連載
インディーズゲームの小部屋:Room#337「The Last Door - Collector’s Edition」
本作の舞台となるのは,1890年代のビクトリア時代のイギリス。主人公のDevittはある時,古くからの友人であるAnthonyから謎めいた手紙を受け取り,サセックスにある彼の古びた館を訪れる決意をする。しかし,DevittがAnthonyの手紙を受け取ったその頃,Anthonyは自らの首にロープを掛け,その命を絶っていた。果たして彼の身に一体何が起こったのか……。
というわけで,プレイヤーはDevittを操作して,古めかしく不気味な洋館を探索することに。本作はいわゆるポイント&クリック型のアドベンチャーで,操作はすべてマウスのみで行う。スクリーンショットを見ればお分かりのとおり,本作のグラフィックスは“レトロ”なんて言葉を20歩くらい通り過ぎたようなローレゾスタイルを採用しており,想像力をかき立てる独特の雰囲気を放っている。
一方で,あまりにもドットが粗いため,目を凝らさなければ何が描かれているのかよく分からないというシーンもいくつかある。画面上でカーソルを動かすと,調べられるものや拾えるものの上でカーソルの形が変化するので,見落とさないように注意しよう。また,アイテムの中には,ほかのアイテムと組み合わせて使うものもあるので,すぐに使い道が分からなくても,拾えるものはすべて拾っておくといいだろう。
本作で描かれているのは,人類が忘れ去ってしまった,この世ならざる邪悪な力という,ラヴクラフト的な恐怖だ。ゾンビやクリーチャーに襲われるといった,分かりやすいピンチではなく,やすりで精神を削るような,じわじわとまとわりついてくる恐怖の演出が非常に巧みで,思わず鳥肌が立ってしまう。ま,まあ,これで少しは涼しくなって過ごしやすいってものですよ(震え声)。
ネタバレになるので詳しくは書けないが,Devittは館に残された手紙や日記などを通じて,Anthonyが徐々に正気を失っていったことを知る。そして,Anthonyが最後に残した手紙には,自分が何か恐ろしい出来事に巻き込まれ,Devitt自身にも大きな危険が迫っていると書き記されており,今すぐ2人が子供の頃を共に過ごした寄宿学校へ行くようにというメッセージで締め括られていた……。
と,ここまでがエピソード1のストーリーで,続くエピソード2では寄宿学校へと舞台を移し,さらなる物語が展開される。本作は,タイトルに“Collector’s Edition”とあるように,これまでにリリースされたエピソード1から4までをひとまとめにしたものだ。The Game Kitchenではすでに,本作の“シーズン2”の開発を行っているとのことだが,シーズン1はエピソード4で一通りの完結を迎えているので,遊ぶなら今がチャンス。
本作は通常9.99ドルのところ,2014年7月1日まではSteamサマーセールで4.99ドルで購入できるので,興味を持った人はこの機会にぜひどうぞ。1つ1つのエピソードはちょっと短めだが,本作を遊べば涼しくなれること請け合いだ。
■「The Last Door - Collector’s Edition」公式サイト
https://thelastdoor.com/- この記事のURL:
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