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華麗なアクション要素が満載,MMORPG「CABAL ONLINE」開発者インタビュー
2006/10/20 17:37
 現在オープンβテストを実施中のMMORPG「CABAL ONLINE」は,華麗なアクション要素を前面に押し出した注目作だ。10月12日のオープンβテスト初日にいきなりネットワーク関連のトラブルに見舞われてテストを一時中断。当初は10月17日にテスト再開に関する発表を行うとしていたところを,トラブルがすべて解消したとして,翌10月14日には急きょオープンβテストを再開し,その後は三つめのワールドとなる「Mars」をオープンするなど現在は順調な運営が行われている。
 4Gamerでは,オープンβテスト前日となる10月11日に,本作の開発元であるESTsoftのGame Division Director,Min Young Hwan氏と,Sales&Marketing TeamのLee-Jae Hyuck氏にインタビューを行った。以前掲載した特集記事も合わせて目を通してもらえれば,本作の特徴がよりよく分かるだろう。そちらもぜひチェックしてもらいたい。



■設立13年の老舗デベロッパが手がける,初のオンラインゲーム

左から:ESTsoft Sales&Marketing Team Lee-Jae Hyuck氏,Game Division Director Min Young Hwan氏
4Gamer:
 本日はよろしくお願いします。日本にはよくいらっしゃるんですか?

Min氏:
 こちらこそよろしくお願いします。日本には,1か月ほど前に行われたファイナルクローズドβテストのときにも来ましたよ。

4Gamer:
 日本の印象はいかがですか?

Min氏:
 日本に来ても毎日仕事ばかりしているので,韓国にいるのと変わりません(笑)。

4Gamer:
 それは残念ですね。ぜひ息抜きに観光もしてください(笑)。
 では,さっそく本題に入りたいと思います。今回は日本語へのローカライズ作業のために来日されたのですか?

Min氏:
 いえ,ローカライズ作業自体はすでに日本で進んでいるのでそれほど問題はありません。ただ我々から見たら国外ということもあって,コミュニケーションが難しいところがあるので,時々来日するようにしています。今回はWebやサーバー関連の技術的な作業を一緒に行う予定です。

4Gamer:
 なるほど,そうだったんですね。
 ESTsoftはこれまで,画像ビューワや圧縮ツールを作っていましたが,オンラインゲームを作ることになった経緯について教えてください。

Min氏:
 元々は,いま挙げられたようなツールの開発や,他社のオンラインゲームのセッティングなどを行ってきました。オンラインゲーム市場も順調に伸びており,当社の製品のユーザーを広げる窓口になってくれるだろうと考えて,今回初めて自社でもゲーム開発を行うことになったのです。

4Gamer:
 ちなみに現在,ESTsoftはどのくらいの規模なんでしょうか。

Min氏:
 いまは全部で146人です。

4Gamer:
 その中でCABAL ONLINEの開発に携わっているのは何人ですか?

Min氏:
 50人くらいですね。

4Gamer:
 初めて手がけたオンラインゲームがヒットして,さらには日本展開までされるというのは成功と言えると思いますが,何が成功の要因だったとお考えですか。

Min氏:
 多くの3D MMORPGでは動作に必要なスペックが高かったものを,低スペックでも遊べるようにしたこと。そして,スキルやキャラクターのアクションに重点を置いて開発を行ったことが成功の秘訣だと思います。

4Gamer:
 開発はいつ頃から行われていたんですか?

Min氏:
 2002年から開発をしているので,もう3年以上になりますね。

4Gamer:
 すでに長い期間,開発が行われていたんですね。CABAL ONLINEは,最近のアクション要素の強いMMORPGの中でもユニークな存在ですが,基本的なコンセプトは開発の当初から決まっていたんですか。

Min氏:
 開発の最初の段階から,プレイヤーが遊びやすいこと,華麗でお洒落であること,そして高いアクション性という,三つの基本コンセプトが固まっていました。

4Gamer:
 なるほど。実際,クローズドβテストをプレイしましたが,画面エフェクトがかなり綺麗なのに,動作環境が低く抑えられていて驚きました。このゲームエンジンは自社で開発したものですか?

Min氏:
 ええ,自社で開発したものです。最初から低スペックでも遊べることを目標にしていました。

4Gamer:
 ゲームエンジンからすべてを,一から作るのは相当な労力がかかることだと思いますが,これまでツール開発を行ってきたノウハウが生かされているんでしょうか。

Min氏:
 いや,とくに何かあったわけではありませんね(笑)。

4Gamer:
 そうは言っても,初のゲームタイトルでこれほど大きな反響を得たというのは,何か秘密があるんじゃないですか?

