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斬新なプレゼンと衝撃のコラボ企画。取材陣のド肝を抜いた「メタルギア ソリッド ピースウォーカー」完成披露発表会をレポート
本作は,KONAMIの小島秀夫氏が監督を務める「メタルギア」シリーズの最新作。最大4人でのCO-OPS(協力プレイ)システムやマザーベース(基地)のカスタマイズなど,さまざまな新要素を取り入れているのが大きな特徴だ。
発表会では,小島監督が直々に本作についてのさまざまなプレゼンテーションを行っただけでなく,数々の衝撃コラボ企画が発表された。
すでに「こちら」の記事でまとめて掲載したように,4GamerではTwitterでの速報レポートをお届け済みだが,本稿ではTwitter実況できなかった部分を中心に,発表会全体の模様をレポートしよう。
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MGS PWは小島監督からの未来に向けた「メタルギア」の提案
発表会では,最初にKONAMIの代表取締役である田中富美明氏が登壇し,以下のようなスピーチを行った。
「メタルギア」シリーズは,新作を発売するたびに全世界から高い期待,高い要望を受ける,KONAMIを代表する作品です。その期待を超えるような作品にするべく,精魂込めて制作に取り組んで参りました。
発売タイミングなどで,一部皆様にご迷惑をおかけしましたが,本日無事に発表会を迎えることができたのは,お客様,関係者の皆様の多大なるご支援のおかげだと考えております。
最近では気軽に楽しめるカジュアルゲーム,そして携帯ゲーム機がブームを起こし,年代を超えて遊ばれるようになってきています。「MGS PW」は,このような時代に合わせた新しい挑戦です。今まで応援してくれた方,そして新しいお客様方にも本作を楽しんでいただければ幸いです。
続いて,小島監督が登壇。「メタルギア」シリーズの最新作をPSPという携帯ゲーム機で発売する理由を含め,「MGS PW」について,以下のように語った。
なぜPSPで出したのか,理由は大きく分けて二つです。
一つは,シリーズ未体験の若者達に「メタルギア」を遊んでいただきたいということ。「メタルギア」シリーズは,これまで10年以上もの歳月を,時代時代の最先端プラットフォーム/テクノロジーを使い,それを支持する皆さんと歩んできました。
ありがたいお話ではあるのですが,10年以上続いているタイトルには落とし穴もあります。それは,ファンの世代が固定されてしまうということです。「メタルギア」のサブテーマは,次の世代に何を伝えるかということです。なのでぜひ,若い世代の皆様にもプレイしていただきたいと考えました。
そしてもう一つは,ゲームの将来に向けて実験をしてみたいということです。近い将来,ゲームはプラットフォームに依存しないクラウドコンピューティングのような時代が来ると思います。リビングでも,自分の部屋でも,移動中でも,旅行先でも,いつでもどこでも,同じソフトで継続的にゲームをできるような仕組みになると信じています。そうなった時代の「メタルギア」はどうあるべきか。その実験をしてみたかったのです。
携帯機という新しい外的環境で,未来に向けた「メタルギア」の提案を感じていただければと思います。
次に登壇したのは,ソニー・コンピュータエンタテインメントのプレジデントである河野 弘氏。さらに同社の社長兼CEOである平井一夫氏からのビデオメッセージも上映され,お二方から「MGS PW」完成への祝辞が贈られた。
今回はPSP用ソフトで初の小島監督プロデュースということで,社内は大いに盛り上がっています。その操作感,グラフィックス,クオリティなどで,ユーザーや業界に多大な刺激を与えると期待しています。
UMD版とダウンロード版を同時にリリースしていただけるのは,お客様のライフスタイルにあわせたゲームをリリースしたいという我々にとっては,非常にありがたいことです。これをどうやって特別なものにするか……「MGS PW」にふさわしいPSPとは何か,ということも考えてきました。
それが,このオリジナルデザインPSPです。一台一台デザインが違っており,同じものは二つと存在しません。こういうものを出しながら,業界全体を盛り上げていきたい,小島監督,パブリッシャと一心同体でがんばっていきたいです。
小島監督が言うように,プラットフォームに依存しないゲームもいいですが,我々としては,プラットフォームでも一緒にやっていきたいというのが大きな希望です(笑)。
