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リゾートホテルに2泊3日でアプリ開発。「スマートフォンアプリジャム2014」2日目朝までの模様をレポート
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印刷2014/07/05 15:47

イベント

リゾートホテルに2泊3日でアプリ開発。「スマートフォンアプリジャム2014」2日目朝までの模様をレポート

画像集#002のサムネイル/リゾートホテルに2泊3日でアプリ開発。「スマートフォンアプリジャム2014」2日目朝までの模様をレポート
 2014年7月4日から6日まで,千葉県にあるリゾートホテル,一宮シーサイドオーツカにて,スマートフォンアプリの開発者による競技会「スマートフォンアプリジャム2014」(以下,SPAJAM2014)が開催されている。
 SPAJAM2014には企画部門とハッカソン部門があり,企画部門は「2020年のアプリ」をテーマとした未来のアプリをプレゼンテーション。ハッカソン部門は2泊3日の日程でチームごとにアプリを1本開発する。ハッカソンというのは「ハック+マラソン」を意味する言葉で,要は「短期間でアプリを企画・完成させるイベントである。

 どちらの部門もただ希望すれば参加できるというわけではなく,書類選考や地方予選などがあり,今回の本選には企画部門に3チーム,ハッカソン部門に11チームが出場。最優秀賞の賞品は,企画部門が賞金30万円,ハッカソン部門はシリコンバレー・スペシャルツアーと,かなり本気度の高い競技会と言えるだろう。
 審査員にもドワンゴモバイル,バンダイナムコゲームス,ディー・エヌ・エー,ガンホー・オンライン・エンターテイメントといったゲーマーにも馴染み深い会社から事業部長やCEOクラスの人物が集まっており,「国内最高峰のアプリクリエイター競技会」というキャッチフレーズは伊達ではないことを感じさせる。
 本稿では,このSPAJAM2014の初日から2日目早朝までの模様をお届けしたい。


やってきました房総半島


 さて,このイベントが都内の研修施設などでなく,なぜリゾートホテルで開催されているかというと,それは「SPAJAM」の“SPA”(温泉)にちなんでいるからだ。ハッカソンもアプリ開発も素晴らしいが,SPAJAMがSPAJAMであるためには,温泉も同じくらい大事なのである。そうであるに違いない。
 会場となる一宮シーサイドオーツカまでは,東京から電車を乗り継ぎ乗り継ぎ,最後は駅からシャトルバスに乗って,トータルで2時間弱の道のり。千葉のリゾート・スパと聞いて,1時間くらいで着くんだろうと勝手に想像していた筆者の感想は「遠いな」の一言だったが,それだけの価値がある場所だった。
 海岸沿いに建てられたホテルの窓からは九十九里浜と太平洋が望め,敷地内にプールやテニスコートも完備。そして改装されたばかりの綺麗な露天風呂と,国内リゾートとして非常に満足度の高い会場だ。

 SPAJAM2014は「前夜祭」と銘打たれたビュッフェ形式での夕食会からスタートしたが,ここで振る舞われた料理も,新鮮な海の幸がふんだんに用いられた豪華なもの。その後この記事の原稿を書かねばならなかった筆者はアルコールの類をパスするほかなかったが,後顧の憂いなしに訪れたのであれば,非常に良い休暇となっただろう。
 ところでハッカソン参加チームのメンバーが容赦なくビールを飲んでいたのだが,彼らは大丈夫なんですかね……? これから30時間くらい連続でアプリの開発&プレゼン準備になるハズなんですが……?

ああ,これで雨じゃなきゃもっと良かったのだが……
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フレッシュな顔触れが揃った参加チーム


 ここで両部門本選に参加するチームを紹介しよう。紹介の順番に法則性がないが,これは前夜祭で紹介された順番である。前もってご了承頂きたい。

●株式会社グッドラックスリー
拠点:福岡
メンバー:5人
 福岡でスマートフォンアプリの開発を行うグッドラックスリーの新人社員で構成されたチーム。福岡予選の勝者で,会社からは「優勝してこい」と言われているとかいないとか。

●Circulation
拠点:福島
メンバー:4人
 郡山予選を勝ち抜いた,福島の専門学校生によるチーム。平均年齢は20歳未満と,大変若い。

●GONBE
拠点:大阪
メンバー:5人
 大阪予選の勝者。ゲームジャムなどを通じて知り合ったメンバーで構成されており,うち1人は18歳の高校生だ。

●有り進撃のDMTC“Attack on Hacker”
拠点:東京
メンバー:5人
 大学生や専門学生を対象としたハッカソンをいくつも主催してきた企業,ギブリーのチーム。今回は参加者としての挑戦だ。

●アンチキラキラ女子チーム
拠点:東京
メンバー:5人
 サイバーエージェントの若手社員で構成されたチーム。同社からはもう1チームが本戦に残っており,同門対決にも注目が集まる。

