連載
ミュージック フロム ゲームワールド:Track 12
まったくもって個人的なご報告で申し訳ないのですが,6月28日は私こと風のイオナの誕生日でございます。今も昔も,誕生日プレゼントにゲームを買ってもらったことがある人は多いのではないでしょうか。私はないんですけど……。
そんな私は高校1年生の時,ある決意をしました。その決意とは,バイト代を貯めてシャープのパソコンX68000を買うというもの。4月に入ってすぐにアルバイトを始め,給料を全額注ぎ込んで誕生日から2か月遅れで買ったX68000は,初めての自分から自分への誕生日プレゼントでした。これで,家でも「グラディウス」が,「ドラゴンスピリット」が,「源平討魔伝」ができる! ゲームセンターと同じサウンドが聴ける!
今考えると,あの時の目標に向かって突っ走る行動力と大枚を叩いた度胸は,今の自分にも生かされているんじゃないかな,と思います。みなさんの誕生日の思い出には,どんなゲーム絡みのエピソードがありますか? ということで今週も「ミュージック フロム ゲームワールド」にトリップ!
ビデオゲームが熱かった時代に思いを馳せて――
「タイトー デジタルサウンドアーカイブス 〜ARCADE〜 Vol.3」
タイトル | タイトー デジタルサウンドアーカイブス 〜ARCADE〜 Vol.3 | |
発売日 | 2015年5月27日 | |
価格 | 3200円(税抜) | |
発売元 | ウェーブマスター | |
コピーライト | (C)TAITO CORPORATION 1986,1995 ALL RIGHTS RESERVED. |
1980年代から90年代にかけてのゲームセンターを,常に賑わせていたタイトーのビデオゲーム。毎月のように投入される同社の新作を遊び倒し,古くなったゲームがゲームセンターから去る瞬間を寂しく思う──そんな日々を送っていたアーケードゲーマーも多いのではないでしょうか。そんな,タイトー黄金期にリリースされた多くの作品のサウンドを,デジタルレコーディングで蘇らせるサントラCD「タイトー デジタルサウンドアーカイブス 〜ARCADE〜」の第3弾が,全8タイトル収録で登場!
トップを飾る「デンジャラスカーブス」は,車のシートとバイクが横に並んだ筐体が独特なレースゲーム。Dr.HAGGYこと高萩英樹氏の手掛けたデンジャラスに弾けまくったサウンドがクセになる1作です。
「Dangerous Curves(Bgm1)」に代表されるサンプリングボイスを多用したアシッドハウス風ナンバーや,HIP-HOPテイストを含んだ「Watch Out Red Car#2(Bgm3)」のファンキーなサウンドは,当時のアーケードゲームミュージックとしては異色のアプローチでプレイヤーに大きなインパクトを与えました。
そしてZUNTATAファンだけでなく幅広いゲーム音楽ファンから支持されている「レイフォース」は,TAMAYOこと河本圭代氏の代表作。宇宙空間を思わせる冷徹で透明感のあるサウンド,ドラマ性を感じさせるメロディがゲームを盛り上げてくれます。これまでも何度か音源化されていますが,今回のデジタルレコーディングによって過去最高音質でのクリアなサウンドが楽しめます!
