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一難去ってまた一難!? 「放課後ライトノベル」第39回は『緋弾のアリア』で春の風穴祭り
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印刷2011/04/23 10:00

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一難去ってまた一難!? 「放課後ライトノベル」第39回は『緋弾のアリア』で春の風穴祭り



 サンダー!(挨拶)
 2010年12月からの4か月間ハンターとして過ごしてきた筆者だが,このたび住み慣れたユクモ村にしばしの別れを告げ,地球防衛軍(EDF)の一員として巨大宇宙生物と戦うことになった。そう,SIMPLE2000シリーズの傑作と名高い「THE 地球防衛軍2」のPSP移植版,「地球防衛軍2 PORTABLE」が発売されたのである。

 わらわらと押し寄せてくる敵を片っ端から吹き飛ばしていく爽快感や,チープ感あふれる設定&演出は当然そのまま。移植に際しての主な変更点は敵やステージ,武器の増加とシンプルだが,元のシステムの完成度が高かっただけにこれは正解。むしろもともと多かったボリュームがさらに増しているわけで,その名のとおり2000円だったSIMPLE2000シリーズに対して値段が約2.5倍ということさえ気にしなければ,この移植版も長く遊べる名作と言っていいだろう。

 携帯機に移植されていつでもどこでも地球を防衛できるようになった「地球防衛軍2 PORTABLE」だが,最大の特徴は通信プレイによってほかのEDF隊員と共にミッションに挑めるようになったこと。それを見越し,ゲームが2本セットになった「ダブル入隊パック」も発売されている。これさえあれば値段のことがあまり気にならないすぐにEDFの仲間ができる。仲間と共に挑めば,巨大甲殻虫(蟻)も凶虫バゥ(蜘蛛)も恐るるに足らず。もう本部にも「敵を一人で倒すなんて……人間なの……?」なんて言わせない! いや,ほんとにこんなこと言ってくるんですよ……。

 とまあ,とかく仲間というのは頼もしいものである。そんなわけで今回の「放課後ライトノベル」では,チームワークに重きを置いた異能力バトル作品『緋弾のアリア』の最新巻を紹介する。この4月から始まったTVアニメと合わせてチェックしないと,アリアちゃんに風穴空けられちゃうかもしれませんぜ。

画像集#001のサムネイル/一難去ってまた一難!? 「放課後ライトノベル」第39回は『緋弾のアリア』で春の風穴祭り
『緋弾のアリア9 蒼き閃光(スパーク・アウト)』

著者:赤松中学
イラストレーター:こぶいち
出版社/レーベル:メディアファクトリー/MF文庫J
価格:609円(税込)
ISBN:978-4-8401-3859-8

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●キンジ&アリアの武偵コンビ,ここに結成!


 武偵――それは,凶悪犯罪に対抗するために作られた国家資格。武偵免許を持つ者は,武装の許可や逮捕権を有するなど,警察に準じる権限を持つ。警察と異なるのは,彼らは金で動くということ。報酬の折り合いがつきさえすれば,どんなくだらない仕事でも受ける,それが武偵だ。東京湾に浮かぶ人工島の上に設立された東京武偵高校――通称武偵高は,そんな武偵を養成するための教育機関である。

 武偵高探偵科(インケスタ)の遠山キンジは,ある条件を満たすと超人的な思考能力と身体能力を発揮する「ヒステリアモード」になるという体質の持ち主。だが自分の体質を忌み嫌うキンジは,そのことを周囲にひた隠しにしつつ,普通の高校への転校を望んでいた。そんなキンジは始業式の日,「武偵殺し」と呼ばれる凶悪犯に命を狙われたところを,強襲科(アサルト)の神崎・H・アリアに救われる。その際,期せずしてヒステリアモードになってしまったキンジは,アリアにドレイ……という名のパートナーになれと要求される。凄腕の武偵であるアリアは,自分とコンビを組めるほどの実力のある武偵を探していたのだ。

 アリアによって,半ば強引に武偵の世界へと足を踏み入れることになったキンジは,平穏な日常を送りたいという願いに反して,さまざまな激戦をくぐり抜けていく。キンジの過去や,アリアの身体に隠された秘密が明らかになる一方,主に武偵高を中心に起こっていた事件も世界規模へ。既刊9巻を数えてなお,その物語は加速を続けている。


●個人では及ばない強敵を,チームワークで撃破せよ!


 『緋弾のアリア』の魅力といえば,なんといっても超絶的な技の数々を駆使して繰り広げられる激しいバトル。キンジたち武偵はそれぞれ得意とする戦闘術を持っており,いざ戦いとなるとその本領が遺憾なく発揮されることになる。

 例えばキンジやアリアは「アル=カタ」と呼ばれる,弾丸を打撃の一種として使う近接格闘術を身に付けているのだが,その結果彼らの戦いは近距離で弾丸が乱れ飛ぶという,およそほかに類を見ないものとなっている。それだけでも驚きだが,ヒステリアモードとなったキンジはさらに「銃弾撃ち(ビリヤード)」「鏡撃ち(ミラー)」「銃弾逸らし(スラッシュ)」といった超人的な技を使いこなす。どんな技かはここではあえて書かないが,いずれも初見では驚愕必至のものばかりである。

