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岡本吉起氏が「ゲームとは何ぞや」をテーマに語った内容とは。ヒューマンアカデミー主催のトークイベント「Gm4u」第1回をレポート
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印刷2017/07/20 16:22

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岡本吉起氏が「ゲームとは何ぞや」をテーマに語った内容とは。ヒューマンアカデミー主催のトークイベント「Gm4u」第1回をレポート

 ヒューマンアカデミーは2017年6月16日,同社の全日制専門校「総合学園ヒューマンアカデミー」で,ゲーム業界を代表するクリエイターによるトークイベント「Gm4u」の第1回を開催した。


■Gm4uとは
 ヒューマンアカデミーが運営する全日制専門校「総合学園ヒューマンアカデミー」で開催されるトークイベント。業界を代表するゲームクリエイターがゲストとして毎回登場し,これからの業界を担う方々と「ゲーム業界は面白い!」という感覚を共有する。イベントの様子は全国各地の校舎でライブ配信され,開催のペースは月1回(全10回)が予定されている。

 第2回では,河村直哉氏が「至福のゲーム創造」をテーマに語る予定だ(関連ページ)。

 第1回では,「モンスターストライク」や「ストリートファイターII」シリーズなど,開発チームと一緒に数々のヒット作を手がけてきた岡本吉起氏がトークを行った。
 岡本氏は「ゲームとは何ぞや」をテーマとし,これまで関わった作品にまつわるエピソードや,35年という経歴で培ったゲームクリエイターとしての仕事について語ったので,その内容を本稿でお伝えしよう。

オカキチの代表取締役兼ゲームプロデューサー,岡本吉起氏

 来場者の大きな拍手で迎えられた岡本氏は,「緊張しますね」と前置きしつつ,リラックスした表情で自身におけるゲームクリエイターとしての生い立ちから語り始めた。

 “絵がうまかったから”という理由で,1981年にデザイナーとしてKONAMIに採用された岡本氏は,面接のときにKONAMIがゲーム会社であることをあらためて知ったという。

 岡本氏は「今では考えられないよね」と当時の大らかさを振り返りつつ,ゲームクリエイター人生はここから始まったのだとした。KONAMIに在籍していた期間はわずかだが,ゲーム作りの基礎を体育会系の精神で叩き込まれ,始めの頃は家に3か月間帰れないこともあったそうだ。その苦労の甲斐もあって,岡本氏が22歳という若さで移籍を考えたとき,複数の企業からオファーがあったという。

 中には年収5000万を提示する企業もあったが,岡本氏はカプコンを選択。決め手となったのは,カプコン創業者の辻本憲三氏による「開発をお前に任せる」といったニュアンスの言葉だった。

 ゲーム開発をするからには誰かの下で働くのではなく,自分が上に立って引っ張りたい。そんな岡本氏の希望が叶い,カプコンに移籍して社員番号「9」をもらったが,当時のカプコンはパブリッシャ的な側面が強く,社内の開発体制を構築,成長させていく必要があったそうだ。
 すべてがゼロからのスタートで,再び苦労に見舞われる岡本氏だったが,その後の活躍は「ストリートファイターII」のブレイクなど,コアなゲームファンなら誰もが知っているだろう。


ゲームの定義とは?


 岡本氏は自身の生い立ちを語ったのち,来場者に向けて「ゲームの定義って何ですか?」と問いかけた。
 この問いに「ルールである」「エンターテイメントである」「遊ぶことや操作することである」といったさまざまな回答が挙がる中,岡本氏はいずれも「正解」としつつ,「一定の範囲内で通用するルールを守って人が行動すること」だと自身の回答を示した。

 ゲームという箱庭の中で,ルールを決める神様がゲーム開発者。そのルールを気に入って箱庭に遊びにくる人達がプレイヤーであり,良いルールならたくさんの人が集まってくるが,反対に悪いルールなら人が集まらない。これが岡本氏の考え方だ。