●チームMizuki
拠点:福島
メンバー:4人
 郡山予選では惜しくも2位に甘んじたチームが書類選考で復活,リベンジを狙う。会津大学の生徒と教師のチームで,メンバーには1年生(18歳)も含まれる。

●ひとりっこりぃず
拠点:東京
メンバー:3人
 早稲田,慶應義塾,多摩美の大学生によって構成されたチームで,数々の受賞歴を持つ強豪。チーム名に反し,一人っ子なのはリーダーだけらしい。

●俺たちアクワイア開発軍!
拠点:東京
メンバー:5人
 ゲーマーにはお馴染み,アクワイアの新人によるチーム。

●Myxomycetes
拠点:東京
メンバー:5人
 サイバーエージェント社員によるもうひとつのチーム。新人の男性3名に,ベテランの女性2名という構成で,チーム名の意味は「粘菌」。

●朝風呂ブラザーズ
拠点:東京
メンバー:3人
 東京大学工学部と多摩美大の学生によるチームで,チーム名らしく,タダで風呂に入れるイベントがあると聞いて応募したとのこと。もちろん前夜祭前に大浴場で入浴を済ませていた。

●パイレーツ・オブ・イチミヤン 〜ポセイドンのめざめ〜
拠点:東京
メンバー:5人
 パイレーツ・オブ・カビリアンに登場するジャック・スパロウのコスプレをしたリーダーが率いる,ドワンゴ社員によるチーム。

海賊だ! 海賊がおる!
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 企画部門の本選参加チームは3チーム。登録はチーム名ではなく,企画名となる。

●e-Yeah
 電通社員3人のチームによる企画。

●簡単!着せ替えネイルアプリ
 仙台から参加した2人による企画。

●HeliPhone Camera
 インデックス社員1人による企画。

 ハッカソン部門の11チームは2泊3日,約30時間を使ってアプリの開発を行う。その後,最終日となる7月5日の朝9:00から,ハッカソン部門と企画部門の全チームがそれぞれ5分間のプレゼンを行い,部門ごとに審査が行われることになる。

 いずれのチームも全体的に参加者の年齢が若いのが印象的だ。SPAJAM自体,その趣旨として「これからのモバイルコンテンツ業界にイノベーションを起こすことが期待される若手世代を想定して,スキルを向上させるための交流の場を提供し,新たな才能の発掘と育成を目指す」という部分があるにしても,参加者のほとんどは20代。10代の参加者も珍しくない。
 また女性参加者も多めで,ハッカソン部門に限っても全49人の参加者のうち,8人が女性となる。

 果たしてこのフレッシュなチームが,どんなアプリを作っていくのか。その結末は,後ほど改めてレポートしたい。


「日本文化を好きになる」アプリとは?


 さて,前夜祭はこれだけでは終わらない,というかむしろここからが本番。気になるハッカソン部門のテーマが発表された。
 そのテーマは「日本文化を好きになる」。このテーマに沿ったアプリを,各チームが開発するのだ。

いろいろな可能性があり得るテーマ
画像集#007のサムネイル/リゾートホテルに2泊3日でアプリ開発。「スマートフォンアプリジャム2014」2日目朝までの模様をレポート

 だが一言で「日本文化」と言っても,その範囲は広い。また「好きになる」にしても,そのモチベーションや手段はいろいろある。
 この難問をどう扱うかは各チームの手腕次第だが,SPAJAM2014では,ここで「アイデアソン」と銘打たれたイベントが開催された。2時間に渡って,ハッカソン参加者全員で,「日本文化を好きになる」アプリにはどのようなものがあるのか,アイデアの交換を行うのである。

 この「アイデアソン」,ただ漫然と参加者が話し合うというものではなかった。
 まず最初に「ショートワーク」と呼ばれる,基礎的なアイデアの交換が行われた。方法としては簡単で,「日本文化」から連想される言葉を,一定のルールに基づいてひたすら紙に書いていくことになる。
 ただ,このルールが曲者だ。紙にはマス目が切られており,参加者は1分間で6つの「日本文化から連想される言葉」をそのマス目に書く。しかるに1分経過したら,その紙を隣にいる参加者に手渡していく。紙は次第にチームメンバーが思う「日本文化」で埋まっていくことになる。
 当然,これは時間が進むにつれて,困難な作業になっていく。メモの手渡しが4回めともなれば,紙には既に最大18個の単語が書かれている。それらと重ならない「日本文化から連想される言葉」を自分の中から見つけるのは,そう簡単なことではない(おまけに,自分自身が既に18個の単語をそれぞれの紙に書いてきている!)。制限時間である1分が,この作業をさらに難しくする。
 だが,こうやって「苦しい後半戦」で出てきた連想にこそ,光るものがあるのという。

紙に単語をどんどん書いていく
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最初は簡単だが……
画像集#009のサムネイル/リゾートホテルに2泊3日でアプリ開発。「スマートフォンアプリジャム2014」2日目朝までの模様をレポート

