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これはポケモンフィーバーの再来か 〜 大ヒットアプリ「Pokémon GO」の熱狂ぶりをアメリカからレポート
「Pokémon GO」公式サイト
ポケモンの人気をあらためて実感
任天堂の評価はうなぎ上り
1996年に,ゲームボーイ向けに「ポケットモンスター 赤・緑」が発売されてから,ちょうど20年目となる2016年,このフランチャイズでは初めてとなる“非ニンテンドー”プラットフォーム参入作品である「Pokémon GO」のサービスが,7月6日にアメリカなど一部地域でスタートした。ここ最近,北米では子供向けのゲームコンテンツというと,「Angry Birds」や「Minecraft」などに押されていた傾向があるものの,小・中学生でもスマートフォンを携帯しているお国柄ということもあり,とくに10代〜30代あたりのファン層で大フィーバーともいえる状態になっている。
アプリ内の有料アイテムである“ルアーモジュール”を使って,レストランやカフェにゲーマーを呼び寄せるという集客システムがすでに認知されており,プレイヤーを同じ場所に集めやすいというのもPokémon GOの特徴である。そもそもゲームの人気というのは,発売日に並んで買う人やゲームイベントに集うファンなどでしか可視化しにくい。とくにアメリカでは携帯ゲーム機で遊んでいるプレイヤーを見ることがあまりないため,こういう現象を肌で感じるというのは非常に新鮮である。あらためて,“ポケモン”というフランチャイズの人気の高さと,任天堂という企業が社会に何をもたらし得るのかを再認識させられるばかりだ。
実際にその人気の凄まじさはデータにも表れている。市場リサーチ会社SimilarWebが7月10日付けで公表したところによると,配信から2日めにあたる7月8日の時点で,アメリカの全Android機種の5.16%にインストールされたという。さらにその中の60%の利用者は毎日アクセスしており,その時間は,写真共有アプリ「Instagram」の25分16秒や,メッセージアプリの「WhatsApp」の30分27秒を超える,43分23秒を記録。
アプリの好調はすぐに株式市場でも評価され,Pokémon GOの配信以来,任天堂の評価はうなぎ上りとなっている。時価総額は先週1週間だけで60%近く上がっており,8か月ぶりに時価総額3兆円を回復した。
そうした「Pokémon GO」に絡む狂想曲は,すでに日本でもくどいほど報道されているが,ここではそんな本作の“モンスター”っぷりを記録するために,いくつかの話題に分けて紹介しよう。
「Pokémon GO」のおかげでひきこもりを解消
北米最大の投稿サイトRedditでは,すでにPokémon GOのファンが集えるSubredditも設置されており,さまざまな意見や情報が日々交換されている。そのトピックのひとつに掲載されたのが,過去何年にもわたって部屋にひきこもり,オンラインチャット以外では誰とも会話したことさえなかったという“Gappajin”(ハンドルネーム)なる利用者の投稿だ。7月6日の夜にアプリをダウンロードした彼は,最初のポケモンを捕まえるために窓の外を見た瞬間,ためらってしまったという。しかし,次の日中には外出したことを綴っており,「自分が開放されたように感じた」と述懐している。
ポケモン探しで遺体を発見してしまった10代の女性
アメリカ北部,ロッキー山脈の東側にあるワイオミング州のビッグホーン川は,何億年も前の岩肌が露出するような大自然の広がる一帯だ。そこに住む19歳の女性が,7月9日の早朝に“みず”タイプのポケモンをゲットしようと河畔をiPhoneの画面を見ながら歩いていたところ,川にうつ伏せの状態で倒れている男性の遺体を見つけてしまったのだという。実際に,その場所にポケモンが写り込んでいたのかは定かではないものの,遺体には目立った外傷はなく,川の深さは1メートルにも及ばない場所であったことから,当局では事故死であると見ている。なお,当の女性はCNNのインタビューに応じて,ポケモン探しを止めるつもりはないと語っている。
ちなみに,同様の事件はほかの地域でも起きている。7月14日には,アメリカ東北部,ニューハンプシャー州の自然公園でPokémon GOを遊んでいたプレイヤーが遺体に遭遇している。これを受けて,プレイヤーの間では「このゲームは失踪者の捜索に役立つかもしれない」と噂されている状態だ。
Pokémon GOのプレイヤーが強盗事件に巻き込まれる
犯人達はプレイヤーが集まる場所を狙ったか
アメリカ中西部,ミズーリ州のオファロン市警察が7月10日に発表したところによると,同市内において深夜,Pokémon GOのプレイヤーが集まりやすい場所に待ち伏せし,強盗を働いたとして4人の容疑者が逮捕された。この事件では,16歳から18歳までの総勢11名が銃器で脅されて金品を奪われたとのこと。犯人達は10代と若いが,警察側は重大な事件と見ているようで,釈放金がひとりあたり10万ドルになる第1級強盗罪で彼らを検挙している。
プロバスケットボール選手が試合中にオニスズメをゲット
プロスポーツリーグで活躍する20代の若い選手達にも,Pokémon GOのフィーバーが届いている。NBAのユタ・ジャズに所属するルディ・ゴバート選手(24歳)は,強化目的で行われるサマーリーグの試合中に,なんとオニスズメをゲットしてしまった。今のところチームからのお咎めはないようだ。
ポケモンフィーバーはプロ野球選手,プロレスラー,カレッジフットボールのコーチなどにも広がっている。さらに,スペインの名門サッカークラブ・FCバルセロナに所属するセルジ・ロベルト選手(24歳)は,「スペイン国内でPokémon GOをプレイできる方法」を自身のTwitterのフォロワーに問い合わせた。もう普通の“大きいお兄さん”だ。
When just trying to watch @NBA summer league and a wild Spearow jumps in front of you ? pic.twitter.com/KpL8K9Nb0v
— Rudy Gobert (@rudygobert27) 2016年7月12日
Alguien me ayuda a descargarme #pokemonGo ?? ?
