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VR界のTwitchになるか? VR用ライブストリーミングサービス「VREAL」が年内にローンチ
毎月150万人にも及ぶ実況者がコンテンツを作成し,1億人ものビジターが1日平均100分以上も視聴するという「Twitch」は,その正式ローンチ以来たった5年でゲーマーたちにとっての”テレビ“へと成長するとともに,ゲームの広報戦略や販売にまで大きな影響を与える一大メディアになった。
ただし,これがVR市場でもそのまま機能するかといえばそうでもなく,実況者がVRヘッドマウントディスプレイをつけてゲームプレイする”エキサイトメント“を,どのように視聴者に伝えるかというのは大きな課題とされている。
VREALのCEOであるトッド・ハーパー(Todd Harper)氏は,「VRゲームを活用しようという実況者が,視聴者を最大限に獲得できることが目的」と話し,VRデバイスだけにこだわっているのではないことを強調していた。
4月27日〜29日,カリフォルニア州サンノゼで開催された「Silicon Valley Virtual Reality Conference & Expo」では,Viveを利用したデモを体験できるようになっており,第3者がプレイする「Surgeon Simulator」や,「VR Legends」という「League of Legends」風のデモを,さまざまな角度で視聴することができるようになっていた。
VREALは,一般的なライブストリーミングサービスのようにロビーから任意の放送を選んでその世界に飛び込むという趣向になっているが,当然ながらロビー自体も3Dで表現されている。双方のコントローラで移動したり,エモートを選んだりできる。移動はレーザーポインターでテレポートする場所を指定するという,Vive系のゲームではお馴染みの操作方法である。
アバターは,ブルーマン風のデフォルトのものの他にも,宇宙服のような専用衣装が用意されており,色も変更できた。キャラクターの容姿は好みに合わせて変更可能と,同社のマーケティング副社長ブライアン・チュウ(Brian Chu)氏は話していたが,今回は宇宙服の色パターンがいくつか用意されているのみであった。
デモルームはかなり広い空間で用意されていたものの,移動できる範囲は青のグリッドウォールで小さめに区切られており,ゲームで表現された3D空間をくまなく歩き回れるというよりは,指定されているスポット(それぞれが1辺4〜5メートルほどのお立ち台のようになっている)に移動して,好みの場面を視聴するという仕組みになっている。グリッドウォールのためか,檻の中から外の世界を見ているような感覚だ。
実況する側から視聴者たちのアバターが見えるのかどうかは確認できなかったものの,視聴者が増えることによりパフォーマンスへの負担やレイテンシーの悪化はないということで,大規模なライブストリーミングの実用にも耐えられるよう開発が進められているようだ。通常の2Dスクリーンモニターで視聴する場合には,ゲーム内に用意された定点カメラを好きなように動かすというスタイルになるとチュウ氏は話していた。
近い将来,「VREAL」プラットフォーム上でVRストリーミングを可能にするSDKのβ版の配布がされる予定になっており,ゲーム開発者や実況者,視聴者からお金を徴収するのではなく,広告などに頼ることでより広い拡散を目指していくという。3Dビデオなどにも応用される予定で,360°映像の中で他の人たちに自分の旅行体験を説明していくというような使い方もできるかもしれない。
「VREAL」公式サイト
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