多数の続編がリリースされ,主人公の小夜ちゃん人気も高い「奇々怪界」は,初期のZUNTATAサウンドの代名詞とも言える,OGRこと小倉久佳氏の担当作としても知られる1作。祭囃子や能,神楽などを想起させる情緒感たっぷりの純和風サウンドは,現代でも色あせることなく鳴り響きます。また,「マスターオブウェポン」は,「脱走(ACT.1)」の耳を突き刺す尖ったサウンド,「BGM 1(ACT.2)」での予測不可能な展開など,全編を通じて前衛的な楽曲が楽しめる1作です。
「功里金団」は中国が舞台のアクションゲームで,お馴染みの中華風音階のメロディと1980年代のアーケードシーンを思い起こさせるキンキンサウンドが特徴。とくに「中国KIDS(メインテーマ)」のような疾走感あふれる“ランニングチャイニーズミュージック”はゲームミュージックとの相性もバッチリで何度も聴きたくなる気持ちよさがあります。
そして,これが初CD化となる「ゴーフォーザゴールド」「ファイナルブロー」「ニンジャキッズ」の3作も,コアなゲームミュージックファンには注目のタイトル。デジタル録音で蘇った思い出のタイトーサウンドを振り返りつつ,ビデオゲームが熱かった時代のゲームセンターの風景に思いを馳せてみたい。そんなオムニバスサントラです。
「タイトー デジタルサウンドアーカイブス 〜ARCADE〜 Vol.3」
あかべぇそふとつぅのボーカルアルバム第2弾
「AKABEiSOFT2&Sisters Vocal Collection」
タイトル | AKABEiSOFT2&Sisters Vocal Collection | |
発売日 | 2015年4月24日 | |
価格 | 3000円(税抜) | |
発売元 | ディファレンシア | |
コピーライト | (C)Differencia Inc. |
美少女ゲームにとって,もはや欠かせない存在なのが,オープニングを飾る主題歌と物語を締めくくるエンディングテーマ。時には,ゲームの人気を左右するほどのパワーを持つこれらの楽曲を集めたボーカルコレクションアルバムは,美少女ゲームファンにとって重要なアイテムにもなっています。
2011年にリリースされた,あかべぇそふとつぅのボーカルアルバム「あかべぇそふとつぅ 5years Anniversary Song Collection」も好評を博した1枚。それを受けて制作されたのが,姉妹ブランドの作品も含めたボーカルアルバム第2弾「AKABEiSOFT2&Sisters Vocal Collection」です!
アルバムの1曲めを飾るのは真里歌が歌う「ハロー・レディ!」の2ndオープニング曲「Truth and Light」。しっとりとサビのメロディを歌う導入から,ストリングスアレンジとざくざくに切り込んでくるハードなバッキングギターが対照的なイントロへと展開する,全編マイナーコード主体に疾走する王道のガールズロックチューンが楽しめます。聴いているとグッと気持ちも入ってくるオープニングに相応しい1曲です。
アルバム中で一番のインパクトを放つのが,桜川めぐの歌う「イヅナ斬審剣」の主題歌「目には目を、闇には闇の断罪を」。三味線をバックに妖しく悩ましげに歌い上げるイントロは,遥か昔の地歌のようです。
そのテイストを引き継ぎながら4つ打ちのダンスビートへと融合する展開は,時代を軽く数百年くらいまたいだ気分に陥って眩暈がしてきそう。彼女のストレートで伸びのあるボーカルも聴きどころで,個人的にもお気に入りの1曲です。この記事の試聴で気に入った人は,ぜひアルバムを手に入れてフルバージョンを聴いてみてください。
榊原ゆいが歌う「レミニセンス」の主題歌「やがて消える幻でも」も印象的な1曲。軽快な16ビートとハードでラフな演奏をバックに,感情たっぷりに歌い上げる彼女の歌声がよく映えます。そして,スペシャルボーナストラックとして収録された「LOVELY×CATION2」のエンディング曲「ピュア・ブロッサム 全員集合ver.」は,成川 姫,韮崎日向,吉野谷星音,出水和琴の4人が歌う,まさにスペシャルな1曲。壮大さと優しさを合わせ持ったメロディが荒んだ心を浄化してくれるかのようで,気持ちよくアルバムを締めくくってくれます。
ゲームブランドのファン,アーティストのファンなど,いろいろな層からの注目を集めるアルバムですが,気持ち良く聴けるガールズロック/ポップスのアルバムに仕上がっています。このアルバムが「あかべぇそふとつぅ 5years Anniversary Song Collection」に続く名盤になること間違いなしです!
「AKABEiSOFT2&Sisters Vocal Collection」
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