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【Jerry Chu】ゲームにとって,よい自動生成とは何か
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印刷2016/11/22 12:00

連載

【Jerry Chu】ゲームにとって,よい自動生成とは何か

Jerry Chu /  香港出身,現在は“とあるゲーム会社”の新人プログラマー

Jerry Chu「ゲームを知る掘る語る」

Twitter:@akemi_cyan


ゲームにとって,よい自動生成とは何か


 ゲームはいずれ遊び尽くされる。ゲームデザイナーが設計できるコンテンツの数には,限りがあるからだ。
 だが,コンテンツをリアルタイムで生成する仕組みがあれば,プレイヤーに無限の遊びを提供できる。それが自動生成技術だ。「Minecraft」のフィールド,「Bloodborne」の聖杯ダンジョン,「ペルソナ5」のメメントスなど,さまざまなゲームで使われている手法である。

 「有限から無限を生み出す」ことが自動生成の目的とすれば,「No Man’s Sky」PC / PlayStation 4)は“自動生成ゲーム”の理想形と言える。たった5GBのデータから1800京以上の惑星を生成し,プレイヤーはその世界を自由に探索できる。もはやステージではなく,宇宙そのものを生成するというゲームデザインであり,「No Man’s Sky」は発表以来,世界中から注目を集めた。

広大な宇宙を駆け抜け,数多の惑星を探検する「No Man’s Sky」
No Man’s Sky

 しかし,2016年8月に発売された「No Man’s Sky」の評価は賛否両論がある。宇宙をシミュレートした技術力と美しいビジュアルを称賛する人がいれば,乾燥無味なゲームプレイと虚ろな世界を酷評する人もいる。4Gamerのコラムニストである男色ディーノさんの言葉を借りれば「人を選ぶゲイム」だ(関連記事)。

 空前の自動生成技術を駆使したにもかかわらず,「No Man’s Sky」はプレイヤーの心を掴みきれなかった。無限のコンテンツは,果たしてゲームを面白くすることができるのか。自動生成技術を活用した近年のタイトルを振り返りながら,「No Man’s Sky」を見直してみたい。



 自動生成技術が使われたゲームと言えば,古くは1980年に発表されたPCゲーム「Rogue」まで遡ることができる。一方,近年の傑作と言えば,「Spelunky」が真っ先に頭に浮かぶ。

 「Spelunky」はプレイヤーが探検家となり,害獣と罠をかい潜りながら,洞窟の最深部を目指す。一見,ありきたりな2Dプラットフォームゲームのようだが,自動生成されるステージが特徴だ。本作の開発者であるDerek Yu氏は,プラットフォームゲームが好きだが,同じステージを繰り返しプレイするのはイヤだという。
 「スーパーマリオブラザーズ」のようなアクションゲームをクリアするには,同じステージを何度も挑戦して,敵の配置と地形を覚えなくてはならない。プレイヤーによっては飽きてしまうし,スキルではなく記憶力が問われることになる。それを避けるために,Derek Yu氏は「Spelunky」の開発にあたり,「Rogue」のようにステージを自動生成するシステムを組み込んだ(出展元)。

 「Spelunky」のステージはランダムに生成される。つまり,以前のステージの配置を覚えたところで役に立たない。それまでに培ったスキルとゲームへの理解だけが頼りだ。プレイヤーを飽きさせず,記憶より臨機応変を要するゲームデザインは,自動生成技術があってこそ実現できるものと言える。

 プレイヤーに臨機応変な行動を求めるゲームと言えば,「Middle Earth: Shadow of Mordor」が挙げられる。「指輪物語」をモチーフにしたオープンワールドアクションゲームである本作も「Spelunky」と同様,自動生成技術を活用しているが,生成されるのはステージではなくキャラクターだ。
 本作の敵となるウルクは,それぞれランダムで決められた特質と弱点を持つ。プレイヤーは敵の裏をかき,相手の死角を突くように戦わなくてはならない。白兵戦に強い戦士には火計で攻める。敵が仲間を呼ぶ前にステルスで仕留める。親衛隊を従える軍団長には,護衛を寝返らせて混乱を生じさせる。
 敵の能力は一定ではないから,攻略法は一つではない。自動生成技術によって,ダイナミックなゲームプレイが楽しめるのだ。

「遠隔攻撃とステルス攻撃には滅法強いが,火には弱い」といったように,ウルクはさまざまな特質と弱点を持っている(「Middle Earth: Shadow of Mordor」)
No Man’s Sky

 ステージが自動生成される以上,その難度はばらつくことになる。「次に生成されるステージは簡単になるかもしれない」「より多くのリワードが得られるかもしれない」というプレイヤーの射幸心を煽るのも,自動生成技術の特徴だろう。

 「FTL: Faster Than Light」や「The Binding of Issac」といったインディーズゲームは,プレイヤーがランダムに生成されたステージを探索していく。敵に遭遇する,ショップを利用する,アイテムを入手するなどの出来事があるが,敵の配置やアイテムの種類はランダムだ。早々に便利なアイテムが出現して簡単にクリアできるかもしれないし,なかなかアイテムが手に入らず苦しむことだってある。
 クリアできるか否か,それが運次第ということで,不公平に感じられるかもしれない。だが,ゲームをリタイアしても「次はもっといいアイテムが手に入るかも」「敵が少なくなるかも」という射幸心に突き動かされ,再び挑戦する意欲が生まれる。ある意味,ギャンブルに近い中毒性のある仕組みだ。



 自動生成技術を使ったゲームには,「プレイヤーを飽きさせない」「臨機応変を要する」「プレイヤーの射幸心を煽る」といった特徴があるようだ。それでは「No Man’s Sky」で使われた自動生成技術は,どんな効果をもたらしたのだろうか。

