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ユビキタスエンターテインメントのiPhoneゲーム市場参入表明も。計120人以上が集った「iPhoneアプリ開発者懇親会」レポート
この懇親会は,1月に開かれたMacworld Conference & Expo/San Francisco 2008に出向いて日本発のiPhone/iPod touch用アプリを紹介した複数のデベロッパを中心とする打ち上げパーティと,国内の開発者同士の交流/情報交換を目的とするもの。開発者やアップルのエラい人,メディア関係者など,計120人以上が集い,大いに盛り上がりを見せていた。
この記事では,懇親会の中で紹介されたゲーム/エンターテイメントアプリや,iPhone/iPod touchアプリ開発用ミドルウェアに関するトピックなどをざっくりと紹介していこう。
「iKoto 2」「i尺八」「Geisha」
「iKoto 2」(230円)は,iPhone/iPod touchで琴の演奏を楽しめるアプリだ。数ある楽器から琴を選んだ理由は,アメリカのデベロッパには親しみが薄く,日本発のアプリとしてふさわしいからとのこと。このiKotoや,尺八演奏アプリ「i尺八」(115円)に用いられている音源は,同社のある福島県会津若松市に多数在住しているという,琴や尺八の奏者に実際に演奏してもらい録音したものだという。
Geishaは,「あなたのポケットにいつでも芸者を!」をキャッチフレーズとするアプリ。手を「パン,パン」と鳴らすことで,芸者さんが踊り出す仕組みだ。
「iKoto 2」紹介ページ(iTunesが起動します)
「i尺八」紹介ページ(iTunesが起動します)
「Geisha」紹介ページ(iTunesが起動します)
「つみねこ」
登場するネコの絵柄や鳴き声により,なんともいえないユルい雰囲気が醸し出されており,ネコが好きな人や,のんびりと楽しめるゲームを求めている人ならば,楽しめること請け合いだ。
App Storeでのレビューには,「全体的に素人作品っぽい印象」「ハラハラドキドキ感は皆無」といった厳しめの意見も含まれているようだが,今回鈴木氏が披露したプロモーションビデオは,そのような意見を引用し,逆手に取った自虐的な内容となっており,来場者を大いに沸かせていた。
「YouTube」には,鈴木氏自身による“神プレイ”の様子を撮影したムービーが投稿されているので,関心を持った人は見てみよう。
「つみねこ」紹介ページ(iTunesが起動します)
「サムライチェス -オンラインゲーム-」「Melody Bell」
サムライチェスは,チェスに“武士道テイスト”を加えた作品で,コマを取るときなどに刀で斬りつける視覚効果やサウンドが用いられているほか,表示されるメッセージもサムライっぽいものになっている。
橋本氏が強調していたのは,インターネット接続(3G/EDGE/Wi-Fi)が行える場所であればどこででも,世界中のサムライチェスプレイヤーとオンラインプレイが楽しめる点。個人別ランクだけでなく,国別ランクも集計されるので,日本のランクを上げるべく,ほかのプレイヤーとともに海外のプレイヤーに挑んでみよう。
なお橋本氏自身も,空き時間を利用し,ほかのプレイヤーに挑戦しているそうだ。
なお,橋本氏の家族が集まり,Melody Bellを使って演奏している様子を撮影したムービーが,YouTubeに投稿されている。なかなか微笑ましい内容なので,そちらも併せてお楽しみを。
「サムライチェス -オンラインゲーム-」紹介ページ(iTunesが起動します)
「Melody Bell」紹介ページ(iTunesが起動します)
「iNinja」
ゼペットの「iNinja」(115円)は,画面に触れて弾くようにするフリック操作で手裏剣を投げ,敵をやっつけていくアクションゲームだ。次から次に敵をやっつけていく爽快さがたまらないが,そればかりでなく,攻略には,画面に触れたままにすることで手裏剣の威力を増やしたり,手裏剣を飛ばさず,置いておくことで敵の攻撃から身を守ったりするテクニックが必要となる。全部で34のステージが収録されているほか,より高いプレイヤースキルが要求される「タイムアタック」「スーパータイムアタック」といったゲームモードも用意されている。
