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インディーズゲームの小部屋:Room#324「Cloudbuilt」
いよいよ今週末に迫ったプロ野球の開幕を前に,意味もなく緊張している筆者がお届けする「インディーズゲームの小部屋」の第324回は,スウェーデンに本拠を置く独立系デベロッパ,Coilworksのデビュー作となる「Cloudbuilt」を紹介する。本作は,空の上に浮かぶ不思議な遺跡を,ジェットパックやロケットブーツを駆使して駆け抜けるというアクションゲームだ。オープン戦の結果がさんざんだった,我らが阪神タイガースは果たしてどうなることやら……。
主人公の少女が冒険する空中遺跡は現実の場所ではなく,実は彼女の意識の中で作られたもの。彼女は何らかの戦闘でおそらく脳に損傷を受けており,病院のベッドでニューロンの再生措置を受けている。ゲームの舞台となる空中遺跡は,このニューロン再生の過程で彼女の意識内に生み出された光景なのだ。ちなみに彼女には決まった名前がなく,プレイヤーが自由に命名することになる。
ゲームの目的は,主人公の少女を操作してゴールまで到達させること。制限時間はとくにないものの,ステージのクリアタイムが記録され,それによるオンラインランキングもあるので,なるべく速いタイムでのクリアを目指したいところだ。しかし,空中遺跡は半分崩れかけたような状態で,足場がない場所もある。どう見ても,そのままでは先に進めそうにないが,そこで必要となるのがウォールランニングのテクニックだ。
少女はジェットパックとロケットブーツ(のようなもの)を装備しており,壁に向かってダッシュジャンプを繰り出すことで,垂直の壁を忍者のように走り抜けることができる。ダッシュは画面下の黄色いゲージが続く限り使用でき,操作に慣れてくれば,壁から壁へ飛び移りながら,猛スピードで障害を突破することも不可能ではない。どのステージもゴールまでのルートが複数あり,最短コースを見極めて一気に駆け抜ける爽快感が本作の大きな魅力だ。
しかし,そうは言っても足場はやはり狭く,操作を少しでも失敗するとあっという間に落下してしまう。ステージから落ちてもゲームオーバーにはならないが,ステージの最初もしくはチェックポイントからやり直し。当然ながら,最短ルートを狙おうとすると難しいテクニックを要求されることがほとんどで,操作をマスターするにはかなりの練習が必要になりそうだ。迂回ルートを通ってのんびりゴールしてもクリアはクリアなのが,せめてもの救いではある。
あんまり爽快とは言えないが,慎重にやればゴールには到達できる……と思いきや,ここでもう1つの難関となるのが敵の存在だ。敵の攻撃を食らうと吹き飛ばされて足場から落下してしまううえ,たとえ落ちなかったとしても画面左の体力ゲージが無くなるとそこで失敗。遠方からバンバン弾を撃ってくる砲台型の敵が多いのも非常に困りものだ。
トラップをかいくぐってゴールするだけでも大変なのに,さらに敵の攻撃も避けなければならないのは正直厳しい。個人的には,このゲームに敵はいなくてよかったんじゃないかと思うのだが,どうでしょうか?
というわけで,一部のステージで若干理不尽な難しさを感じられるものの,全体的に見ればステージ構成はよく練られており,狙いどおりの操作で華麗なアクションを決められたときの気持ちよさは,やはり格別。大幅にスピード感がアップした「ミラーズエッジ」とも言うべきパルクールアクションを,ぜひ満喫してほしい。そんな本作は,Steamにて19.99ドルで発売中だ。
■「Cloudbuilt」公式サイト
http://coilworks.se/cloudbuilt/- この記事のURL:
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