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「ブライトキングダム オンライン」,2007年内のアップデート構想を発表。「第1回オフラインミーティング」レポート
2007/02/16 20:43
 ハイファイブ・エンターテインメントは2月10日,MMORPG「ブライトキングダム オンライン」(以下,ブラキン)のプレイヤーを招いてのオフラインイベント,「第1回 ブラキン オフラインミーティング」を開催した。

 これは,事前に応募のあったプレイヤーの中から16名(3名のゲームアテンダントを含む)を選出,招待し,ブラキンの運営スタッフ/開発者らと共に,同作の現状や今後の展望などについてじっくりと語り合おう,というイベント。
 会場には,ARAGON Networksでブラキンの開発を統括するSoon Young Yang氏(以下,ヤン氏)も駆けつけ,参加者と共に会食しながら,楽しいひとときを過ごした。本稿では,その際の模様をレポートしよう。
 なおヤン氏には,本イベントの終了後に,別途インタビューを行っている。そちらについては,後日改めて記事を掲載する予定だ。



■ブラキンの近況について開発者と
■プレイヤーが忌憚なく語り合う

集合場所には,「しおにく」こと澤紫臣社長が自ら登場。仮にブラキンの看板を持っていなくても,参加者はそれと気づいただろう
 当日の待ち合わせ場所となった都内の某駅前には,ハイファイブの顔ともいえる“しおにく”こと澤紫臣社長が自ら,ブラキンの看板をひっさげて登場。今回参加する一般プレイヤー達は,そのほとんどがお互い初顔合わせということもあってか,最初は緊張していたようだが,ブラキンプレイヤーなら誰もが知っている澤氏が現れたことで,「ああ,あの人だ!(笑)」とほっとした様子だった。

 参加者が一通り揃ったところで,一行はとりあえずハイファイブ社からほど近い喫茶店(貸し切り)へと移動した。今回のイベントは基本的に,参加者達が好きな食べ物をバイキング形式でつまみつつ,ハイファイブ側のスタッフが司会役を務める形で進行。そして時折,ARAGON Networksのヤン氏や一般プレイヤー達にもコメントを仰ぐ,という展開である。

 オフラインミーティング最初の話題は,ブラキンの近況についてだった。最近ゲーム内に導入されたアップデート項目は,ゲームの運営/開発側にとって,どのような意味が込められていたのか。そして一方のプレイヤー側は,どのように受け止めているのか,などといった意見が直接交わされた。

 例えば,モンスターからランクの高い武器がドロップされるようになった件について,澤氏としては,それを課金アイテムとして導入するプランも検討していたようだ。しかし「それだとユーザーは残念がるだろう」と,通常のドロップ方法による導入を決断したという。
 また,街にオブジェクトとして配置されている馬車の“車輪”の形が,ちゃんとした円になっていないのは(実は7角形),ブラキンを最初にプレイしたときからひたすら気になっていたとのこと。いつか円の形に修正しようと,当初から長い間気にかけていたが,最近は考えが変わり,「こういう車輪でも馬車が動く世界なんだ(笑)」と達観したという。適度にデフォルメされたキャラクターモデルが特徴の同作において,そこまで車輪にこだわり続ける社長というのも,なんというか,ユニークである。

 イベントが開催される3日前(2月8日)に導入されたばかりのハイレベル向けキングダムクエスト「グレートピノの暴走」に,すでに挑戦した人がオフラインミーティングに参加しているという報告には,澤氏も驚きの声をあげていた。
 現在このキングダムクエストでは,経験値が適切に得られないというバグが確認されているが,ヤン氏によると,現在韓国側で修正作業中とのこと。間もなく修正パッチを当てると言っていたので,期待して待っていよう。
 ちなみにヤン氏は,本作の開発作業で多忙を極めているようだ。つい先日も2週間ぶりに帰宅して,奥さんに叱られたという。そういった見えない(?)努力の積み重ねが,ブラキンのコンテンツや安定性の向上に貢献している……のかもしれない。プレイヤーとしては,ヤンさんの夫婦仲の平穏を願いつつ,あれこれ要望を出していきたいところである。