 岡本氏のもとには「僕はこんな面白いゲームを作りたい」と熱意を持ってやってくるゲームクリエイター志望の若者も多いが,自身はこれまでそういう気持ちを抱いたことが一度もないという。
 みんなが遊びたいと思うものを作りたい。岡本氏はこれを常に考えて,自身が作ったゲームという箱庭に住んでくれる人の気持ちを,最大限に汲み取ったゲーム作りをしてきたと語った。

 岡本氏はかつてアプリのゲームを作り始めた頃,某社で「チュートリアルを作成し,その過程のどこでプレイヤーが落ちていくのか。KPI(Key Performance Indicator)を確認することでプレイヤーに蓄積される不満が分かる」と教えられたそうだ。

 しかし岡本氏は,チュートリアルの存在自体が落ちてしまう理由だと考えている。分かりきった内容をチュートリアルで説明されるのは,プレイヤーにとって苦痛でしかない。それがなくても分かるゲームを作るというのが氏の持論だ。
 岡本氏が開発者の1人として携わった「モンスト」も懇切丁寧なチュートリアルは存在しないが(とても簡素な内容),面白いゲームとして成立している。


ゲーム開発の道筋を決める


 「モンスト」には,キャラクターを直接的にではなく,画面内のどこをタップしても引っ張れるという仕組みが採用されている。画面の端にいるキャラでもストレスなく好きな方向に飛ばせるようにするためだ。
 また,キャラクターの当たり判定は,見た目どおりの円形ではなく,四角形として設定されているという。垂直と水平の判定をもとに計算されているので,気持ちいい反射が楽しめるようになっているそうだ。円形だとビリヤードのように反射してしまい,連続した反射が起こりづらい。

 岡本氏はこうしたモンストの仕様を,アイデアの積み重ねで作りあげていったのではなく,開発当初から考えていたことだと語った。そもそも岡本氏のゲーム作りには“ケツから物事を考える”という理念があり,世に出たゲームが一体どんな形で社会現象を巻き起こすのかということを考えた未来をゴールとし,現在へと遡ってルートを切り拓くことで,自ずとその未来にたどり着けるのだという。

 岡本氏によると,モンストの開発チームと一緒に頭の中で描いた未来は,ディズニーランドで列を成しているカップルが一言も会話せずにスマホをいじっている様子を見て決めたもので,彼らが楽しい時間を共有できるゲームを作れば,きっと世の中が楽しくなると思い至ったからだそうだ。

 最大の障壁となったのは,両者のスマホをどうやってつなぎ合わせるか。Bluetoothはすぐに切れるし,そもそもiPhoneとAndroidではつながらない。「カップルならきっと同じスマホだろう」という淡い期待も抱いたが,だからといって済ませていいものか。

 結果的に両者のGPS情報をサーバーとやりとりさせ,通信が可能となることによって障壁はなくなり,モンストの成功する未来が見えたのだと岡本氏は語った。

 なお岡本氏は,モンストの開発当初から,この作品が世界のランキングで2位に入ることも予測していたそうだ。モンストは世界的な人気タイトルに続くだろうと考えていたとのこと。

 かつて岡本氏がカプコンで携わった「ストII」も同じ方式で作られている。当時,「スペースインベーダー」ブームの影響で,1プレイ100円の料金を値上げできずにゲームセンターの関係者が苦しんでいた。
 そんな人達が儲かって喜ぶ未来を予測し,そうなるためには一体どんなゲームが必要かを考えた結果がストIIだったというわけだ。

 当時のセガは大きな可動筐体を作り,1プレイの金額を上げることに成功したが,この筐体の導入にはコストが重なるうえに相応のスペースも必要で,中小の店舗では導入が難しかった。

 ストIIの開発時,岡本氏は汎用筐体を使いつつ,友達同士で一緒にプレイできることで売上を倍増させるにはどうしたらいいか,ということを考えた。そうして完成したのが「ファイナルファイト」だったという。
 しかし,ファイナルファイトもお客さんが上達してくると,いずれ飽きられてしまい,売上が落ちる。編み出した解決策は,ゲームプレイを顧客の遺志に任せるといった「お客さんに責任転嫁すること」。

