インディーズゲームの小部屋：Room＃432「Grandpa's Table」

　積み本を減らすため，ノルマとして週に5冊のペースで読書し続けている筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第432回は，Kivanoの「Grandpa's Table」を紹介する。本作は，祖父の机に残されていたパズルを解きながら，祖父の形見にまつわる思い出を振り返るというパズルゲームだ。今度は読み終わった本が積み本と化していて，これはもう処分しないとダメかも分からんね……。


　祖父が使っていた古い机。そこには，祖父の思い出が隠された秘密のパズルがあった。プレイヤーはそのパズルを解くことで祖父の形見の品を1つずつ見つけ出し，それにまつわる思い出を振り返っていく。果たして，祖父はその品にどんな思いを込め，どんな人生を歩んできたのだろうか……。

　そんなしんみりしたテーマのパズルゲームである本作は，画面全体が祖父の机をイメージしたデザインになっているのが特徴の1つ。ゲームを起動しても，タイトル画面に一切メニューが表示されないので一瞬「アレッ？」と思うが，実はこれそのものが祖父の机になっており，木彫りブロックで作られたタイトルロゴの周囲にある小物をクリックすることで，各種メニューやパズルを起動する仕掛けになっている。


　パズルを開始するには，机の右上に置かれた小箱をクリックする。パズルのルールは簡単で，小箱の中に置かれた宝石を動かし，同じ色の宝石同士を隣接させてひとまとまりのグループにするというもの。小箱の中の宝石を色ごとにすべてグループ化すれば，ステージクリアだ。

　宝石は一度動かすと障害物にぶつかるまで止めることはできず，一か所に集めてグループ化した宝石は裏返しになって，それ以上は動かせなくなる。
　基本的に，どの場所でどの宝石をグループ化してもクリアとなるが，中途半端な場所で宝石をグループ化すると，それが邪魔で残りの宝石を動かせなくなってしまうので注意しよう。


　また，どの小箱にも星型が描かれたマスがあり，この上にうまく宝石を並べてクリアすることで星を取得できる。一度にすべての星を取ると，ヒント機能を利用するために必要なコインがもらえ，さらに一定数の星を集めるごとにボーナスパズルが出現。これをクリアすると祖父の形見の品が手に入るという仕組みだ。
　手に入れた形見の品は画面手前側の机の引き出しにコレクションされ，これをクリックするとその品にまつわるショートストーリーが読める。


　パズルのほかにも，机の上には古いラジオがあり，これを使ってゲーム中のBGMを変更できる。どの曲も，郷愁を誘うゆったりとしたピアノの旋律をメインとしたもので，ゲームの雰囲気にぴったりマッチしている。コツン，コツンという宝石を動かす小気味いい音と，優しいピアノの音色を聴きながらパズルを解くという，リラックスした雰囲気が本作の大きな魅力となっている。


　筆者も本作をプレイしながら，自然と自分の祖父のことを思い出していたが，それと同時に祖父の若い頃のことを何一つ知らなかったことに今さらながら気づかされ，ちょっぴり感傷的になってしまった。こんなことなら，もっとたくさん話しておけばよかった……。そんなセンチメンタルな気分にさせてくれる本作は，Steamにて498円で発売中。なんとなく，秋の夜長に遊びたくなるパズルゲームだ。これから，いよいよ夏本番だけど。

■Kivano公式サイト

http://sulech.com/kivano/