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「ストリートファイターV」はなぜ“もっさり”に感じるのか。一新されたゲームシステムとバトルデザインの秘密に迫る開発版プレイレポート
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印刷2015/06/12 00:00

プレイレポート

「ストリートファイターV」はなぜ“もっさり”に感じるのか。一新されたゲームシステムとバトルデザインの秘密に迫る開発版プレイレポート

画像集 No.033のサムネイル画像 / 「ストリートファイターV」はなぜ“もっさり”に感じるのか。一新されたゲームシステムとバトルデザインの秘密に迫る開発版プレイレポート
 「ストリートファイターIV」から数え,実に7年振りのシリーズ完全新作となる「ストリートファイターV」PC / PS4)。これまでキャラクターにフォーカスしたトレイラーが幾つか公開されているが,肝心の“どんな格闘ゲームなのか”はヴェールに包まれたままで,やきもきしている格闘ゲームファンも多いのではなかろうか。
 今回4Gamerは,東京・新宿のカプコン東京支店にて,開発中の同作の最新バージョンをプレイする機会を得た。そこでその疑問に答えるべく,格闘ゲームとしての本作にフォーカスしたプレイレポートをお届けする。

 ところで,今回の「ストリートファイターV」については,これまで公開されてきた映像を見て,どこか“もっさり”していると感じている人が多いようだ。その代表的なものが,2014年12月に開催された「Capcom Cup Finals 2014」の日本公式配信で解説を務めたヨシヲ氏の発言だ。その中で,とくにレスポンスについて懸念を表明していたヨシヲ氏だが,では実際に触ってみてどうなのか。当のヨシヲ氏にも同席していただき感想を語ってもらったので,現役ウルIVプレイヤーもぜひ参考にしてほしい。

ニコニコ動画版は「こちら」

「ストリートファイターV」公式サイト



「ストリートファイターV」を象徴する新要素 “Vゲージ”


 今回の開発バージョンでプレイアブルとなっていたのは,リュウ春麗ナッシュベガの4キャラクターだ。リュウ,春麗,ベガはほぼ従来どおりのプレイフィールだが,ナッシュはソニックブームを含むすべての必殺技がコマンド技になっており,「マーヴル・スーパーヒーローズ VS. ストリートファイター」で使用できたムーンサルトスラッシュが地上必殺技となっているなど,ガイルとはまったく異なるキャラクターという印象だった。

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波動拳,昇龍拳,竜巻旋風脚というお馴染みの技が揃ったリュウ。本作では“電刃”がキーとなっており,通常時のEX波動拳は伝統の灼熱波動拳から多段の波動拳に変更となった
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本シリーズの伝統的ヒロイン,春麗。リーチに優れた通常技で相手を圧倒していくスタイルは健在で,今作では「X-MEN VS. STREET FIGHTER」よろしく,空中でも百裂脚が使用可能となっている
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ソニックブーム以外がほぼ新技となり,「ストリートファイターZERO」シリーズとはまったく異なるキャラクターとなったナッシュ。アドンのジャガーキックを思わせるムーンサルトスラッシュ,突進系打撃投げであるトラジディアサルトを活用すれば,かなりトリッキーに戦えそう
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ダブルニープレス,ヘッドプレスといった強力な突進技を持つベガ。サイコクラッシャーは通常の必殺技ではなくなり,代わりにその場でサイコパワーを展開して攻撃するサイコブラスト,上方向に展開するサイコインフェルノといった新技が追加されている
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 ではまず,本作のゲームシステムを見ていこう。
 操作系はシリーズ伝統の1レバー6ボタン式――P(パンチ)とK(キック)それぞれに弱・中・強の3種類があり,弱P+弱Kで通常投げ(投げ抜け)が繰り出せる。レバー横方向の連続入力でダッシュ/バックダッシュが可能で,レバー下orボタン二つ同時押しで受け身が可能な可能なのもウルIVと変わらない。
 ゲージでは,画面上部に体力ゲージのほか,気絶値が可視化されたスタンゲージが追加された。また画面最下部には,強力な必殺技を繰り出すのに必要な,お馴染みのEXゲージが用意されている。

