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トラブル続出!?「Razer Copperhead」に何が起こっているのか
2005/10/19 23:30
Razer Copperheadの初期ロットには「FIRST EDITION」のシルク印刷がある
 Razer製のワイヤードレーザーマウス「Razer Copperhead」が店頭に登場してから,1か月近くが経過した。では,なぜ4Gamerはレビューなりなんなりの続報をお届けしないのか。それは,Razer Copperheadが,大きな問題を抱えているからだ。

 すでに入手している人にとっては今さらかもしれないが,「大きな問題」について,まずは話を整理してみたい。
 ことの始まりは,メインボタンの物理的な不具合だ。実際に販売を行ったショップによると,初期ロットの約半数が見舞われたというこのトラブルは,具体的には「左メインボタン(場合によっては右メインボタンも)がガタつく」というものである。症状の大きさは微妙に異なるものの,ボタンの先端部を利用するタイプのユーザーからするとこれは致命的といってよく,「大きな問題」の発端となる。

 続いて聞こえてきたのが,ドライバやファームウェアに関するトラブルだ。代表的なところでは,マウスカーソルの動作遅延,ShiftやCtrlキーといった"押し続ける"ことを前提としたキーをボタンにバインドしてボタンを押し続けても,押し続ける状態を維持できないところが挙げられる。しかも,PC環境によって,微妙に症状が異なる小さなトラブルまでも併発したため,いったいどんな症状があるのか,正確にはまったく分からなくなってしまったのである。



■Razerの沈黙でユーザーが混乱
 なぜこのような状況になってしまったのか。その原因はひとえに,Razerが詳細を語ってくれない点にあろう。
 例えばメインボタンの初期不良は,Razerが率先して国内代理店に通知を依頼すれば済むレベルの話だった。
 本誌でもお馴染みのPC.CHAOSパソコンショップ アークでは,レシートさえあれば交換に応じるほか,現在では発売前に全品検査を行っているので,基本的には"初期不良品"が出回ることはないという。しかし,両店はともに,PCゲーム関連機器の扱いに慣れたショップである。本誌の取材では,Razer Copperheadの品質をその程度と認識し,仮にボタンのガタ付きがあっても「仕様」として交換に応じないショップの存在も確認できた。この,ショップごとに対応がまちまちという問題については,Razer側の早急な対応を望みたい。

 不具合が見つかったら次々とドライバやファームウェアをアップデートして,きちんと潰していくという姿勢そのものは評価できる。ただ,Razerはこれについても(少なくとも日本国内に向けては)十全な告知を行っていない。結果としてどうなったかといえば,「ドライバやファームウェアのバージョンが不明なままの製品評」を数多く生んでしまったのだ。このことが,問題をさらに分かりづらくしている。
 「動きません」「○○というタイトルでボタンをバインドできない」「マウスポインタの反応が遅れる」エトセトラエトセトラ。その評価を下しているユーザーが,果たしてどういう環境で試してその結論に至ったのか,ほとんどの場合は不明のままなのである。



Razer CopperheadをUSB 1.1ハブに接続し,Mouse rate checker 1.1bからテストした結果。2500Hzなどといったありえないスコアが出ているが,無理矢理一言でまとめてしまえば"平均は920Hz"である
 また,PC側のUSBコントローラとの相性もあるようだ。あるPCに差したとき,大きな問題なく利用できるRazer Copperheadが,別のPCではマトモに動作しない,という現象もある。一般ユーザーが「Mouse rate checker 1.1b」というアプリケーションを利用して,マウスのポーリングレートをチェックし,Razer Copperheadのそれがスペックよりも低いという指摘を行っている例も見られる。しかし,この方法では,USB 1.1接続のハブなどにRazer Copperheadを接続して検証し直すと,簡単に800〜900Hz台のスコアを得られるなど,信憑性は決して高くない。

 筆者は別に,そういった評価を行う一般ユーザーを責めているのではない。ユーザーからしてみると,仮に体感できないとしても,自分が使っているマウスが不具合を抱えているかもしれないというのは嫌なものだし,誰だって,とりあえずは自分に分かる範囲で論評するほかないのだ。その気持ちはよく理解できる。

 考えてみると,一世代前の同社製マウス「Razer Diamondback」も,発売当時のソフトウェア的な熟成度は低かった。そういう意味では,Razer Copperheadでもそれが繰り返されただけである。おそらく今後,Razer Copperheadについては,熟成が重ねられていくに違いない。
 ただ,このやり方ではRazerのファンやテクノロジー好きに勧められても,万人にはとても勧められない。それは製品評価をするまでもなく明らかだ。せっかく国内代理店と契約したのだから,店頭での告知やサポートも含め,もう少し上手いやり方,知らせ方ががあったのではなかろうかと思う。

■問題点は少しずつ改善中
 さて,Razerは2005年10月17日付けで,Razer Copperhead用の6.08ドライバと6.16ファームウェアをサポートページで公開した。同ページによれば,これまでにあった問題点が,以下のように解消されたという。

6.08ドライバ:
(1)Razer Copperheadが認識されなかったときに「Firmware:6.01」と表示されてしまう問題を修正

6.16ファームウェア:
(1)高解像度,かつ高フレームレートにおいて,一定数のユーザーが体感していた動作時のラグが解消
(2)PCを休止状態にしても,Razer Copperheadが休止状態にならない問題の解消
(3)Razer Copperheadのコントロールパネルにある「BUTTON ASSIGNMENT」で,「Assign a key/Macro」をバインドした状態で,"押しっぱなし"が前提のキーを「SINGLE KEY」に割り当てたとき,ボタンを押しっぱなしにしても,押しっぱなしとして認識されなかった問題の修正(※前出の大きなトラブルの一つが解消されたわけだ)
(4)ファームウェア6.13から6.16の間に報告されたバグの修正