 お客さん同士が戦い,勝てばプレイ続行,負ければリプレイに100円かかる。これがストIIの開拓した新たなジャンル「乱入対戦」が生まれた経緯である。
 ストIIでは,どのキャラクターがどう強いのかという部分もあらかじめ考えられてデザインされており,大きく分けて「連打型」「タメ型」「コマンド型」それぞれの必殺技を持つキャラが存在する。最初は操作の簡単な連打型が強いが,ゲームに慣れてくるとタメ型の強さが分かり,さらに腕が上がれば瞬間的に必殺技が繰り出せるコマンド型の性質が見えてくるというものだ。このバランスもストIIがヒットに至るルートを模索する中で構築されていったのだという。

 以上のように,ゴールから遡って切り開いたルートを戻っていくというゲーム作りにおける最大の利点は,開発期間がブレないことにもなる。納期が大きくずれるという展開も避けられる。


自分はゲームを作って幸せになれた

これからはそれを日本の未来に還元したい


 岡本氏はモンストの開発期間中,薄給の生活を送っていたというが,「それでも楽しかった」と語っていた。そんな氏が現在はとにかく売上にこだわっており,「ここからは稼ぐだけ稼いで全額を寄付しようと思っている」と述べていた。

 続けて「戦後の何もかも失った時代から自分の祖父母や父母が復興してくれた日本に生まれて,僕らは本当に良かったと思っている。でもそんな日本を僕らの世代がボロボロにしてしまった。だから次の世代が日本に生まれてよかったともう一度思える時代に戻すことが,僕らの仕事です」と岡本氏は語り,現在は売上や収益の一部をモンストの開発メンバー達と一緒に全国のこども食堂に寄付していることも明かした。

 「小学生の6人に1人がお腹いっぱいに食事ができないという,僕らの世代からすると信じられないような貧困がこの日本で起きています。せめてその1人だけでも,ほかの5人と一緒に満腹になれるような住みやすい日本になれば」という願いを,岡本氏はゲームを介して叶えようとしている。

 岡本氏は最後に「この見た目だからすごく輩(やから)な感じはしますが,真面目に生きているんですよ!?」と来場者の笑いを誘い,トークを締めくくった。


来場者からの質問集


 トークのあと,全国の校舎からオンラインで視聴していた人も含めた来場者の質問に,岡本氏が答えていった。その内容も合わせて掲載しよう。

ディスプレイ越しに来場者をイジりつつ,返答する岡本氏

――次に流行りそうなゲームや,今考えているゲームはどんなものですか。

岡本吉起氏(以下,岡本氏):
 一般的な意見としてはPvPやGvGのゲームだと思っています。僕自身がそこに向かっているかどうかは別ですけど。そこを具体的にしゃべってしまって,どこかに先に出されてしまったとき,これほど切ないことはないですからね(笑)。

――これからの若いクリエイターに求められるものは何ですか。

岡本氏:
 若いクリエイターには,若い切り口で新鮮なアイデアを出してほしいと思っています。また,できればそういうアイデアをうまく伝えられるように,プレゼン能力を磨いてください。ゲームクリエイターには,思いついたアイデアをみんなに面白く伝える能力が必要です。プレゼン能力の高い人の言葉は,凄くいいアイデアに聞こえるものなんです。
 でもそういうことが能力的にできない人もいるので,そういう場合はプレゼンが得意な人を探して,代わりにしゃべってもらうという手もあると思います。
 それとこれは参考までの話ですが,僕の中にはゲームを作るときに大事にしている「(プレゼンやアイデアを)聞いて面白い」「(開発資料やゲーム画面を)見て面白い」「(ゲーム本編を)遊んで面白い」「(誰かのプレイや攻略のお手本を)真似して面白い」という4つの条件があります。この4つを満たしているものが,個人的には面白いゲームになると思っています。

――人をまとめるときに,何か気をつけていることはありますか。

岡本氏:
 僕がチームをまとめるときに重要だと思うのは,ガス抜きによるメンバーの不満の解消です。僕はどちらかというと,いいところを伸ばすのではなく,悪いところを潰していくタイプなんです。日本人は不満に敏感なので,大きな不満が出ないような商品を作り出して世界でヒットさせているんですよね。
 チームの運営もそれと同じで,できるだけ不満が出ないような環境を作るようにしています。喫煙ルームを作るとか,みんなで飲みュニケーションをするとか。ちなみに僕は今,次のヒット作が出るまで,禁煙禁酒中です(笑)。