— Sergi Roberto (@SergiRoberto10) July 12, 2016
Pokémon GOをプレイ中の元海兵隊が指名手配犯を確保
アメリカ西部,カリフォルニア州ロサンゼルス地域の大手新聞Los Angeles Timesが報じるところによると,元海兵隊の男性2人が,ポケモンを探すためオレンジ郡内にある公園付近を歩いていたところ,子どもを連れた女性が怪しい男性に絡まれているのを目撃したという。不審者は元海兵隊の手により追い払われたが,その後も別の親子に絡むなどしたため,警察に通報されてしまう。結局,この怪しい男性は嫌がらせという微罪で確保されたのだが,実は殺人未遂罪で指名手配されていた人物と判明。ポケモンを捕まえるはずが,容疑者を捕まえるというお手柄になった。
ポケモンハンティングの中止を要請する公共施設が次々と
アメリカの首都ワシントンDCにあるアーリントン国立墓地は,7月12日に公式Facebookページで,来場者に対し「Pokémon GOなどのゲームをプレイせず,戦没者らへの敬意を忘れぬように」と声明を出している。こうした動きは,同じくワシントンDCでナチスの虐殺被害者の追悼を行うホロコースト記念博物館や各地の病院,警察署などでも広がっており,任天堂ならびにNiantic側にも今後の対処が求められていきそうだ。
イスラム教徒の多いトルコにおいては,「偶像崇拝」とも受け取れるゲームをモスク内に持ち込む人もいることから,国家レベルで禁止してしまおうという動きも出ている。
ご搭乗の皆さまにご連絡します。只今,空港内でポケモンが氾濫しております
Pokémon GOのプレイヤー達の来場に難色を示す施設がある一方で,球場やエンターテイメント施設,動物園などではプレイヤーの来場を勧誘する場合がしばしばある。アメリカ中部のハブ空港として知られるデンバー国際空港もそのひとつ。空港のTwitterアカウントで,「空港はポケモンで氾濫してしまっているので,皆さん全部捕まえてください!」などとファンにアプローチしているのだ。同Twitterアカウントでは,利用者が飛行機のすぐ側でポケモンを発見したとするつぶやきをリツイートしているが,無茶するゲーマーが出てこないよう祈るばかりである。
Attention passengers: There are apparently #Pokemon on the loose in our facility. Please catch 'em all #PokemonGo pic.twitter.com/RYeIR3QVYT
— Denver Int'l Airport (@DENAirport) 2016年7月12日
ヒラリー・クリントン大統領候補が,Pokémon GOを選挙活動に利用!?
アメリカの民主党から大統領候補として選出されているヒラリー・クリントン氏が,遊説中のバージニア州にて,早くもPokémon GOをネタにした政治ジョークをさく裂させた。氏は,そのスピーチの中で,「このゲームを使って,若い有権者たちを投票所に呼び寄せることはできないからしら?」と話して,会場に集まった有権者達の笑いを誘ったという。クリントン氏の公式サイトでも,このポケモンフィーバーにあやかるジョークを引継ぎ,「皆さん,マジソンパークにお子さんを連れてお集まりください。ルアーモジュールを開設しており,無料でポケモンをゲットしたり,みんなで戦わせながら,クリントン候補についてお勉強できます!」などと記載されている。
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(C)2017 Niantic, Inc. (C)2017 Pokémon. (C)1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
(C)2017 Niantic, Inc. (C)2017 Pokémon. (C)1995-2017 Nintendo/Creatures Inc. /GAME FREAK inc.
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