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「ネオスチーム」公式イラストレーター李 KPAさん&開発スタッフの対談レポート
2007/02/15 14:25
左から,李KPAさん(顔はイラストでご勘弁を),韓国Hanbit Soft チーム長 ホン・チャンファ氏,同企画パート長 ソン・ホゼ氏,そして通訳を務めてくれたハンビットユビキタスエンターテインメント ネオスチーム運営チーム キム・ギュマン氏
 2月10日,MMORPG「ネオスチーム」のオフラインイベント「ユーザーミーティング」が,東京・千代田区のKKRホテル東京で開催された。ミーティングの内容に関しては,取材レポートを掲載しているので,そちらで確認してほしい。
 さて4Gamerでは,このミーティングの終了後に,ネオスチーム開発チーム長のホン・チャンファ氏と,企画パート長のソン・ホゼ氏,そして公式イラストレーターの李 KPA(すももけいぴーえい)さんにお願いして,急きょ対談を行ってもらった。李さんが開発スタッフに直接会うのはこれが始めてとのことで,双方にとって(短いながらも)貴重な時間となったようだ。もちろんその内容は,プレイヤー達にも興味深いはず。ここでは,その模様をレポートしよう。


■なぜ,アップデートスケジュールに
■「わんたん」の予定が入っていなかったのか?


待望の「わんたん」。実装はいつになるのか?
 簡単な挨拶ののち,最初の話題となったのは,プレイヤーの多くが気にしているであろう「わんたん」(右のイラスト)だ。

「個人的に気になる話から始めると,なぜ今日発表されたアップデートスケジュールの中に,わんたんの予定がなかったんでしょうか?」(李さん)

 わんたんとは,以前掲載した李さんへのインタビューでも話題に出てきた,ネオスチームに登場する獣人種族タルンの女性版の通称。ゲーム中のタルンは,現在のところ性別が男性のみとなっているが,李さんが公式ブログの中で想像で女性版を描き下ろしたところ,プレイヤー達から大きな反響があり,たちまち大人気となった。その後も,ことあるごとに李さんおよび多くの日本人プレイヤーが実装の要望を送っており,実はユーザーミーティングでも少し話題に上っていたのだ。

 これに対してソン・ホゼ氏は,「日本のプレイヤーからの要望は,確かに届いています。しかし,既存種族に性別を追加すると一口にいっても,実際には新種族を追加するのと同じくらいの作業が必要になるので,なかなか進行しなかったというのが実情です。ただ今回,新たにヒューマン女性のポリゴンモデルを起こしましたから,それを応用することで,わんたんもそう遠くない未来に実現できるでしょう」とコメント。
 プレイヤーからの要望が多いからといって,それがすべて即座にゲームに反映されるわけではなく,開発側にも都合があり,実装するにも手順があるというわけである。李さんによれば,2006年のクリスマスイベント(関連記事)用に氏がデザインしたサンタ衣装でも,似たような状況があったそうだ。

一目瞭然,クリスマスイベントの画像。李さんの絵が,どこまで忠実に再現されたのだろうか
 「あのときのタルンとヒューマンの衣装は,結果的に,ボクが起こしたデザインとまるで違うものになってしまいました。あれは,ポリゴンのモデリングが時間的に間に合わないとか,ちょうどRvRシステムの開発と調整の最終段階で非常に忙しいとか,そういったさまざまな事情が関係していたそうなので,致し方ないとボク自身も理解しています。
 逆にポムに関しては,できるかどうかも聞かずに,無理を承知で男女それぞれにデザインを起こしたんです。ところが,こちらは開発側が頑張ってくれて,意外にも両方実現しました。まあサンタ衣装に関しては,ポムのものが実現しただけでもボクは嬉しかったし,満足していますよ」
(李さん)

 ポリゴンモデルを新しく起こさなければならないので,そう簡単には新しいデザインを実現できないというのはよく分かる。しかし,同じモデルを使い回してばかりでは,見た目の変化もほとんどなくなってしまうと,李さんは厳しく指摘する。
 現在李さんは,課金アイテムとなるアバター装備のアイデアやデザインを,日々考案している最中だ。今後,開発側がさまざまなデザインに柔軟に対応していけない状態だと,アバター装備の充実は不可能になってしまうのではないかという懸念があるのだろう。
 こうした指摘に対して,開発スタッフの両氏は,今後もどんどんアップデートをして,日本のプレイヤーの期待に応える方針で開発を進めていくと回答。その中で,現在は各種族に男女のキャラを作っていく計画が進んでおり,もちろんわんたんも登場する予定であると説明していたので,大いに期待して良さそうだ。


