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韓国の名作SRPG「創世記戦」が,7年の時を経てついに復活。東アジア最高のIPを目指して,多角展開が始まる
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印刷2023/12/06 12:00

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韓国の名作SRPG「創世記戦」が,7年の時を経てついに復活。東アジア最高のIPを目指して,多角展開が始まる

下記の記事は,GAMEVU(→リンク)に掲載された記事を,許可を得て翻訳したものです。可能な限りオリジナルのまま翻訳することに注力していますが,一部,画面写真などを変更したり,文化的な背景などで理解されづらいものについては日本向けに表現を変えたりしている箇所があります。(→元記事

2015年のG-STARで「創世記戦4」を披露したが,結局出ないままだった
画像集 No.020のサムネイル画像 / 韓国の名作SRPG「創世記戦」が,7年の時を経てついに復活。東アジア最高のIPを目指して,多角展開が始まる
 SOFTMAXが1995年12月20日に発売したSRPG「創世記戦」は,韓国ゲーム界ではシリーズとして定着した,大きなIPの一つだといえる。それなりに古参のゲームプレイヤーであれば,少なくとも名前は聞いたことがあるか,プレイした経験があるだろう。

 特に「創世記戦III」は,2001年大韓民国ゲーム大賞を受賞し,その成功でSOFTMAXはKOSDAQに上場して栄光の座に着いたという,記念すべき作品だ。
 だがそれも「創世記戦III PART.2」までだった。その後も多くのゲームを発売したが,ことごとく失敗に終わったSOFTMAXは暗黒期に入り,「創世記戦」のIPで新作が披露されることはなかった。

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 韓国・釜山で開催されたゲームショウG-Star 2015の商談向け(B2B)エリアにて,Softmaxが開発中の新作MMORPG「創世記戦4」が出展されていた。「創世記戦」は韓国産では最も長い歴史があるRPGシリーズで,前作からは15年ぶりのシリーズ最新作となる。ブースにいたスタッフに話を聞いてみたので,情報を整理してお届けしよう。

[2015/11/18 20:18]

 結局SOFTMAXは,2016年にNEXT FLOOR(現LINE GAMES)に「創世記戦」のIPを20億ウォン(約2億4000万円)で売却し,そのゲーム会社としての寿命を終えた。
 そして「創世記戦」シリーズは新しい会社に渡り,7年の月日が経った2023年に,LINE GAMESによって新作が披露されることになった。しかも,異なるプラットフォームの2タイトルを同時発表で。

※4Gamer編注:2016年9月,業績悪化で株式売買停止まで追い込まれたSOFTMAXは,投資組合と株式売買契約を締結し,同年10月に「ESA」に社名変更した。11月の創世記戦IP売却より前から,ゲーム事業の精算は始まっていたようだ。

 2023年11月2日,ソウル江南に位置するLINE GAMES本社では,「創世記戦」のIPをもとに開発した2タイトルの記者発表会が開催され,そこでNintendo Switch用タイトル「創世記戦:灰色の残影(The War of Genesis:Remnants of Gray)」(以下,灰色の残影)と,モバイルアプリ「創世記戦モバイル:ASURA Project」の紹介が行われた。

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「創世記戦:灰色の残影」 「創世記戦モバイル:ASURA Project」


コンソールプラットフォームへの帰還:「創世記戦:灰色の残影」


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 一つ目のタイトルとして発表された「灰色の残影」は,開発会社ReG Studioのイ・セミン氏がディレクターを担当した。発表に先立ち,彼は謝罪から会見を始めた。当初,2022年には発売すると言っていたが,開発期間が長くなり,発売が遅れたことについてお詫びをした。

 「灰色の残影」は,発表に至るまでに紆余曲折を経ている。当初はUnityを利用してNintendo 3DS用ゲームとして始まったが,その後Nintendo Switch用へとシフト,ゲームエンジンをUnreal Engineに変えて開発を進めた。通常こういう場合は,チームを丸ごと解体して開発者を変えて再結成するものだが,LINE GAMESは,「創世記戦」が好きな人たちが集まったチームをできる限り動かすことなく,既存の人材でR&Dができるよう配慮してくれたという。


