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印刷2016/09/21 14:01

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Samsung,NVMe接続の新型SSD「SSD 960 PRO」「SSD 960 EVO」を発表。逐次読み出し性能は最大3500MB/sに到達

 韓国時間2016年9月21日,Samsung Electronics(以下,Samsung)はソウル市内のホテル「The Shilla」で自社イベント「Samsung SSD Global Summit 2016」を開催。その場で,NVM Express(以下,NVMe)接続の新世代SSD「SSD 960 PRO」「SSD 960 EVO」を発表した。

SSD 960 PRO(上)とSSD 960 EVO(下)
画像集 No.002のサムネイル画像 / Samsung,NVMe接続の新型SSD「SSD 960 PRO」「SSD 960 EVO」を発表。逐次読み出し性能は最大3500MB/sに到達

 両製品はいずれも,NVMe 1.2に対応する新型コントローラ「Polaris Controller」を搭載。ハイエンドモデルとなるSSD 960 PROは第3世代V-NAND MLCを搭載して容量は512GB,1TB,2TBの3モデル展開となり,公称逐次読み出し性能は最大3500MB/s,公称ランダム4k読み出し性能は最大440K IOPSに達するという。10月以降順次発売予定で,価格は329.99ドル(税別)から。

 一方,価格対性能比を追求したSSD 960 EVOは,第3世代V-NAND 3-bit MLCで容量は250GB,500GB,1TBを実現。公称逐次読み出し性能は最大3200MB/s,公称ランダム4k読み出し性能は最大380K IOPSとなっている。
 こちらも10月以降の順次発売予定で,価格は129.99ドル(税別)からだ。

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5基のCPUコアを集積した新開発のPolaris Controllerで性能が大幅に向上


Eric Bleuel氏(Senior Manager,Brand Product Marketing Group,Samsung)
画像集 No.006のサムネイル画像 / Samsung,NVMe接続の新型SSD「SSD 960 PRO」「SSD 960 EVO」を発表。逐次読み出し性能は最大3500MB/sに到達
 イベントで製品説明に当たった,Brand Product Marketing GroupのシニアマネージャーであるEric Bleuel(エリック・ブリューエル)氏の説明によると,SSD 960 PROは,高い性能を求めるプロフェッショナル向けの製品で,SSD 960 EVOは,より快適なパーソナルコンピューティング体験を求めるユーザーのための製品だ。

 Samsungは2015年に,NVMe接続のSSDとして,「SSD 950 PRO」をリリースしている。本製品では逐次読み出し性能が最大2500MB/s,逐次書き込み性能が最大1500MB/sという,Serial ATA 6Gbps接続型SSDを圧倒するスペックを持つが,「(SSD 950 PROでは)Serial ATA(6Gbps)世代と比べて,ランダム書き込み性能を上げることができなかった」とBleuel氏。SSD 960シリーズにおいて最も重要な進化は,このランダム書き込み性能の高速化だとしている。

スライド中央に見えるグラフは,容量512GBモデルのSSD 960 PRO(上)とSSD 950 PRO(下)を比較したもの。ランダム4k書き込み性能(QD=32)は,SSD 950 PROの110K IOPSから,今回,330K IOPSへと,3倍に向上したという
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こちらは,容量250GBモデルおよび500GBモデルで,SSD 960 EVOとSSD 950 PROを比較したもの。シリーズの下位モデルとなるSSD 960 EVOが,SSD 950 PROを圧倒している。とくに容量250GBモデルでは,ランダム4k書き込み性能(QD=32)が3.5倍以上に到達したとのことだ
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 SSD 960シリーズにおける性能向上の鍵となっているのが,新開発のSSDコントローラ「Polaris Controller」であることは言うまでもないだろう。
 SSD 950 PROのSSDコントローラ「UBX」は,3基のCPUを集積していたが,「Polaris Controllerでは5つのCPUコアを集積し,それぞれのコアを最適化することで,遅延の低減と転送速度の向上を果たした」と,Bleuel氏は主張していた。
 具体的には,CPUコアのうち1基をホスト(PC側)との通信に使用し,残りの4コアでフラッシュメモリを制御しているのだという。

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 また,新コントローラの採用に合わせて,SSD 960 EVOでは,「TurboWrite」技術の最新モデル「Intelligent TurboWrite」を実装したこともトピックとなっている。

 「TLC」という呼び名のほうが一般的な3-bit MLCは,書き込み性能が弱点になりがちだ。そこでSamsungは,2014年登場の「SSD 850 EVO」にて,メモリの一部の領域をSLC NANDとして読み書きし,それを一種のキャッシュとして使うことで3-bit MLCの書き込み速度を向上させる技術を「TurboWrite Technology」(以下,TurboWrite)として導入した。

 それに対して,SSD 960 EVOに実装された新しいIntelligent TurboWriteは,TurboWriteの制御をより高度にしたのに加えて,「高速書き込みを行うキャッシュ領域」を拡大しているという。これにより,低価格モデルのSSD 960 EVOでも,上位モデルと比べてそう見劣りしない書き込み性能を実現できるようになったとのことである。

SSD 850 EVOのTurboWriteだと,キャッシュ用に確保する領域は容量250GBモデルで3GB,同500GBモデルで6GB,同1TBモデルで12GBだった。これがIntelligent TurboWriteでは順に13GB,22GB,42GBと,大幅に増えている
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高度な積層技術により,M.2フォームファクタで容量2TBを実現