会場は都内某所のカフェを貸し切りにして使用。ちなみにこの場所から徒歩数分の場所に,ハイファイブのオフィスがある


■「シャイニングリロード」の
■ロードマップが初公開に

お馴染み,ハイファイブ社長の「しおにく」こと澤氏。12月に韓国版のサービスは終了したが,今後は日本に特化したブラキンを作り上げていくと述べ,参加者を安心させていた
 オフラインミーティングでは,現在展開中の大規模アップデート「シャイニングリロード」についての発表も行われた。ハイファイブのMMORPG統括プロデューサー 堀内幸広氏によって,同アップデートのコンセプトが改めて発表されたのである。

 シャイニングリロードとは,“コミュニティの強化”“既存システムの強化”“新システム追加”という3方向からのアプローチにより,ブラキンを「より居心地のよいゲーム」へと成長させるためのアップデート群である。2月1日より,「シャイニングリロード Chapter1」と題したアップデートが毎週木曜日に行われており,この流れは3月8日まで続く見通しだ。

 イベントで明らかになった,今後のアップデート内容を紹介していこう。2月15日に導入された「ジャイアントハニング」は,レベル30〜40のキャラクターが最大15名で楽しめる,新たなキングダムクエストだ。
 ハチミツがないと生きていけないハニング族が,エルドリンのハチミツ倉庫を襲撃。しかし倉庫の中は空で,激怒したハニングがエルドリンの人々を見境なく攻撃しはじめる,というバックグラウンドストーリーである。
 これまで,レベル40近辺のキングダムクエストは種類が少なかったので,「ジャイアントハニングでそれを補いたい」と澤氏はコメントしていた。

 3月1日と3月8日に予定されている「既存キングダムクエスト解禁」は,キングダムクエストに参加する際のレベル条件が緩和されるアップデート。これにより,キャラクターがレベルアップしてしまい,好きなキングダムクエストの対象レベル帯を超えてしまうという問題が,いくらか軽減されるとのこと。

 堀内氏によると,キングダムクエストは引き続き,より遊びやすくなるようなシステム改善を行っていく予定だという。例えば,プレイヤーのアクセスが集中する時間帯は,開催数や開催時間を微調整したいようだ。
 と,そこで澤氏がすかさず「キンクエの申し込み時に溢れちゃうのは悲しいから,予約しやすいようにしてほしいなあ」と発言。このような形で業務命令を受けると思っていなかった堀内氏は,「と,とりあえずヤンさんと一緒に悩んでみます」と,冷や汗をかきながら(?)答えていた。

上段左:ARAGON Networksで開発に携わるヤン氏も,忙しい開発作業の最中,時間を割いて来てくれた。日本での盛況ぶりにはかなり満足している様子である 上段右:ブラキン担当プロデューサーの堀内氏。2007年は昨年以上に,ゲーム内で“ブラザー感”を出していきたいと語っていた 下段左:このスライドに記されているのは,あくまでも“Chapter1”のみ。シャイニングリロード自体は,もっと長いスパンで展開されるアップデートだ 下段右:これが,2月15日に実装される「ジャイアントハニング」のキングダムクエスト。レベル30〜40のキャラを持つ人は心待ちにしよう


 シャイニングリロード全体のロードマップも,オフラインミーティングで初めて明らかにされた。ロードマップをよく見ると,なんと2007年いっぱいまで続くアップデートとなっており,多くの参加者達にとって,予想を大幅に上回る規模だったようだ。現時点では,導入日時をはじめとした詳細面の多くは未確定だが,今回明らかになったシャイニングリロードの全貌をざっと説明していこう。



【コミュニティ強化】
●ギルドトーナメント
 ギルド同士によるPvPを主体としたトーナメント戦で,1週間〜1か月といったスパンでの開催を予定。ゲーム内に登録されているギルド数はかなり多く,トーナメント戦は大いに盛り上がりそうだ。

●結婚システム
 以前から予定されていた機能だが,最近になってようやく実現できる目処が立ったとのこと。男女のキャラクター同士が単純に結婚するだけでなく,ペアを組むことにより,何らかのメリットを得られるようにしたいそうだ。

●師弟システム
 高レベルのプレイヤーキャラクターと低レベルのプレイヤーキャラクターがパートナーとなり,同時にログインしている間は何らかの形でメリットを享受できる。結婚システムと同様,プレイヤーからの要望が多い機能で,いかにもコミュニティを重視したブラキンらしい展開といえる。

