手紙を,宗教家や影響力のある要人宛に送り,その一通がボノさんの元にも届いたのだ。



 現在のところ,ボノ氏がサインするかどうかは不明だが,もしボノさんが嘆願書にサインした場合は,Pandemic Studiosにとって,かなりやっかいなことになるだろう。なにしろ,ボノさんは,ただの「影響力のある人」ではない。Pandemic StudiosとBioWareの提携に,財政的な協力をした出資会社Elevation Partnersの役員の一人なのである。

 Venezuela Solidarity Networkは,その嘆願書の中でPandemic Studiosが軍事訓練ソフトから派生したFull Spectrum Warriorシリーズの開発元であることを挙げ,「現実世界のようなゲームで自由に残虐行為ができるようにすることで,ゲーマーを攻撃的に挑発するノウハウを持っており,アメリカ人のベネズエラに対する敵意も垣間見られる」と記載しているという。

 前作「Mercenaries」は,Xboxとプレイステーション2でリリースされ,日本でもエレクトロニック・アーツからプレイステーション2版が発売されているので,知っている人もいるだろう。その続編である本作は,プレイステーション2やプレイステーション3,Xbox 360に加え,PC版もリリースされることが発表されている。
 Pandemic Studiosは現在のところ,ゲーム開発に悪意はないとの声明を出しているものの,出資者の一人であるボノさんの判断で,今後の展開も大きく変わることが予想される。アメリカで吹き荒れる暴力ゲーム論争に,また新たな火種が加わったようだ。(ライター:奥谷海人)



Mercenaries 2: World in Flames
■開発元:Pandemic Studios
■発売元:Electronic Arts
■発売日:2007/後半
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.03/20070323210957detail.html