 開発が遅れたうえに実際のゲーム情報がほとんど公開されなかったため,次第にプレイヤーからの心配が大きくなっていった。イ・セミン氏はこれについて「完全にディレクター(注:自分自身)の問題だ」と語った。
 発売日程や開発進捗などを考慮した時,とりあえずで何かを見せたりせず,きちんと作ってからお見せしたいというこだわりがあったからだという。今は「意思疎通をうまくやればよかった」と申し訳ない気持ちでいっぱいだと語った。

 壮大な物語と独特なゲームの雰囲気を持って,今なお話題になっている「創世記戦」だが,ReG Studioは,そこに最新テクノロジーを利用して,懐かしさを満足させつつも興味の湧く新作にすることを目標としていた。誰でも好きになれる……とまではいかないが,多くの人に愛される,より良き韓国IPゲームを目指して,開発を進めたという。

記者発表会では,戦闘システムや冒険モード,ビジュアルおよびストーリー部分を紹介した
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 「灰色の残影」の特徴は,大きくわけて4つある。
・クラシックなSRPG戦闘システム
・歩き回って自由探索できる,いまどきの主流である冒険モード
・西洋風でも東洋風でもない,独特のビジュアル
・時代劇と武侠,中世ファンタジーとSFを結合したストーリー
 これら4つの特徴を通じて,韓国で愛されたIPをグローバルレベルに伝えるという目標を立てている。

 このゲームの初披露は2020年だが,2年前に行われたLINE Games発表会の「LPG 2021(LINE Games-Play-Game 2021)」で大々的に発表された。その後チームの目標を明確にし,その結果発売される製品版は既存の問題を改善し,フレームも30fps固定にして,さらに並行してR&Dを続けている。Nintendo Switchゲームの中でも,上位レベルの品質を披露する予定だ。

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 LINE Gamesは,ReG Studioが開発中のRPG「The War of Genesis:Remnants of Gray」(創世記戦:灰色の残影)の公式サイトをオープンし,ティザートレイラーを公開した。韓国産タイトルとしては最も長い歴史を誇るRPG「創世記戦」シリーズのリメイク作品で,Nintedo Switch向けに2022年発売予定だ。

[2020/06/26 13:30]

 冒険モードでは,フィールドを自由に歩き回ることはもちろん,敵が見える状態でいるので,ぶつかることでエンカウントするかどうかを選べる。従来のターンと探索部分を抜いて,直観的なものに変更したという。この時,リーダーを誰にするかも重要だ。
 戦闘に突入すると,戦術モードになる。タイル方式のターン制で進むのだが,クラスチェンジしていた原作とは異なり昇級システムを採用しているので,一部のキャラクターは昇級が可能だ。また,決められたスキルツリーがあり,ポイントを使ってスキルを自由に習得することができる。

 超必殺技で形勢逆転も可能だが,画面中を埋め尽くすようなエリア技ではないという。超人級キャラクターに対抗するための戦闘メカニックである「魔裝機」も登場するが,これには味方はもちろん,敵も乗れる。どの時点で魔裝機や超必殺技を使うべきか,どのように配置して回避すべきかなどが勝敗を左右する。一言で言えば,クラシックなターンベースSRPGの戦闘だ。

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 ゲームストーリーは,韓国ゲーム史上最高と評価される内容に仕上げたという。LINE GAMESは「創世記戦Universe」を構築するのだが,その始まりが「灰色の残影」だ。圧倒的スケールの,長編大河歴史ドラマを楽しむ気分でプレイできるという。また,ゲーム設定と世界観理解を助けるために,ゲーム内で世界観を理解するためのコンテンツ「アンタリアの書」を提供する。

 では「灰色の残影」で,原作とは違う新しく作った部分はどこだろう?

