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あの「ワンダーモモ」がアニメとゲームで完全復活。バンダイナムコゲームスの「ワンダーモモ ネットコンテンツ制作発表会」レポート
このプロジェクトは,世界中の人々へ向けてコンテンツを提供するために同社がかかげる「ネット構想プロジェクト」のもと,ナムコブランドのクラシックIPをインターネットを通じて世界へ発信する構想の一環として立ち上げられたもの。2012年にオープンしたコンテンツサイト「ShiftyLook」にて,すでに「ギャラガ」「ディグダグ」「超絶倫人ベラボーマン」「ワルキューレの伝説」など,ナムコのクラシックゲームのWebコミックやアニメーションなどが,主に北米に向けて配信されている。
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「ShiftyLook」公式サイト(日本語)
その中でも一番の人気を誇り,連載150回を超えるWebコミック版「ワンダーモモ」が,この2014年に新たにアニメーションや音楽,そしてPCゲームなどのさまざまなメディアで展開されることが決定したというわけだ。
ワンダーモモとは,1987年ナムコよりリリースされた,当時のアーケードゲームとしては珍しい女の子が主人公となって活躍するアクションゲーム。その後もPCエンジンをはじめとするいくつかの家庭用ゲームハードにも移植され,人気を博した。
また音楽については,アニメとゲームで5曲の主題歌を配信する予定。楽曲はAREA 11,Tommy Pedrini,Decktonic,Patrick Trinhなどの海外のアーティストが制作し,それに日本語の歌詞を乗せたものを,メインキャストの藤原さんと小松さんのユニット「ふじこまチューン」が歌唱。こちらはワールドワイドのデジタルプラットフォームにて配信予定となっている。
なお気になるゲーム展開については,前述のアニメーションをベースに,レトロゲームファンに向けたアクションゲームになるとのこと。開発は,「魂斗羅 Dual Spirits」などで知られる北米のデベロッパWayForward Technologiesが行い,プラットフォームはPCとAndroidを予定。もちろん日本で配信されることも決定している。価格はまだ未定だが,一般的なカジュアルダウンロードゲームの標準的な価格となるとのこと。内容についてはまだスクリーンショットが2点ほど公開されただけだが,クラシックな横スクロールタイプのアクションゲームになるようだ。
そのほか,Mighty FineによるWeb上でのアパレル展開,カナダのUdonによる2014年春のコミック単行本展開,日本国内での小説展開なども現在進行中とのことである。
発表会では,初公開となるアニメ版ワンダーモモのトレイラー映像がスクリーンで公開されたほか,檀上にはバンダイナムコゲームスのゼネラルマネージャー栗田穣崇氏,ShiftyLookの編集長兼プロデューサーであるロブ・ペレダ氏,アニメの日本語脚本・楽曲作詞担当のいなべあゆみ氏が登壇し,企画内容の詳細が語られた。
ペレダ氏はワンダーモモという作品を選んだことについて「オリジナルゲームは1作しかないのに,『NAMCO x CAPCOM』や『ワンダーモモーイ』(楽曲)などで展開されるように,いまだに根強い人気があって,それを大人が読んでも楽しめるクールでセクシーな作品にしたかった」とコメント。
一方いなべ氏は,Webコミックの日本語制作について「英語の原稿をいただいて,ページが抜けているのではないかと思うぐらいコミックの展開がすごくスピーディで(笑),それを日本人の方にも分かるテンポにすることを意識しています。セリフにある“Cool”や“Reary”といった言葉を,分かりやすい日本語に訳すのにとても苦労しますね」と語っていた。いなべ氏は,同時に曲の作詞も担当しており,海外アーティスト提供の楽曲に,日本の節回しをハメ込むのがとても難しいともコメントしていた。
第1話の上映をはさんだ後のステージでは,本作の監督をつとめる香川 豊氏と,キャストの藤原侑香さん,小松美咲さんが登場。栗田氏とペレダ氏も加わってのトークセッションが展開された。
香川氏は本作の制作依頼を受けたとき,アメリカとの合作ということに戸惑ったそうだが,ペレダ氏をはじめとするスタッフとの話を通じて,彼らが日本のアニメを大いにリスペクトしていることに感銘を受けたという。なので,その向こう側にいる海外ファンに向けるつもりで制作しているとのこと。
また本作が声優初挑戦となる藤原さんは,声だけでキャラクターを表現する難しさに苦労したものの,モモコの明るく元気なキャラクターに「演じていて楽しかった」と語っていた。一方,ライバル的な存在となるアキホを演じる小松さんは,「ぼんやりしているとやられるわよ!」というお気に入りのセリフをステージ上で披露し,劇中でのアキホのモモコへ向けた敵対心がうち解けていく様子が,人見知りな自分の性格と似ているかもしれないと話していた。