■すべてのプレイヤーがRvRに関われるように

 一プレイヤーであり,また,公式イラストレーターとしてもネオスチームに関わっている李さん。実は今回発表されたアップデートスケジュールについても,事前に聞いていた部分があったそうだ。

「ボクは微妙な立場なので,こうしてあらためて発表があったときに,前に聞いた話と変わっていることが結構あるんですよ。今回でいえば,自然国家はNPCだけになると聞いていたんです。しかし実際には,プレイヤーキャラクターになるということで,これは喜ばしいと思いますね。NPCだと,どんな背景があっても読み飛ばしてしまう場合がありますが,自分で操作できるなら感情移入できますから。
 そのほかだと,攻城戦を楽しむためには,レベルを上げたり,装備を整えたり,あるいはお金を貯めたりとやることが多いので,バトルフィールドのようなミニRvRは,実際にプレイしている時間があるのかなという疑問はあります。でも,やれることの選択肢が増えるのはいいことですね」
(李さん)

 それでは,ネオスチームのメインコンテンツとしてようやく実装されたRvRについては,どう考えているのだろう。

「RvRに関しては,トライアルテストのときに,取材用アカウントと高レベルのキャラクターを用意してもらっていたので,攻城兵器にも乗ることができました。これはもう,本当に楽しいですね。ぜひみんなで持ち回りで乗ってみて,楽しさを体験してほしいくらいです。
 今までのアップデートだと,マップやモンスターの追加ばかりで,あまりシステム的な変化がなかったじゃないですか。だけど今回のRvRでは,国家貢献度のような数値的に分かりやすいシステムができて,攻城兵器やブロック兵器のような新しいアイテムも増えた。だからみんなに楽しんでほしいですね」
(李さん)

 また,大型の攻城兵器でなくとも,小型のものや,あるいは歩兵が投げられる爆弾などを実装すれば,もっとRvRが楽しくなりそうだと提案する李さんに対して,開発スタッフ両氏は,今現在,実装されているものがRvRのすべてではないと語る。
 今後も改善を重ねて,より素晴らしいものにしていく余地はまだまだあるとのことだが,具体的にどんな機能を追加すれば良いのだろうか。

 「今はレベル50以上でないと,RvRに参加できないんですよね。それ以外の人でも間接的に参加できるようなシステム,例えばRvRを実況中継するようなシステムがあるといいですよね。戦況をコンパクトに,今現在どこそこが攻められていて形勢不利とか,そういう感じでログインしている人全員が把握できるように。
 映像での中継は無理でも,RvR実況専用のチャットチャンネルを作るといいかもしれませんね。これなら実況をうるさいと思う人でも,そのチャットを閉じていればいいわけですから。
 現状だとどうしても,レベルが低くてRvRに参加できない人は“蚊帳の外”みたいな状況になってしまうと思うんですよね。レベル20〜30くらいの人に,この実況中継,もしくはチャットを通じてRvRが楽しそう,RvRに参加したいと思ってもらえると,プレイを継続するモチベーションが上がって,結果的に今後のネオスチームの発展につながると思うんですよ」
(李さん)

ホン・チャンファ氏は以前,CCR社でマルスチームのチーム長を務めており,「Fortress」(邦題 ポトリス)シリーズで「大韓民国ゲーム大賞」を受賞したことも
 ゲーム内のヘルプがHTML形式になっているのを利用して,そこにRvRの映像をリアルタイム配信する,それがシステム的に難しいのであれば,GMが全体チャットで実況中継してみるなど,李さんが次々に出すアイデアに,ホン・チャンファ氏も頷く。

 「非常に面白いアイデアですね。実は韓国では,個人で映像配信できるサイトを使って,リアルタイムにRvRを中継しているプレイヤーがいます。これをネオスチームのシステムに組み込むことも検討してみます」(ホン・チャンファ氏)

 そのほか,GMが面白おかしくRvRの戦況をリアルタイムで伝えて,それが話題となればプレイヤー獲得につながるのではないかなど,李さんのアイデアは尽きなかったが,残念ながら開発スタッフ両氏の帰国時間が来てしまい,対談は終了となった。