●ミニハウス内部実装&内部装飾機能
 「ミニハウス」を使用した際,部屋の内部へとエリアチェンジし,プライベートエリアとして活用できる。友達を招待して雑談したり,ハウスデコレーションを行ったりなど,さまざまな展開が期待できるだろう。

【システム強化】
●Lv99までのコンテンツ拡張
 現在のレベルキャップは79となっているが,これを2007年秋までにレベル99へ拡張。またそれに合わせ,キングダムクエストをはじめとした各種コンテンツも整備される。

●エンチャントシステム
 現在は鍛冶屋で武器の“鍛錬”を行えるが,それとは違ったアプローチで武器の強化ができるシステム。いくつかある魔法属性の中から好きなタイプを武器に付与できるそうなので,戦術の幅がかなり広がりそうだ

●ステータスランダムオプション
 現在すでに導入されているシステムだが,再構築して,よりキャラクターに個性をもたせられるように変更したいとのこと。

●戦闘フィールドシステム
 対人戦(PvP)用エリアの導入。ヤン氏としては,プレイヤーの20%程度は,対人戦も楽しむだろうと認識しているが,ハイファイブ側との意見がそぐわず,調整に難航中。ハイファイブ側の考えとしては,「PKなどの無味乾燥な対人戦ではなく,なんらかの必然性を持たせ,プレイヤーが納得できる形で行わせたい」とのことだ。



【コンテンツの追加】
●ヘアスタイル変更
 現在は各職業に三つずつしか用意されていないフェイスタイプだが,今後,バリエーションを増やしていくという。すでに開発作業に着手しているが,既存キャラクターが髪型を変更できるかどうかについては,検討中だそうだ。

●顔飾り機能
 “眼鏡”や“イヤリング”などといった,アクセサリ類を導入する予定だという。イヤリングについては,ステータスアップ用のものがすでにあるが,それとは別に,外見に反映されるタイプが導入される。ヘアスタイルと同様,キャラクターの個性化を図れるだろう。

●表情を変える機能
 キャラクターの表情を増やすことで,コミュニケーションしやすいようにするもの。感情表現機能の項目が増えるアップデートをイメージしてほしい,とのことだ。

●世界観の再構築・ストーリーの追加
 現在のクエストは,例えば「モンスタードロップ品を何個集めろ」といった単調なタイプが多い。今後は,もう一歩世界観に踏み込み,クエストのバリエーションを増やしたいとのこと。



●エルドリンのリニューアル
 2月1日には,プレイヤーが最初に訪れる町「ルーメン」がリニューアルされたが,今後はほかの町についても,リニューアルをしていくという。明確な実装時期は明らかにされなかったものの,ゲーム内で最大の都市「エルドリン」のリニューアル作業が,現在進められているようだ。
 画面写真をよく見ると,マップの西側に,新たに城が建てられているのが分かる。また,南には競技場らしき建造物もあり,スタッフは「ここでサッカーができたりすると面白いね」などと話していた。



■質疑応答コーナーも盛り上がった
質疑応答の最中は,思わずヤン氏が腕を組んで唸ってしまう場面も。どうすればゲームがより良くなるのか,という熱心さが伝わってきた
 シャイニングリロードにおけるアップデート項目の説明が終わったところで,堅苦しい発表はひとまず中断。アップデート項目がかなりの数だったこともあり,参加者は少々圧倒されていたかもしれないが,この休憩で,場の雰囲気は再び和んできたようであった。
 小休止を挟んだ後は,事前に募集された分を含むプレイヤーからの質問が,運営/開発スタッフによって答えられていった。すべてのやりとりを掲載するとかなりの量になってしまうので,ここでは,プレイヤーが気になるであろう項目を抜粋して紹介していく。

Q:
 スタッフの人達はプライベートでブラキンを遊んでいますか?

澤氏:
 元々はセカンドキャラ用としてプレイしていたアーチャーが,現在はメインを追い越してしまい,レベル30まで成長しています。ほかにはレベル26のクレリックもいて,主にこの2キャラを使っていますね。
 あと,「キングボヨンの逆襲」のキングダムクエストをプレイするために,レベル上げを10弱で止めている,女性ファイターがいます。でも“鍛錬”によって武具だけは異様にパワーアップしていています。もし+9のショートソードと,+8のウッドシールドを装備しているヘンなキャラがいたら,それはきっと私です(笑)。

ヤン氏:
 アップデートのフィードバックを得るために,こっそりログインしていますよ。日本語を話せないので,チャット内容までは理解できないものの,皆さんがどのように遊んでいるのかは常に注目しています。

Q:
 プレイヤーの新規加入を促すための,具体的なアイデアはありますか?