「METAL GEAR SOLID 4 GUNS OF THE PATRIOTS」が発売されてから,約1年と10か月。PSPで「メタルギア」の最新作を出せることが,本当に嬉しいです。全世界の皆様に楽しんでいただけるのを,楽しみにしています。「MGSPW」発売に向けて,SCEも強力にバックアップしていくつもりです。
最新技術“AR”を駆使したプレゼンに驚愕
・「ピースマーク」
・「抑止論」
・「潜友」
・「仲間」
・「強敵」
これらの大枠については,Twitter実況まとめ記事でお伝えしたとおりなので,ここでは割愛させていただき,補足事項を中心に説明しよう。
まずゲームに登場する特徴的な“ピースマーク”は,B-36爆撃機,通称“ピースメーカー”を元にデザインされているそうだ。
マザーベースはカリブ海沖に浮かぶ洋上プラントで,フルトン回収した兵士や志願兵などのスタッフをどんどん増やしていき,規模を拡大させていくことができる。マザーベースの運営はかなり奥が深い経営シミュレーション的なものになっている模様。
小島監督は,最初はミッションに夢中になっても,そのうちマザーベースの運営にハマってしまうだろうとコメントしていた。
ちなみに,マザーベースの紹介時には,またもやARが使われ,マザーベースが拡大していくさまをスクリーンに映し出していた。なおマザーベースの拡大は,プレイヤーそれぞれのプレイスタイルによってまったく違うものになるほど,バリエーション豊かなものになるとのことだ。
ただ,バシリスクについては「詳しくを語れない」と,小島監督がコメントしていたのが気になるところ。「メタルギア」シリーズをプレイしていた人なら,なんとなく“アレ”なんじゃないかと思うかもしれないが,プレイしてみてのお楽しみということで,発売日を楽しみに待とう。
そして小島監督は,「MGS PW」ではアクションの範疇に留まらない内容になることから,本作のジャンルを“タクティカル エスピオナージ アクション”ではなく,“タクティカル エスピオナージ オペレーション”と,ジャンルを変更したと説明し,新ロゴをあらためて紹介した。
AI兵器を歌ってしゃべらせるボーカロイド音源を活用した
“ネットボーカロイド”で歌やセリフを自由に作れる
本作では,ヤマハとの協力で,オリジナルのボーカロイド音源を作成,それを先述のAI兵器に活用している。兵器が女性の声で歌って踊るという,ミスマッチや怖さがボス戦の演出に活かされているとのことだ。なお,ボーカロイド音源のサンプリングには,女優の菊地由美さん(「MGSPW」ではストレンジラブ役も演じている)の声が採用されている。
続けて村岡氏は,せっかく作ったボーカロイド音源をさらに活用すべく,ヤマハと協力して“ネットボーカロイド”システムを構築したと説明。これは,インターネット経由でサーバーに歌や言葉を送ると,「MGS PW」でそのとおりに再生されるという仕組みだ。
スクリーンに映し出されたスライドを見たところ,音階と歌詞を入力して歌を作れるだけでなく,ミッション中の掛け声のようなものにも利用できるようだ。
村岡氏は,プレイヤーに歌を作ったりセリフを作ったりして遊んでもらいたいと述べ,さらには発売後にコンテストを実施予定で,優秀作をダウンロードコンテンツなどで配信することも検討しているとのことだ。
そして村岡氏は最後に,PAZ(CV:水樹奈々さん)が歌う「恋の抑止力」を収録したCD,「HEAVENS DIVIDE/恋の抑止力」が本日(4月7日),またサントラCDが4月14日に発売されることを告知し,プレゼンテーションを締めくくった。
「モンスターハンターポータブル 2nd G」をはじめとした
衝撃的なコラボレーションの数々を発表
・ドリトス(ジャパンフリトレー)
・マウンテンデュー/ペプシ・ネックス(サントリー食品)
・AXEフレグランスボディ(ユニリーバ・ジャパン)
・ウォークマン(ソニー)
・UT(ユニクロ)
・「PGS PW」専用PSPアクセサリーキット(ホリ)
・週刊ファミ通/電撃PlayStation/週刊少年マガジン
・「アサシン クリードII」(ユービーアイソフト)
・「モンスターハンターポータブル 2nd G」(カプコン)
ゲーム内に登場するドリトス/マウンテンデュー/ペプシ・ネックス/AXEフレグランスボディのコラボアイテムは,体力/気力などの回復アイテムとなる。また,マウンテンデューについては,全8種類のキャラ缶が4月27日から数量限定で発売される。