 最後に,対談していただいた3名から,同日のユーザーミーティングに関するコメントをいただいたので,それを掲載しよう。

――ホン・チャンファ氏
 ネオスチームを熱心にプレイしてくださる日本のユーザーから直接意見を聞けたことは,非常に良かったと思います。みなさんの期待に応えるためにも,これまで以上に開発に力を入れなければならないと考えています。
 ちなみに,今日一緒に来た企画パート長のソンは,月曜日に出社してから金曜日に帰宅するまで,会社に泊まりっぱなしという生活を続けています。この頑張りも,みなさんの期待があればこそのものです。今後ともよろしくお願いします。


――ソン・ホゼ氏
 日本のプレイヤーが,RvRに期待している部分や嗜好する部分は,韓国のプレイヤーとほぼ同じですね。ただ日本の人は,チャットのような日常的に使うシステムや,ギルドなどのコミュニティに関する部分への指摘が多いと感じました。今後は,そうした点にも配慮して改善/修正していかなければならないでしょう。
 今回,RvRがネオスチームのメインコンテンツとして実装されましたが,今後も改善を続けていきます。現状ではまだまだ個々のシステムがバラバラに動いている感じが強いので,うまく相互作用するように調整していきたいですね。


――李さん
 ミーティングに出席できたユーザーさんの数が少なかったのは,ちょっと残念でした。でもその分,時間をおしてまで議論が盛り上がったので,結果としては良かったんじゃないでしょうか。同じ意見を出し合うにしても,ただオンラインでやるだけでは,今回のような盛り上がりにはならないと思うんですよ。わざわざ場をセッティングしてみんなで集まったり,通訳をはさんで日本語と韓国語で意見を交わし合ったりというのも,やはり必要なことなんだと実感しました。今回の経験を生かして,またみんなで集まれるといいですね。
 ボクはこれまでいくつかオンラインゲームをプレイしてきているんですが,その中でも,ネオスチームが好きなんですよね。これは,自分が関わっているからというのではなく,本当に一プレイヤーとして好き。そして同時に,ほかと比べると,至らない部分や足りない部分もあるゲームだとも思います。
 どこが好きと説明するのは難しいんですが,あえて言うならば,雰囲気が好きなんです。アイテムのデザインにしろ,ネオスチームにまつわる仕事は苦にならないんですよ。実は,ボクが最初に起こした3種類のプレミアムアイテムのデザインって,ノーギャラだったんです。それはボクがやりたくて,無理やりスタッフからぶん取ったからですね(笑)。
 今後ネオスチームに関わっていく中で,ボクはいろいろ変なこと,実験的なことをやっていきますが,それは,最終的には必ず良い結果につながると思います。わざわざ“最終的には”と言ったのは,ボクが変な方向に行ったら,きっとプレイヤーのみなさんがダメ出しをしてくれると思うからです。ボクは自分自身を「ユーザーの要望を映す鏡」と考えているので,みなさんがダメだと思うことはやりませんよ。だから遠慮せずにダメ出ししてほしいですね。


いかにも「撮影のために握手してもらった」という写真だが,このポーズをお願いしたきっかけは,本物(?)の握手である。(青森県在住で,めったに上京しない)李さんが,(韓国から来日していた)開発スタッフの二人に対して「こうやって直接会うことは,もうほとんどないと思うので」と言って片手を伸ばし,二人も快く応じて握手していた


ユーザーミーティングとこの対談の間に,30分ほど時間が空いているのだが,その間李さんは何をしていたかというと……まぁご覧のとおり。ちょっとしたサイン会状態となっていた
 実際に現場にいるホン・チャンファ氏とソン・ホゼ氏が,会社に泊まりこむほどネオスチームの開発に入れ込んでいるのは無理もないが,やはり印象に残るのは,李さんの真摯な態度だろう。公式ブログからも読み取れるが,開発/運営スタッフ以外で,ここまでネオスチームのことを熱心に考えている日本人は,そうそういないのではないだろうか(そう考えると,そういう人ばかりが集まった今回のユーザーミーティングは,実に貴重な場だったわけだ)。
 それゆえに「自分はユーザーの要望を映す鏡」「自分が携わる部分に関しては,必ず良い結果を出す」という氏の言葉も,決して口先だけのものではない,非常に信頼の置ける言葉として響いてきた。(ライター:大陸新秩序)


ネオスチーム
■開発元:Mars Team
■発売元:ハンビットユビキタスエンターテインメント
■発売日:2006/10/19
■価格:無料(アイテム課金)
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2007.02/20070215142547detail.html