ヤン氏:
 ブラキンは,開発の初期段階から「初心者にやさしい」ことを目標にしており,チュートリアル用のクエストも充実させてきました。しかし,実際のプレイヤーの動向を見てみると,全体の80%程度の人はチュートリアルを行わずにいきなり冒険へ行ってしまったのです。そういった状況を見るに,一体どうすれば初心者の人がプレイしやすいゲームになるのだろうか,と常に悩んでいます。
 もし,プレイヤーの皆さんに良いアイデアがあったら,ぜひとも掲示板に書き込んでください。

Q:
 現在最も活気のある都市「エルドリン」と比べて,別の街の「ウルガ」が閑散としてしまっています。この問題は解消できますか?

ヤン氏:
 ウルガは元々,キャラクターレベル70以上を対象とした上級者向けのタウンエリアです。現在は,そのレベル帯に達している人がまだまだ少なく,その結果ウルガが閑散としてしまっているのかもしれません。今後キャラクターのレベル帯が上がっていくことで,ウルガはもっと賑やかになると思いますよ。

Q:
 RMTやBOT,チートといった不正行為への対策は,どのように行われていますか?

ヤン氏:
 パケットの暗号化や,スピードハックなどの主なチートに対する防止策はすでに施しており,プレイヤーの皆さんが安全にプレイできる環境は整っていると思います。ちなみに今のところ,サーバー及びクライアントのハッキングに関する報告は一度もありません。

Q:
 今後追加されるエリアには,どのようなものがありますか?

澤氏:
 まずは,レベル99までの高レベルキャラクターに適したマップを,4種類予定しています。そのほかには,一部のクエストなどで使用する小規模なダンジョンを2種類,PvPやキングダムクエストで用いるマップを3種類,さらにGvGやトーナメント用に用いるマップを3種類予定しています。

Q:
 それぞれの街から手軽に移動できる,共通のコミュニティスペースを作ってほしいです。

ヤン氏:
 移動手段については,以前からアイデアを練っているのですが,最近になってようやく目処が付いてきました。提案してくれた内容に近いシステムで,現在検討しているところです。

イベント中の進行に一部ぎこちないところを感じさせたものの,総合的には十分に満足のいくイベントであった。第二回のオフラインイベントにも期待したい


 そして最後は,こういったイベントではお馴染みの,ジャンケン大会。ブラキンのポスターやWebMoney,開発者の直筆サインといった定番品に混じって,「しおにく人形」や「ハニング人形(澤社長の手縫い)」といったユニークなものも放出されていた。参加者はプレゼントを両手に抱えながら,帰路についた。

 今回のイベントを通じてあらためて強く感じたのは,ブラキン(というよりもハイファイブという会社)が,非常にユーザーフレンドリだということ。ゲームマスターよりもプレイヤーに近い立場でサポートする「ゲームアテンダント」の存在や,ほぼ毎日行われる初心者向けイベントなど,ゲーム外の環境も含め“ブラキン”が一種のテーマパークのような印象を受ける。ゲームを続けていればきっと何かイベントが起こるんじゃないか,というワクワク感があるのだ。

 2006年12月に,韓国版である「Shine Online」のサービスが一時終了するなど,日本語版への影響を心配している人もいるかもしれないが,現在のハイファイブのやる気を見るにつけ,当面は期待できそうである。実際,ユニークユーザー数についても,2006年後半から,順調に増加しているという。正式サービスから半年を迎えて,より一層パワーアップしていくブラキンの今後に注目していきたい。(川崎政一郎)


左の写真で澤社長に持っている「しおにく人形」は,3月に発売される製品(!)のプロトタイプとのこと。このような展開は(良い意味で)本作以外ではありえないだろう

ブライトキングダム オンライン
■開発元:ARAGON Networks
■発売元:ハイファイブ・エンターテインメント
■発売日:2006/07/19
■価格:基本プレイ料金無料,アイテム課金制
→公式サイトは「こちら」

【この記事へのリンクはこちら】

http://www.4gamer.net/news/history/2007.02/20070216204303detail.html