プレイレポート
神戸を舞台に描かれるもう一つのハマトラ。ニンテンドー3DS用ソフト「ハマトラ Look at Smoking World」のプレイレポートをお届けします
現在,アニメやコミックなどでクロスメディア展開が進行中の「ハマトラ」は,横浜を舞台に,特殊能力“ミニマム”とその能力者である“ミニマムホルダー”が引き起こす事件を,コンビ探偵“ハマトラ”の2人,ナイスとムラサキが仲間達と解決していくという青春アクション群像劇だ。
ゲーム版ハマトラは,これらと共通の世界観を下敷きにしたゲームではあるが,アニメやコミックとは時系列的なつながりを持たないシェアワールド作品となっており,舞台を横浜から神戸に移してオリジナルのストーリーが描かれる。また,ゲーム版の監督,脚本は「東京魔人學園」シリーズや「九龍妖魔學園紀」,そして「魔都紅色幽撃隊」(PS3/PS Vita)で知られる今井秋芳氏が務めている点も見どころの一つだ。
ところで,筆者はずっと,ハマトラとは“横浜”の“トラブルシューターズ”を縮めて呼んだものだと思っていたが,どうやらそうではないらしい。この場合の“ハマ”は横浜に限らず,広く港町を指すようだ。ゲーム版ハマトラでは,転校生として神戸のとある高校にやって来た主人公が,神戸トラブルバスターズの仲間と共に,街で起こるさまざまなトラブルや事件を解決していくことになる。
「ハマトラ Look at Smoking World」公式サイト
神戸を舞台に描かれる,もう一つのハマトラ
さて,ゲームを開始したら,まずはキャラクターメイキングだ。本作では主人公の性別は男に固定されており,名前とニックネームを入力したのち,4種類の体型から好きなものを選ぶことになる。体型によって初期のステータスが変化するので,これと思うものを選択しよう。基本的にどれを選んでも問題ないが,戦闘中の行動力に関係する「敏捷力」の高い体型のほうが進めやすいかもしれない。
主人公を始めとするトラブルバスターズの面々は,若干の例外はあるがそれぞれ異なる能力を持ったミニマムホルダーで,その能力を活かして街の人々から持ち込まれるトラブルを解決するかたわら,なぜか最近になって多発するようになった,一般市民がある日突然,記憶の一部を失ってしまうという不可解な事件の謎を追っていく。
◆神戸トラブルバスターズの仲間達
ソウケン:「照合」のミニマム |
ルチャ:「蓄電」のミニマム |
ユイカ:ミニマムは不明 |
ロール:「感応」のミニマム |
フリーズ:「凍結」のミニマム |
サリー:「音波」のミニマム |
クロマル:「吸収」のミニマム |
D:カフェバーのオーナー |
ゲームの舞台となる神戸の街は実在の街並みをモデルにしており,なかなか雰囲気がある。トラブルバスターズのアジトになっているカフェバー「THE OLD KOBE」でミッションを受けたら,街を探索して情報を集めよう。ミッションには,ストーリー進行に必須のメインミッションと,任意で受けられるサブミッションの2種類があり,メインストーリーは基本的にゲーム版のオリジナルキャラが中心となって展開される。
まずはアジトでDさんからミッションを受けよう。AさんでもBさんでもないので注意 |
ミッションを受けたら街に出て情報収集を開始。下画面のマップを目印に探索を進めよう |
実在の神戸をモデルにした街並みは,なかなかいい雰囲気。広さもそれなりにある |
たいていのミッションでは,最後に敵とのバトルが待ち構えており,街の不良やら,クレーマーのおばちゃんやら,生意気な小学生やらと戦うことに。こう書くと,一般市民ばかりのようだが,大体それで合っている。一般市民を相手にミニマムを使うのは気が引けるが,これも神戸の街を守るためなのでイジメではない。
またメインミッションでは,主人公のミニマムを使って対象者の記憶の世界に潜り込み,記憶喪失の原因となっている謎の生物(?)と戦ったりもする。
戦闘はターン制のシミュレーションバトルとなっており,移動や攻撃にはAP(アクションポイント)を消費する。今井監督作品ではおなじみのシステムだが,敵味方ともにAPがある限り1ターンで何度も行動できるので,キャラクターを育成するときは敏捷力を高めてAPを増やすのが有効だ。
本作では,キャラクターの育成方法がちょっと変わっており,普通に戦闘をこなしただけではステータスが上がらない。ではどうするのかと言えば,材料を集めてミックスジュース屋に持っていき,そこでジュースを作って飲むことでステータスがアップするのだ。レシピによって,どのステータスがアップするのかが決まっており,例えばソウケンお勧めの「牛肉」+「豆乳」の組み合わせで作れる「キンジモンキー」を飲むと,筋力が上昇する。
ぶっちゃけ,ゲテモノジュースとしか言いようがないが,そのほかのレシピもたいがい酷い組み合わせなので,このくらいで驚いてはいけない。また,レシピによってはステータスではなく「思い出」ゲージが増えるものもあり,思い出が溜まると新しい技やコンボを習得できる。
ちなみに,このミックスジュース屋のモデルとなったお店は神戸市内に実在しており,なんと8月31日まで本作とのコラボジュースを販売しているので,近くに住んでいる人は足を運んでみるといいだろう。こちらは普通においしそうなので,筆者もちょっと行ってみたいです。
また,気になるアニメ版ハマトラのキャラクターとの交流だが,彼らとはゲーム中盤以降のサブミッションで出会える。メインミッションはあくまで神戸トラブルバスターズの物語で,サブミッションでの登場も遅いためやきもきさせられるが,アニメでおなじみのキャラクターと共闘できるのはやっぱり嬉しい。しかし,アニメを見ている人なら何となく理由が想像できるだろうが,ゲームにはアートは登場しない。まさか,アートがあんなことになるなんて……。
一方の神戸トラブルバスターズの面々も,アニメ版のキャラクターに負けず劣らず個性的で,筆者はいっぺんに好きになってしまった。便利屋的に街の人々からの依頼をこなしつつ,記憶喪失事件の謎に迫っていくという,ジュヴナイルものの王道的な展開は今井監督のこれまでの作品にも通じるところがあり,セリフ回しのあちこちからも今井監督らしさが伝わってくる。
全体的なゲームボリュームはやや少なめではあるが,ゲームシステムも完成されており,いわゆる“キャラゲー”としてだけでなく,ゲームとしてもしっかり遊べる本作。ハマトラのファンはもちろん,ハマトラのことはよく知らないけれど今井監督の作品が好きという人でも楽しめるので,興味を持った人はぜひお試しあれ。本作をプレイすると,神戸の街を散歩してみたくなること間違いなしだ。行ってみたいなあ。
「ハマトラ Look at Smoking World」公式サイト
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(C)カフェノーウェア/ハマトラ製作委員会
(C)FURYU CORPORATION 2014
- ハマトラ Look at Smoking World 予約特典(ハニーICカードステッカー) 付
- ビデオゲーム
- 発売日:2014/07/17
- 価格:¥1,422円(Amazon) / 1535円(Yahoo)