なお,アニメ版ワンダーモモは,2014年2月よりニコニコ生放送にて毎週木曜日の21:30〜22:00に,アニメ本編とトークを合わせた30分のストリーム番組として配信される予定だ。また英語字幕を載せた海外版は,海外のストリーミングサイトCrunchrollにて配信が行われる。放送後は別途アーカイブ版の配信も行われるとのことなので,本作に興味のある人は楽しみにしておこう。
発表会の後には,栗田氏およびいなべ氏へのインタビューの時間が設けられたので,その模様をお届けして,本稿の締めとしよう。なお今回の制作発表会の模様は,1月30日の21:30より,ニコニコ生放送にて配信が行われる予定だ。
――今回の発表を終えて,お気持ちはいかがでしょうか。
栗田氏:
ShiftyLookを立ち上げてから約2年,ロブ(ペレダ氏)のような北米のファンをはじめ,世界中からアクセスを集めるようになって,それがまず驚きだったんです。そうやって時間をかけて育ててきたコミックから,今回のようにアニメやゲームへの展開できたことは,とても嬉しく思っています。私自身,ワンダーモモをはじめとするアーケードゲームで育ったこともあって,すごく感慨深いですね。
――日本語版の制作に,いなべさんを起用されたのには,どんな経緯があったのでしょうか。
栗田氏:
ワンダーモモは女の子が主役のゲームですので,女性視点で書ける方をということで起用させてもらいました。いなべさんは英語が堪能なだけでなく,小説等も書かれていたので,適役だと思ったんです。
――いなべさんは,初めにお話を聞いたときいかがでしたか?
いなべ氏:
話をいただいた時点では,私はワンダーモモを知らなかったのですが,あらすじをうかがったときに,原作を知らない私でも,純粋に面白いと思えたんです。なので,オリジナルを知らない世代の方にも,きっと楽しんでいただける作品になるだろうと考えました。
栗田氏:
たくさんの方が応募されたオーディションの中から選ばせていただきました。原作キャラクターのイメージはもちろん,歌唱力や声質のバランスなども考慮しています。
――お2人のほか,ポスタービジュアルに桃井はるこさんの名前もありますが,桃井さんはどんな役なのでしょうか。
栗田氏:
桃井さんはなんといっても「ワンダーモモーイ」ですから(笑)。今回はモモコの母親役,つまり初代ワンダーモモという設定で出演していただいています。
――ゲーム版の発売時期はいつ頃になりそうですか?
栗田氏:
まだ未定ですね。まだお見せできる段階ではないんですが,今年の春までにはリリースできるよう現在開発中です。
――ゲームはどんなストーリーなんですか?
栗田氏:
ゲームのバックストーリーはコミックに準じた形になります。完全にではありませんが,原作をなぞる形になる予定です。
――アニメには,オリジナル版からキャラクターも登場していましたね。
栗田氏:
ええ。かつてのゲームをやり込んだチームが原作を担当しているので,オリジナル版のプレイヤーにも「おっ」と思ってもらえるようになっています。ただアメリカンテイストにはなっているので,そこはご理解いただければと。
――キャラクターデザインを見る限り,すごく日本風のように見えますが。
栗田氏:
そこはカナダのチームがあえて意識して狙ったデザインなんです。Web版コミックの主要アクセス層が,ハイティーンから大学生なので。
栗田氏:
セクシー要素を兼ね備えたヒロインが戦う作品が,海外ではあまり多くないんだと思います。北米だとヒーローがいてこそのヒロインというパターンが多いので。またロブのようなアニメファンは,「マクロスF」のような作品で,かなりすり込みがあるみたいです(笑)。
――では最後に,配信に向けてメッセージをお願いします。
いなべ氏:
北米向けに制作された作品ではありますが,脚本は日本のアニメが得意とする,細かな心の動きを意識して書かせていただきました。モモコは感情の振れ幅が大きい娘ですが,彼女の気持ちを大事に,成長を描くものになったと思います。ぜひ楽しんでいただければと。
栗田氏:
日本のファンには,世界に出ることで生まれ変わったワンダーモモの姿を,ぜひ見てほしいと思います。レトロゲームが海外に進出して,また日本へまた戻ってくるというのは,これまでになかった展開ですし,その辺りの面白さを,ぜひ感じていただきたいですね。
「ShiftyLook」公式サイト(日本語)
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Wonder Momo
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(C)NAMCO BANDAI GAMES Inc.
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