容量512GBのNAND型フラッシュメモリチップを4枚搭載することで,M.2フォームファクタながら2TBの容量を実現したSSD 960 PRO
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 もう1つ,さりげなく重要なトピックとして,SSD 960 PROが,M.2フォームファクタを採用するSSDとして初めて容量2TBを実現した点も挙げられよう。M.2フォームファクタのサイズ内で2TBの容量を実現するため,SSD 960 PROでは,1チップあたり容量512GBのフラッシュメモリチップを採用しているという。
 この容量512GBというフラッシュメモリは,容量32GBのフラッシュメモリセルを16枚積層することで製造しているそうだ。「単に積層するだけでなく,内部の配線などに極めて高度な製造技術を用いている」とBleuel氏はアピールしていた。

32GBのフラッシュメモリセル(左)を16枚積層させた「Hexdecimal Die Package」(HDP)という技術で,1チップあたり容量512GBのフラッシュメモリチップを実現した(右)
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Polaris Controllerの上にキャッシュ用のSDRAMを積み重ねて実装している
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 さらにSSD 960 PROでは,Polaris Controllerの上にキャッシュメモリ用のLPDDR3 SDRAMを積層するという技術も採用している。Bleuel氏も述べていたが,DRAMをCPUの上に載せるのは,スマートフォンなどでおなじみの実装技術であり,こうした技術を組み合わせることによって,高性能かつ大容量のSSDをM.2フォームファクタの限られたスペースで実現できたというわけだ。


新たな熱対策も導入


 高速大容量に加えて,新たな熱対策が施されているのもSSD 960シリーズにおいて注目すべき点である。
 SSD 950 PROは,動作時にかなりの高温になることがあり,温度がしきい値を超えると性能が低下するのが弱点であると,レビュワーやユーザーから指摘されていた。そこでSSD 960シリーズでは,弱点に対するSamsung流の対策を実装しているという。

 第一にSSD 960シリーズでは,SSD 950 PROに比べて電力性能が向上しているという。下のスライドは512GBモデルにおける読み出し時の消費電力を比較したものだが,SSD 950 PROと比べて,SSD 960 PROは約5%,SSD 950 EVOでは約10%の消費電力低減を実現しているそうだ。

読み出し時の平均消費電力は,前モデル比で最大10%程度の低下を果たしている
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 また,「シールのような」(Bleuel氏)銅製のヒートスプレッダ「Heat Spreading Label」をモジュールに貼り付けるといった放熱対策も施してある。この銅製ヒートスプレッダによって熱が拡散しやすくなり,従来比で30%も熱拡散の効率が上がっているという。

モジュールに銅製の熱拡散シールを貼って,放熱効率を向上させている
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 電力効率の向上と熱拡散シールの効果によって,SSD 950 PROと比べ,SSD 960シリーズは「熱によって性能が低下するしきい値の温度」(Dynamic Thermal Guard Trigger Point)に達するまでの時間が,大幅に伸びているという。結果として,運用時に熱による速度低下が発生しにくくなるわけだ。

SSD 950 PROでは,連続アクセスが63秒続くと,性能が低下するしきい値に達していたが,SSD 960 EVOでは79秒,SSD 960 PROでは95秒まで伸びたとのこと
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このスライドは,熱がしきい値に達するまでに,連続的に読み込めるデータ量を示したもの。SSD 960シリーズは,性能向上としきい値までの時間が伸びたことにより,読み込めるデータ量は,最大2倍に増えている。結果的に,性能低下に達する頻度も大きく減るというわけだ
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 Bleuel氏は,SSD 960シリーズに実装された温度管理技術を「Intelligent Thermal Control」と呼んでいた。これにより,SSD 950 PROの弱点がSSD 960シリーズで解消したのかどうかは,実際に検証してみないことにはなんとも言えないものの,Samsungが熱対策に本腰を入れてきたのは間違いない。


競争がますます熾烈になるNVMe対応SSD


 さて,価格については前述したとおりだが,各モデルの北米におけるメーカー想定売価のスライドを最後に掲載しておこう。なお,日本における価格情報はいまのところもたらされていない。

SSD 950 PRO(左)およびSSD 950 EVO(右)のメーカー想定売価を示したスライド
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 以上がSSD 960シリーズの概要となる。非常に高い性能や大容量が売りのSSD 960 PROと,3-bit MLCと新型コントローラなどにより高い価格帯性能比を有するSSD 960 EVOと,どちらもなかなか魅力的なラインナップといえよう。

 話は変わるが,9月上旬にIntelが,M.2フォームファクタでNVMe対応のSSD製品「SSD 600p」シリーズを発売したことを耳にしている人もいるだろう。そのカタログ性能は,SSD 960 EVOにすら及ばない程度だが,極めて安価なのが特徴だ。
 SSD 950 PROが登場した1年前,M.2フォームファクタのSSD市場においてSamsungは敵なしという状況だった。しかし今では,SSD 600pシリーズを始めとして.M.2フォームファクタ&NVMe対応SSDの選択肢は,かなり増えてきている。そのような状況で発表されたSSD 960シリーズが,市場でこれまでどおりの強さを発揮していけるのかどうか。そういった面からも,注目すべき製品になりそうだ。

画像集 No.004のサムネイル画像 / Samsung,NVMe接続の新型SSD「SSD 960 PRO」「SSD 960 EVO」を発表。逐次読み出し性能は最大3500MB/sに到達

SSD 960 PROおよびSSD 960 EVOの製品情報ページ(英語)

SamsungのSSD製品情報ページ


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    Samsung SSD

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