クリティカルアーツはこれまでのスーパーコンボにあたる,いわゆる超必殺技。本作ではウルトラコンボがなくなったが,その代わりにクリティカルアーツの演出はド派手なものになっている。エフェクトテーマもウルIVの墨表現から,「気跡」と称される流体表現に置き換えられている
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EXゲージは最大3つまで溜めることができ,強化版必殺技であるEX必殺技を繰り出すのに1ブロック,超必殺技であるクリティカルアーツを放つためには3ブロック全てが必要となる
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 そして,その上にあるのが,本作の新要素である「Vゲージ」だ。
 Vゲージにまつわるシステムには「Vスキル」「Vリバーサル」「Vトリガー」の3種類がある。順を追って解説していこう。

VゲージとEXゲージ
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Vスキル(ゲージ消費なし)


 Vスキルは各キャラクターに統一コマンドで用意された固有動作だ。入力方法は全キャラクター共通で中P+中K同時押しだが,その効果はさまざま。今回プレイアブルだったキャラクターだと,リュウなら失敗動作付きブロッキングの「心眼」,春麗なら小さく跳び上がった後,ジャンプ攻撃を繰り出せる「鸞脚(らんきゃく)」,ナッシュが相手の飛び道具をかき消す「バレットクリア」,ベガは相手の攻撃を受け止めて飛び道具で反撃する「サイコリジェクト」が割り振られていた。
 今のところ,どちらかといえば防御的な性質のものが多いようだが,例えば春麗の鸞脚は上昇中に打撃判定があるなど,攻撃的にも使える。いずれにせよ,キャラクターごとにかなりバリエーションに富んだVスキルが用意されるようだ。

春麗のVスキル「鸞脚」。上昇中の打撃ヒット後は,鷹爪脚などでの追撃も可能だ。ちなみにVスキルは通常技キャンセルからは出せない模様
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 さて,このVスキル自体はゲージと関係なく繰り出すことができるのだが,重要なのは繰り出した後。Vスキルによる行動の成功時――リュウであれば攻撃を受け止めたとき,春麗ならば攻撃をヒット/ガードさせたとき――にVゲージが蓄積される。そのほか,相手の攻撃をガードしたときなどにもVゲージは増加するが,積極的に溜めようとするのであれば,このVスキルを活用する必要があるのだ。

 そして,溜まったVゲージを消費して行うのが,次のVリバーサルとVトリガーだ。

Vリバーサル(Vゲージ1ブロック消費)


 Vリバーサルは,いわゆるガードキャンセル――ストリートファイター的に言えばZEROカウンターにあたる行動だ。コマンドはガード中6+PPPもしくはKKK(キャラにより異なる)で,Vゲージを1ブロック消費する。ガード硬直をキャンセルして行動でき,ダメージこそ低いがヒットすれば戦局を変えることができる。
 ただし,ナッシュに限っては打撃でなく相手の背後にワープする移動技になっていたので,その性質はキャラクターごとに異なるようだ。

ナッシュのVリバーサル,ソニックムーブ・アヴォイドは攻撃判定を持たないが,相手の背面に回り込める。画面端に追い詰められたときに役立ちそうだ
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Vトリガー(Vゲージ全消費)


 Vトリガーは,キャラクターを一時的に強化する能力のことで,発動には最大値まで溜めたVゲージをすべて消費する。コマンドは強P+強K同時押しで,通常技をキャンセルしての発動が可能だ。
 その効果はキャラクターごとに異なり,各キャラクターの個性を引き出す可能性を秘めている。例えばリュウであれば,手に電刃の気を纏うことで,これを用いた各技のスタン値が上昇し,クリティカルアーツが真空波動拳から電刃波動拳に変化する。春麗なら中以上の通常攻撃が多段技になったり判定が強化されたりといった効果。ベガなら必殺技が大幅に強化され、ダッシュには途中で姿が消える,ベガワープのような性能を持つようになる。
 発動時の準備動作が短いうえ,通常技キャンセルからコンボに組み込むことも可能なので,本作のキモとなるシステムとなるだろう。

