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任天堂IPをスマートデバイスとゲーム専用機の架け橋に。開発コード「NX」も発表された任天堂とDeNAの記者会見詳報
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印刷2015/03/17 21:13

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任天堂IPをスマートデバイスとゲーム専用機の架け橋に。開発コード「NX」も発表された任天堂とDeNAの記者会見詳報

 すでにお伝えしているとおり,本日(2015年3月17日),任天堂とディー・エヌ・エー(DeNA)は記者会見を行い,業務・資本提携で合意したことを発表した。任天堂のスマートデバイス参入が突然発表され,驚いているゲーマーも多いと思うが,この提携の背景や狙いはどこにあるのか。発表会の内容をまとめていこう。

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 まずは提携に至るまでの背景が紹介された。任天堂 取締役社長である岩田 聡氏と,ディー・エヌ・エー 代表取締役社長兼CEO 守安 功氏が初めて会ったのは,2010年6月のことだという。そのときは守安氏が,「モバゲーに任天堂IPを供給してもらえないか」と提案するにとどまっていたそうだが,氏は任天堂と組むことに情熱を燃やし,その後も継続して話し合いを続けてきたのだという。
 そして任天堂としては,スマートデバイスの普及でゲームの環境が大きく変わっていくなかで,今,両社の組み合わせが相乗効果を生み出すチャンスが大いにあると判断し,提携を決断したそうだ。

 岩田氏は近年,スマートデバイスの普及により,ゲーム専用機ビジネスへの悲観的な意見が増えたと述べる。その内容は,デジタル音楽プレイヤーやデジタルカメラといった専用デバイスが,スマートデバイスに飲み込まれていったように,ゲーム専用機も同じ道を辿るのではないかというものだ。また,環境の変化と同時に,任天堂の展開しているゲーム専用機プラットフォームの移行が,必ずしもスムーズにいかなかったことも,悲観的な意見が増えた要因として挙げられていた。

 しかし,スマートデバイスが飲み込んできたと言われているデバイスと違って,任天堂のゲーム専用機において,コンテンツの最大の提供者は任天堂自身であるという前提条件があり,上記のような悲観論は,この事実を無視していると岩田氏は続ける。
 もちろん,スマートデバイスが普及したことにより,ゲーム専用機のハード普及が難しくなったというのは事実だ。ただ,ハード・ソフト一体型のビジネスモデル自体は機能しており,ソフトの販売は順調である。その例として岩田氏は,2014年後半に,サードパーティ製を含めれば,5タイトルのニンテンドー3DS向けソフトが国内ダブルミリオンを達成するという,日本の家庭用ゲーム機市場でも初のできごとが起きたことを挙げた。任天堂は,ゲーム専用機ビジネスの未来を,悲観視していないのだ。

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 一方で,環境が変わっていくなかで任天堂のタイトルに触れる人を増やし,ゲーム人口を拡大していくにはどうすればいいのか。そのためには任天堂の強みである「ソフトやキャラクターなどの任天堂IP」を活かしていくことが必要だという。そして,任天堂IPの価値をより大きくしていく戦略の1つとして,これまでのようにゲーム専用機のみに任天堂IPを集中させるのではなく,世界中の人々が持つスマートデバイスに向けて,任天堂IPを活用したゲームビジネスを展開していくという方針を立てたそうだ。

任天堂IPの価値を大きくしていく取り組みの一環として,映像コンテンツ化やキャラクター商品化などの取り組みも進行中であり,これらは別の機会に改めて話すとのことだ
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 しかしながら,スマートデバイスのコンテンツは,ただ作るだけでなく,サービスを運営していかなければならない。任天堂は,高品質なコンテンツを生み出す会社として結果を出してきたが,それだけではスマートデバイス市場で成功することは難しい。そこで,Webサービスの構築や運営ノウハウを強みとする,ディー・エヌ・エーとの提携の話が出てきたというわけだ。
 また,ディー・エヌ・エーとしても,スマートデバイスでのゲーム市場が激化し,数多くの新作がリリースされているため,「プレイヤーに遊んでもらう」ということ自体が難しくなっていると認識している。そのなかで,任天堂IPによってほかのゲームとの差別化を図ることは,モバイルゲーム事業を成長させるうえで最良のプランであると判断したという。

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 こうして結ばれた提携において行われる主な内容は,以下の2つとなっている。