 まず,キャラクターたちは原作のようにルーン魔法を使わず,キャラクターの特性やクラス設定に合わせて系統を再配置したという。
 そして原作では,武器を他の業者で売る商店があったが,「灰色の残影」でも特定地域にそれが登場する。ちなみに「創世記戦III」で武器業者間の競争を扱う部分があるが,「創世記戦II」の時点ではこのような状況だったということを見せたかったという。

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 イ・セミンディレクターは,「スーパーロボット大戦」の話も切り出した。SRPGの中でも,キャラクターの性格を見せるゲームなので,キャラクターの精神技リストを見ると,キャラの性格までもが見えるという。
 それと似たようなものとして「灰色の残影」には“パッシブスキル”があるが,これを見れば,キャラクターをどのように解釈してゲーム化したのかが分かると言及した。

 このゲームは,韓国任天堂の独占で進められている。プラットフォームホルダー,特に韓国の任天堂が,サードパーティーのゲームを流通するのは非常に珍しいケースだ。

プレイタイムは80時間以上を予想しているこの作品は,韓国では通常版64800ウォン(約7260円),限定版168000ウォン(約18820円)という価格で,そろそろ予約開始
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「創世記戦モバイル:ASURA Project」モバイルゲーム登場


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 次に公開したのは,モバイルゲームである「創世記戦モバイル:ASURA Project」iOS / Android,以下ASURA Project)だ。発表は,開発会社であるMeerkat Gamesのナム・ギリョン代表が行った。
 「ASURA Project」は,原作の感動を忠実に再現したSRPGだ。「創世記戦II」と,外伝である「西風の狂詩曲」,「TEMPEST」を合わせたストーリーを展開していくゲームであり,ここにオリジナルストーリーである「ネメシス」も一緒につむいでいく,ヒロインのオリリンを中心にしたストーリーだ。ナム代表は,「原作の真のファンとして,ユーザーと過去の感動を新しく感じられるように開発した」と明らかにした。

※1998年に韓国で発売されて,大ヒットとなった作品。日本でも,1999年に日本ファルコムからWindows版が,2001年にドリームキャスト版が,そして2004年にはPlayStation 2版が発売されるなど,本作に限り日本でも相当有名

 このゲームの特徴は,「戦略性」を強く打ち出した戦闘システムである。SRPGジャンルの面白さを忠実に具現化したうえ,原作の面白さという要素を基盤に,そこにオリジナルの面白さを加えようと努力したという。そのコアとなる要素は,ロールプレイとクラス,戦略などであり,スキルや援護など,戦略的な面白さの要素も盛り込まれた。もちろん,ユーザーの利便性のためにオート戦闘機能もある。


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 LINE Gamesは本日(2023年10月27日),スマホ向け新作アプリ「創世記戦モバイル:ASURA Project」事前登録を,韓国国内で開始したことを発表した。サービス開始時期は2023年度の下半期を予定している。また,今回の発表に合わせて,新たなスクリーンショット2枚と新たなトレイラーも公開された。

[2023/10/27 20:50]

 戦闘は,基本的にタイルを使ったシステムで展開される。敵キャラクターを指定すれば,戦闘前の状態と属性などを見ることができ,戦闘結果を予想できる。戦闘は,華麗なアクションをさまざまな角度から見せつつ繰り広げられる。もちろんエリア攻撃もまた,タイルの形に準じる。

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 戦闘中に見せる,華麗な演出の超必殺技も特徴だ。原作の雰囲気を維持し,それをユーザーの目線で再解釈して作り上げたという。固有の特徴を持っている50種余りのキャラクターが登場し,彼らを組み合わせて戦略を展開していく楽しさを得られるよう,開発された。
 ほかにも,巨大な敵を攻略するレイドと多様な形態のダンジョン,ほかのユーザーと強さを競うアリーナなどがあり,多くのコンテンツと面白さが用意されている。


 ストーリーモードは,300~400個程度で構成されたステージで楽しむことになる。PvEコンテンツである「勇者の墓」がエンドコンテンツで,シーズンごとにランキングを競う方式だ。難度はいくつかの段階があり,キャラクターが死んだらそのキャラクターを使えなくなるなど,さまざまな要素で構成される。PvPコンテンツもあるが非同期方式で,今後は順次,リアルタイムPvPやギルド戦を追加する予定だという。

