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印刷2009/08/31 11:52

連載

海外ゲーム四天王 / 第14回:「Hearts of Iron III」

海外ゲーム四天王 〜戦うおじさん〜
第14回:今週のOB West:「Hearts of Iron III」
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 Paradox Interactiveのストラテジーゲーム,「Hearts of Iron III」が発売されて,約1か月。欧米のレビューでは「すごい」「でかい」「盛りだくさん」といった惹句が踊るが,なーんとなく隔靴掻痒。前作「Hearts of Iron II」では,1000時間ぐらいプレイを続けるとゲーム本質が見えてくるなんていわれていたくらいなので,要するにレビュワーの皆さんはゲームが終わってなくて,ともかくすごいボリュームなのは間違いないので,そう書くしかないわけなのだ。
 それは,ミスターパラドックスの異名をとる,4Gamerの誇るパラディスト,ライターの徳岡氏も例外ではない。例外ではないが,せっかく発売されたので何かしなくてはならないとう使命感に突き動かされた彼は,「AI対AIのムービー」という絡め手を思いついたのである。さあ,いってみようか!

難しすぎる部分をAIに任せていたら全部任せてしまいそうになる圧巻のストラテジー

 

 ついに発売された第二次世界大戦ストラテジー「Hearts of Iron III」(以下,HoI3)。外交に内政,技術開発に諜報,軍備拡張といった国家経営に始まり,司令部序列の設定と戦略目標の策定といった軍事的指揮まで,国家の一切を取り仕切るこの作品は,同じように馬鹿げたスケールで展開された前作「Hearts of Iron II」の正統な後継作だ。
 その圧倒的なボリュームは,世界各国のストラテジーゲームレビュワー達に「とにかくすごい!」といった類の言葉を連ねさせ,レビューのほとんどはゲームの新機能や新機軸を解説したものとなっている――要するに,具体的にゲームを遊びこみ,ゲームロジックを系統立てて論じるには,まだまだ時間がかかりそうだというわけだ。お恥ずかしながら筆者もまたその一人で,「こいつぁとんでもねぇ野郎ですぜ旦那」(大意)というあたりまでは自信をもって発言できるが,それ以上となると困ってしまう。

 

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ロシアの冬将軍が到来。到来……? 雪は……?

 

 

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イタリア軍が単独でスエズを突破。えーと……

 それはそうとして,「こいつぁとんでもねぇ野郎」であることには,一点の疑いもなく,また,それでありながらもゲームギミックのほぼ全部をAIのコントロールにゆだねることも可能だというのは,素晴らしいことだ。
 「外交を全部無視してたらゲームが崩壊した」とか「内政を放置してたら国がちゃらんぽらんになって突然終わった」的な事故を心配することなく,自分が理解した/扱える範囲でゲームを学んでいけるわけだ。
 これによって,とりあえずは軍隊のコントロールだけに集中し,しかるのちに技術開発,生産,外交といった具合にだんだん手を広げていけば,やがて自然と全機能を有機的にコントロールすることができるようになるのだろうなあという見当はつく。この手のゲームにありがちな,「何をどうしたものやら,皆目見当もつかないなあ」といった展開にはなりにくいのだ。

 

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北方軍集団の最初の戦略目標は「リガ」だったのだが,果てしなく遠い

 さて,このAIコントロールだが,HoI3では軍隊の細かな操作も,実はAIによって管理される(手動でもある程度は可能だが)。
 各師団は司令部によって統括され,その司令部が上級司令部によってさらに統括され,上級司令部はさらにその上の司令部に……といった具合に,トップダウン型の指揮系統が組まれている。プレイヤーは司令部に対して戦略的目標と,だいたいの行動指針(攻撃的/防御的など)を与え,細部の機動はAIが行う。
 最終的に手動操作とAIコントロールのどちらがどれくらい利用されていくのか,現段階ではなんともいえないが,AIコントロールにはいろいろメリットが大きく,結果としてこれがスタンダードになる可能性は高い印象。

 

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そうこうするうちに中国国民党が日本に降伏。前作でもたまに起きたこと

 そうなると,このAIがどれくらい賢いのか,という問題になる。そこで,実際に動画を見ていただくことにした。
 以下に掲載した三つのムービーがそれで,ドイツ軍のポーランド侵攻にあたって,東部では最高司令部に「ワルシャワを目標として電撃戦を行え」とだけ命令,西部では「防御戦をせよ」とだけ命令した結果である。ご覧のとおり,AIはなかなか賢い機動を行ってくれるのが分かるだろう。

 

ポーランド侵攻作戦 その1

状況開始。東部戦線はワルシャワを目標として電撃戦を指示,西部は防衛戦をするように命令する

 

ポーランド侵攻作戦 その2

南方での攻勢圧力に耐えかねて,戦線全体の決壊が始まる。細かい突破と包囲殲滅が繰り返される

 

ポーランド侵攻作戦 その3

途中で攻撃目標を変更,完全な掃討戦に入っている。ポーランドは陥落し,西部戦線は停滞したまま

 

 ――と,ここまではいい感じの話なのだが,やはりというかなんというか,「あれれ?」という部分もすでに散見されつつある。

 

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1942年が来た段階で東部戦線はこの有様。でも降雪がないので戦線はゆっくり前進中

 一番気になるのは,シナリオごとのバランス問題だ。これは前作にもあった問題で,とくに1941年シナリオはドイツ軍が必勝だったり必敗だったり,パッチごとに天秤が左右に揺れていたものだが,今回もその気配が見える。
 詳しくは画面写真を見てほしいが,「1936年から始めてなんぼ」という,ややいただけない部分も,HoI2の正統な後継者になっている予感がマンマンだ。

 ともあれ,要素の膨大さに比してインタフェースはかなりまとまっており,プレイ感覚も好ましい状態にある。やがて拡張パックも出るだろうが,ハードなストラテジーファンならばまずはプレイするべき作品といえるだろう。

 

■■徳岡正肇(アトリエサード/四天王サポートグループ)■■
 本連載では二度目の登場となる徳岡氏だが,今回は「ストラテジーゲームなのに動画で楽しむ」という企画に挑戦してもらった。ファンの皆様,いかがでしたでしょうか?
  • 関連タイトル:

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