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武侠MMORPG「十二之天」の社内αテストに参加:爽快感のある対人戦,カギは疾走と飛翔?
2007/03/22 14:35
 3月21日(水),ロックワークスは,現在クローズドβテスター募集中の武侠MMORPG「十二之天 〜TwelveSky〜」社内αテストを行った。このαテストに参加したのは,事前に応募した中から選ばれた一般プレイヤー12名。通常,αテストはβテストを公開する前の動作確認や不具合の発見を目的に行われるものだ。したがって開発スタッフやGMなどの関係者のみで行われる場合が多く,限られた少人数とはいえ一般プレイヤーを,それも会場を用意してのオフラインイベントという形で参加させる例はあまりないため,今回の件は一部の注目を集めていた。

 当日のスケジュールは,9:30AMに会場集合,10:00AMからαテスト開催の挨拶やガイダンスなどののち,すぐにテストプレイが開始される予定だった。しかし日本版クライアントに不具合が生じ,その対応のために予定は大幅に遅れ,挨拶や事前の質疑応答が開始されたのは11:20AM。さらに参加者が実際にゲームに触れることができたのは,昼食を終えた12:30PM。結果として,参加者達は祝日の午前中をただ待機させられていただけで消費してしまったことになる。
 もっとも,こうしたトラブルによる予定の遅れはαテストには付きもので,通例のように関係者のみで行われるのであれば「よくある話」で済ませられる。だが,今回のように一般のプレイヤーを招待して行う場合にはさまざまな事態を想定して,事前のチェックをより入念に済ませておく,また遅延が生じた場合に,プレイヤーをただ待たせるだけではない何かしらの策を講じておく必要があったのではないだろうか。ほかでは例を見ない斬新な企画だっただけに,事前準備の甘さが残念なところである。



■「武侠」というよりは,日本人にも親しみやすい「東洋ファンタジー」

十二之天のプロデューサー 加藤氏
 αテスト開催にあたっての挨拶を行ったのは,十二之天のプロデューサーを務めるロックワークスの加藤氏。加藤氏は,十二之天が韓国では累計の登録会員数が90万人,同時接続者数2万人,サーバー数も10を超える人気タイトルであることから,日本でも多くの人に楽しんでもらえるように尽力したいとの抱負を述べた。
 加藤氏は続けて,十二之天の簡単な概要を説明。氏によれば,同タイトルは一般的な「武侠」をモチーフとしたタイトルのように中国史をベースにしているわけではなく,独自の世界観を構築しており,インド風のモンスターなども登場するとのこと。したがって,さまざまな要素を含んだ「東洋ファンタジー」として,日本人にも親しみやすいのではないかと語っていた。また最大の魅力として伝えられている対人戦についてもスピーディな展開で,100対100の大規模対人戦も楽しめる仕上がりなので,何はなくとも絶対体験してほしいと強調した。

 続く質疑応答では,やはり大規模対人戦に関する質問が挙がった。プレイヤーとして最も気になるのは,大人数のプレイヤーが集まって戦闘を行う際の動作について。加藤氏はこの点に関して,韓国サーバーでのプレイ経験から,処理の関係で動作が重くなってしまう場合があるのは確かだが,回線が強制的に遮断されてしまうなどの致命的な症状は見られなかったと回答。また,グラフィックスをはじめさまざまな点を見直して,クライアントがより軽快に動作するよう現在も改良を重ねている最中であると述べた。

 また,RvRを売りとするMMORPGが抱える問題点として,各勢力の人数やレベルの不均衡によるバランスの崩壊についての対策がどうなっているのかという質問が挙がった。この点に関しては「封鎖修練」というシステムが用意されており,弱小勢力には経験値が1.5倍与えられるといった特別なマップを利用して,レベル差を是正できるような対応策がすでに施されているそうだ。

 その他,スキルやキャラクターメイクなどゲームの仕様に関する質問も挙がった。その中で,韓国で開発されたゲームということから,改善や実装の要望などのレスポンスが遅れがちになってしまうのではないかという懸念も挙がったが,このαテストには開発担当のGigassoftからJong-hyeok, Lee氏Joo-Seok, Kim氏が立ち会っており,加藤氏は運営と開発の密接な関係を強調していた。

 なお十二之天のビジネスモデルは,基本プレイ無料のアイテム課金を予定。また,今回のαテストで使用された日本版のクライアントは,韓国における最新バージョンをローカライズしたものだそうである。なお韓国ではすでに拡張パックがリリースされているが,日本での導入時期は未定とのことだ。