 ビジネスモデルについてナム代表は,「収集型RPGと大きく変わらない」と明らかにした。キャラクターと装備への課金が基本モデルだが,「創世記戦」IPを長く維持することが目標であり,過度な課金を避けたという。ユーザーが最大限簡単に楽しめるよう準備しているとのことだ。メインコンテンツであるストーリーは,無課金でも楽しめるという。

 しかし収集型RPGなのであれば,どうであれ最強のキャラクターを選ぶことが重要になるかもしれない。創世記戦の世界観で最強キャラは「黒太子」だが,じゃあ彼を選べば戦闘はラクに進むんだろうか? いや,残念ながら「ASURA Project」では,バランシングが行われているという。
 特別なモードではその強さを見せるかもしれないが,「勇者の墓」やPvPにおいては大きな差がなく,そこはご理解いただきたい旨を述べていた。すべてのキャラクターが,最高レベルになれば,それぞれに長所も短所も,相性もあって一長一短だとのことだ。キャラクターの多様な組み合わせを楽しんでほしくて,特定キャラクターがゲームを支配することは望まないという。

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 「ASURA Project」は,「創世記戦II」を基盤としているという。来年中に「創世記戦II」のストーリーを終え,新しいキャラクターも披露される予定だ。その後,新しいシリーズを始めるか,オムニバスで「西風の狂詩曲」をするかは,まだ議論中だという。

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 ナム代表は「個人的に一番好きな作品なので,できれば続けたい」と言及した。最終目標は,「創世記戦III PART.2」までのストーリーを終わらせることだという。主要アップデートは2週間スパンで行われるが,ストーリーは1か月単位で追加される予定だ。


 ちなみに,LINE GAMESのPCプラットフォーム「FLOOR」を使った,PC版クライアントも準備中だという。同時ではなくモバイル版が先で,できるだけ早くローンチしたいとのことだ。ナム代表はまた,「ASURA Project」は,モバイル版よりPC版のほうを遊んでほしいという気持ちも伝えた。


「創世記戦」IPの総本山,2つのゲームを管理した「チームアンタリア」


「チームアンタリア」(Team Antaria)IPディレクター イ・ギョンジン氏
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 以上のようにゲームの形になるまでは,「創世記戦」のゲームIPを総括した特定組織が中心になって動いていた。それが「チームアンタリア」(Team Antaria)だ。
 イ・ギョンジンIPディレクターはチームアンタリアについて,「創世記戦シリーズの始まりと終わりを,全て計画して実行し,すべての進行を総括するチーム」と紹介した。

 両ゲームの開発会社が開発を進めていくときに,チームアンタリアはゲーム開発と,管理および支援,ガイドの役割を担った。また,両社がデザインやサウンドなどの各種リソースを交換し,トーンを一致させる対応を進めていることも分かった。
 すなわち創世記の全世界が,統一性をもって作られ,開発会社が制作に没頭できる環境を作り出し,制作者とプレイヤーがWin-Winの関係になることを追求する組織だということだ。

 最初に行われたプロジェクトである「灰色の残影」の場合,画像など必要なすべてのリソースを提供した。またシナリオについても,原作者の一人であるイ・レヨン氏が参加して進めた。そして画面の構図や時代変化による違いなどをまとめて書類にし,声優とBGMの制作を3か月かけて進めたという。

 そして「ASURA Project」には,すでに構築されていたリソースと文書を集めて提供し,先に進んでいたキャラクターのグラフィックスや背景,音声などを提供した。特に「創世記戦4」が作られたので過剰な設定などもあったが,統一された世界観を構築してユーザーにすんなり受け入れてもらえるように進行した。さらに,世界観を基盤にした新規ストーリーも,一定の間隔で開発会社に提供する予定だ。
 そしてチームアンタリアは,従来の5作品のほか,リメイクや新作などを準備しているという。この世界を最大限多様に捉えて,今後の「創世記戦」全体の物語をゲームで楽しめるようにする計画だ。

 では,これ以降で計画されているゲームは何だろうか?