・スマートデバイス向け任天堂IPゲームアプリの共同開発・運営
・任天堂 新メンバーズサービスの共同開発

 まず,スマートデバイス向けの任天堂IPを使ったゲームアプリについては,両社が共同で開発,運営を行っていくという。多くの場合は,フロントサイド(スマートデバイス上のアプリ)を任天堂,Webサービスやサーバー側,プレイヤーの行動分析はディー・エヌ・エーといった具合に分担していくことになるそうだ。
 ここで使用される任天堂IPには,とくに例外を設ける予定はなく,すべての任天堂IPが活用されるチャンスがある。ただ,同時に展開するタイトルをむやみに増やし,サービスを疎かにすることのないよう,タイトル数はある程度絞り込む形で展開していくとのことである。
 また,同じ任天堂IPを使うからといって,ゲーム専用機向けのタイトルをそのまま移植することは一切予定していないと,岩田氏は断言。コントローラとタッチスクリーンは操作の特性が違っており,そのまま移植したところで最高のプレイ体験を届けることはできず,結果的に,任天堂IPに傷を付けることにしかならないというのだ。
 よって,スマートデバイス向けには,スマートデバイスに合わせたまったく別のゲームを提供していく予定だという。

 ここで重要なのは,任天堂が今後スマートデバイス向けに展開していくからといって,ゲーム専用機への展望や情熱を忘れたわけではないということだ。スマートデバイスは,任天堂IPを認知してもらうきっかけ,間口を広げるための手段として活用するのであり,プレミアムなゲームプレイ体験は,ゲーム専用機で提供したいと岩田氏は強調する。ゲーマーの限られた需要をスマートデバイスとゲーム専用機で奪い合うのではなく,スマートデバイスとゲーム専用機に,任天堂IPで架け橋を作ろうというわけである。
 任天堂がゲーム専用機の未来を考えている証拠として,この場で開発コード「NX」と呼ばれるものが明らかにされた。これは,「今のビジネス環境に適合するために開発中の,まったく新しいコンセプトのゲーム専用機プラットフォーム」とのことだ。現時点ではどのようなものになるのかは不明だが,岩田氏は「詳細は来年にお話しできると思います」とコメントしていたので,続報を待ちたい。

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 さて,「スマートデバイスから任天堂IPを知り,ゲーム専用機に興味を持ってもらう」という流れは,もう1つの提携内容である,新メンバーズサービスにつながっている。任天堂は,こうした移行をスムーズにできるよう,現行のニンテンドー3DS,Wii U,そして開発中のゲーム専用機NX,さらにスマートデバイスやPCなど,複数のデバイスを統合する新たなメンバーズサービスを用意しようと考えているのだ。
 このサービスは,任天堂とディー・エヌ・エーの共同で開発を行い,任天堂が中心となって運営していくという。現在運営されている(※2015年9月30日にサービス終了)クラブニンテンドーに替わり,任天堂の新しいプラットフォームの中核要素の1つになるそうだ。

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 今回発表された提携内容は以上の2つとなるが,任天堂とディー・エヌ・エーは業務提携に加えて,両社で株式を持ち合う資本提携も発表している。これは,長期的に強固な信頼関係を構築するために決定したとのことだが,資本提携まで踏み込むからには,今回の業務提携内容に留まらず,お互いの企業価値を向上させる取り組みについて,今後も積極的に検討していくとのことだ。また,短期のプロジェクトではなく,中長期的な視点で大きな事業にしていくと,守安氏は話す。

 最後に守安氏は,子供のころから慣れ親しんだ任天堂IPを活用したゲームを,スマートデバイス上で遊べることについて,1人のゲームファンとして,ワクワクしているとコメント。任天堂と組む以上は,もっともユーザーに喜んでもらえるゲームを提供していきたいと抱負を語った。
 一方,岩田氏は,スマートデバイスで成功しているコンテンツ提供者のほとんどは,単一のヒットタイトルに依存しているが,我々は早期に複数のヒットタイトルを生み出したいと述べる。そして,従来のゲーム専用機のプラットフォームの定義はデバイス単位だったが,今後はスマートデバイスやPCといった複数のデバイスを統合し,“任天堂のプラットフォーム”を再定義したうえで,多くの人にソフトを届けたいと話し,プレゼンテーションを締めくくった。

任天堂株式会社と株式会社ディー・エヌ・エーの業務・資本提携合意のお知らせ(PDF)

任天堂株式会社
株式会社ディー・エヌ・エー
業務・資本提携共同記者発表(テキスト)

任天堂とDeNAの業務・資本提携合意のお知らせ

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    Nintendo Switch本体

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