Min氏:
 当社は設立して13年になります。その間に,圧縮ソフトをはじめとした多くの製品を開発してきました。サーバーやネットワーク技術に関しても,十分に対応できるものを持っているという自信はあります。



■クリックゲームとは一味違う,華麗なアクション要素が満載

4Gamer:
 CABAL ONLINEは日本人にも好まれそうなキャラクターデザインなので,もっと高画質で遊びたいという人がいると思いますが,高スペックPC向けに高画質で遊べるグラフィックスオプションを追加するようなことはあるんでしょうか。

Min氏:
 とくに日本人の好みに合わせて開発を行ったわけではないのですが,華麗でお洒落であることをコンセプトにしていたので,そこが受けたのではないでしょうか。グラフィックスについては,私達の間でも不満足な部分はあるのですが,今回は低スペックでも遊べることを大前提にしているので,当初から割り切っています。

4Gamer:
 要求スペックを下げることで,より多くの人に楽しんでもらうことを目標にしているというわけですね。
 CABAL ONLINEは,華麗なスキルを次々と繋げていくコンボアクションが特徴ですが,このアイデアはどのようにして生まれたんでしょう。

Min氏:
 本作はスタイリッシュなアクション性を持たせることを目標にしていたので,そのための見せ場にコンボアクションを据えたわけです。

4Gamer:
 あまりMMORPGでは見られない派手な戦闘が楽しめますよね。ちなみにこのコンボは,システム上はいくつまで繋がるんですか?

Min氏:
 20億です(笑)。

4Gamer:
 それはすごいですね! さすがに20億はないにしても,コンボは長くなると繋げるのがだんだんと難しくなるんですよね?

Min氏:
 12コンボ目までは難しくなりますが,その後は変わりません。韓国では130コンボまで見たことがありますよ。

4Gamer:
 CABAL ONLINEはコンボもそうですが,スキルを使った攻撃も重視したゲームで,クリックして自動で戦闘する作品とは異なるゲームシステムになっていますよね。

Min氏:
 それもやはり,スタイリッシュアクションという考え方が基本になっています。スキルを多用した戦闘を行うためには,マウスだけでは操作が追いつきませんからね。

4Gamer:
 確かにそうですね。それと,本作では一定レベルごとにエンディングを迎えるというのも特徴的ですね。

Min氏:
 ええ。ちょっと個人的な話になってしまいますが,私自身ゲームが大好きで,色々なゲームをプレイしているのですが,みんなでプレイするともっと楽しいですよね。それで周りの人達も誘ってみるのですが,みんなMMORPGはすぐに飽きてしまうと言うんです。それはやはり,MMORPGは作業ゲームになってしまう面が大きいのが原因ではないかと思います。そういったこともあって,CABAL OLINEではストーリー性を持たせてエンディングまで遊んでもらう形にしたのです。

4Gamer:
 Minさんご自身も,クリックタイプのゲームにはすでに飽きてしまっているんですか?

Min氏:
 ええ,そうです(笑)。

4Gamer:
 これまでのようなクリックタイプのゲームには,どのような問題点があると思いますか?

Min氏:
 やはり,クリックタイプのゲームでは操作性に限界があると思いますね。それと,多くの人が不満を感じる点として,狩りが面白くないことがあります。そこでCABAL ONLINEでは,狩りを面白くするために,格好良く華麗にしたわけです。
 また,それと同時に,目的を持ってプレイするために,ストーリーやクエストを用意しました。MMORPGはパーティを組んでプレイすることが面白いのですが,始めたばかりの人にとってはなかなかパーティを組みにくいという面もありますので,エンディングまでパーティを組まずに遊べるようになっています。

4Gamer:
 まだまだクリックタイプのゲームが多い中で,プレイヤーのニーズを先取りした形と言えるかもしれませんね。



■韓国でも月額課金からアイテム課金へ

4Gamer:
 韓国での現状のステータスについても教えてください。

Min氏:
 韓国では昨年(2005年)の12月に正式サービスを開始して,当初は成功したといえるのですが,徐々にプレイヤーが離れてしまう傾向がありました。しかし,1か月半前に月額課金制からアイテム課金制に変更してからはプレイヤーが戻って来るようになり,いまはまた人気が出てきました。今回行った課金スタイルの変更の理由としては,現在の韓国では月額制よりもアイテム課金制をプレイヤーが求めているという状況などがあります。
 ところで,いま韓国で一番人気のオンラインゲームは,10年前のゲームです。そのゲームが良く出来ていることはもちろんあるのですが,RMTを通じてお金になるというのも人気の理由となっている韓国の現在のゲーム市場は,個人的には間違っていると感じています。

