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マグノリア、世界コンピュータ将棋選手権参加の「Bonanza」と提携
2006/04/24 16:55
 1997年,IBMのスーパーコンピュータ「ディープ・ブルー」と,チェスのグランドチャンピオン,ガリ・カスパロフ氏の間で歴史的な6番勝負が行われ,結果としてコンピュータ側が勝利を収めた。この勝利にはいろいろな疑問符がついているものの,以来,次は「将棋がどうなるか?」についてが人工知能研究者の間でちょっとした話題になっている。チェスは,盤面が進むごとに駒が減り,コンピュータ側の負担も少なくなっていくが,将棋は取った相手の駒を「さす」ことが可能であり,必要となる思考ルーチンも等比級数的に複雑になっていくのだ。今のところ,人間のチャンピオンを打ち負かすコンピュータは登場していない。

 ゲームやユーティリティソフトの開発/販売を行うマグノリアは本日(4月24日),5月3日から5日にかけて行われる「第16回世界コンピュータ将棋選手権」に参加する将棋プログラム「Bonanza」(ボナンザ)と提携したと発表した。
 ボナンザは,カナダ在住の研究者,保木邦仁(ほき くにひと)氏が独力で開発した将棋ソフトで,2005年の6月にフリーウェアとして公開されたもの。その強さと人間のような指し手がちょっとしたセンセーションになり,プロ棋士の間でも評判になった。保木氏は現在29歳で,東北大学を卒業後,カナダのトロント大学に理論物理科学研究の研究員として勤めている。
 もし,ボナンザが勝利を収めれば,大会開催以来初の「初出場で優勝」という快挙をなしとげることになる,とのこと。

 毎年5月に開催される世界コンピュータ将棋選手権は,“最強の将棋ソフト”を決定することを目的とした大会で,日本だけでなく,アメリカ,イギリスなどからもエントリーがあり,将棋関係者だけでなく,ソフトウェア専門家からも注目されているイベントだ。人間のプロと直接戦うわけではないが,優勝したソフトのトップアマとの対局も予定されており,興味深いものがある。いずれは,将棋版“ディープブルー対カスパロフ戦”のような歴史的勝負が行われるのはまず間違いない。

 こうしたイベントによる技術の積み重ねが,将来,身近なゲームに反映されていくことにもなるはずだ。というわけで,ボナンザの勝負結果に興味のある人は,「第16回世界コンピュータ将棋選手権」の公式サイトをチェックしてみよう。(松本隆一)


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http://www.4gamer.net/news/history/2006.04/20060424165521detail.html