 このブレインストーミングを進めるうえでのルールとして,以下の4つが提示された。

●判断を先に伸ばす
 その単語からアプリができるかできないかは,この段階では考えない。

●未成熟な案を育成する
 言っている自分自身がよくわかっていなくても,とりあえずは外に出す。

●量を求める
 とにかく数を出すことが大事。

●既出の案を発展させる
 独創性に固執せず,ほかの人が書いた単語から想像を膨らませるのも大事。

4つのルール
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アイデアソンはニコ生で実況もされており,コメントを通じて視聴者もショートワークに参加していた
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 さて,こうやって「あたたまった」アイデアを,「ふくらませる」のが次のステップ「スピードストーミング」だ。

 スピードストーミングでは,ほかのチームのメンバーとペアを組んで,互いの案を紹介しあう。時間は5分間で,4分間話し合って,1分はその案をメモにする時間とする。

 このスピードストーミングにおいても,重要なルールがある。それは「Praise First」,まずは褒めるというルールだ。
 この段階での批判やツッコミは,創造に向ける気持ちを萎縮させてしまう。それよりも,まずは相手の案の良いところに目を向け,肯定的な評価を行うようにするのだ。これによって生まれる肯定的な心理は,自分自身が創造的な発想を産むためのエンジンともなるという。

この段階では,とにかく「褒める」のが大事
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 続いて,スピードストーミングの経験をもとに,「アイデアスケッチ」を作る。
 アイデアスケッチは,ヘッドラインと概要によって構成される。それが「どういうアプリで」「どういう機能を果たすか」を,1枚の紙にまとめるのだ。これは仕様書ではなく,あくまで「アイデアのスケッチ」となる。
 アイデアスケッチも,数を作ることが重要だ。実際,ハッカソンに慣れている参加者は4枚,5枚と量産していた。

アイデアスケッチがどんどん増えていく
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 最後に「ハイライト法」によって,アイデアの評価を行う。
 すべてのアイデアスケッチをテーブルの上に広げ,参加者全員がそれらのスケッチに目を通していく。そして「これは面白い」と思ったスケッチには,マークをつけていく(今回の場合は星印)。
 多くの人が「面白い」と思ったアイデアスケッチにはたくさんの星が残るし,印象が薄いスケッチには星があまりつかないことになる。

 ただし,「良いアイデア」と「星の数」が,必ず比例するわけではないことには注意が必要だ。なにしろアイデアスケッチは枚数が多く(今回は優に100枚を超えた),時間には限りがある。また「スケッチ」であるため,「ぱっと見のインパクト」が与える影響が大きい。
 結果として,ハイライト法によって高い評価を集めるアイデアは,「分かりやすい」「インパクトがある」ものに偏りがちだ。これらは重要な評価基準だが,それがアイデアの良さのすべてを決めるわけではない。

 ちなみに会場で最も多くの人気を集めたのは「着物の帯ベイブレード」。概ねタイトルから想像できる通りのアイデアである。
 また人気を別にすると,撮影した写真をさまざまなな意味で和風に加工するアプリや,忍者ネタなどが多かった。

分かりやすくインパクトのあるアイデアが評価される傾向にある
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 ともあれ,ショートワークで場を暖めるところから始まって,ハイライト法によってひと通りの評価が終わるまで,2時間に渡る「アイデアソン」により,多くのアイデアが共有されていった。
 このアイデアは,全チームにとっての共有財産となる。よって,各チームはここで示されたアイデアそのままではなく,それらをアレンジしたり,あるいはそれらが示さなかった着想を得るなりして,これら以上のものを作っていかねばならない。

アイデアスケッチはハッカソン会場の壁に張り出された
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戦いは始まったばかり


 さて,この原稿を書いているのは7月5日の朝4時。休憩に入ったチームもあれば,熱く企画を討議するチームもあり,実作業に入ったチームもありと,まさに「戦いは始まったばかり」である。
 創作熱にあてられたのか,審査員やスタッフの中には,個人でアプリを作り始めた人もいる。なるほど,本イベントの実行委員長であるガンホー・オンライン・エンターテイメントの森下一喜社長が「本当は自分も参加するつもりで,社内でチームの選定まで終わらせていた」と言うのも納得である。

 5日朝9時には,ネットでも話題になった,ドワンゴの「女子マネージャーの指導によるラジオ体操」も行われ,参加者は大いにリフレッシュしたようだ。今後の戦いの行方に注目したい。

女子マネのみなさんはやる気満々でアイデアソンにも参加していた
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本当はハッカソンに参加したかった森下社長が開会と乾杯の挨拶
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一夜明けた朝5時の九十九里浜
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2日目の始まりは女子マネの模範演技によるラジオ体操。終了後は参加のハンコではなく,記念シールが配布された
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ハッカソン会場のホワイトボードから。激闘(たぶん)の痕跡が見られる
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スマートフォンアプリジャム2014公式サイト

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