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「あんぷらぐど☆げーまーず」最終回:イカサマバトルで一攫千金! カナイセイジ氏が挑んだギャンブルゲームの野心作「マギアレーナ」
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印刷2015/09/12 00:00

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「あんぷらぐど☆げーまーず」最終回:イカサマバトルで一攫千金! カナイセイジ氏が挑んだギャンブルゲームの野心作「マギアレーナ」

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 ギャンブルで一攫千金。そんな夢を抱いたことはないだろうか。もちろん,そのような幸運にあずかれるのはごく一握りであり,大半の人は涙とともに敗北の味を噛みしめることになる。けれどもし,イカサマで勝負の結果を変えることができるとしたら?

 そんな「イカサマありのギャンブル」をテーマにしたのが,2014年11月にキュービストから発売された「マギアレーナ」だ。同作は,本連載の第1回でも紹介した「Eight Epics」カナイセイジ氏が,2008年に発売したインディーズタイトル「イカサマージ!」に,氏自らが大幅なリニューアルを加えたもの。氏の出世作となった「ラブレター」より前の作品ということで,アナログゲームファンの中にも見逃していたという人も多いのではなかろうか。今回はそんな氏の原点を探るべく,このマギアレーナを紹介してみたい。

ボックスはコンパクトで持ち歩きもしやすい。価格は3240円(税込)で,プレイ人数は3〜6人(4〜5人推奨),プレイ時間はインスト込みで約1時間程度だ
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キュービスト「マギアレーナ」紹介ページ

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闘技場での手に汗握るイカサマバトル


 ゲームの舞台は,古代ローマの剣闘士さながらにさまざまな魔物の闘士がぶつかり合う闘技場。プレイヤーは観客の一人となってどの闘士が勝利するかを予想し,手持ちのコイン札で賭けを行う。賭けた闘士が見事勝利すれば,闘士ごとに定められたオッズに従って賞金が得られる。……これだけなら普通のギャンブルゲームだが,実はこのゲーム,プレイヤー自身が魔術師であり,呪文を使って勝負の結果を左右することができてしまう。普通に予想しても当たらないのなら,イカサマで勝たせてしまえ,というわけである。

 実際にゲームの流れを見ていこう。最初にプレイヤーはプレイ人数に応じた呪文カードを手札として持っておく。次にそのラウンドで戦う闘士を5体と,審判カードを1枚オープンする(審判カードについては後述)。その後,プレイヤーはどの闘士が勝つのかを,「ほかのプレイヤーに見えないように」賭けていく。

闘士は全部で16体。攻撃呪文と回復呪文の効果を逆転させる「アンデッド」など,特殊な能力を持つモンスターもいる
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賭けられるのは最大3体まで。1点賭けは的中率が下がってしまうものの,当たると賞金が倍になるハイリスクハイリターンな作戦だ
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 闘士は一人一人数値で強さが定められており,そのままでは弱い闘士はどうあがいても強い闘士に勝つことはできない。そこで出番となるのが,手札である呪文カードだ。呪文には,闘士を強くしたり,逆に弱くしたりする効果がある。自分が賭けている闘士が傷ついたら回復呪文をかけ,そうでない闘士にはこっそり呪文で攻撃を仕掛ける……といった具合に。これにより,最弱の闘士が最強の闘士を破ることも起こりえる。弱い闘士は賭けを的中させたときの獲得賞金も大きいので,リスクを承知で賭ける意味は十分にある。

 ただし,もちろんほかのプレイヤーもそれぞれ自分が賭けた闘士を勝たせようと呪文を使ってくるので,そう簡単に目当ての闘士を勝たせることはできない。各プレイヤーが順番に呪文を使っていき,全員がパスするか,使える呪文がなくなった時点でラウンドが終了。呪文の効果を含めて闘士の強さ比べが行われて,その結果によって賭け金の精算が行われる。こうして3ラウンドを戦って,所持金が最も多かったプレイヤーが勝者となる。

基本の強さが「4」のリザードマンに,「回復」と「魔力の矢」の呪文がかけられたところ。この場合の強さは「6」となる
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1ラウンドが終わるころには,このように各モンスターにいくつもの呪文がかけられた状態になる
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ライバルと審判を欺き,一攫千金を目指せ


