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次世代PlayStationではAMDのZenマイクロアーキテクチャをCPUコアに採用か
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印刷2018/05/22 15:26

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次世代PlayStationではAMDのZenマイクロアーキテクチャをCPUコアに採用か

 Linuxなどオープンソース関連のニュースサイトとして著名なPhoronixが,「次世代PlayStationはCPUコアにAMDのZenマイクロアーキテクチャを採用するのではないか」と報じている

 Phoronixがそう推測する根拠は,Sony Interactive Entertainment(以下,SIE) Europeでメインプログラマー(Principal Programmer)を務めるSimon Pilgrim氏(LinkedInにあるプロフィールページ)が,コンパイラ基盤「LLVM」のZen向けスケジューラに手を加えてある点とのことだ。

Zen向けスケジューラのソース(GitHub
画像集 No.002のサムネイル画像 / 次世代PlayStationではAMDのZenマイクロアーキテクチャをCPUコアに採用か

 ……と言われても何のことやらという読者はいると思うので,ざっと解説しておくと,まずLLVM(Low Level Virtual Machine,低水準仮想機械)というのはC言語などの高級言語(≒プログラム言語)をCPUが実行可能なバイナリへ変換するソフトウェアである「コンパイラ」のオープンソース基盤である。

 LLVMでは高級言語をいったん中間コードに翻訳し,中間コードを実行可能なバイナリに変換するという設計を採用している。これによりCやC++だけでなくさまざまな言語に対応でき,また各CPUに依存する強力な最適化が可能という特徴を持つ。
 オープンソースを代表するもう1つのコンパイラ「GNU Compiler」と比べ設計がモダンなこともあり,オープンソースソフトウェアの開発のみならず,たとえばNVIDIAのGPGPU言語である「CUDA」やmacOSのコンパイラなど,商用ソフトウェアにも採用が広がっている現状だ。

 SIEのPlayStation 4(以下,PS4)もソフトウェア開発にLLVMを採用しているプラットフォームの1つである。前出のPilgrim氏はこれまで,LLVMに対してPS4向けの変更――ソースツリーに変更を加えることを「コミット」(commit),コミットを行う人を「コミッター」(committer)とそれぞれ言う――を加えるなどしてきた人物である。

 そんなPilgrim氏がLLVMのソースに対してコミットを行っているスケジューラというのは,中間コードからCPU固有の最適化を行う部分である。Zen向けのスケジューラは2017年の段階でLLVMに追加となり,LLVMを使って開発されるソフトウェアのRyzenにおける性能を少し上げられるとして話題になった。冒頭で示したスクリーンショットとリンクは,まさにそのZen向けスケジューラのソースだ。
 なので,「SIEを代表するプログラマーがZenマイクロアーキテクチャ向けの最適化を行う部分に手を加えているのだから,次世代のPlayStationはZenマイクロアーキテクチャベースのCPUコアを採用しているはずだ」というのは,かなり筋のいい推測ではないかと思う。

 ここで注意しておく必要があるのは,Pilgrim氏がLLVMの開発コミュニティにおける活発なコミッターの1人であることだろう。調べてみたところ,Pilgrim氏のコミットは多数あるので,詳しく知りたい向きはllvmのコミットログを検索してもらうしかないが,Pilgrim氏は主にx86向けのコミットを行っており,PlayStation専門というわけでもなかったりする。「たまたま個人的にRyzenを使っていて,LLVMのZen向けスケジューラに何か気に入らない部分を見つけて修正してみているだけ」という可能性もゼロではないのだ。
 よって,Pilgrim氏がコミットしたという事実だけをもって「さあPlayStation 5(仮)登場だ!」と盛り上がるわけにはいかないというのが正直なところである。

 ちなみに,Pilgrim氏によるZen向けスケジューラへのコミットは2018年4月半ばから活発になり,5月前半頃までほぼ連日となっている(GitHubのログ
 平日もコミットしているため,業務として行っている可能性は小さくないと思うが,パワフルなプログラマーなら仕事を抱えながらも趣味の開発を続けるくらいの余力はあったりする。コミットの頻度だけで業務と断言することはできない。

 また,Pilgrim氏によるコミットの内容をざっと眺めてみると,Zen向けのスケジューラだけでなく,x86アーキテクチャ全般にわたるスケジューラ改定を試みている気配もある。Zen向けのスケジューラはその改定の一環としてコミットされただけという可能性もあるだろう。そしてそうであるなら,Phoronixの推測は早とちりということになり得る。なので現時点だと,次世代PlayStationのCPUコアがZenマイクロアーキテクチャを採用しているか否か,Pilgrim氏のコミットだけでは判断できない。

 とはいえ,AMDがいま抱えているプロセッサコアIP(Intellectual Property,知的財産)のラインナップ,そして現行のPlayStaion 4が採用するプロセッサアーキテクチャを考えても,次世代PlayStationがZenマイクロアーキテクチャをCPUコアに採用している可能性は低くないだろう。Pilgrim氏の動きはその可能性を示す一端かもしれないくらいに捉えておくとよさそうだ。

Phoronixによる報道「Sony Is Working On AMD Ryzen LLVM Compiler Improvements - Possibly For The PlayStation 5」(英語)

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