 「No Man’s Sky」で生成される惑星は色鮮やかだ。水に覆われた惑星,草木の茂る平原,岩山が乱立する荒野,地球の動物とは似て非なる生物。いずれも目を見張るものがある。
 ただし,十数個の惑星を見ると,徐々にパターンが分かってくる。惑星と生物は細部こそ違うものの,大まかなバリエーションが少ないのだ。

 惑星には地形と気候がある。極高温や極低温,強酸性,高放射線といった環境もある。とはいえ,どんなに危険な環境であっても,宇宙服が自動的に守ってくれる。
 宇宙服のエネルギーが尽きる前に拠点まで戻ればいいので,プレイヤーはあまり環境を気にすることはない。宇宙服にはジェットパックが搭載されているので,山や崖も難なく越えられる。つまり,地形と気候が変化してもプレイヤーの行動には大した影響を与えず,臨機応変を要しない。

惑星に点在する工場に侵入すれば,設計図が入手できる
No Man’s Sky

 プレイヤーは惑星を探索することで,さまざまな資源や設計図を入手し,新しい装備を作れる。惑星によって得られる資源が違うので,新しい惑星に降り立つたびに射幸心と期待感がある。
 だが,資源と設計図の種類は多くないため,ゲームを進めていくと既出のものばかりが手に入ることになる。そもそも「No Man’s Sky」には戦闘が少なく,武器や宇宙船を強化する意義をあまり感じない(たまに肉食動物やロボットが攻撃してくるが,そんなに強くないので,初期装備でも切り抜けられる)。そして,やがて資源集めが煩わしく思えてしまうのだ。

 「No Man’s Sky」において,自動生成はゲーム面白さにつながっていない。自動生成はゲームを面白くする手法だが,技術だけでは面白いゲームにはならないということだ。
 どうすれば,「No Man’s Sky」をより面白くできるのか。もし,生成されたコンテンツが多様性に欠ける点が問題ならば,素材の種類を増やしてもっと多様なオブジェクトを生成させれば済む。だが,「No Man’s Sky」の根本的な問題は惑星のバリエーションが少ないことではなく,プレイヤーの選択肢の幅が狭すぎる点だろう。

 自動生成技術は所詮,ゲームのいち要素に過ぎない。ゲームを面白くするには,自動生成の魅力を引き立てるような奥深さが必要だ。「Spelunky」の主人公は通常の移動とジャンプに加え,「ロープで登る」「爆弾で壁を壊す」「物を拾って投げる」「銃を撃つ」などの行動を起こせる。「Middle Earth: Shadow of Mordor」は,「Batman: Arkham」シリーズのバトルシステムを受け継ぎながら,「弓を使って狙撃する」「ステルスで不意を突く」「魔獣を従えて騎乗する」「幽鬼の力で敵を支配する」などの選択肢をプレイヤーに与えている。
 プレイヤーは多岐にわたる戦い方を選べるからこそ,不可測なレベルと敵に対して最適解を探り当てる楽しさと緊張感が味わえるのだ。

 残念なことに,「No Man’s Sky」のプレイヤーが宇宙船を降りた状態で選べるアクションは,せいぜい「ジェットパックで飛ぶ」と「銃を撃つ」くらい(たまに宇宙人と会話したり,生物に餌をあげたりすることもできるが)。惑星をどれだけ生成しても,これほど限られた選択肢では面白いゲームを実現するのは難しいだろう。
 筆者はゲームデザイナーではないので,あくまで素人の意見だが,「No Man’s Sky」はゲームシステム自体に不足があり,より面白くするには「マルチプレイを実装」「『Fallout 4』のような拠点作りの機能を追加」といった,プレイヤーの行動の幅を広める革新が必要ではないかと思う。

 誤解してほしくないが,「『No Man’s Sky』はクソゲーだ」と主張したいわけではない。「No Man’s Sky」のデベロッパであるHello Gamesは,20人にも満たない小さなスタジオだ。そんな小規模チームが宇宙を生成するプログラムを実装し,その意欲と技術力は称賛に値する。

虚ろかもしれないが,落ち着いた雰囲気がある
No Man’s Sky

 「期待の大型タイトル」と喧伝された「No Man’s Sky」だが,その実態は冒険心に満ちたインディーズゲームだった。従来のゲームには見られない独創性とスタイルがある。刺激的なアクションシーンを期待した人はガッカリするが,雰囲気とビジュアルを重視し,宇宙を気ままに探索したい人にとっては良い体験だ。

 期待が大きければ大きいほど,裏切られたときの失望と反発は強くなる。「No Man’s Sky」はプラットフォーマーやメディアによって,大手パブリッシャのAAAタイトルに匹敵するスポットライトを当てられた挙句,プレイヤーに過大な期待を抱かせた。
 その結果,多くのプレイヤーを失望させてしまった。もし「No Man’s Sky」が必要以上に持てはやされることなく,実験的なインディーズゲームという形で世に出ていたら,こんなに非難されただろうか。今回の一件には,プラットフォーマーにもデベロッパにもメディアにも,反省すべき点があると思う。

 自動生成技術には,クリエイターがすべてを設計したコンテンツでは実現できない特別な魅力と表現力がある。「No Man’s Sky」を機に,自動生成技術がもっと注目されれば幸いだ。

■■Jerry Chu■■
香港出身,現在は“とあるゲーム会社”の新人プログラマー。中学の頃は「真・三國無双」や「デビルメイクライ」などをやり込み,最近は主に洋ゲーをプレイしている。なるべく商業論を避け,文化的な視点からゲームを論じていきたい。
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