補助呪文は闘士にではなく,場に作用する特殊な魔法。例えば「偽造」のカードなら,一度出した賭け札を変更できるという「これぞイカサマ!」な効果となる
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 前述したように,プレイヤーはほかのプレイヤーがどの闘士に賭けているかを知ることはできない。勝利を得るためには,なるべく自分がどの闘士に賭けたのかバレないようにしながら,他人が賭けた闘士を予想する必要がある。

 そこでポイントとなるのが,呪文カードの使い方だ。呪文には大きく分けて「直接呪文」「付与呪文」「補助呪文」の3種類があり,それぞれ処理の方法が異なっている。例えば直接呪文は,カードを出すときに必ず表向きにして出さなくてはならない。つまり全員に効果が見えるため,意図が読まれやすい。一方,付与呪文は裏向きに出すので,どんな効果なのかは(見破るための呪文などを使わなければ)ラウンド終了まで自分以外には分からない。つまり,直接呪文を使ってある闘士に賭けたと見せかけておいて,付与呪文でその闘士を攻撃する……といった戦法も可能というわけだ。

 これらの呪文を状況に応じてうまく使い分けつつ,ほかのプレイヤーを欺いて勝利を目指すのがこのゲームの醍醐味だ。

そのカードは回復か,攻撃か? プレイヤーの行動から,付与呪文の効果を見極めるのだ
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 ただし,我々イカサマ野郎達が注意すべきは,ラウンドごとにランダムに登場する審判の存在だ。闘技場で常に目を光らせている審判は,特定の呪文をとくに警戒していることがあり,そのラウンドでは使えない呪文が出てくる。また審判は,それぞれ異なる数値の「魔力許容値」が設定されていて,闘士にかけられた呪文の魔力の合計が許容値をオーバーすると,闘士にかけられた呪文をすべて破棄してしまう。ときには闘士自体を退場させてしまうこともあるので,まったく気が抜けない。
 あるいはこれを逆手にとって,「このままでは自分が賭けた闘士が負けそう」という時に,わざとライバルの闘士に魔法をかけ,魔力許容値オーバーによって退場いただく,といった戦術もありだ。

 なお手元に残った呪文カードは次のラウンドに持ち越しとなるので,そのときのラウンドを捨てて次に賭けるのも戦略のうち。ラウンド終了後に補充も可能だが,その枚数には制限があるので,1つのラウンドで手札を使いすぎると,次のラウンドで不利になりかねない。もちろん,このラウンドさえ取れれば勝てるという判断なら,使い切ってしまっても構わないので,ここぞというときには大胆に決断し,勝利を手元に引き寄せるのが一流のギャンブラーなのだ。

闘士に負けず劣らず個性的な審判陣。中には「こいつにやらせていいのか?」と思うような審判も
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実は呪文の禁止には抜け穴があり,勝利点であるコインを2つ支払えば禁止カードを使用することができる。それってつまり……ワイロですよね?
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シンプルさと奥深さが同居した野心作


こちらが本作の元になった「イカサマージ」。リニューアルに当たって一部のルールが遊びやすいように調整されたほか,新たな闘士の追加が行われている
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 手堅く行くのか,大穴狙いか。相手が出したカードを推理して,手持ちのカードをいつ出すのか。その駆け引きはシンプルではあるが奥深く,裏をかこうとすればドツボにハマる。このように,複雑な読み合いの妙が存分に楽しめる本作だが,繰り返しプレイして経験を積まないと楽しめないかと言えば,そういうわけでもない。伏せられた付与呪文や,強力な補助呪文の数々によってゲームは時に思いがけない展開を見せ,慣れたプレイヤー同士が争っている間に,初心者が漁夫の利を得ることもしばしばだ。
 そういう意味では,どちらかといえばパーティーゲーム寄りの味付けとも言え,初心者と熟練者が一緒に楽しめるゲームに仕上がっている。

 なじみ深いファンタジーの世界観と,シンプルで分かりやすいシステムの裏に,何度やっても飽きない奥深さを隠し持った「マギアレーナ」。その楽しさや駆け引きの妙味は,現実のギャンブルのそれに勝るとも劣らない。現実のギャンブルで身を持ち崩すくらいなら,イカサマありの架空のギャンブルで健康的にスリルと興奮を味わってみてはいかがだろうか。


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