■基本はよくある「クリックゲーム」だが,最大の魅力はスピーディで爽快なRvR

 その後,参加者は約2時間半にわたって十二之天を実際にレベル1からプレイ,続いて約1時間を使ってRvRを体験した。
 詳しい紹介は後の記事に譲るとして,簡単に仕様を説明すると,十二之天はレベル制のMMORPGで,基本操作はいわゆる「クリックゲーム」タイプである。移動はマウスによって,カメラの移動やスキルなどの使用はキーボードという形式になる。

  キャラクターのレベルは,「レベル」と「甲」で表現される。レベル113に達すると1甲という段階になり,異なるエフェクトが付与されて,キャラクターが光ったりと外観が変わるという。その後レベルが1上がるごとに2甲,3甲と上昇し,最大で33甲まで用意されているそうだ(※カンファレンスでの説明に誤りがあったとのことで,3月22日5:30PM頃修正しました)。
 実際にプレイしてみると,序盤からレベル10前後までは非常にサクサクとレベルが上がるが,以降は取得経験値が少なくなったり,適正レベルのモンスターが急に強くなったりと,まだ若干バランスの調整が必要なのではないかと感じられた。

 また,スキルには当然ショートカットが用意されているのだが,その使用にあたってはキーボード操作が前提となっており,マウスクリックには対応していない。ほかのタイトルと同様の感覚で,うっかりアイコンをクリックしてもスキルが発動しないばかりか,該当するスキルがショートカットから外れてしまう仕様となっている。この点に関して今回の参加者からも不満が挙がっており,クローズドβテスト以降,順次改善されていくことに期待したい。



 続いて行われたRvRには,一般参加者だけでなく,GM以下ロックワークスのスタッフが参戦。今回は少数のイベントなので,3勢力各7名で,総勢21名と「大規模」というには若干こじんまりしたものとなった。ルールは非常に簡単で,敵対勢力の陣地に配置された守護NPCを倒し,制圧すれば勝利となる。各プレイヤーに用意されたのは,レベル105のキャラクターと各種装備,そして体力回復アイテムなど。

 RvRの中で特徴的な使われ方をしていたのが,「高速移動」「飛翔技能」のスキル。高速移動は単なる移動だけでなく敵陣地周辺での守備を撹乱することに使われ,飛翔技能は追い詰められた際にターゲットを外す有効な手段として活用されていた。
 また十二之天には,一度敵をターゲットしてしまうと,自分のキャラクターは高速移動が使えなくなるというシステム上の縛りが存在する。この縛りのために,高速移動している敵を安易にターゲットすることができず,接近戦に持ち込むためには相手の移動ポイントを予測しながら自分も高速移動する必要があるなど,単なるクリックゲームにとどまらないスピーディかつ爽快な駆け引きが展開された。
 加藤氏によれば,スタン効果のあるスキルを使えば高速移動や飛翔技能を封じることも可能とのことなので,今後そうした戦術がプレイヤーによって研究されていけば,より複雑な駆け引きが重要となる,広がりのあるRvRになることが予想される。
 いずれのプレイヤーも短い時間しかプレイしておらず,有効なスキルや戦術を把握できないまま実戦に臨んだため,結局最後まで決着はつかずにRvRは時間切れとなってしまったが,最大の売りとして挙げられているだけあって,その魅力を体験するには十分だったといえるだろう。



 RvR終了後は,カンファレンスが開催され,各参加者がそれぞれの意見や感想を述べた。中には,先述のスキルのショートカットの件や,三つ巴で自陣を防衛しながら敵陣を攻めるのは困難で勝敗がつきにくいのでルールを見直す必要があるのではないかといった苦言も見られたが,プレイヤー達の感想はおおむね好意的なものが多かった。苦言にしても,「今後が期待できるゲーム」だからあえて言っているというニュアンスが強かったように見受けられた。

 今回のαテストは,午前中のドタバタした進行で相当に不安を感じたが,最大のアピールポイントとなるRvRを参加者に体験する機会を作った点では大成功だったといえるのではないだろうか。
 なお,十二之天のクローズドβテストはすでに発表されている通り3月26日から4月2日にかけて,続くオープンβテストは4月中にそれぞれ実施される予定となっている。クローズドβテストにおけるテスター募集締め切りは,本日3月22日の4:00PMまでとなっているので,興味のある読者は応募してみてはいかがだろうか。(ライター:大陸新秩序)


十二之天 〜TwelveSky〜
■開発元:Gigassoft
■発売元:ロックワークス
■発売日:2007年内
■価格:N/A
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2007.03/20070322143509detail.html