ウォークマンは,ゲーム内で音楽を聞くアイテムとして歴代製品がゲーム内に登場するほか,実際に限定モデルのウォークマンが,ソニースタイルで発売予定であることがここで発表された。
ユニクロでは,前作「MGS4」に続き,コラボTシャツを発売。全10柄で,カラーバリエーションを含めると全14種類となる。こちらの発売は4月26日からの予定となっている。
そして,これらのコラボではただ商品が発売されるだけでなく,ゲームとも連動している。コラボ商品に付属するパスコードをゲーム内で入力すると,キャラクターの衣装が手に入り,オリジナル兵士や操作キャラクターに着用させられるそうだ。そのほか,ユニクロの一部店舗では,UTロゴTシャツを着た志願兵の配信や,試遊台の設置が予定されている。
「アサシン クリードII」(PS3/X360)とのコラボでは,イーグルダイブを使用して,藁でできた“アサシンストローボックス”に飛び込み,その状態で移動。さらにそこへ敵を引きずり込んでフルトン回収するというプレイムービーが上映された。
公式サイトでは4月1日に公開されたものだっただけに,多くの人はエイプリルフールネタだと思っていたことだろう。しかし,「実は本当のコラボだった」というオチに,多くの「アサシンクリード」ファンが歓喜したのではないだろうか。
個人的には,海外メディアの記者らしき人(メディア席にいた)が,スネークのイーグルダイブを見た瞬間に歓喜の声を上げていたのが印象的だった。
早速,初公開となるPVが上映されたのだが,そこはアイルーやランポスがいる不思議な島。スネーク達が4人でティガレックスやリオレウスを“狩猟”するという,この目で見ても信じがたい光景が映し出された。
ロケットランチャーやアサルトライフルを駆使して飛竜達を狩猟する様は,まさに怪獣映画のような迫力。
PVのラストには,スネークがモンハンでお馴染みの「肉焼き」ならぬ「レーション焼き」を行っている場面もあり,大塚明夫氏のボイスによる「上手に焼けました〜!」が流れた瞬間,会場からは大爆笑が起こっていた。
なおこのムービーは,公式サイトにすでにアップされている。その目で見たいという人はぜひアクセスしてほしい。
「METAL GEAR SOLID PEACEWALKER」公式サイト
とにかく,ゲーム業界の大事件とも言える衝撃のコラボレーションに会場は大興奮に包まれていた。もちろん筆者もだ。
そして最後に小島監督は,4月29日の日本を皮切りに,アジア,欧州,北米などをめぐるワールドツアーを実施するとコメント。また国内ではMGS PWの大会を全国で開催予定で,2010年の東京ゲームショウで決勝大会を開催したいと,抱負を述べた。そして,小島監督は最後に以下のようにスピーチをし,完成披露会を締めくくった。
TwitterやARなどを導入してプレゼンしてきましたが,楽しんでいただけましたでしょうか。とくにARは,携帯ゲーム機の未来を引っ張っていく技術だと思います。
これまでMGSはその時代の一番高い技術を使ってステップアップしてきました。フィギュアスケートに例えるなら,無理をしてでも4回転ジャンプしないといけないといった挑戦をしてきましたが,今回は垂直方向の飛躍ではなく,水平方向の奥行きに挑戦しました。
PSPというハードで,スペックは少し退行しますが,逆にそれによってゲーム性が広がることもあります。できないことが増えた分,ゲームデザインで補いました。そうやって生まれたのが,「MGS PW」です。
今後はまた,最先端のテクノロジーとプラットフォームで,4回転ジャンプ,ないし5回転ジャンプに挑みたいです。そちらにもぜひご期待ください。
……これで終わりかと思いきや,暗転したステージでスクリーンがせり上がり,その裏からバンドが出現。そして本作のテーマソングを担当しているDonna Burkeさんが登場し,「HEAVENS DIVIDE」の生ライブを披露してくれた。
発表会と言うにはあまりにも豪華な構成と,予想だにしないコラボ企画の数々。その興奮も覚めやらぬうちに,「メタルギアソリッドピースウォーカー」完成披露発表会は幕を閉じた。
「MGS PW」発売日まで残り約3週間。それまでは公式サイトでダウンロードできる「未完成抑止版」(体験版)をプレイしつつ,発売日の4月29日を楽しみに待とう。
「METAL GEAR SOLID PEACEWALKER」公式サイト
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