 ほかにも二丁拳銃と二刀流を同時に駆使したり,超長距離から確実に目標を撃ち抜いたりと,キンジとその仲間たちの戦うところ,常人離れした技がこれでもかと乱れ飛ぶ。もっともそれも無理もない話で,そんな彼らが戦う相手はというと爆弾魔に超能力者,果ては吸血鬼(!)と,これまた一筋縄ではいかない連中ばかり。さすがのキンジたちも苦戦を強いられ,時に傷つくこともある。

 そんなときに頼りになるのが武偵の仲間たち。武偵憲章(武偵の心得のようなもの)の第1条に「仲間を信じ,仲間を助けよ」とあるように,武偵にとって仲間とは何よりの力の源。ある理由から女性を苦手とするキンジと,その彼を普段は何かと「バカキンジ」呼ばわりするアリアでも,いざ戦いとなると絶妙なコンビネーションを見せてくれる。一人では到底勝てない敵に,仲間と共に力を合わせて勝利する……実に燃える展開だ。


●復讐に燃える吸血姫との激闘の結末は? そして次なる敵とは?


 そうして数々の死闘を繰り広げてきたキンジたちが最新9巻でぶつかるのは,彼らが以前に戦った吸血鬼ブラドの娘・ヒルダ。催眠術や電撃を用いた攻撃を得意とし,無限の回復力を持つ彼女との決戦が,建設途中の東京スカイツリー展望台を舞台に展開する。戦いの鍵を握るのは,キンジたちのクラスメイトの峰理子。ヒルダとは浅からぬ因縁を持つ彼女の葛藤や決意,そしてその先にある決着に要注目だ。

 巻の後半では,ヒルダ戦の戦後処理や武偵高の文化祭など,打って変わって穏やかなエピソードが描かれる。とくに文化祭の話は,雰囲気がコスプレ大会だったり,キンジとアリアのデートイベントがあったりと見どころ満載。騒がしくも楽しいイベントを通じて,キンジはこの日々を守ろうと決意を新たにするのだった――というところでいい感じに終わるかと思いきや,最後にとんでもない爆弾が待ち受けている。アニメの放映が始まってそちらに注目が集まりつつある今日このごろだが,原作のほうもそれに負けじとますます目が離せなくなっている。

 なお本シリーズの特徴として,この9巻に限らず,毎回次巻への引きが非常に強烈というのが挙げられる。1巻を読んだが最後,次の巻が気になって仕方がなくなること間違いなしなので,読み始めるときはまとめ買いもしくは,すぐに次巻を買いに行ける状態にしておくことを推奨したい。

■探偵だけじゃない,「戦う○○」なライトノベル

『鋼殻のレギオス1』(著者:雨木シュウスケ,イラスト:深遊/富士見ファンタジア文庫)
→Amazon.co.jpで購入する
画像集#002のサムネイル/一難去ってまた一難!? 「放課後ライトノベル」第39回は『緋弾のアリア』で春の風穴祭り
 これまでフィクションにおいて主に推理力を武器としてきた探偵に銃刀を持たせ,「戦う探偵」という新たな職業を生み出した『緋弾のアリア』。今回のコラムでは「戦う○○」というくくりで作品をいくつか紹介する。
 まずは「戦う学生」。ただ単に学生という立場のキャラクターが戦う話は珍しくもないが,戦うことが学校生活の一部となっている作品はそうそうない。アニメ化もされた人気作『鋼殻のレギオス』(雨木シュウスケ/富士見ファンタジア文庫)では,都市を襲う巨大な獣から人々を守るために,主人公たちは学生生活の中で日々訓練に励んでいる。学園の中で科が細かく分かれている点や,命がけの戦いと学園生活の二面性は『緋弾のアリア』とも共通するところだ。
 次に「戦う司書」。「戦う司書 The Book of Bantorra」のタイトルでアニメ化された「戦う司書」シリーズ(山形石雄/スーパーダッシュ文庫)は,死んだ人間の魂が変化した本を守る武装司書たちの戦いを描いたファンタジー作品。骨太な世界観とハードな展開でコアなファンを持つ名作だ。
 すっかりフィクションにおける人気が定着した執事も,ライトノベルでは時に戦う。「影執事マルク」シリーズ(手島史詞/富士見ファンタジア文庫)の主人公マルクは,執事に化けてとある令嬢の屋敷に侵入,彼女の命を狙うものの敗北し,のちに本当に彼女の執事になってしまうという異色の経歴の持ち主。普段は執事として働きつつ危急の時には身を挺して戦う,執事としても護衛としても有能な,まさに「戦う執事」だ。

■■宇佐見尚也(ライター/EDF陸戦兵)■■
『このライトノベルがすごい!』(宝島社)などで活動中のライター。爆発物をぶち込まれた巨大生物が空高く飛んでいくのを見るのが楽しくて仕方ないという宇佐見氏。オリジナル版同様,今回の移植版も満喫しているようですが,来週の今ごろは日本帝国の提督になって宇宙戦争をやるつもりのようです。とりあえず,帝ちゃんによろしくお伝えください。
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