4Gamer:
 韓国でのオンラインゲーム市場が間違っているという認識は,プレイヤー側にも共通して見られるんでしょうか。

Min氏:
 多くのプレイヤーがそう感じていると思います。

4Gamer:
 そうなんですね。話は戻りますが,課金アイテムには具体的にどのようなものが用意されているんでしょうか。

Min氏:
 有料アイテムに関しては少しずつ追加を行っていて,いまは能力上昇のためのアイテムなどの販売を行っています。それと並行して,これまで月額料金を支払ってプレイしていた人達を,プレミアムユーザーという扱いに変更して,経験値などをプレゼントしました。このほかに何か特別なサービスを提供したというわけではないのですが,これまで支えてくれた人達がいなくなってしまうと,ゲームの存続にも関わってきますからね。

4Gamer:
 現在,韓国のプレイヤーの平均レベルはどれくらいですか?

Min氏:
 そこはちょっと把握しきれていませんが,2週間前にオープンしたばかりのサーバーで,すでにレベル100まで上がっている人もいますよ。

4Gamer:
 レベル100ですか……それはすごいですね。とはいえ確かに,CABAL ONLINEではソロでもテンポ良くレベルが上げられるんですよね。レベルを上げきってしまった後のプレイ要素としてはどんなものが用意されているんでしょう。

Min氏:
 レベル85くらいまではソロでも十分に遊べて,レベル100でいったんエンディングを迎えた後は,そうした高レベルプレイヤー向けのダンジョンなどに冒険の舞台が広がっていきます。かなりの広さのダンジョンになっていますので,いずれはすべてのプレイヤーに挑戦してほしいですね。

4Gamer:
 これからオープンβテストが開始される日本ではまだまだ先の話になりそうですが,楽しみにしていますね。



■意外にも(?),韓国でも対人戦人気はいま一つ

4Gamer:
 CABAL ONLINEは対人戦の要素もあるゲームですが,こちらについてはどういった展開を行う予定ですか?

Min氏:
 韓国ではすでに,戦争サーバーと戦争チャンネルといったものを用意しています。韓国には現在9サーバーあり,1サーバーに16チャンネルあります。その中で,いまは戦争チャンネルが一つと,PK不可のチャンネルが四つあります。PK不可のチャンネルといっても,戦争チャンネルに移動すれば,もちろん対人戦を行えるようになっています。

4Gamer:
 結構意外な数字ですね。韓国では対人戦が盛んで,もっと対人戦用のチャンネルが多いのではという印象を持っていました。

Min氏:
 そうでもないんですよ。

4Gamer:
 ということは,対人戦メインで遊んでいる人はそれほど多くないわけですね。

Min氏:
 そうです。それがメインになっているわけではありませんね。ギルド同士の戦闘も,現在はそれほど活発に行われていませんが,これまでには,双方合わせて150人の大規模なギルド戦が行われたこともありました。ギルドには最大111人が参加できるといっても,全員が同じ時間帯にログインできるわけでもないので,これまで見た中ではこれが最大規模ですね。

4Gamer:
 ギルドバトルがあまり盛んではないということですが,その代わりにPKが多いといったことはないんですか?

Min氏:
 PKもあまり行われていませんね。というのも,ペナルティがかなり厳しく設定されていて,一度ペナルティを受けてしまうとそれを戻すのが大変だからです。また名声ポイントも下がってしまうので,マイナス面が大きいです。
 最初の一人についてはペナルティがありませんが,二人目からはPKとして攻撃を行うとその時点で名声ポイントが減り,相手を倒してしまうと,そこでまた名声ポイントを失ってしまいます。



■名声ポイントはソロでも獲得可能。新しい形の対人戦も着々と準備中

4Gamer:
 名声ポイントはアイテム製造に必要になりますが,それ以外にも何か使い道があるんですか?

