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[E3 2005#083]「Dreamfall」は新たなADVのヒット作となれるか?
2005/05/21 18:05
 「The Longest Journey」(以下,TLJ)は,1999年に発売され,欧米で一世を風靡した傑作アドベンチャーである。舞台となるのは科学が高度に発展した23世紀。18歳の美大生,エイプリルは,不思議な夢をきっかけに,現実と異世界との間を行き来できる特別な存在となり,両世界のバランスを崩そうとする邪悪な存在を相手に戦うことになる,という物語だ。
 ピュアなアドベンチャーゲームというと,2002年に大ヒットした「シベリア」が思い出されるが,アドベンチャーという,ほとんど死にかけていたジャンルを見直させた作品として,TLJの名を挙げるファンも多い。テーマが"旅"であることや,怪しく美しいグラフィックス,女性の主人公,といった共通点も多かったが,残念ながら日本語化されなかったため,日本のファンにあまり知られていないのも事実だ。



 E3会場のWestホール内。ノルウェーに本拠を置くデベロッパ兼パブリッシャ,Funcomのブースで公開されたのが,そんなTLJの続編ともいうべき「Dreamfall:The Longest Journey」(以下,Dreamfall)だ。
 世界観を共有し,サブタイトルにTLJの文字が入っているものの,システム面,物語展開などに工夫を凝らし,単純な続編にはなっていない……と我々にゲームを見せながら説明してくれたFuncomの担当者は言う。これは,続編というより,もう一つのTLJなのだ。



 今回主人公となるのは,新たな登場人物であるゾゥイとキーン,そして前作から引き続き主役を務めるエイプリルの3人。プレイヤーはそこから一人を選ぶのではなく,3人それぞれに彼らの世界と彼らの物語があり,それらを順にプレイすることによって,一つの大きな物語を体験するという複雑な構成になっている。
 それぞれの登場人物には,順に「交渉上手」「アサシン」「ステルス」といった特技があり,ストーリー上の問題解決やパズルを解くために,そうしたスキルを上手に活用していく必要がある。我々が見たプレイ画面では,黒っぽい服を着込んだエイプリルが,薄汚れたアパートに入って行き,目的の部屋に忍び込むところを紹介していた。
 彼女はアパートの地下室に降り,木片と布で松明を作り,鼻を利かせて燃料の入った缶を見つける。そして,出来た松明を燃料に浸し,ボイラーを使って火を灯す。これで簡単な明かりが出来たわけだ。いくつかのオブジェクトは組み合わせが可能で,それがパズルになっている。ただ,見た限りでは,いかにもパズルっぽいパズルはなく,目的を達するため,ゲーム上でどういう手段を使うかということそのものがパズルになっている。
 エイプリルは,アパートの住民の背後を音もなく尾行し,住民が目を離した隙にタオルを奪い,それをほかのオブジェクトと組み合わせてロープを作る,というようなことをした。忍び足で歩くエイプリルの行動は,まるでちょっとしたステルスアクションゲームのようで,見つかったらどうなるのだろう,という疑問も浮かぶ。もちろん,本作はアドベンチャーであり,アクションシーンはまったくない。誰かに見つかった場合,今度は会話で切り抜けることになるそうだ。



 エイプリルの徘徊するアパートをはじめ,彼女のいる世界はジメジメした雨の降る憂鬱で暗い場所が多い。またチラッと出てきたゾゥイの住む場所は,近代的で明るく清潔だ。どちらのグラフィックスも非常に説得力があり,ディテール豊かに描きこまれている。影の生成,リップシンクなど,細かいところもなかなかの仕上がりだ。



 詳しいストーリーはこれ以上分からないが,ちょっと見ただけでも引き込まれるような雰囲気があり,アドベンチャーゲームの生命線であるストーリーに関してもTLJに負けないだけのクオリティが予感される。
 傑作の誉れ高い割には,日本では不遇なTLJ。Dreamfallがその状況を打破できるだけのポテンシャルを秘めているかはまだ不明だが,ゲーム好きなら気になるタイトルであることは間違いない。今後の追加情報を待ちたいところだ。なお,発売は2005年の秋が予定されている。(ライター:松本隆一)


Dreamfall: The Longest Journey
■開発元:Funcom
■発売元:Aspyr Media
■発売日:2006/04/17
■価格:49.99ドル
→公式サイトは「こちら」

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http://www.4gamer.net/news/history/2005.05/20050521180545detail.html