――自分よりも経験が少ないスタッフをうまく使う方法を教えてください。

岡本氏:
 なかなか難しい質問で,僕も解決策はないと思っています。経験の少ないスタッフを無理に使ってそこが見劣りしてしまうのは当然なんですが,それをいちいち説明できないですし,総合的にはそこがゲームの不満点になってしまいますからね。
 僕らの場合は,最悪そういうスタッフを切ってしまうという考えもありますが,もしどうしても彼らを使ってあげたいという気持ちが強いなら,自分が考えたアイデアをまとめるときの相手をしてもらうといいと思います。そこでどんな反応が返ってきたとしても,自分の言葉を誰かに説明しようとした時点で頭が整理されるのは間違いないですから,マイナスになることはありません。

――ゲーム作りが厳しいと思ったときでも,最後までやり切ろうと思えるのはなぜでしょうか。

岡本氏:
 ゲーム作りを最後までやり切るということは,半分正解で半分不正解だと思います。学生さんの課題や卒業制作は最後までやり切ることが目標ですが,我々プロの場合は作って世の中のためにならないものは,出さないほうがいい選択肢も考えられます。もちろん僕らは開発会社なので,権限でボツにできないものもありますし,そういうものを作っているときは,ヒット作を作っているときの100倍はしんどいです。
 ただ「物を完成させた」という経験は,携わった人を成長させる材料にはなるので,どんな作品でも完成させる意義はあると思います。

――岡本さんがゲームの開発において大事にしていることはなんですか。

岡本氏:
 「タイミング」ですかね。ほかより1秒でも早く出さないと,真似をしたように見えるから。先ほど話したように,誰もが感じる不満を解消することを優先した作り方なので,極端な話,ほかが出すゲームと丸被りしてしまう可能性もあるんです。だから開発を急ぐ,ゆえにチームが徹夜を繰り返す,という結果になってしまうんですけど。
 また出すのが早すぎても空振りになってしまうので,機が熟したタイミングを見計らって,そこにバシッと出せるように努力をすることが大事だと思います。

――ゲームを作るうえで,ここだけは譲れないという部分はありますか。

岡本氏:
 実は「音」が僕の譲れないところですね。ゲームや映画のヒットする要因の50%は,音だと思っているので,そこだけは譲れませんね。BGM,効果音,ボイス,そしてそれらが聞こえるタイミングなど,すべてにおいて重要です。
 以前テレビドラマのプロデューサーと話をしたときに,「視聴率が落ちたときは,本編で主題歌BGMを流して盛り上げる」と言われたとき,「俺と同じ手法だ!」と思ったんですよね。

――「ソーシャルゲームはゲーム業界のガン」「ソーシャルゲームのせいで日本のゲーム業界が世界から遅れている」という一部厳しい声もありますが,それを踏まえてこれからのゲーム業界をどう見ていますか。

岡本氏:
 一般的な見解としては,その半分は事実だと思います。今のソーシャルゲームは,趣味としてゲームにかけていいと思われる金額を大きく超えていますからね。その金額が,コンシューマゲーム業界の売上を食っているのは間違いないです。
 ただし,コンシューマゲーム業界が苦しんでいるのは,金額がすべてではないと思っています。そこは単純な話,手軽さに負けているんですよ。生活必需品のスマホがプラットフォームで,常にオンラインでつながっていて,そこに無料で遊べるいろんなゲームが配信されているわけですからね。それに対してコンシューマゲームの本体を買わなければならないとか,テレビの前に座る必要があるとか,そういう旧態依然のシステム自体が負けているという面もあるので,半分は間違っているということです。
 僕個人としては,今後の世界はスマホのアプリの方へと向かっていくと思っているので,(質問者の言う)その人が言うことは基本的に間違いだと思いますね。

トークイベント「Gm4u」公式サイト

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