グリー，2012年6月期第1四半期 決算説明会を開催。マーズの完全子会社化やベンチャーキャピタル事業への参入を報告

　グリーは本日（2011年11月2日），報道関係者向けの2012年6月期第1四半期 決算説明会を東京都内で開催した。本説明会では，グリー 代表取締役社長の田中良和氏，および執行役員 コーポレート本部長の天野雄介氏が登壇し，主に同社の第1四半期（2011年7月〜2011年9月）の業績概要および事業報告，そして今後の展開についての説明が行われた。

グリー 代表取締役社長 田中良和氏

グリー 執行役員 コーポレート本部長 天野雄介氏

　田中氏はまず，GREEグループの会員数（※GREE，OpenFeintの合計）は，全世界で1億5544万人に到達したと説明。そのうち日本の会員数は17.8％（約2766万人）を占めるとのこと。また，北米/中国に続いてアジア/欧州/南米に拠点を設立中であり，グローバル体制の構築を進めているそうである。


　スマートフォン向けサービスの進展としては，スマートフォンユーザーの増加，利用の活性化，スマートフォンアドネットワークやリワード広告が順調に拡大しているとした。なお，自社ソーシャルゲームの推移は好調で，今後も引き続き複数のタイトルをリリース予定とのこと。また，アメリカ/欧州/中国など世界に向けた自社ゲームも複数本開発中とのことだ。


　業績概要については軽く説明されるに留まったが，売上高（連結）が過去最高を更新する304億3200万円となったことをはじめ，営業利益が166億4600万円（前四半期比＋70％），経常利益が165億2800万円（前四半期比＋70％），当期純利益が94億4900万円（前四半期比＋66％）と，すべての利益で過去最高を更新したとのこと。
　ちなみに，売上高における収入内訳は，有料課金収入が275億300万円，広告メディア収入が29億2800万円とされている。
　なお費用構成では，人件費増加について，人員計画が順調に進捗したことによる社員増が理由であるとの説明があった。


　2012年6月期第1四半期の事業報告では，国際展開の進展やプラットフォームの機能拡充，スマートフォンにおけるマネタイズの進展/基盤強化といった説明が行われた。
　アドネットワーク事業では，「AdLantis for Smartphone」の月間トラフィック数が56億インプレッションに到達し，スマートフォン向けのリワード広告も，好調に推移しているとのこと。

　通期予想については，前回（2011年6月期第4四半期 決算説明会）発表時から上方修正となり，売上高/営業利益/経常利益/当期純利益はおおむね約40〜50％増で報告された。


　なお，今後の展開については，以下の5項目がトピックとして挙げられた。

・グローバルなワンプラットフォームの提供
・米国，欧州，アジア向けに自社ソーシャルゲームのリリース
・世界各地に拠点を設立
・世界の有力プラットフォーム，キャリア，ゲームデベロッパーとの提携
・スマートフォン向けコンテンツのラインナップ強化

　まず，2012年6月期下半期に，API/SDKを統一した，グローバルなワンプラットフォームの提供を開始するという。これは田中氏によれば，GREEとOpenFeintの両方にある機能を統合して，すべての機能を取り入れたサービスを作りたいと思っているとのこと。これについては，12月に発表を行うので，詳細はそちらを待ってほしいとした。
　なお，新グローバルプラットフォームでは，日本の大手ゲームメーカーによるソーシャルゲームも展開予定であるそうだ。


　また，2011年10月28日時点で，累計ダウンロード数が80万を超えるアプリ「ゆるふわ育成ゲームMEGU」を自社ゲーム化し，さらなる高収益化を図るため，同タイトルを運営しているFEYNMANの親会社であるマーズを子会社化したことが報告された。
　なお，説明会後の質疑応答では，今回の子会社化は「MEGU」というタイトルを取り込むのが最大の目的で，マーズのそれ以外の事業をどう統合していくかは，今後検討していくそうである。

　もう一つ，ベンチャーキャピタル事業を展開する完全子会社として，グリーベンチャーズを設立し，GV-I投資事業組合を組成することも明らかにされた。グリーベンチャーズは田中氏が代表を務め，投資活動を行っていくことになる。
　なお，投資対象となるのは，東南アジアを中心に，インターネットビジネス関連のスタートアップ企業とのこと。GREEにおけるサービスとのシナジーを期待する面あるが，ファイナンシャルリターンのある投資が一義になると，田中氏は述べていた。


　説明会後の質疑応答で田中氏は，日本における会員数が劇的に伸びてはいないものの，この3か月間で有料課金収入が大きく伸びた^※ことに触れ，ソーシャルという分野はまだ成長しており，伸ばしていけるマーケットだと確信している，と述べていた。

※2011年6月期第4四半期は183億8700万円，2012年6月期第1四半期は275億300万円

　また，ベンチャーキャピタルの設立を含め，今後はソーシャルにとどまらず，さまざまな業界に参入し，さまざまなビジネスチャンスに取り組んでいくと述べ，世界で10億人レベルの会員を獲得する数少ない会社を目指していくことを，中長期的な目標として掲げていた。

　本説明会で配布された資料は，グリーのコーポレートサイト内IRライブラリーのページに記載されている。以下にそのURLを掲載しておくので，より詳しく知りたい人はアクセスしてみてほしい。

平成24年6月期 第1四半期決算短信[日本基準]（連結）
2012年6月期　第1四半期決算説明会
マーズ株式会社の子会社化に関するお知らせ
子会社の設立及び新規事業の開始に関するお知らせ

※リンク先はすべてPDFファイルとなります