またマルチプレイモードもあるので,対人戦ならではの面白みも味わえるはず。アクションゲーム好きならば要注目だ。
「iNinja」紹介ページ
iPhone/iPod touchアプリ開発用ミドルウェア関連としては,エイチアイの「MascotCapsule eruption」と,ジェイズアヴェニューの3Dエンジン(名称未定),CRI・ミドルウェアの「i救声主/ CRI Sound Streamer for iPhone」「Sofdec for iPhone/iPod touch」が紹介された。
MascotCapsule eruptionは,携帯電話用ゲームなどで利用されている3Dエンジン。プレゼンテーションを行った高橋憲一氏は,同エンジンと,iPhoneに実装されているOpenGL ESをオートマ車とマニュアル車に例え,開発の容易さをアピールしていた。
また高橋氏は,せっかくミドルウェアを用意しても,それを世界中のデベロッパへ広く配布する仕組みがない現状を紹介し,来場していたアップルの鷲滝氏に対して話をさせてほしいと訴える一幕もあった。
プレゼンテーションの中で紹介された映像では,本体を上下左右に動かすと,仮想空間内のリスが,フレームに収まろうとして移動したり,ジャンプしたりする様子が確認できた。そのほか,メタルでできたイモムシ状の生物が画面内を飛び回るムービーも上映された。
これらのデモ映像はYouTubeにも投稿されているので(1,2),関心を持った人は目を通してほしい。
i救声主は,ニンテンドーDS用のさまざまなタイトルで採用されている音声再生ミドルウェア「救声主」をiPhone/iPod touchに対応させたもの(関連記事)。i救声主を用いることで,サイズが大きくなりがちな音声データを,品質劣化を抑えつつ圧縮したり,音声のマルチストリーミング再生や,ループ/フェード再生を実現したりできるという。
そしてSofdecは,ムービーをテクスチャとして扱うことを可能にするミドルウェアだ。Sofdecを用いて表示したムービーは,移動や拡大縮小,回転などが容易に行える。ムービーを用いたリッチなコンテンツを提供したいデベロッパは,導入を検討してはいかがだろうか。CRI・ミドルウェアの公式サイトに掲載されている,i救声主やSofdecなどを紹介するムービーを見てみよう。
そのほか今回の懇親会では,iPhone/iPod touchゲーマーにとって気になる情報も飛び出した。「ZeptoPad」などで知られるユビキタスエンターテインメントの代表取締役兼CEO,清水亮氏が,プレゼンテーションの中で,iPhone/iPod touch用ゲームの開発を行う計画があることを明らかにしたのだ。
清水氏は,1000万円規模の予算をかけてしっかりとした作品を開発し,継続的に提供していけるようにしたいと抱負を述べており,iPhone/iPod touchゲーマーならば,今後の同社の動向に注目したいところである。
イベントの締めくくりには,北米地域のApp Storeの有料アプリランキングで1位を獲得し,大きな話題を呼んだ(関連記事)「LightBike」(350円)のデベロッパ,パンカクの柳澤康弘代表取締役が登場。同社はこれまでにアプリを数作品リリースしており,いずれも最初からアメリカ市場をメインターゲットとして開発したことなど,これまでの経緯が説明された。
いまやiPhone/iPod touch用アプリデベロッパの多くが目指すところとなっている,パンカクの取り組み方について直接話が聞けたことで,集まった開発者達は大いにインスパイアされたのではないだろうか。
「LightBike」紹介ページ(iTunesが起動します)
日本において,これだけの数のiPhone/iPod touch用アプリ開発者が参加したイベントは,今回の懇親会が初めてといっていいだろう。コニットの橋本氏によると,開発者やメディアなど,iPhoneに関わるすべての人をつなげるような会に育てていきたいとのこと。iPhone/iPod touch用アプリの将来を担う,国内のデベロッパが集うiPhoneアプリ開発者懇親会が,これからも熱気を帯びたイベントであることに期待したい。
- 関連タイトル:
サムライチェス −オンラインゲーム−
- 関連タイトル:
iNinja
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