ナッシュのVトリガー「ソニックムーブ」。3種類の入力で,相手の背後や頭上に瞬間移動する
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 ちなみにVゲージの最大値はキャラクターごとに異なるようで,今回プレイできたキャラクターではベガのみ3ブロック,そのほかのキャラクターは2ブロックが最大となっていた。このためVトリガーの持続時間もキャラクターごとに異なる。なお,ゲージはラウンドをまたいで持ち越すことができないようだ。

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例えばリュウであれば,春麗の百裂脚を全て心眼で受け止めてVゲージを溜め,しゃがみ強PキャンセルからVトリガー「電刃練気」発動。準備動作終了後に昇龍拳を繰り出せば連続ヒットとなり,さらにスーパーキャンセルから電刃波動拳……といったことも可能。ちょっと“背水の逆転劇”っぽいかも?
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あのシステムはどうなった? 変更点から見る「V」のバトルデザイン


 ここまではメインとなる新要素を紹介してきたが,ここからはプレイして分かった,少し踏み込んだシステム要素について紹介していこう。なお,この部分についてはあくまでも開発中のバージョンを基にしているため,製品版では変更となる可能性がある。その点はどうかご了承いただきたい。

中攻撃以上の通常技にケズりダメージがある


 本作のシステムにおけるもっとも大きなポイントが,この通常技のケズりダメージだ。このケズりによるダメージは,時間経過により回復するリカバリアブルダメージ――いわゆる白ゲージとして体力ゲージに蓄積される。つまり,本作ではガードにもリスクがあり,中/強攻撃をガードした後にガードを崩されれば,甚大なダメージを受けかねない。

通常攻撃をガードさせると白ゲージ扱いのケズりが発生する。なお,必殺技でのケズりは従来通り実ダメージだが,今作ではケズりによるK.O.はできなくなっている
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クラッシュカウンター効果


 一部の強攻撃に,カウンターヒット時のみ特殊なやられを誘発する“クラッシュカウンター”効果が用意された。これが発生すると,“CRUSH COUNTER”の表示と共に,相手が大きくよろめいたり,技によってはダウンが発生するようだった。よろめいた場合は追撃も可能で,けん制としてはもちろん,いわゆる“暴れ潰し”としても大きな効果を発揮しそうだ。

春麗の立ち強Kでクラッシュカウンターが発生すると,相手は背を向けながら大きくよろめく。続けて立ち強Pを入力すると連続ヒットに。なお,今回プレイしたバージョンでは,通常技に遠近の違いは無いようだった
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接近戦のメカニクスが大幅変化


 ウルIVの接近戦ではいわゆる“しゃがみ投げ抜け”が猛威をふるったが,今作ではしゃがみ状態で弱P+弱Kを入力した場合も投げモーションが出るようになり,不可能となった。またバックステップ時の無敵時間は,存在しないかあるとしても極めて短いうえ,攻撃がヒットすると地上やられとなる。必殺技をキャンセルするシステムがスーパーキャンセルしかなく,無敵技のスキをフォローする行動もないため,接近戦時,ディフェンス側はかなりのリスクを背負わされることになる。
 一方でコンボにおける目押しの重要性は大幅に低減されている。弱攻撃から中攻撃へはほぼつながらなかった(というか,目押しコンボ自体ほとんどないようだった)ので,ダメージを取るためにはオフェンス側も“太い選択肢”を通す必要があるようだ。

ウルIV由来のシステムでいえば,323などの簡易入力は残っている様子。なお,受け身は足払いや投げの後にも取ることができる
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ウルIVの続編ではない,新しいストリートファイター


新宿に居合わせたヨシヲ氏を捕まえて,「ストリートファイターV」をプレイしてもらった。氏は本作をどう見たのか
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 以上が開発バージョンをプレイして気付いたシステム上の変更点だが,では,ここから見えてくる本作のバトルデザインはどうようなものか。