Min氏:
 ええ,実は名声ポイントが高い人だけが買えるアイテムがあります。

Lee氏:
 私からも補足させて下さい。名声ポイントを累積することで上がる名声クラスというものがあって,そのクラスが高くないと購入できないアイテムがあるのです。そうしたアイテムにはネックレスやイヤリングといったアクセサリが含まれています。
 こうしたアイテムは,モンスターからのドロップなどで手に入れることもできるのですが,装備するためにはこの名声クラスが高くないといけません。

4Gamer:
 つまり,ほかのプレイヤーからもらうなどして手に入れても,装備すらできないわけですね。韓国では名声クラスは何段階まで実装されているんでしょう。

Min氏:
 20段階までありますが,現在最も名声クラスが高い人は12ですね。

4Gamer:
 名声クラスによって入手できるアイテムが魅力的だと,PKの防止に役立ちそうですね。また,ギルドバトルで勝利すると名声ポイントが手に入るということですので,今後は活発になっていくのではないでしょうか。

Min氏:
 ところが,そうでもないんですよ。というのも,勝利チームはポイントを得られますが,負けたチームはポイントを失ってしまうからです。こちらとしても,ギルドバトルから名声ポイントを得るという方法はメインになるとは考えていません。現時点では詳細を言えませんが,今後はこうしたギルドバトルやPKとはまた違った対人戦をメインにしていきたいと考えています。

4Gamer:
 個人戦でもギルド戦でもないとなると,なんとなく形が見えてきますね。そちらの続報を楽しみにしています。ところで,名声ポイントを得る手段について,もう少し詳しく教えてください。

Min氏:
 まず,戦争チャンネルに参戦したときに若干の名声ポイントをもらえ,戦争に勝利した側は,それよりも少し多くのポイントをもらうことができます。そのほかには,名声ポイントが得られるクエストがありますし,PKなどで名声ポイントがマイナスになっている人は,お金を払ってポイントを買うこともできます。また,お互いに名声ポイントを賭けてPvPをすることで手に入れることもできます。

Lee氏:
 いくつかある手段のなかで,得られる名声ポイントが最も多いのはクエストです。名声クラスを上げるためには多くのクエストをこなしたほうが効率が良いわけですね。

4Gamer:
 クエストでも名声ポイントを入手できるなら,対人戦をあまり好まない人でも安心ですね。ところで,名声ポイントが下がるとは聞きましたが,一度上がった名声クラスが下がることもあるんですか?

Lee氏:
 もちろん下がることはあります。PKをしたり,名声ポイントを賭けたPvPで負けて名声ポイントを失ったときに,一緒に下がってしまうことがあります。

4Gamer:
 PKに対するペナルティがかなりキツイので,ずっと悪人としてプレイするのは難しいようですね。さて,いよいよ日本でのオープンβテストが開始されますね。

Min氏:
 ええ。韓国のときも,準備などで寝る時間もないほど大変だったのですが,日本でのオープンβテストも成功してほしいですね。構想していたストーリーが,まだすべて終わったわけではないので,今後はそれを発展させていきたいと思います。

4Gamer:
 ぜひ成功させてください。では最後に,4Gamer読者に向けて一言ずつコメントをお願いします。

Min氏:
 CABAL ONLINEは,華麗なアクションを楽しめる,爽快なゲームです。自信作ですので,ぜひ皆さんでプレイしてください。

Lee氏:
 私自身,これまで色々なゲームをプレイしてきましたが,CABAL ONLINEは誰もが気軽に楽しめ,ゲームにあまり時間が取れない人にとっても遊びやすいものに仕上がっていると思います。ぜひ多くの人に楽しんでもらいたいですね。

4Gamer:
 本日はありがとうございました。



 インタビュー中にもあるとおり,Min氏はオープンβテストに備えてネットワーク関連の作業を行うために来日していたのだが,それでもやはりテスト初日にトラブルに見舞われてしまったのは残念なことだ。10月17日にテスト再開に関する発表を行うとしていた当初の予定より3日も前倒しの10月14日に,それも21時10分という時間帯に急きょテスト再開の告知を行い,わずか20分後の21時30分にオープンβテスト再開という対応は,Min氏がいたからこそ,ここまで迅速に成し得たのだろう。
 テスト再開後は順調に登録者数を伸ばしているのも,プレイヤーからの期待と,運営への信頼の高さの表れだと見ることもできる。運営元であるゲームポットには,今後も引き続き安定した運営を期待したい。そしてプレイヤーは,今後予定される新しい対人戦や,高レベル向けコンテンツの実装を楽しみにしていてほしい。(Interview by 川崎 政一郎,Text by ginger,Photo by kiki)

(10月11日収録)


CABAL ONLINE
■開発元:ESTsoft
■発売元:ゲームポット
■発売日:2006/11/28
■価格:基本料金無料(アイテム課金)
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2006.10/20061020173704detail.html