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「ケリ姫スイーツ」のDL数を14.72倍に押し上げた「多角的アプローチ施策」とは?「LINE」セミナーで行われたガンホーによるセッションをレポート
本稿では,同セミナーで行われた,ガンホー・オンライン・エンターテイメントのスマートフォンアプリ「ケリ姫スイーツ」(iOS / Android)のマーケティング事例を紹介するセッションの模様をレポートしよう。
「ケリ姫スイーツ」公式サイト
それならば,なぜテレビCMを展開するのかというと,タイトルの認知を向上させ,ひいては新規ダウンロードの絶対数を拡大したり,あるいは既存ユーザーの活性化や休眠ユーザーの復帰を促したりするといった効果が見込めるからだという。
横内氏は以上をまとめて,「テレビCMは強力なマーケティング手法ではあるが,数ある手段の一つに過ぎない」とし,目標達成のためにはいくつもの施策を重ねる「多角的アプローチ」を試み,「それらの相乗効果で効率を最大化することこそが重要である」とした。
それでは「ケリ姫スイーツ」のマーケティングでは,具体的に何が行われたのだろうか。同タイトルは,2012年11月のサービスインから3か月で150万ダウンロードを記録しているが,その背景には「ケリ姫クエスト-KICKING MY HERO-」の続編であることや,「パズル&ドラゴンズ」で大ヒットを飛ばしたガンホーの新作というユーザーからの期待感が,前提として存在していたのだと横内氏は語る。
その勢いを保ちつつ,次の飛躍を狙うためにガンホーが行った施策は,プロモーションを一時控えめにし,ゲーム内の改修に注力するというものだった。改修のポイントは,チュートリアルの充実,ユーザーの離脱ポイントに基づくゲームバランスの調整,プレイ動向を踏まえたイベント内容の見直し,ステージやメンバーの追加など新要素の実装などとのこと。そして一連の改修を終えたあとは,ユーザーの継続率が改修前と比較して高水準で安定したため,ガンホーでは「ユーザーが継続してプレイできる基盤を確立できた」と判断。そこで初めてテレビCMを含めたマスプロモーションの展開を決めたという。
マスプロモーションのターゲットスケジュールとなったのは,2013年8月中旬と,9月中旬。それぞれ盆休みとシルバーウィークにあたり,世間一般が休みになる時期を狙ったわけだ。また具体的な目標としては,それまでの累計ダウンロード数が350万,国内全世帯の認知率が12.2%だったのに対し,9月末日で500万ダウンロードおよび20%台の認知率達成を掲げた。なお,ここでいう認知率とは,ガンホーの独自調査に基づく数値で,一般的な100万〜200万ダウンロードタイトルで10%前後になるとのこと。
これらの目標を達成するために掲げたマーケティング戦略は,広告などのクリエイティブにインパクトを持たせ,認知・興味の最大化を図ることと,テレビCMを含めたさまざまな媒体への展開/ダウンロードに至る導線の整備といった露出面の拡大である。
そして出来上がったのが,子ども達が「夏休み」中「缶蹴り」で遊んでいるところに,「姫」が乱入してくるというテレビCMである。横内氏は,それぞれの要素を「季節感」「みんな知ってる感」「意外性」と表現し,それらを組み合わせることで多くの人に関心を抱かせるインパクトを持たせたと説明した。
さらに効果を最大化するため,テレビCMの放映と同時期にコラボ施策やWebなどのメディアへの露出も増やした。その結果,「ケリ姫スイーツ」の新規ダウンロード数は,それ以前と比較して,テレビCMのみを放映した期間は1.67倍,テレビCMと露出拡大を図った期間は14.72倍になったとのことである。
こうした多角的アプローチを用いたマスプロモーション展開の結果,2013年9月末日における「ケリ姫スイーツ」の認知率は25.8%,累計ダウンロード数は550万と,目標を大幅に上回る結果となった。
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(C)GungHo Online Entertainment,Inc. All Rights Reserved.
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