 注目すべきは(3)だ。これにより,サイドボタンに"しゃがみ"などをバインドしていても問題なく利用できるようになるわけで,この不具合修正は大きい。
 筆者の仕事用PC(Intel E7505チップセット,Xeon/3.06GHz×2,GeForce 6600 GT,メインメモリPC2100 DDR SDRAM 512MB×4)で使ってみたところ,2000dpi&1000Hz設定時に,まだ時折引っかかるような挙動を見せる。要するに完璧ではないわけで,人によっては,筆者が遭遇したこのトラブルとは別のトラブルに遭う可能性もあるだろう。ただし,全体として,かなりマトモになったのは確か。ユーザーは,ひとまずアップデートしておいて損はないと思われる。

 なお,一部で「ファームウェアアップデートを行うとサポートが受けられなくなる」という噂が流れているが,この件について前出のPC.CHAOS,パソコンショップ・アークとも,Razerの指示どおり行ったにも関わらずファームウェアアップデートに失敗した場合は,交換などのサポートを行うとのこと。また,販売代理店の一つであるMSY(昌屋)では,まずサポート窓口へアップデート過程を報告してもらい,それに応じて判断,対応するという。

RazerのWebサイトには「Flashing your firmware will not void your warranty provided all procedures are followed strictly.」という注意書きがある。「注意書きどおりの手順を厳密に行えば,ファームウェアアップデートはサポートされる」といった意だが,"厳密"の基準が示されておらず,かなり曖昧だ


■ファームウェアアップデートの方法
 というわけで,以下,6.16ファームウェアへのアップデートを解説しておきたい。Razerの解説ページはあるが,英語版なので不安な人もいるだろう。そういう人は,以下を参考にしていただければ幸いだ。
 ただし,以下の手順で問題なくファームウェアップデートが可能だったことは確認しているものの,基本的には自己責任となる。4Gamer編集部では責任を負えないので,その点だけは了解してほしい。正式な説明はあくまで,RazerのWebサイトに掲載されているものである。(佐々山薫郁)

(1)Razerから最新ドライバ&ファームウェアを入手してインストール

RazerのWebサイトにあるRazer Copperhead用ダウンロードページから,6.08ドライバと6.16ファームウェアのセット「rzr-copperhead608.zip」をダウンロードする。「download」ボタンを押せばOKだ。無事ダウンロードできたら,解凍してインストールする。ファームウェアアップデートは,6.07未満のバージョンのドライバではサポートされないので,必ず6.08ドライバをインストールしておこう

(2)現状のドライババージョンを確認する

Razerのコントロールパネルを開き,中央右部分で「DRIVER VERSION」が「V6.08」になっていることを確認。続けて中央よりやや下にある「SAVE / LOAD SETTINGS」をクリックする

(3)ファームウェアの場所を指定する

「ADVANCED CONFIG SETTINGS」ウインドウが開くので,「UPDATE FIRMWARE」をクリック。すると「ファイルを開く」ウインドウが開く。(1)で標準インストールした場合,ファームウェアは「C:\Program Files\Razer\Copperhead\Firmware」に置かれているので,このフォルダを開いて「Version 0616G.s19」というファイルを選択し,「開く」ボタンを押す

(4)Razer Copperheadを抜いて,正しく再接続する

すると「INSTRUCTIONS」というウインドウが開くはずだ。これは,ファームウェアアップデートの下準備について説明するウインドウ。Razer Copperheadをいったん取り外し,下の写真で示したボタン「PROFILE BUTTON」を押しながら,再びUSBポートへ接続。接続して数秒経過したら,ボタンから指を離して大丈夫だ。なお,以後の作業を進めるには,別途マウスを用意して接続しておく必要がある。また,このタイミングで「OK」ボタンを押してはならない。これらの点は注意が必要だ

(5)ドライバの場所を再度指定する

新しいハードウェアの検出ウィザードが開くので,「いいえ,今回は接続しません」→「次へ」→「一覧または特定の場所からインストールする」→「次へ」→「次の場所を含める」→「参照」と進み,ドライバのインストールフォルダを指定する。(1)で標準インストールをしていれば「C:\Program Files\Razer\Copperhead\Driver」だ。指定したら「OK」ボタンを押す

(6)ドライバのインストールを続ける

新しいハードウェアの検出ウィザードに戻るので「次へ」。インストールが始まり,途中でロゴテストに合格していない警告が出るところで「続行」を押し,しばらく待てば「Freescale USB JW32 ICP Device」というデバイスがインストールされたと報告される

(7)いよいよファームウェアをアップデートする

ここまできたら,(4)で紹介したINSTRUCTIONSの「OK」ボタンを押す。進捗状況を示すメーターが数秒表示された後,「UPDATE COMPLETE!」ウインドウが表示されればアップデート成功だ。いったんRazer Copperheadを外し,再接続すると,普通に利用できるようになる。また,コントロールパネルを開くと,ファームウェアのバージョンが6.16になっていることを確認できるだろう。これで完了である


マウス
■開発元:各社
■発売元:各社
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■価格:製品による

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