 「ストリートファイターIV」シリーズは,「ストリートファイターII」の“差し合い”の面白さをベースに,必殺技キャンセルによるコンボの自由度と,セービングアタックによる“後の先”の駆け引きという,モダンな格闘ゲームの要素を加えたタイトルだった(関連記事)。しかし,「ストリートファイターV」は,少なくともその延長線上にあるタイトルではない
 筆者が,そして同席したヨシヲ氏が感じた本作のプレイフィールは,一撃がひたすら重く,ハイリスクハイリターンな読み合いに特化した格闘ゲームという印象だった。

 「ストリートファイター」シリーズといえば,伝統的に6ボタン式を採用し続ける,今となっては珍しい格闘ゲームだが,これまではただ通常技の種類が豊富なだけで,弱/中/強という攻撃属性に,それほど明確な差が設けられていたわけではなかった。
 しかし本作では,改めてシステム面からの再定義が行われている。中攻撃にはケズりダメージが付与され,今までの強攻撃に近い重さを感じるようになった。強攻撃は中攻撃に輪をかけて重厚な一撃となり,一部にはクラッシュカウンターまで用意された。
 多くの人が本作の第一印象として感じる“もっさり感”の理由はおそらくここにある。中/強攻撃のモーションが,打撃の重さを表現するために全体的に大きくなっており,その見返りとしてアクションの軽快さや展開の早さが薄まっているように感じられるのだろう。

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 この点がとくに気になっていたというヨシヲ氏に,話を聞いてみた。

ヨシヲ氏「通常技が重たくなった分,やっぱりもっさり感はありますよね。ただ,これは意図的ということが分かりましたし,操作に応じたアクションのレスポンスはとても良かった。これは期待できるんじゃないかと」

 一方で,接近戦はより緊張感にあふれるものとなった。しゃがみ投げ抜けやバックステップ,無敵必殺技キャンセルといった安易な拒否行動はそのことごとくが無効になり,ディフェンス側は相手の仕掛ける読み合いに嫌でも付き合わなくてはならなくなった。そう考えると,ガードキャンセルであるVリバーサルが存在する理由も,なんとなく合点が行くだろう。

ヨシヲ氏「ここも評価の分かれるところですが,個人的には歓迎です。ただ,安定する行動が減ってしまったことで,とくに中級者にとってはハードルは上がったと言えるかも」

 考えて見れば,この“一発の重さ”や“接近戦の恐ろしさ”も,「ストリートファイターII」が内包していた気持ちよさの一つであったように思える。その意味において,本作は「ストリートファイターIV」シリーズの延長でこそないが,まごうことなく「ストリートファイター」シリーズのタイトルといえる。
 もちろん,上記の感想は今回の短いプレイ時間で感じたものであり,蓋を開けてみれば細部が異なることは十分にあり得る。だが,本作のバトルデザイナーが意図していることの一端は,確かに掴めたような気がするのだ。

バトルデザインとは関係ないが,演出面の進化も見逃せない。キャラクターの登場からバトルまでシームレスにつながる演出は3Dグラフィックスならではだ
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 このデザインがうまくいくのかどうかは,それこそ蓋を開けてみなければ分からない。だが,少なくとも筆者とヨシヲ氏は,間違いなく続報が楽しみになってきた。それこそ試遊からの帰り道で,「春麗とかスピードキャラは中攻撃のケズりは無くても良くない?」とか「暴れ潰しの強攻撃にVトリガーを入れ込んで,ヒット確認できたら熱いんじゃ?」などと,小一時間近く妄想を語り合ってしまったくらいに。

 ストリートファイターシリーズの新たなるナンバリング作品として,システムのそこかしこからチャレンジ精神を感じる「ストリートファイターV」。間近に迫ったE3 2015でも,なにやら新情報が公開されそうな予感もする。シリーズのファンはもちろんのこと,新しい格闘ゲームを心待ちにしていたゲーマー諸氏も,続報に期待しておこう。

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