 「創世記戦III」と「創世記戦III PART.2」,「西風の狂詩曲」「TEMPEST」の整理を終えたばかりで,発売順序に関係なくストーリーを理解できるようシナリオを準備中だと教えてくれた。「創世記戦」はストーリーが続いているものだけに,前作をプレイしなければならないというプレッシャーを感じるかもしれないが,プレイしていなくても理解できるようになることを目標にしているということだ。

チームアンタリアの監修のもと,スタジオは二つの作品のリソースを共有し,緊密な連携をとっている
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 古いゲームIPで再び作業をするためには,リソースを見つけるのが難しいのが現実だ。今回も,IPを確立していく過程で難しい点が確かにあったはずだが,幸いSOFTMAXにあった車2台分のハードディスクを入手できたようだ。それらをすべて調査し,文書やビジュアル,BGMなどのリソースを分析し,文書化したという。この作業の過程で,キャラクターの呼称や誤字なども整理するようになったという。

 そのほかにも,「サイコロの残影(THE ROLL OF GENESIS)」と「創世記戦4」の時空間を越える設定などもあったが,無理なことは無理だと考えて整理したという。また,フィーチャーフォン時代のゲームである「The War of Genesis CROW」の内容は脚色され,「灰色の残影」に多く反映されたと教えてくれた。
 しかし何よりも,このプロジェクトを始めるとき,原作者のチェ・ヨンギュ氏とたくさん話をしたという。彼は,草案と世界観を整理するときに顧問として活動し,今は独立してこのプロジェクトからは離れている状況だ。

 「灰色の残影」と「ASURA Project」は,いずれも2023年12月に発売される。同じIPが,別なプラットフォームで同時にローンチされるのは異例のことだが,イベントに参加した3人とも,そこは肯定的に考えていた。むろん長所と短所があるだろうが,「創世記戦」のIPを知らしめるという視点ではユーザーからの接触もしやすくなり,結果的に層が拡大するからだ。マーケティング的側面でも問題なく,2つのゲームの目指すところは違うため,独立した面白さを与えるだろうと言及した。
 しかも,最初から並行して動かす戦略を立てていたという。膨大な世界観のため,全ストーリーが完全に展開されるためには,1つのゲームだけでは足りないということだ。しかも発売が遅れると,前のストーリーを忘れることになる。今後も同時に進めていき,すべてが計画どおりだったことが分かるという。
 そして何よりも,IPが整理されただけに,今後ゲーム開発がさらに速くなるだろうと自信を示した。LINE GAMESにとっては,チームを増やして年に1つずつローンチさせることを最終目標とした。その始まりは,来年(2024年)か再来年になるだろう。

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 イベントが終わるときに,登壇者が各自の感想を述べた。
 まず,イ・セミン ディレクターは,「創世記戦をリメイクする考えは,SOFTMAXでNintendo DS用の創世記戦を作った時からありました。その時はできなかったんですが,偶然合流することができて,ディレクターを引き受けました。皆さんが好きであろうものを一生懸命作ったので,もう少しお待ちいただければ幸いです。最後まで頑張りたいです」と話した。

 ナム・ギリョン代表は「創世記戦IIから熱烈なファンでした。その当時好きだったストーリーやキャラクター設定などを,完全にモバイルで再現できるように努力しています。モバイルゲームだからといって,色眼鏡で見ないでほしいし,無課金でも十分に楽しめると思います。「灰色の残影」は完全な作品として,「ASURA Project」は運営を,両方とも楽しめると思います」と明らかにした。

 最後に,ディレクターのイ・ギョンジン氏は,「正直に言って,原作はあんまりプレイしていませんでした。この作品の開発を任されて,すべての原作を一通りプレイしましたが,創世記戦シリーズはまだ終わっていないと感じました。必ずこの作品を続けていきたいですし,それがゲームで無理なのだったら,ウェブ小説を書いてでも完成させていくつもりです。「創世記戦」を東アジア最高のIPにしたいし,必ずそれを成し遂げます。面白い作品をお見せできるように努力しますので,ぜひとも楽しんでください」と締めくくった。(著者:パク・サンボム

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